北朝が「反乱軍」に偽装した精鋭部隊を九州最大都市へ送り込み、
九州を日本政府から分断し(自ら分断させ)、
大日本帝国にとっての満州国のような、傀儡(かいらい)国家設立を目論む。
突飛なようだがコロンブスの卵的で、「あり得る」と思わせられるストーリーだ。
それを受け入れて身をゆだねれば、
そこからは
例えば、『天空の城ラピュタ』のような(良い意味での)ステレオタイプでもあり、
活劇の王道とも言えるストーリーが展開される。
先が読めないこともないが、それでも、読後のカタルシスは、半端なものではない。
超弩級のエンターテインメント小説である、と、僕は断言しちゃう(笑)。
そして、皆さんご指摘のように、
日本社会の常識に振り下ろされる、強烈なスレッジハンマーでもある。
だが、それだけでは語れない、何かがあるように感じた。
読んだ後で、あるいは2度3度読み返せばきっと、
その思惑の深さに、ひれ伏すことになるのではないか?
小説の技法として、
例えば「コリョ」のスーパーエリートと、
普通であればまとまって生活することなど出来ないであろう「はみ出しもの」達が
同列で描かれる。
実は後者も、イノセントにではあるが何らかの(問題)行動を実行した者であり、
「決断できない・実行できない者」
と強烈な対比をなしていたり、
事後に、どちらも漢字の名前を得ていたりと、
非常に同等のもん、として描かれていく様は、技巧としても凄いし、思惑としても凄い。
考えてみれば、前者も自国では反乱軍として扱われており、その家族は既に粛正されているかも知れない。
視点が移り変わる独特な書き方は、こうした効果を狙ってのことなのか?
ヤドクガエルも、構築的な2元的相対の崩壊を暗示しているようで、面白いと思う。
さらに、物語の本筋としては、もっと裏があって、
近視眼的には
「日本はイノセントなはみ出し者の活躍で救われた、めでたしめでたし」
で終わったように見えるが、
本当の勝者は全く別で、
政治家・支配者の器として、
この国は北の将軍様の思慮には全く及ばない、
と読めなくもない。
彼は、どちらに転んでも良いように作戦を立案させ、命令を下し、
結果的に軍資金も得ている。
自軍の精鋭部隊を犠牲にして、体制の維持を計る。
その冷徹さ、力学的な論理性。
それを考えると、ゾクゾクした。
もしかしたら、彼の国は思った以上に長く続くかもしれない。
思っているよりも穏やかに、南北統一を果たすかもしれない。
その時、求心力を得るための仮想敵として利用されるのは、間違いなく我が国だ。
そう考えると、ぞっとする。
多くの人に、ぞっとして欲しい。
しっかりと国家間の力学、パワーバランスを考えながら、生き残りの術を考えよう。
なんて大層なことを、考える機会を与えてくれた小説。
読んで欲しい。
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半島を出よ (下) 単行本 – 2005/3/25
村上 龍
(著)
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さらなるテロの危険に日本政府は福岡を封鎖する。逮捕、拷問、粛清、白昼の銃撃戦、被占領者の苦悩と危険な恋。北朝鮮の後続部隊12万人が博多港に接近するなか、ある若者たちが決死の抵抗を開始した。
〈現実を凌駕する想像力と、精密な描写で迫る聖戦のすべて。〉
- 本の長さ496ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2005/3/25
- ISBN-104344007603
- ISBN-13978-4344007604
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商品の説明
出版社からのコメント
幻冬舎創立11周年記念特別書き下ろし作品、1650枚。
著者について
1952年長崎県佐世保市生まれ。武蔵野美術大学中退。大学在学中の76年、「限りなく透明に近いブルー」で群像新人賞、芥川賞を受賞。主な著書に『コインロッカー・ベイビーズ』『愛と幻想のファシズム』『トパーズ』『五分後の世界』など。2004年『13歳のハローワーク』がミリオンセラーとなる。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2005/3/25)
- 発売日 : 2005/3/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 496ページ
- ISBN-10 : 4344007603
- ISBN-13 : 978-4344007604
- Amazon 売れ筋ランキング: - 197,560位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 19,114位文芸作品
- カスタマーレビュー:
著者について
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1952年長崎県生まれ。
七六年『限りなく透明に近いブルー』で第七五回芥川賞受賞。『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、『半島を出よ』では野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。『トパーズ』『KYOKO』で映画監督も務めた。最新作は『新 13歳のハローワーク』『13歳の進路』。日本の金融・政治経済の問題を考える メールマガジン『JMM』を主宰し、経済トーク番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京)のホストも務める。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年4月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1円で購入しましたので、覚悟していたのですが…、少し汚れが気になる程度で状態もよくいい読書ができました!!
