「魔女は甦る」という作品が、シリーズの前編にあたりますが、前作で奮闘した警察官達はほとんど出てきません。
以下ネタバレ----------------------=----
前作の登場人物で続けて出てきたのは、前作内ではメガネと上着を残して殺されてしまったと思われていた警察官のみです。
んで、その人と仲の良かった、麻取の捜査官が、本作の主人公となります。終盤の死地からの脱出は、前作以上に文字通り「ヒートアップ」しています。面白かったです。
前作を読んだなら、是非どうぞ
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ヒートアップ 単行本 – 2012/9/27
中山 七里
(著)
「さよならドビュッシー」でこのミス大賞を受賞し、「連続殺人鬼カエル男」「贖罪の奏鳴曲」と話題作を発表しミステリ界で注目を集める中山七里。次のヒーローは、麻取(麻薬取締官)!
七尾究一郎は、厚生労働省医薬食品局の麻薬対策課に所属する麻薬取締官。警視庁のみならず関東一円の捜査員の中で有名な存在だ。その理由は、おとり捜査を許された存在であることの他に、彼の特異体質が一役買っている。現在は、渋谷など繁華街の若者の間で人気の違法薬物"ヒート"の捜査に身を投じている。"ヒート"は、ドイツの製薬会社スタンバーグ社が局地戦用に開発した兵士のために向精神薬で、人間の破壊衝動と攻撃本能を呼び起こし、兵器に変えてしまう悪魔のクスリ。それによって、繁華街の若者チームの抗争が激化しており、数ヶ月前敬愛する同志・宮條が殉職した。絶望と怒りを胸に捜査を進める七尾に、ある日、広域指定暴力団の山崎から接触があった。目的は、ヒート売人・仙道の捜索について、手を組まないかというものだった。山崎の裏の狙いに気を付けながら、仙道確保のため情報を交換し共闘することを約束した七尾だったが、ある日仙道が殺される。そして、死体の側に転がっていた鉄パイプからは、七尾の指紋が検出された……。犯行時刻のアリバイがなく、特異体質のせいでヒート横領の動機があると見なされ拘留された七尾。これは山崎の仕掛けた罠なのか! ?
七尾究一郎は、厚生労働省医薬食品局の麻薬対策課に所属する麻薬取締官。警視庁のみならず関東一円の捜査員の中で有名な存在だ。その理由は、おとり捜査を許された存在であることの他に、彼の特異体質が一役買っている。現在は、渋谷など繁華街の若者の間で人気の違法薬物"ヒート"の捜査に身を投じている。"ヒート"は、ドイツの製薬会社スタンバーグ社が局地戦用に開発した兵士のために向精神薬で、人間の破壊衝動と攻撃本能を呼び起こし、兵器に変えてしまう悪魔のクスリ。それによって、繁華街の若者チームの抗争が激化しており、数ヶ月前敬愛する同志・宮條が殉職した。絶望と怒りを胸に捜査を進める七尾に、ある日、広域指定暴力団の山崎から接触があった。目的は、ヒート売人・仙道の捜索について、手を組まないかというものだった。山崎の裏の狙いに気を付けながら、仙道確保のため情報を交換し共闘することを約束した七尾だったが、ある日仙道が殺される。そして、死体の側に転がっていた鉄パイプからは、七尾の指紋が検出された……。犯行時刻のアリバイがなく、特異体質のせいでヒート横領の動機があると見なされ拘留された七尾。これは山崎の仕掛けた罠なのか! ?
