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じっと手を見る 単行本 – 2018/4/5
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富士山を望む町で介護士として働く日奈と海斗。老人の世話をし、ショッピングモールだけが息抜きの日奈の生活に、ある時、東京に住む宮澤が庭の草を刈りに、通ってくるようになる。生まれ育った町以外に思いを馳せるようになる日奈。一方、海斗は、日奈への思いを断ち切れぬまま、同僚と関係を深め、家族を支えるためにこの町に縛りつけられるが……。
- 本の長さ279ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2018/4/5
- 寸法19.6 x 13.6 x 2.2 cm
- ISBN-104344032756
- ISBN-13978-4344032750
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
若い男女の介護士による、労働と人生のリアル
ポップソングというものは基本的に恋の歌が多い。しかし「あなたが好き」、「君を抱きしめたい」と反復するだけではリリックとして成立しないので、2人で行った浜辺の光景とか、喫茶店でボブ・ディランがかかっていたねとか、恋の背景を描写することになる。歌に時代性が染み出るのはその部分で、だからこそ優れたポップスは社会を反映するものになり得るわけだが、恋愛小説もこの点は同じだろう。
本作は、富士山とショッピングモールしかない地方の街に住む介護士の男女の恋物語だが、ところどころ社会学者のエスノグラフィーを読んでいるような錯覚に陥る。
「『……親父たちはまだ夢見られたよな、ぎりぎり。俺たちには、それすら許されない。失敗したら絶対に浮き上がれない。そういうめぐりあわせで生まれてきたんだ』」
「老いて死に向かっていく人の面倒をみること。それをして、私は自分の生を持続させている」
登場人物たちはこんな台詞をさらっと言う。それは高齢化とデフレと人口減少で日本社会はもう縮小するしかないとか、これからは撤退戦だとか言われている時代の若者たちのリアルな声に聞こえる。
タイトルは石川啄木の有名な歌の一節だが、現代の日本のプロレタリアートの代表が介護士だろう。このプロレタリアたちは、工場で製品を作り出すでも、畑で農産物を作り出すでもなく、死に向かっていく老いた者たちの世話をするために汗水を流して労働し、じっと手を見る。
人間の個人的経験は、社会という全体の歴史の一部でもある。そして個人的体験である恋愛も、現在おかれている社会環境の中で展開される事象である。その「個」と「全体」の両面から人間と時代を掬(すく)って書こうとした小説のようにわたしには読めた。
つまりこれは、優れたポップソングと同じ手法で書かれた恋愛小説なのだ。
評者:ブレイディ みかこ
(週刊文春 2018年06月14日号掲載)著者について
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2018/4/5)
- 発売日 : 2018/4/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 279ページ
- ISBN-10 : 4344032756
- ISBN-13 : 978-4344032750
- 寸法 : 19.6 x 13.6 x 2.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 433,739位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,234位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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実は、著者の別の作家の後書きを読んで、その見事さにこの人の自身の著作を読んでみたくなった経緯がある。そしてどはまりした。先日、直木賞を受賞されて、タイムリーにも読んでいる最中で驚いた。朝井氏の解説が、何故私がどはまりしたかを如実に解き明かしてくださった。直木賞の受賞も当然だと感じており何だか誇らしい。
生々しい描写の数々。「本当に好きじゃない人といっしょにいても、もっと寂しいことに気がついてしまった。」「鍋の中のお湯が流れると、シンクがべこん、と音を立てた」 「「今日はできないよ」 日奈の下腹に手のひらを密着させると、かすかな厚みがあるのがわかる。」 「抱くたびに、日奈のあげる声や、腰のしなりや、吐息の熱さが変わっていく。僕は、夢中になっているような、おぼれているようなふりをして、それをどこかで冷徹に観察していた。」
仕事がとてもきついうえに報われることの少ない介護士の困難。「…触られたって減るもんじゃないし。こんなふうに、おかたい会議開いて、対策は、なんて言うけど、エロじじいの手癖が直ったことなんてないんですよ。」 「この仕事があまり人に好まれるものではないこともわかっている。」 「死に近づいていく人たちの世話をして、それを換金し、生きる糧を得ていく。それしか私にはできない。」
直木賞の候補になっている。窪さんファンとしては受賞して多くの日本人に文学の中島みゆきを体験してほしい。どう評価されるだろうか。どうしようもなさを抱えた男と女。研ぎ澄まされた言葉。平成末期を描き、救いはしない、かばうわけでもない、ただ、認める、という作風は賞に値すると思う。ただ、岡田有希子を連想させる女性が登場するところに違和感があり疵になっている。どうだろうなあ。口うるさい選評者がどんな評価を下すか楽しみだ。
介護士の世界が描かれているんだけど、それはこの小説の世界観にあまり影響を与えていない。そこは、食い足りなかった。
また、いい人なんだけと恋愛の対象にはならない異性は確かにいて、そこはもっと最後まで貫いてほしかった。
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何か何処か諦めているような、物語としてはかっこよく綺麗にはなり得ないような人物達。でもそれが酷く魅力的。
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彼らの物差しは10で終わっていて、そこに11が起こる事は絶対に無い。
小さい数字を右往左往して、そこに尺度の違う物差しが現れると拒絶するか服従する。それが怖いので自分からは手にしない。
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そんな閉塞感のある生活。ショッピングモールと自然とお年寄りしかない場所、そんな場所日本にたくさんあるのでは無いか。
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理想の自分になりたいでも無い、本当の居場所を見つけたいでも無い、羽ばたきたいでも成長したいでも無い、
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人がいる、家族がいる、家族がいた、知っている場所が家がある、それだけで生きていていいんだ、というふっと楽になる作品だったと思います。
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この本で救われる人は多いのでは無いかと思います。
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最後に付け加えるならR-18。最初らへんはなかなか。「よるのふくらみ」もでしたが。
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#王様のブランチ で #朝井リョウ さんが大切な友達にプレゼントしましたって言ってましたが、それは中々勇気要るなと思います笑
窪氏は東京に生まれ、編集ライターを経て、2009年、44歳で文学賞を受賞した遅咲きの作家さんです。
以降、本屋大賞など様々な賞を受賞し、精力的に作品を執筆しています。
本書は介護職の男女の恋愛模様を描いたものでした。
主人公は20代の介護士、日奈と海斗です。
彼らは同じ専門学校を卒業した同窓で、恋人同士でした。
しかし日奈は年上の「宮澤さん」、海斗にも年上の後輩「畑中」と親密になり、別れることになります。
物語は連作短編となっていて、この4者の目線をそれぞれ変えながら進行していました。
恋愛を軸にした物語は主人公らの仕事が介護であることもあって、生と性そして死が渾然一体となって描かれていました。
各人の心理描写や生活感の表現は生々しく琴線に触れる部分があり、引き込まれました。
最近、小説はあまり読まなくなっていたのですが、本書は久しぶりに感銘を受けた作品でした。
この著者のものをもう少し読んでみたいと思います。