「かもめ食堂」の群ようこさんの、何気ない日常エッセイ。自称“おばちゃん”こと群さんが、日々出会う人々や出来事をコミカルに、そしてちょっとシニカルにツッコミを入れていく様が何とも痛快で気持ちよく、とても楽しい本です。滑稽な読み間違いで自己嫌悪に陥る話、サッカー観戦でなでしこジャパンの相手チームに腹を下せと祈る話、職業占いで看護師の道を断たれた話など。カフェで読みながら笑いをこらえるのに必死で、隣のお姉さんはさぞ不審に思ったことでしょう。
群さんの日常には様々な人が現れますが、これがまた面白い。自己中オバサン3連発、小学校受験の面接のための洋服に50万をつぎ込むママ、スマホの使い方に頭を悩ますお友だち。直接は気が引けて言えない「本音ツッコミ」が、言えなかった後悔の分、3割増し?で活字になって踊ります。読んでいてなんか既視感があると思ったら、実家に帰った時の母親の世間話によく似ているのでした。この世代の方々の、年数に刻まれた苦労や努力に裏打ちされたツッコミセンスには舌を巻きます。
最近ある女優が「アンチ・エイジング」という風潮に疑問を呈して、多くの同世代の方の共感を得たことが話題になりました。本書のタイトルにも感じることですが、いつまでも重ねる年齢に抵抗するよりも、年齢に見合った力の抜けた自然体でいるほうが小気味良い印象を受けます。それは、「正しいおばちゃんとして淡々と過ごしていこう」という筆者の決意にも表れています。
最初から最後まで愉快な本ですが、部分的に例えば若い人が頭を使わないようになった、等の決め付け感があったのは惜しかったです。ですが、それも含めてありのままの気持ちを綴っているところが魅力なのかもしれません。とにかく笑いたい方、最近世の中どーなのよ、と思うことが多くなってきた方には是非。群さんが話し相手になってくれることでしょう。
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寄る年波には平泳ぎ (単行本) 単行本 – 2013/10/10
群 よう子
(著)
体長不良、勘違い、最近の人への不満……。寄る年波には逆らえないけれど、無理せずのんびり参りましょうか。人生の視界が広くなるエッセイ。
震災直後のスーパーマーケットで遭遇した強欲おばちゃんに辟易、「クツ」を「クソ」と読み間違えて自己嫌悪、「一つ買ったら三つ捨てる」を習慣にして物減らしに挑戦、黒い網タイツの女子学生に吃驚、年をとり頑固になってきたネコに「できるだけ、がんばれ」と激励、インターネットの罵詈雑言に奮然、エンディングノートの書き方に逡巡。還暦を前にして、なお日々いろんな波が押し寄せるけれど、無理せずのほほんと泳ぎわたる……。人生の視界が広くなるエッセイ。
震災直後のスーパーマーケットで遭遇した強欲おばちゃんに辟易、「クツ」を「クソ」と読み間違えて自己嫌悪、「一つ買ったら三つ捨てる」を習慣にして物減らしに挑戦、黒い網タイツの女子学生に吃驚、年をとり頑固になってきたネコに「できるだけ、がんばれ」と激励、インターネットの罵詈雑言に奮然、エンディングノートの書き方に逡巡。還暦を前にして、なお日々いろんな波が押し寄せるけれど、無理せずのほほんと泳ぎわたる……。人生の視界が広くなるエッセイ。
- 本の長さ174ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2013/10/10
- ISBN-104344024664
- ISBN-13978-4344024663
商品の説明
著者について
1954年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業。いくつかの仕事を経て本の雑誌社に入社し、84年「午前零時の玄米パン」でデビュー。映画化されたロングセラー『かもめ食堂』をはじめ、『パンとスープとネコ日和』『小福歳時記』『衣もろもろ』『作家ソノミの甘くない生活』など著書多数。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2013/10/10)
- 発売日 : 2013/10/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 174ページ
- ISBN-10 : 4344024664
- ISBN-13 : 978-4344024663
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,304,940位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 35,585位エッセー・随筆 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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群 ようこ(むれ・ようこ)
1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。大人気シリーズ“無印物語”をはじめ、エッセイなど著書多数
(本データは「アメリカ居すわり一人旅」が刊行された当時に掲載されていたものです。「BOOK著者紹介情報」より)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年2月26日に日本でレビュー済み
あたたかいのです。それでいて、60年を生き抜いてこられた経験に基づく女性としての鋭い指摘があります。同年代のものとしてはほっとする、同感同感と叫びたくなるようなことがたくさんあります。ねこといっしょにほのぼのとした生活が心を穏やかにしてくれます。
2015年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東日本大震災のことにも、少し触れていました。あの時は、物の買い占めがありました。
群さんの住んでいる地域も、買い占めがあったんですね。
その後、またいつもの群さんに戻っていましたが。
群さんの住んでいる地域も、買い占めがあったんですね。
その後、またいつもの群さんに戻っていましたが。
2013年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
たまには気楽に読める同年代の作家のエッセイをと購入しました。
書評で読んだ通りのゆるゆるした心地よい文章ではありましたが、自分にはやっぱり物足りなかったです。まだエキサイティングな内容がいいみたい。
もう少し歳を取ったらまた読み直します。
書評で読んだ通りのゆるゆるした心地よい文章ではありましたが、自分にはやっぱり物足りなかったです。まだエキサイティングな内容がいいみたい。
もう少し歳を取ったらまた読み直します。
2018年7月28日に日本でレビュー済み
ほのぼのしているところもありますが、自分と違う考え方の人を受け入れるのが苦手なんだなーと。
若い子の服装に文句つける章とかありますが、竹の子族とか、群さん世代じゃなかったかな?