- 本の長さ341ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2012/9/27
- 寸法13.5 x 2.8 x 19.6 cm
- ISBN-104344022432
- ISBN-13978-4344022430
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商品の説明
著者について
1961年生まれ。岐阜県出身。会社員生活を経たのち、2009年、「さよならドビュッシー」で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しデビュー。このとき、史上初めて二作同時に最終選考に残った『連続殺人鬼カエル男』も、のちに刊行され話題を集める。著書に『魔女は甦る』『贖罪の奏鳴曲』『『静おばあちゃんにおまかせ』など多数。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2012/9/27)
- 発売日 : 2012/9/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 341ページ
- ISBN-10 : 4344022432
- ISBN-13 : 978-4344022430
- 寸法 : 13.5 x 2.8 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 613,600位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,637位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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作家。
1961年生まれ、岐阜県出身。『さよならドビュッシー』にて第8回「このミステリーがすごい!」大賞で大賞を受賞し、2010年に作家デビュー。著書に、『境界線』『護られなかった者たちへ』『総理にされた男』『連続殺人鬼カエル男』『贖罪の奏鳴曲』『騒がしい楽園』『帝都地下迷宮』『夜がどれほど暗くても』『合唱 岬洋介の帰還』『カインの傲慢』『ヒポクラテスの試練』『毒島刑事最後の事件』『テロリストの家』『隣はシリアルキラー』『銀鈴探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『復讐の協奏曲』ほか多数。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前作の「魔女が蘇る」もストーリー展開に少々無理がると感じましたが、続編はさらに・・・
2023年4月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「魔女は甦る」で登場した薬「ヒート」をめぐる麻取と警察とヤクザの話。
ヒポクラテスシリーズ、カエル男2作、御子柴礼司、岬洋介、犬養隼人シリーズを読んだ後、
魔女は甦るを読んだ時に感じた、未完成の中山七里ワールド、というか、
パラレルワールド感はここでも感じました。
山崎が登場したり、御子柴礼司の名前が出たりしましたが、それがよりパラレルワールド感を増しているのかもしれません。
他のシリーズはちゃんと繋がっている感じがするのに、この作品と「魔女は甦る」だけはなぜか切り離されている感じがどうしても抜けません。
でも読み始めると止まらなくなります。
そこは腐っても中山七里作品(←失礼な言い回しですが。)
お読みになるのであれば、「魔女は甦る」から読まれることをお勧めします。
ヒポクラテスシリーズ、カエル男2作、御子柴礼司、岬洋介、犬養隼人シリーズを読んだ後、
魔女は甦るを読んだ時に感じた、未完成の中山七里ワールド、というか、
パラレルワールド感はここでも感じました。
山崎が登場したり、御子柴礼司の名前が出たりしましたが、それがよりパラレルワールド感を増しているのかもしれません。
他のシリーズはちゃんと繋がっている感じがするのに、この作品と「魔女は甦る」だけはなぜか切り離されている感じがどうしても抜けません。
でも読み始めると止まらなくなります。
そこは腐っても中山七里作品(←失礼な言い回しですが。)
お読みになるのであれば、「魔女は甦る」から読まれることをお勧めします。
2021年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「魔女は甦る」の続編です。