2006年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本を手にとって思うことはまず「厚い」。
とにかく重量感のある2冊です。内容もなかなかハードで、頭も使います。
が、とにかく面白いです。リアリティがある分、難解な場面も多々あります。
漢字も多いし、カタカナも多い。専門的な内容がふんだんに出てきます。
多少、難しいところは目をつむり、先へ進むんでも大丈夫だと思います。
特に下巻に関しては、グイグイと読み手を引き込んでくれます。
私は、読んでる途中、区切りをつけることが出来ず最後まで読みきってしまいました。
本当に現実に起こりそうで、怖い内容です。
でも、それだけ色々考えさせられる内容でした。最初はとっつき難いかもしれませんが
読んで損は無いと思います。
とにかく重量感のある2冊です。内容もなかなかハードで、頭も使います。
が、とにかく面白いです。リアリティがある分、難解な場面も多々あります。
漢字も多いし、カタカナも多い。専門的な内容がふんだんに出てきます。
多少、難しいところは目をつむり、先へ進むんでも大丈夫だと思います。
特に下巻に関しては、グイグイと読み手を引き込んでくれます。
私は、読んでる途中、区切りをつけることが出来ず最後まで読みきってしまいました。
本当に現実に起こりそうで、怖い内容です。
でも、それだけ色々考えさせられる内容でした。最初はとっつき難いかもしれませんが
読んで損は無いと思います。
2013年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
下巻の半分くらい読んだところで、ああ、あとこれだけで終わってしまうのかと残念なほどの吸引力。「五分後の世界」も面白かったけど、さらにその上を行く村上龍の最高傑作。
2005年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まずは巻頭に書き並べられたスゴイ数の登場人物と簡単なプロフィールに驚く。特に北朝鮮人の名前には馴染みが薄いため、男女の判別ができない上に名前・プロフィールともにまったく頭に入ってこない。
「予習」はあきらめて本編へ。読み進みながらノンフィクションだったろうかと錯覚するほどに、日本が抱える現在の経済的、国際的立場から進行し、末期となった状態がリアルに描かれている。この小説の目的のひとつは日本への警告なのだろうか。
北朝鮮兵士の冷酷さが繰り返し描かれているが(これは事実を知らないので、ノンフィクションに限りなく近い気持ちで読んだ)、併せて純朴さや厳しい規律を守らせる組織力は、日本がとうの昔になくしてしまい、絶対にもどらない大事な要素として感じられた。
腐りきった日本社会からはみ出たアウトローたちによって、物語はドラマチックに幕を下ろす。結局は「何もできない腐った大国」となってしまった日本を嘲笑した形で終焉となる。上下巻通じて、綿密で泥臭い描写が続くが、最終場面では違う空気感・カラーを感じた。最後まで北朝鮮人の名前と背景が完全一致しなかったが、もう一度読み返せば違うだろうか。何しろ長編だし、どぎつい描写には読むエネルギーも必要なので少し時間をおいてチャレンジしたい。
「予習」はあきらめて本編へ。読み進みながらノンフィクションだったろうかと錯覚するほどに、日本が抱える現在の経済的、国際的立場から進行し、末期となった状態がリアルに描かれている。この小説の目的のひとつは日本への警告なのだろうか。
北朝鮮兵士の冷酷さが繰り返し描かれているが(これは事実を知らないので、ノンフィクションに限りなく近い気持ちで読んだ)、併せて純朴さや厳しい規律を守らせる組織力は、日本がとうの昔になくしてしまい、絶対にもどらない大事な要素として感じられた。
腐りきった日本社会からはみ出たアウトローたちによって、物語はドラマチックに幕を下ろす。結局は「何もできない腐った大国」となってしまった日本を嘲笑した形で終焉となる。上下巻通じて、綿密で泥臭い描写が続くが、最終場面では違う空気感・カラーを感じた。最後まで北朝鮮人の名前と背景が完全一致しなかったが、もう一度読み返せば違うだろうか。何しろ長編だし、どぎつい描写には読むエネルギーも必要なので少し時間をおいてチャレンジしたい。
2005年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本が売れているらしい。
春樹と違って龍は社会の大勢に受け入れられる作家ではないと思っていた。しかし、「13歳のハローワーク」もそうだが、ベストセラー作家になった。幻冬舎の力も大きいのだろう。
