題名からもわかるように、現実には平等な社会は存在しない。非現実的な設定である。しかも、題材も結論が予想できる。だから読むのを躊躇した。しかし、作者の「ボーイズビー」や「県庁の星」の展開の面白さ、卑近な出来事の中にある貴重な価値に気づかせる眼差しの温かさに惹かれて手に取ることにした。
最初は、予想通り(?)というか、可もなく不可もなくだったのだが、途中から不思議な感覚に襲われた。ちっとも「ありえない」話じゃない。非現実的な環境の中で育った主役の目を通して、私たちの日常が新鮮な角度から捉えられている。そして、日々の忙しさで見失いがちな価値について考えている自分がいた。
つまり、小説を楽しみながら、自分を見詰める作品だった。それにしても、桂氏の作品は、「人物」のキャラクターが多彩で温かい。どこにでもいるような人のなかの輝きを取りだして読者に示してくれる。…結局、一晩で読み上げてしまった。おかげで、次の日の勤務は寝不足だったが、気分は爽快。そんな本だった。
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平等ゲーム 単行本 – 2008/8/25
桂 望実
(著)
瀬戸内海に浮かぶ「鷹の島」。そこでは1600人が、全員平等。果たしてそこは楽園か、それとも……?現代社会に蔓延する「平等幻想」をテーマに描く傑作エンターテインメント長編。
- 本の長さ346ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2008/8/25
- ISBN-104344015495
- ISBN-13978-4344015494
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登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2008/8/25)
- 発売日 : 2008/8/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 346ページ
- ISBN-10 : 4344015495
- ISBN-13 : 978-4344015494
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,590,758位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 37,802位日本文学
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2009年3月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2019年5月26日に日本でレビュー済み
徹底した平等を追求する瀬戸内海のある島に住む主人公が、様々な人間に出会い成長していく物語です。
個性とは何か、平等はどうあるべきか、形式や中身をどう重視するのか、といったことを考えさせるよい本だと思います。
文章も読みやすい為、中学生や高校生に読んで頂きたいです。
この著者さんの本を読んだのは初めてでしたが、自分の伝えたいことを伝えるのが上手な方だなと思いました。
特に欠点などは見当たりませんでしたので、星5にしました。
個性とは何か、平等はどうあるべきか、形式や中身をどう重視するのか、といったことを考えさせるよい本だと思います。
文章も読みやすい為、中学生や高校生に読んで頂きたいです。
この著者さんの本を読んだのは初めてでしたが、自分の伝えたいことを伝えるのが上手な方だなと思いました。
特に欠点などは見当たりませんでしたので、星5にしました。
2012年10月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
すべてが平等の鷹の島で生まれ育った主人公に終始イライラした。ナヨナヨしてるくせに正義感だけが強くて、鬱陶しい。そういう人物にわざとしていると思うのですが、読むのが面倒になってしました。他に魅力的なキャラもいないですし。
お話自体も盛り上がりが無く、分厚い本ですがこの内容なら半分くらいでも良かったのではと思います。
お話自体も盛り上がりが無く、分厚い本ですがこの内容なら半分くらいでも良かったのではと思います。
2019年2月9日に日本でレビュー済み