前作はホラーのストーリーですが、こちらはアクションっぽく作られています。
鉄パイプに七尾の指紋しかない、ということから七尾が被疑者になるのですが、そこらに転がっているような凶器に一人の指紋しかないって、捏造を疑うポイントだと思いますが、誰もそこに思い至らない。サブマシンガンの弾を大量に準備している。など不自然な点もありますが、それを上回る面白さがあります。
ですが、バディを疑いだす点など、人の心の動きなどは自然な出来だと思います。
そしてタイムリミットが迫る中での脱出シーンに差し掛かったところでは、一気に読ませる力があると思います。
但し、銃の知識は付け焼刃だったようで、イングラムM10は9mmパラベラム弾なのに、45口径と書いてしまったり、M10ではなく、M11の特長を書いてしまっています。(これはストーリーと無関係なのでどうでもいいことなのですが)
意外な犯人が常道のミステリーでも、この犯人は予想外です。
文章での表現でなければ、すぐに怪しいと気付くのではありますが。
前作はホラーのストーリーですが、こちらはアクションっぽく作られています。
鉄パイプに七尾の指紋しかない、ということから七尾が被疑者になるのですが、そこらに転がっているような凶器に一人の指紋しかないって、捏造を疑うポイントだと思いますが、誰もそこに思い至らない。サブマシンガンの弾を大量に準備している。など不自然な点もありますが、それを上回る面白さがあります。
ですが、バディを疑いだす点など、人の心の動きなどは自然な出来だと思います。
そしてタイムリミットが迫る中での脱出シーンに差し掛かったところでは、一気に読ませる力があると思います。
但し、銃の知識は付け焼刃だったようで、イングラムM10は9mmパラベラム弾なのに、45口径と書いてしまったり、M10ではなく、M11の特長を書いてしまっています。(これはストーリーと無関係なのでどうでもいいことなのですが)
意外な犯人が常道のミステリーでも、この犯人は予想外です。
文章での表現でなければ、すぐに怪しいと気付くのではありますが。
2023年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『魔女は甦る』でも後半に顔を出した七尾究一郎と宏龍会の渉外委員長山崎岳海による異色のバディもの。『連続殺人鬼カエル男ふたたび』の巻末附録の相関図をみると、山崎もまた、本作だけのキャラクターではないようだ。むしろ、この二冊のみの七尾よりも登場回数は多いw
前作もミステリには違いなかったが、フーダニットの扱いも含めて、冒険活劇、サスペンスホラーの要素が多く感じられた。久し振りに西村寿行作品を思い出したくらいだ。
しかし本作はそれにも増して、冒険小説に寄っている印象。なにせ自衛隊や在日米軍が絡んでくるのだから。第五章のタイトルはずばり「戦場」である。たしかにヒートアップだww
ただし、ミステリとしてのテクニックの使用に関しては、前作以上に「ミステリ」カテゴリかもしれない。
こうして読後に感想を書くためにパラパラ拾い読みしてみると、レッド・ヘリングはむしろあからさまなのだが、途中からは冒険活劇として疾走させられながらw読んでいた所為もあって、まんまと釣られてしまった……。
それでもなお、「推理/探偵」ではなく「その他」に加えてしまうのは、やはりクライマックスの展開が映画的に派手な活劇だからである。ハリウッド映画がテロリストからゴジラまで、すぐにミサイルで始末しようとするのがやたら安直に感じていたが、本作を読むと、燃やすってスゴイなと再認識せざるを得ないw
本作で日米の取った解決手段は、必要悪という以上に凶悪だったが、その一方で、前作で渡瀬や槇畑が感じた悪寒を解決していることも間違いない……。
これまで読んだ中山作品は四冊。なにやかやと毎回感心させられている。
ほんの十年程度で50冊以上もの長篇を上梓。しかも私の読んだ四冊はどれもハイレベルだった。しかも評判の高い岬洋介シリーズは手つかずである。なんとも怖るべき才能だ。
それを大前提として、やや引っかかった点を挙げてみる。
まず公務員ヒーロー七尾究一郎について。
パチンコメーカー、ナナオを思い受かべてしまうこの主人公は、北陸の比較的裕福な家庭出身ということで、戦国時代の七尾氏に由来を持つ名家の出かもしれないが、それは置いておいてw
映画やドラマで言うところのアバンタイトルの活躍で、彼の特異な能力が開示されるのだが、それは納得できる事例なのだろうか。(嘘でも)発現率等の数値データを示してくれれば納得できたのかもしれないが、組織への帰属意識の薄い公務員ヒーローという設定と併せて、マンガ風の設定に感じてしまった……。
わたしの知見が足りないのだろうか?
