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アサイラム・ピース 単行本 – 2013/1/22

4.3 5つ星のうち4.3 24個の評価

異国の地で城の地下牢に囚われた薔薇のあざをもつ女。名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵。いつ終わるとも知れぬ長い裁判。頭の中の機械。精神病療養所のテラスで人形劇めいた場面を演じる患者たち――孤独な生の断片をつらねたこの短篇集には、傷つき病んだ精神の痛切な叫びがうずまいている。自身の入院体験にもとづく表題作はじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げる最初の傑作。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 国書刊行会 (2013/1/22)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/1/22
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 224ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4336056285
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4336056283
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 24個の評価

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アンナ・カヴァン
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カスタマーレビュー

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24グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2023年4月28日に日本でレビュー済み
どういう役割を与えられた人間が、
どんな状況でならどんな人間に、
どこまでも冷徹になれるのか。
あるいは、人の優しさを摩耗させうるのか。
50年前も今も不変の、どうしようもない生き難さ。
それを押し付けるある種の人間達の傲慢。
2019年7月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 カフカに近いがそれよりも生まれつきの静謐さを感じる いわゆる短編集で小説は僅かである、殆どはエッセイというか自己の文章表現 示されるのはなんとも言えない静かで逃げ場のない感覚 家の中でも自然の中でも人の中でも逃げ場がない、でも焦らずに綺麗に沈んでいく表現 復刊してくれて良かった 
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年4月15日に日本でレビュー済み
紛れもない、正真正銘のカフカの遺伝子であり、10年に一度の傑作奇書だと思います。
例えば、学生時代のクラスメイトの不思議な印象を語って前振りする。数年後に訪れた博物館で奇妙な扉を見つけて入り込む。そこで見たものはクラスメイトの変わり果てた姿だったのか、それとも錯覚だったのか、朦朧法的な口調を使って抽象的に語られるが、突如として脈絡のない不条理に襲われる、という内容です。脈絡の無さという点ではカフカとは一線を画しますが、それまでの伏線は前菜ですらなく、アペリティフ程度のものだと気付かされ、「ええええ・・・」となります。謎の権力組織に捕らえられ、尋問されたり抑圧されたりする部分こそがメインディッシュであり、それが最後にほんの数行で語られてしまうのです。打ちのめされました。
尚、短編というより掌編に近く、1作はすぐに読み終えてしまいます。
この手の題材を扱う女流作家は、とかくもったいぶってシニカルな文体になるケースが圧倒的多数で、そこが鼻について我慢できず、いつも途中退場してしまうのですが、この作家に限っては、無駄を省いた簡潔な文体で生真面目に語っているところに好感が持てます。
一歩踏み外すとバリー・ユアグローになるところを、僅かながら心理描写を差し挟むことでパーソナライズしている感じもあります。
web上の画像からはとうてい想像出来ませんが、実際に手にとってみると、ハードカバーながら軽量用紙を用いた装幀の素晴らしさも含めてお気に入りで、売らずにコレクションすることに決めた一冊です。
26人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年2月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「氷」の作家として、名前だけでなくそのプロフィールを知っていたアンナ・カヴァン。「氷」を未読のうちに見つけた本作がはじめての経験です。

連作、というより同一シチュエーションや、同一と思われる人物が繰り返し登場する短編集です。その中で一番印象に残ったのは(はじめてこの作家を読んだからという理由もありますが)他とは少し展開の異なる冒頭の作品でした。残りの作品に期待を抱かせるに十分な1編です。

その後、シチュエーションを同じくする作品を読んでいくと、どうしても同工異曲のように思われてきてしまい、冒頭ほどの感心は持てなかったのですが。
そう思っていると、抽象的な描写の中にふいに具象的な事物が現れます。それは化粧だったり、人物の癖だったり、伏線でもなんでもなく提示されるその具体性が非常に効果的で、本書を単調に感じさせるのをふせいでいます。

この抽象と具象の描き方のうまさは、メンタルの不安やヘロイン依存といった作者のプロフィールでは説明つかない、作家としての技術によるものだと思います。作家個人への興味がなくとも、作品自体がちゃんと読むに足るものなので、アンナ・カヴァンの名を知らなかった方も手にしてみてください。
24人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2014年7月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 遥か昔に短篇集「ジュリアとバズーカ」及び「氷」を読み、その折に、心理に関してもまた情景に関しても簡素過ぎる文体に物足りなさを覚えたものだが、今回作家変貌作を味わい、当時見えなかったものが見えてきて、なるほどそういうことかと思った。人間の経験には共通項が多いが、それでも絶対的な個人差があり、よって好き嫌いは元より数多の解釈がこの作品集から生じるだろう。説明過多或いは感情過多の(読者による読みの方向性を支配したいタイプの)作家にはまず起こり得ない読書体験だ。カヴァンの見たものがわたしの中に入り込み、変質し、またそこに還る。その逆は常識的にはありえないが、作品の形でならば十分に可能だろう。個人的には創作意欲をそそる作家の一人といえる。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年1月2日に日本でレビュー済み
13の短編と表題作。表題作のみ70ページ超だが、これも病院収容にまつわる連作八編で構成され、それぞれが独立したエピソードとして読めるため、実質は21の短編。ボリュームとしては一話平均で10ページを切る短さ。

全体に強い閉塞感と孤独を漂わせる夢のような物語が集められている。主人公の被害妄想じみた内面を描いた作品も少なくない。表題作に限らず、全編が「アサイラム・ピース」という一貫したテーマで創作されたと言われても違和感はない。やや寓話的で不条理な作風からは、カフカの小説も連想させられる。それぞれが自立した作品として完成しているというより、アイデアにある程度肉付けをした、構想の過程のようにも受け取れる。

第一篇の短編「母斑(アザ)」は、岸本佐知子編訳のアンソロジー『居心地の悪い部屋』にも収められている。ここで本書訳である山田和子氏以外の訳者を持ち出すのも失礼かもしれないが、岸本氏の作品のチョイスがお好みの読者に合う可能性の高い作品集と思える。個人的には、二冊で重複している「母斑」がもっとも印象的な作品だった。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年5月20日に日本でレビュー済み
物書きが「自分は書くことしかできない」と口にするのを聞いて、「そうだろう」とうなずきながらも、どこかで違和感を覚えることがある。なぜだか身構えてしまう。僕が読み手でしかありえないというSHITを差し引いても、違和感が完全に消滅することはない。けれども本書はちがった。僕の屈折した違和感を完全に消し去ってくれた。

幼少から精神を病み、ヘロインと共存しながらも、書くことだけをよすがとした作者の人生には抗し難く惹かれる。だが、作品に力がなければこうも惹かれることはなかっただろう。

本書は自伝的な色彩の濃い短編集である。そしてあまりにも短い。どれも10頁に満たない小品だ。表題作でさえも、掌編を集めたものといえなくもない。それにもかかわらず濃密な読後感を感受させるのはなぜか。

冒頭の1編「母斑」だけでも読んでいただきたい。14歳の「私」が、長い歳月を経て寄宿学校時代の同級生「H」と再会する。その物語を、作者はわずか9頁で描く。想像力の強靭さに驚かされる。作者にとっては百万年も一歩に過ぎないかのようだ。さらに、作者の本名がHelenであることに思いを馳せれば、その再会がどれほど壮絶なものであるかが窺える。

決して多くの読者を獲得する作家ではないが、まぎれもなく書くことしかできなかった作家だ。書名のAsylumに、「避難所」という意味があるように。
19人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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