住民皆が平等というルールが存在する瀬戸内海の島が舞台。抽選で職業が定められ、買い物も金銭を必要とせず、医療や学校も無償、決め事は住民の投票によってなされる。まさにユートピア。
主人公は島に移住する人を勧誘する役割の青年で、絵に描いたようなイノセントだ。物語が進むにつれ、平等であり続けるための不協和音が見え隠れしてくる。
皆が平等は、果たしてシアワセなのか?という考えさせる作品。島外の様々な人と触れ合い悩みを深めていく主人公。人生とは何か、生きがいとは何かを問いかける成長物語でもあるんだね。
主人公は島に移住する人を勧誘する役割の青年で、絵に描いたようなイノセントだ。物語が進むにつれ、平等であり続けるための不協和音が見え隠れしてくる。
皆が平等は、果たしてシアワセなのか?という考えさせる作品。島外の様々な人と触れ合い悩みを深めていく主人公。人生とは何か、生きがいとは何かを問いかける成長物語でもあるんだね。
2013年1月1日に日本でレビュー済み
テーマは悪くないがそもそも設定が矛盾だらけで読んでいくうちにどうでもよくなった。
まず、この「鷹の島」はどの自治体に属しているかが不明であるが治外法権ではないから行政の支配を受けるはずである。
勝手に小、中、高、大学を設置している点。
続いて島の財政設定の問題。
年収400万円にも及ぶ個人所得設定が農産物、畜産物主体で島内の消費、販売収入で得られるはずもなくでたらめくさい。
労働人口が仮に1000人とすれば400億円、さらに住宅をはじめかなりの物が無料であるためその経費はさらに膨れ上がり年間の実収入は1000億円をはるかに超えるであろう。
こんな利益を上げるには超大規模な優良企業でも存在しない限り不可能であろう。
また、仕事が4年で交代などさも簡単に述べているが畜産業にしろ、農業にしろ素人が簡単にできる仕事ではない。
本当の畜産、農業従事者をバカにした設定だ。
島の住人になるには既存個人財産はどうなるのか(個人財産を自由に使えれば平等でもなんでもない社会ができる)。著者はユートピアの設定条件をほとんど無視したかっこうでで島の運営を数値を上げて具体的に説明していないためユートピアが空虚なものになってしまう。
平等であることをもっと論理的に展開し、十分読者を納得させた上で記述するできであろう。
多くの方が評価点を高くしておられるが私には理解できない。経済学者なる方も絶賛しておられるがこれは偽学者のコメントであろうと推察できる。
一般文学通算906作品目の感想。2013/01/01 20:10
まず、この「鷹の島」はどの自治体に属しているかが不明であるが治外法権ではないから行政の支配を受けるはずである。
勝手に小、中、高、大学を設置している点。
続いて島の財政設定の問題。
年収400万円にも及ぶ個人所得設定が農産物、畜産物主体で島内の消費、販売収入で得られるはずもなくでたらめくさい。
労働人口が仮に1000人とすれば400億円、さらに住宅をはじめかなりの物が無料であるためその経費はさらに膨れ上がり年間の実収入は1000億円をはるかに超えるであろう。
こんな利益を上げるには超大規模な優良企業でも存在しない限り不可能であろう。
また、仕事が4年で交代などさも簡単に述べているが畜産業にしろ、農業にしろ素人が簡単にできる仕事ではない。
本当の畜産、農業従事者をバカにした設定だ。
島の住人になるには既存個人財産はどうなるのか(個人財産を自由に使えれば平等でもなんでもない社会ができる)。著者はユートピアの設定条件をほとんど無視したかっこうでで島の運営を数値を上げて具体的に説明していないためユートピアが空虚なものになってしまう。
平等であることをもっと論理的に展開し、十分読者を納得させた上で記述するできであろう。
多くの方が評価点を高くしておられるが私には理解できない。経済学者なる方も絶賛しておられるがこれは偽学者のコメントであろうと推察できる。
一般文学通算906作品目の感想。2013/01/01 20:10
2009年2月11日に日本でレビュー済み
読みながら、平等というバランスが崩れると何かが起こるんだろうと考えながら読んでいて、終始「もっと何かが起こって欲しい」という欲求が沸く中、何も起こらずに終わってしまった感じです。
読み返しはしないけど、一度なら普通に楽しめます。
読み返しはしないけど、一度なら普通に楽しめます。
2011年8月24日に日本でレビュー済み
