小川さんの物語はどれもそうですが、風景、その場所の匂いまでも心地良くまとわりつき、ずっとそこで漂っていたい、と思わせてくれるものばかりです。この物語もその一つ。
主人公の恋人(彼)が自ら命を絶ってしまった、主人公はその彼の人生の軌跡を辿り旅をするのですが、ラストに近づくにつれ、彼の真摯な人間性が紐解かれ、静かな感動で満たされます。
癒し、などという易しいものではなく、小川さんが描こうとされている普遍的な物語りと言うものの真髄を感じます。
魂に響くお話しです。
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凍りついた香り (幻冬舎文庫 お 2-2) 文庫 – 2001/8/1
小川 洋子
(著)
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プラハからウィ―ンへ。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…・いくつかのキーワードから死者を訪ねる謎解きの旅が始まる。小川洋子ワールドの人気長編、文庫版で登場。
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2001/8/1
- ISBN-104344401360
- ISBN-13978-4344401365
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登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2001/8/1)
- 発売日 : 2001/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 318ページ
- ISBN-10 : 4344401360
- ISBN-13 : 978-4344401365
- Amazon 売れ筋ランキング: - 67,377位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。
1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。主な著書に『やさしい訴え』『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『薬指の標本』『夜明けの縁をさ迷う人々』『猫を抱いて象と泳ぐ』等。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。翻訳された作品も多く、海外での評価も高い。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年1月20日に日本でレビュー済み
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2020年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一番身近にいる愛する人のことを、自分が一番知っているとは限らない。むしろ知らない部分の方が多いのかも。亡くした人の記憶を辿ることで改めて解ってくる事実はまるで別人の事のようでもあり、死を選択した理由に辿り着くのは容易ではないはず。主人公はどんどん導かれるように、彼の過去をトレースしていく。五感の想像力を掻き立てる映像美、著者独特の美学がちりばめてあり物語も美しいのですが、曲芸の如くスケートをするという要素は個人的には不必要な気がしてならない。そこが気に入らないので星は減らします。主人公の心が、エピローグの部分からはあまり伝わって来なかったのも少し残念です。
2020年3月14日に日本でレビュー済み
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なぜ弘之が亡くなったのか読み逃してしまったのか。
主人公の知らない弘之の過去が淡々と書かれていて
肝心のオチはどこだったのか読解力のせいなのか
それともこんな物語があってもいいものなのか
ふ〜んといった感じで読了しました。
主人公の知らない弘之の過去が淡々と書かれていて
肝心のオチはどこだったのか読解力のせいなのか
それともこんな物語があってもいいものなのか
ふ〜んといった感じで読了しました。
2015年10月5日に日本でレビュー済み
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恋人の死という、とても悲しい話なのに、読んでいて心の奥にじんわりと何かが埋まっていくような不思議な感じになる。
朝見た夢を思い出している感覚に近い。せつないのに、もう一度触れたいと思うような、でも輪郭がはっきりしなくて、一生懸命大事な部分を思い出そうとしている感じ。そういう日は、一日中その夢のことが頭から離れなくて、何をしていてもぼんやり夢の記憶がかすめる。
だけど主人公たちが話す言葉は、一度読むと私の心の中で響き渡って、心細い夜に救ってくれる。
小川さんのまた素晴らしい小説に出会えました。物語としては物足りないところもあるけれど、それがまた小川さんらしい、つかめそうでつかめない、魅力的な世界観なのだと思います。
涼子がルーキーのお母さんに化粧をしてあげるシーンには、じーんと来るものがありました。
朝見た夢を思い出している感覚に近い。せつないのに、もう一度触れたいと思うような、でも輪郭がはっきりしなくて、一生懸命大事な部分を思い出そうとしている感じ。そういう日は、一日中その夢のことが頭から離れなくて、何をしていてもぼんやり夢の記憶がかすめる。
だけど主人公たちが話す言葉は、一度読むと私の心の中で響き渡って、心細い夜に救ってくれる。
小川さんのまた素晴らしい小説に出会えました。物語としては物足りないところもあるけれど、それがまた小川さんらしい、つかめそうでつかめない、魅力的な世界観なのだと思います。
涼子がルーキーのお母さんに化粧をしてあげるシーンには、じーんと来るものがありました。
2018年5月7日に日本でレビュー済み
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初めての作家さんでしたが、読みやすいですが、もういいかなといった感じです。
2015年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
研ぎ澄まされたような文体の冴え。文章の隅々まで作者の視点が感じられ、冬の快晴の日の空気のような、低温の清涼さ、乾燥した湿気が余り感じられない緻密な文章。小川ワールドの本領発揮ですね。
瀬戸内の田舎、東京、そしてプラハ。時空を飛ぶ私、彰、そしてルーキー。ストーリー性もあって、読むのが止められない興味深さでした。プラハ、特にストラホフ修道院の図書館は、私は訪れたことがあったので、印象が倍増して読み応えがありました。フロッピーに残されたメッセージ。小川先生でここまでサスペンス調の作品は初めてです。
「博士の愛した数式」、「猫を抱いて像と泳ぐ」と似た雰囲気の作品ですが、文章の鮮明度・色彩のメリハリはこの作品が最高かも知れません。こんな作品が描ける小川先生の描写力には驚きです。
瀬戸内の田舎、東京、そしてプラハ。時空を飛ぶ私、彰、そしてルーキー。ストーリー性もあって、読むのが止められない興味深さでした。プラハ、特にストラホフ修道院の図書館は、私は訪れたことがあったので、印象が倍増して読み応えがありました。フロッピーに残されたメッセージ。小川先生でここまでサスペンス調の作品は初めてです。
「博士の愛した数式」、「猫を抱いて像と泳ぐ」と似た雰囲気の作品ですが、文章の鮮明度・色彩のメリハリはこの作品が最高かも知れません。こんな作品が描ける小川先生の描写力には驚きです。
2021年6月30日に日本でレビュー済み
数学の天才的な能力を子供の頃に持っていた調香師、弘之が自殺(?)した。その恋人が、彼の過去を探していく物語である。
淡々と進んでいくストーリー展開で、大きな山場があるわけでもない。現実的な話の途中で、急にファンタジー的な非現実的な展開になるのも、違和感がある。
最後の場面も、その存在意義がわからない。
とにかく、良さがどこになるのか、よくわからない物語である。
淡々と進んでいくストーリー展開で、大きな山場があるわけでもない。現実的な話の途中で、急にファンタジー的な非現実的な展開になるのも、違和感がある。
最後の場面も、その存在意義がわからない。
とにかく、良さがどこになるのか、よくわからない物語である。
2019年12月21日に日本でレビュー済み
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みなさんの評価は高いようですが、私には、これまで読んだ小川さんの作品の中で一番ダメでした。いつもなら、小川さん独特の不思議な世界にあっという間に引き込まれるのに、これは最後まで全然入り込めず。物語をつくる要素が多すぎたと思います。調香、スケート、数学、プラハ、と多すぎて散漫な印象に。次に期待します!