高校生の時「限りなく透明に近いブルー」を読み、衝撃をうけ 20代で「コインロッカー」でカリスマに憧れ 30代で「愛と幻想のファシズム」。この「半島を出よ」はこの流れの小説であるが、売れ筋ではないと思っていた。売れ筋は「69」や「人生における成功者の定義と条件」「ハローワーク」。「半島を出よ」の読者が「愛と幻想‥」に戻るkともあると思う。いや商売上手。
個人的見解:龍は長崎出身で「井上光晴」にかぶる。特に「他国の死」。年代も全くちがう作家が九州方言で物語を進め、普遍世界に広がっていく手法でかぶってしまう。「全身小説家:井上光晴」もっと評価して欲しい作家であった。うそつきミッチャン。
久しぶりに小説を読んだかからか、前半もたついたが後半「シノハラ」たちの潜入部分のスピード感は流石。爆破で終わらす事無く、「キム ヒャンモク」の記述を入れスローダウン。突然のスピードの違いに違和感を感じるが、読み進めると感じる「救済」。前半の福岡市と日本政府の官僚や政治家の無責任に憤り、何かに頼りたいという日本の総意に幻滅するが、北朝鮮における圧倒的武力や恐怖による圧制支配。未来に希望を持たそうというクロージングになっている。
寝不足で歯が痛くなる小説だった。
春樹と違って龍は社会の大勢に受け入れられる作家ではないと思っていた。しかし、「13歳のハローワーク」もそうだが、ベストセラー作家になった。幻冬舎の力も大きいのだろう。
高校生の時「限りなく透明に近いブルー」を読み、衝撃をうけ 20代で「コインロッカー」でカリスマに憧れ 30代で「愛と幻想のファシズム」。この「半島を出よ」はこの流れの小説であるが、売れ筋ではないと思っていた。売れ筋は「69」や「人生における成功者の定義と条件」「ハローワーク」。「半島を出よ」の読者が「愛と幻想‥」に戻るkともあると思う。いや商売上手。
個人的見解:龍は長崎出身で「井上光晴」にかぶる。特に「他国の死」。年代も全くちがう作家が九州方言で物語を進め、普遍世界に広がっていく手法でかぶってしまう。「全身小説家:井上光晴」もっと評価して欲しい作家であった。うそつきミッチャン。
久しぶりに小説を読んだかからか、前半もたついたが後半「シノハラ」たちの潜入部分のスピード感は流石。爆破で終わらす事無く、「キム ヒャンモク」の記述を入れスローダウン。突然のスピードの違いに違和感を感じるが、読み進めると感じる「救済」。前半の福岡市と日本政府の官僚や政治家の無責任に憤り、何かに頼りたいという日本の総意に幻滅するが、北朝鮮における圧倒的武力や恐怖による圧制支配。未来に希望を持たそうというクロージングになっている。
寝不足で歯が痛くなる小説だった。
2005年7月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
社会情勢を反映しているという点では、評価できるんだろうと思うのですが、エンターテイメントという視点からいくと、なにこれ?という終わり方でした。どきどき感を期待しすぎたかも。「コインロッカーベイビーズ」がとても大好きで、読み始めたときに、同じおもしろさを感じたのですが、読み進めていくうちに登場人物についての説明が長いわ、これいらないんじゃないのという場面が多々あり、後半が尻すぼみになってしまった感じになっているように思います。
2006年2月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「昭和歌謡大全集」の生き残りがおじさんになった近未来の話。
系としては、「愛と幻想の・・・」とか「5分後の世界」に近い。
財政破綻し、アメリカからも中国からも見放された日本。
北朝鮮のコマンドが福岡ドームを武力占拠し、特殊部隊も来襲
日本政府は対応できず福岡を封鎖してしまう、という話。
設定としては面白かったし
かなりの文献と取材を元に書かれた渾身の力作、ということは
よーーーく分かった。
日本政府のグズグズさも
他国に冷たく見放されるシチュエーションも
攻め込まれた地元民の対応もリアル。
が、もっと面白くできそうなのに、とちょっと惜しい感じ。
系としては、「愛と幻想の・・・」とか「5分後の世界」に近い。
財政破綻し、アメリカからも中国からも見放された日本。
北朝鮮のコマンドが福岡ドームを武力占拠し、特殊部隊も来襲
日本政府は対応できず福岡を封鎖してしまう、という話。
設定としては面白かったし
かなりの文献と取材を元に書かれた渾身の力作、ということは
よーーーく分かった。
日本政府のグズグズさも
他国に冷たく見放されるシチュエーションも
攻め込まれた地元民の対応もリアル。
が、もっと面白くできそうなのに、とちょっと惜しい感じ。