鷹の島、そこは平等な島だった。
貨幣は流通しておらず、仕事は抽選制で4年ごとに交代、島の収入は島民全員で公平に分配、決めごとは全て島民の多数決で決める。
島民は一定の人数を維持しており、欠員が出たときに移住が可能になる。
芦田耕太郎は鷹の島の普及班勧誘係に所属してる。
島民に欠員が出たときに、移住を希望した者の中から抽選で候補者を選び、移住の勧誘に接触する。
「鷹の島は現代のパラダイス」と信じて疑わない耕太郎は、不平等な本土(日本)に住む移住候補者に、鷹の島のすばらしさを伝えようとするが……
強烈な盛り上がりがある訳でもなく、引きがある訳でもない。
それでも、読み始めるとやめられなくなるほど興味深い作品。
「鷹の島」の平等と、そこで育った耕太郎が持ち得なかった感情、理想の社会とはどうなのか、勧誘業務の中で耕太郎に芽生える感情への持って行き方が巧いと思いました。
著者が書かれた「県庁の星」より個人的には好きですね。
こちらは映画にはしづらい題材ですが、読み込みがいのある作品です。
貨幣は流通しておらず、仕事は抽選制で4年ごとに交代、島の収入は島民全員で公平に分配、決めごとは全て島民の多数決で決める。
島民は一定の人数を維持しており、欠員が出たときに移住が可能になる。
芦田耕太郎は鷹の島の普及班勧誘係に所属してる。
島民に欠員が出たときに、移住を希望した者の中から抽選で候補者を選び、移住の勧誘に接触する。
「鷹の島は現代のパラダイス」と信じて疑わない耕太郎は、不平等な本土(日本)に住む移住候補者に、鷹の島のすばらしさを伝えようとするが……
強烈な盛り上がりがある訳でもなく、引きがある訳でもない。
それでも、読み始めるとやめられなくなるほど興味深い作品。
「鷹の島」の平等と、そこで育った耕太郎が持ち得なかった感情、理想の社会とはどうなのか、勧誘業務の中で耕太郎に芽生える感情への持って行き方が巧いと思いました。
著者が書かれた「県庁の星」より個人的には好きですね。
こちらは映画にはしづらい題材ですが、読み込みがいのある作品です。
2008年11月14日に日本でレビュー済み
これは読み手がみなそれぞれに自分を試される話だなと感じながら読んだ。
全てが平等な社会(人口1600人の島)で育った耕太郎が経験する
初めての「感情」のブレがおもしろい。
厳然とした格差社会である本土で生きる人々との出会いが、
耕太郎にさまざまなアクシデントと、生まれて初めて知る感情、
“達成感”や“嫉妬”や“悪意”などをもたらす。
34歳にして!という感じだが、そういう経験が皆無であれば、さもありなん。
純粋培養の平等主義者の抱える弱味を、桂さんは見事に次々と突いてゆく。
平等が幸せ……。しかし、そこには、いろいろな矛盾や齟齬があるのだ。
島での暮らしやシステムが描かれるうち、
読み手にはその歪みとしかいいようのないものが見えてくる。
競争で潰される者がいてはいけない、という考え方もある意味
凝り固まったものに思えてくる。
そして、理想郷「鷹の島」の現実が暴露されたとき、
耕太郎はまさに試されることになる。
ここらあたり、苦く厳しくスリリングで面白かった。
耕太郎が本土で出会った人々、さりあちゃんや絵の先生の千鶴子さんの
役回りがいい味だ。
とりわけ私は甲板長の柴田さんの誠実さと義理堅さにほろりとさせられた。
全てが平等な社会(人口1600人の島)で育った耕太郎が経験する
初めての「感情」のブレがおもしろい。
厳然とした格差社会である本土で生きる人々との出会いが、
耕太郎にさまざまなアクシデントと、生まれて初めて知る感情、
“達成感”や“嫉妬”や“悪意”などをもたらす。
34歳にして!という感じだが、そういう経験が皆無であれば、さもありなん。
純粋培養の平等主義者の抱える弱味を、桂さんは見事に次々と突いてゆく。
平等が幸せ……。しかし、そこには、いろいろな矛盾や齟齬があるのだ。
島での暮らしやシステムが描かれるうち、
読み手にはその歪みとしかいいようのないものが見えてくる。
競争で潰される者がいてはいけない、という考え方もある意味
凝り固まったものに思えてくる。
そして、理想郷「鷹の島」の現実が暴露されたとき、
耕太郎はまさに試されることになる。
ここらあたり、苦く厳しくスリリングで面白かった。
耕太郎が本土で出会った人々、さりあちゃんや絵の先生の千鶴子さんの
役回りがいい味だ。
とりわけ私は甲板長の柴田さんの誠実さと義理堅さにほろりとさせられた。