温泉について興味を持ち始めたとき、専門過ぎず、文体にくせもない本書が一番手ごろのように感じます。ただ、本書は人によっては古風な感じがして(とくに写真の並べ方や大きさ、画質などの点で)、とっつきにくいという欠点はあるかもしれません。ただ、この本は5人の執筆陣により、ずばりそのもの温泉について必須事項だけを書き出してあり、見かけほど退屈さを感じさせず、一気に読み進むことができました。少なくとも初心者の私には手放せない本となりそうです。写真、表、グラフも豊富に交えて百ページ少しだけの本ですから、短時間で読めるのも長所です。
温泉の本は、執筆者が「温泉は文化だ!」といわんばかり情熱を入れすぎて、どうしても特有の”温泉っぽい”本になりやすいのですが、この本は終始あっさりと書いてあるので誰でもその点では非常によみやすいです。知的な上品さを感じさせます。意外に興味深かったのは、中規模以上の温泉街でどのように源泉から各宿・各ホテルへお湯が供給されているか、温泉水の集中管理システムの図(66頁)が掲載されていることでした。温泉街をどのように作ることができるか、また形成されていくか、開発上の巨視的な視点で知ることができ、大変参考になりました。これ以上知るとなると、やはり専門的な書物に頼るしかないでしょう。温泉好きな一般の方でも開発と環境の問題には興味があるはずです。私が知る限り(5,6冊初心者向けを読んだだけですが)、他の温泉本ではこうした視点がありませんでした。すぐれた温泉は山奥の、いわゆる限界集落のような場所に位置することが多いようですし、人口減少とともに経営が難しくなり、そうした場所は温泉が消失していく傾向が生じるかもしれないので、温泉開発の知識が広く知られることは有意義なことのように感じます。
その他、決まった時間ごとに温水が吹き上げる間欠泉についての仕組みも図解入りで説明があり、よく理解できました。地中深く一定の空洞が存在し、私が行った解釈では、そこに非常に緩やかな水蒸気爆発が地中で定時間ごとに連続的に発生して間欠泉となるようです。空洞の容量が時間を決めるようです。
なお、海外の温泉についても少し触れてあり、この点でも他の類書と比較して本書の一つの特徴となっています。
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温泉学入門: 温泉への誘い (新コロナシリーズ 51) 単行本 – 2005/5/11
日本温泉科学会
(編集)
温泉は自然科学の研究対象であると同時に,社会科学や健康科学の対象でもあります。コロナ社発行の本書は,このような多様な側面をもつ温泉の自然科学的な面を中心に解説するとともに,その楽しみ方や利用のあり方について述べています。
- ISBN-104339077011
- ISBN-13978-4339077018
- 出版社コロナ社
- 発売日2005/5/11
- 言語日本語
- 本の長さ128ページ
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登録情報
- 出版社 : コロナ社 (2005/5/11)
- 発売日 : 2005/5/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 128ページ
- ISBN-10 : 4339077011
- ISBN-13 : 978-4339077018
- Amazon 売れ筋ランキング: - 744,773位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 59,721位科学・テクノロジー (本)
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2014年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年10月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
温泉について、非常によくまとまった入門本です。
ただ、なんとなく「温泉って何だろう?」位の興味を持った人には最適ですが、
温泉科学に少しつっこんで知りたい人には
あまりに周知の事ばかりで物足りないようにも思われるかもしれません。
とは言え、分かりきった事でも、ちゃんと整理されまとまっているというのは重要な事で
教科書的に利用できる本だと思います。
1,2時間で読みきれる薄さも手頃だし、温泉に行く際にポケットにふと忍ばせてもいいかもしれません。
また多少載っている事例が古いので、新しい情報を更新されるとありがたいのですが。
ただ、なんとなく「温泉って何だろう?」位の興味を持った人には最適ですが、
温泉科学に少しつっこんで知りたい人には
あまりに周知の事ばかりで物足りないようにも思われるかもしれません。
とは言え、分かりきった事でも、ちゃんと整理されまとまっているというのは重要な事で
教科書的に利用できる本だと思います。
1,2時間で読みきれる薄さも手頃だし、温泉に行く際にポケットにふと忍ばせてもいいかもしれません。
また多少載っている事例が古いので、新しい情報を更新されるとありがたいのですが。
2005年11月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
温泉の定義や生物や自然景観など温泉を取り巻く環境。
温泉水の再利用・循環式浴槽の構造。お湯の性質と体への影響など温泉と健康について。
バースやバーデンバーデンなど世界の温泉・・・
など温泉全般について幅広く、わかりやすく、解説されています。
温泉に関する本はたくさん出ていますが、最初におすすめしたいのはこの本。
さらに知識を深めたい方には、巻末の参考文献も参考になります。
温泉水の再利用・循環式浴槽の構造。お湯の性質と体への影響など温泉と健康について。
バースやバーデンバーデンなど世界の温泉・・・
など温泉全般について幅広く、わかりやすく、解説されています。
温泉に関する本はたくさん出ていますが、最初におすすめしたいのはこの本。
さらに知識を深めたい方には、巻末の参考文献も参考になります。
2008年4月20日に日本でレビュー済み
日本温泉科学会編ということで、科学(物理・化学)的な立場から温泉を学問としてとらえて体系化した温泉学入門書です。本書は「温泉学」とアカデミックな顔立ちですが、高校生や中学生にも十分に理解できる内容です。温泉の起源、温泉の分類、温泉の周囲の環境、温泉分析書の見方、温泉と健康との関係など、平易で易しい解説が特長です。世界の温泉にも目が向けてあります。
温泉に造詣の深い人にとっては、ほとんど知っていることが書いてあるかもしれませんが、科学的な立場から温泉を学問として体系化した形を提示しているという点で、本書は光っていると思います。
温泉に造詣の深い人にとっては、ほとんど知っていることが書いてあるかもしれませんが、科学的な立場から温泉を学問として体系化した形を提示しているという点で、本書は光っていると思います。
2005年10月18日に日本でレビュー済み
温泉は理屈でなく感覚で入るものであるが、科学的な側面から温泉を知っておくと、温泉を一段と楽しむことができる。
「科学的」と言うと、難しい化学式や地質の名前などを想像される方が多いかもしれないが、本書では各地の温泉特有の自然景観や生物たち、泉質とその医学的効用、おみやげ品のルーツなど、親しみやすい切り口から分かりやすい文章で解説されている。
さらに、温泉の発見伝説や海外の温泉なども紹介されており、温泉に対する知的好奇心が大きく広がる本である。
「科学的」と言うと、難しい化学式や地質の名前などを想像される方が多いかもしれないが、本書では各地の温泉特有の自然景観や生物たち、泉質とその医学的効用、おみやげ品のルーツなど、親しみやすい切り口から分かりやすい文章で解説されている。
さらに、温泉の発見伝説や海外の温泉なども紹介されており、温泉に対する知的好奇心が大きく広がる本である。