その一方で、一般的な公務員の描写は鋭い。
公務員上級職の上司と部下の関係について「上司を上手く使え。~(中略)~そのためには報告だけは絶えずすること」(P.39)とか、「公務員の得意技というのは何だか知ってますか。まず逃げることなんですよ。~(中略)~国家のミスをいちいち個人に向けられたのでは身が持たない。だから逃げる。それはもう公務員の性のようなもので」(P.147)なんて含蓄深いやりとりもありながら、七尾だけでなく、同僚や上司との信頼関係も描かれ、深みも感じるキャラ造詣が魅力である。
だからこそ本作で初登場?の自衛隊員は、まったく寄り添った視点のないステロな扱いだったのが残念だった。
中山作品は、おそらくすべてが地続きの設定で緩やかに繋がっている。
社会問題が提起されていて深みも感じるが、たまに登場する政権与党は「民自党」。
本書の出版は2012年だから、いわゆる悪夢の「民主党政権」時だが、著者の想定はよくわからない。作中年代は伏せられているが、登場人物たちは携帯電話を使っていてスマホは登場しないから、90年代か00年代と考えてよいだろう。だから民自党=自民党かもしれないが、いずれにせよ与党と野党の色分けはあえてせずに、ざっくりとした政治権力としての登場だ。
謎解き興味オンリーの推理小説ならまったく構わない(というかそもそも政党なんて登場しないわなw)が、日本社会の暗部を重要なテーマとして描くならば、その簡易化はいただけない。社会問題が複雑化する背景には、大抵(というか確実に)政治思想の対立とそこにぶら下がる、あるいは操縦しようとする官僚を含めた各種の利権団体があり、その多くには左右の色がついている。社会をコントロールしている現実世界の色は、2023年現在でもまだまだ左に偏っているのが実情だ。せっかく官僚の中にまで魅力的なキャラを配することのできる著者なので、もったいない話だ……。
あれやこれやを考えると、エンタメなのだからと出版社に誘導されている可能性もあるが、著者自身がアッチ系の人じゃないことを切に願うw
いわゆる犯人当てを別にして、いくつかのサプライズがあるのも本書の特長だ。
上記の自衛隊登場とその後の流れもそうだが、『魔女は甦る』に繋がる設定の再登場である。どうせネタバレ反転にしなければならないので書かないが、そこにも僅かな引っ掛かりがあった。
そして、後半は『魔女は甦る』の続篇であることをより意識させずにおかないというのに、前作主人公二人のその後に関してはダンマリである。二人ともに、かなり暗い予感とともに退場していたので、ここらで明るい方向のサプライズがもう一つあってもよかったのだが。あの二人も例の相関図を見る限りでは、後続作に再登場していないようなので、心配である。
渡瀬-古手川の登場作品はまだ何冊もあるから、そのどれかで槇畑には言及されているかもしれないが……。
前作もミステリには違いなかったが、フーダニットの扱いも含めて、冒険活劇、サスペンスホラーの要素が多く感じられた。久し振りに西村寿行作品を思い出したくらいだ。
しかし本作はそれにも増して、冒険小説に寄っている印象。なにせ自衛隊や在日米軍が絡んでくるのだから。第五章のタイトルはずばり「戦場」である。たしかにヒートアップだww
ただし、ミステリとしてのテクニックの使用に関しては、前作以上に「ミステリ」カテゴリかもしれない。
こうして読後に感想を書くためにパラパラ拾い読みしてみると、レッド・ヘリングはむしろあからさまなのだが、途中からは冒険活劇として疾走させられながらw読んでいた所為もあって、まんまと釣られてしまった……。
それでもなお、「推理/探偵」ではなく「その他」に加えてしまうのは、やはりクライマックスの展開が映画的に派手な活劇だからである。ハリウッド映画がテロリストからゴジラまで、すぐにミサイルで始末しようとするのがやたら安直に感じていたが、本作を読むと、燃やすってスゴイなと再認識せざるを得ないw
本作で日米の取った解決手段は、必要悪という以上に凶悪だったが、その一方で、前作で渡瀬や槇畑が感じた悪寒を解決していることも間違いない……。
これまで読んだ中山作品は四冊。なにやかやと毎回感心させられている。
ほんの十年程度で50冊以上もの長篇を上梓。しかも私の読んだ四冊はどれもハイレベルだった。しかも評判の高い岬洋介シリーズは手つかずである。なんとも怖るべき才能だ。
それを大前提として、やや引っかかった点を挙げてみる。
まず公務員ヒーロー七尾究一郎について。
パチンコメーカー、ナナオを思い受かべてしまうこの主人公は、北陸の比較的裕福な家庭出身ということで、戦国時代の七尾氏に由来を持つ名家の出かもしれないが、それは置いておいてw
映画やドラマで言うところのアバンタイトルの活躍で、彼の特異な能力が開示されるのだが、それは納得できる事例なのだろうか。(嘘でも)発現率等の数値データを示してくれれば納得できたのかもしれないが、組織への帰属意識の薄い公務員ヒーローという設定と併せて、マンガ風の設定に感じてしまった……。
わたしの知見が足りないのだろうか?