どの世代もじぶんより若い世代は鼻に付く。、というありきたりな内容。
この還暦間近な年齢になってもご家族とうまくいってないのも納得。
若い子の服装に文句つける章とかありますが、竹の子族とか、群さん世代じゃなかったかな?
どの世代もじぶんより若い世代は鼻に付く。、というありきたりな内容。
この還暦間近な年齢になってもご家族とうまくいってないのも納得。
2016年6月9日に日本でレビュー済み
群ようこさんは大好きで、ほとんど読んでいるのですが
この本はちょっと期待はずれでした。
歳をとって、ちょっと僻みっぽくなったというか説教臭くなった?
という印象でした。
この本はちょっと期待はずれでした。
歳をとって、ちょっと僻みっぽくなったというか説教臭くなった?
という印象でした。
2015年6月12日に日本でレビュー済み
再読です。
何という事も無いんだけど、楽しい感じになってくるいつもの感じを裏切りません。
弟さんへの身内としての微妙な感じが窺い知れるwお母様の入院関係なんか「アタシは散々金出したんだからアンタがやって当然」位で良いと思うのに「どれだけあんたのために」と、お母様にとりなすのが、「どこまで行っても『長女』なんだなあ」、の悲哀が…。
反面、「働いた分以上に金欲しがる奴には著作権も渡したくない」と言い切るのが、「身内の心情」を良く表してる感じでw
何という事も無いんだけど、楽しい感じになってくるいつもの感じを裏切りません。
弟さんへの身内としての微妙な感じが窺い知れるwお母様の入院関係なんか「アタシは散々金出したんだからアンタがやって当然」位で良いと思うのに「どれだけあんたのために」と、お母様にとりなすのが、「どこまで行っても『長女』なんだなあ」、の悲哀が…。
反面、「働いた分以上に金欲しがる奴には著作権も渡したくない」と言い切るのが、「身内の心情」を良く表してる感じでw
2014年1月9日に日本でレビュー済み
群先生の本は、いつも表紙がかわいらしいですね。この本もかわいいです。
若い頃のエッセイを読んだ後でこの本を読むと、「人間って段々と丸くなるのかな」と少しだけ感じます。
でも相変わらず、油断して笑いながら読んでると、チクッと刺さります。
個人的に「おおっ」と思ったのは、群先生もネットを利用して、某巨大掲示板をご覧になってるんだな〜ということでしょうか。
載っているエッセイの、特に「ここが」ということはなくて、万遍なく群先生の味付けで、共感したり笑ったり出来ました。
年配の女性視点で若いお嬢さんを見た気持ちとか、「なるほど」と思ったりして。
エンディングノートについても書かれていますが、まだまだ元気で頑張って頂きたいです。
若い頃のエッセイを読んだ後でこの本を読むと、「人間って段々と丸くなるのかな」と少しだけ感じます。
でも相変わらず、油断して笑いながら読んでると、チクッと刺さります。
個人的に「おおっ」と思ったのは、群先生もネットを利用して、某巨大掲示板をご覧になってるんだな〜ということでしょうか。
載っているエッセイの、特に「ここが」ということはなくて、万遍なく群先生の味付けで、共感したり笑ったり出来ました。
年配の女性視点で若いお嬢さんを見た気持ちとか、「なるほど」と思ったりして。
エンディングノートについても書かれていますが、まだまだ元気で頑張って頂きたいです。