その一方で、一般的な公務員の描写は鋭い。
公務員上級職の上司と部下の関係について「上司を上手く使え。~(中略)~そのためには報告だけは絶えずすること」(P.39)とか、「公務員の得意技というのは何だか知ってますか。まず逃げることなんですよ。~(中略)~国家のミスをいちいち個人に向けられたのでは身が持たない。だから逃げる。それはもう公務員の性のようなもので」(P.147)なんて含蓄深いやりとりもありながら、七尾だけでなく、同僚や上司との信頼関係も描かれ、深みも感じるキャラ造詣が魅力である。
だからこそ本作で初登場?の自衛隊員は、まったく寄り添った視点のないステロな扱いだったのが残念だった。
中山作品は、おそらくすべてが地続きの設定で緩やかに繋がっている。
社会問題が提起されていて深みも感じるが、たまに登場する政権与党は「民自党」。
本書の出版は2012年だから、いわゆる悪夢の「民主党政権」時だが、著者の想定はよくわからない。作中年代は伏せられているが、登場人物たちは携帯電話を使っていてスマホは登場しないから、90年代か00年代と考えてよいだろう。だから民自党=自民党かもしれないが、いずれにせよ与党と野党の色分けはあえてせずに、ざっくりとした政治権力としての登場だ。
謎解き興味オンリーの推理小説ならまったく構わない(というかそもそも政党なんて登場しないわなw)が、日本社会の暗部を重要なテーマとして描くならば、その簡易化はいただけない。社会問題が複雑化する背景には、大抵(というか確実に)政治思想の対立とそこにぶら下がる、あるいは操縦しようとする官僚を含めた各種の利権団体があり、その多くには左右の色がついている。社会をコントロールしている現実世界の色は、2023年現在でもまだまだ左に偏っているのが実情だ。せっかく官僚の中にまで魅力的なキャラを配することのできる著者なので、もったいない話だ……。
あれやこれやを考えると、エンタメなのだからと出版社に誘導されている可能性もあるが、著者自身がアッチ系の人じゃないことを切に願うw
いわゆる犯人当てを別にして、いくつかのサプライズがあるのも本書の特長だ。
上記の自衛隊登場とその後の流れもそうだが、『魔女は甦る』に繋がる設定の再登場である。どうせネタバレ反転にしなければならないので書かないが、そこにも僅かな引っ掛かりがあった。
そして、後半は『魔女は甦る』の続篇であることをより意識させずにおかないというのに、前作主人公二人のその後に関してはダンマリである。二人ともに、かなり暗い予感とともに退場していたので、ここらで明るい方向のサプライズがもう一つあってもよかったのだが。あの二人も例の相関図を見る限りでは、後続作に再登場していないようなので、心配である。
渡瀬-古手川の登場作品はまだ何冊もあるから、そのどれかで槇畑には言及されているかもしれないが……。
2022年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前作の「魔女は甦る」も素晴らしかったが、本作品は、それ以上の秀作と思う。流石、「どんでん返しの七里」と思わず叫びたくなるような作品。
2022年3月10日に日本でレビュー済み
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まあ娯楽小説としてなら楽しめますね。課長が女性だったという最後のくだりは販促じゃないかなあ。だから小説って面白い!
2022年1月16日に日本でレビュー済み
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魔女は蘇るの続編と言えます。なんて後味の悪い終わり方なんだと思っていましたが、こちらに救いがあった。前作と同じく一気読み。面白かったです。