webコミック幻蔵にて平成19年3月まで連載されていた、御伽噺『桃太郎』を題材とした伝奇バトルアクションコミック。とりあえずの完結となる巻です。
『桃太郎』の鬼に該当する稀人の正体は果たして何なのか?、その稀人を率いて人間に戦いを挑む敵将・千輝の真の思惑はどこにあるのか?、桃太郎が本当に敵とするべきものは一体何なのか?、前巻までに振られていた様々な謎に答えが出される決戦の顛末が描かれます。
この最終決戦を通じ敵方・稀人側の思い(恐らくはそれこそが著者・幸崎えん氏が描きたかったテーマなのだと思います)はかなり明確に描写されており、それなりに美しい幕引きにはなっていると思います。千輝の最後の台詞にはそれなりの重さが感じられ、クライマックスを盛り上げるには十分だったと評価します。ただ、残念な事に、肝腎の主役側に与えられていたであろうテーマについてはかなり未消化で終わってしまったという印象が強いですね。
豊臣秀吉と徳川家康の間に渦巻いていたであろう各々の思惑や、蘭夜の背後にあったであろう存在については曖昧なまま終わってしまったし、何より主人公・桃太郎について、宿っていたもう一つの人格をはじめ、様々な伏線が中途半端なままで終わってしまったという印象ですね。最終決戦の舞台が海上の城・鬼が城に設定されているあたり、御伽噺の展開はほぼ全うしたとも言える訳ですが、色々伏線が張られていただけに、もう少しこの作品独自の展開も楽しみたかった所です。
又、一応の決着をつける事に集中したためか、遊びの要素がなくなってしまっているのも残念な所。連載初期に見られた桃太郎の美形被虐的要素や、敵方見られた絶対隷属関係やそこから生じるある種の背徳的要素、3人のお供がメインとなっていたお色気要素といった濃い部分がほとんど見られなくなってしまったのは惜しいですね。
キャラはしっかり立っていただけに次回作に期待したい所です。
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浮雲桃刃伝 第4之巻 (バーズコミックス) コミック – 2007/4/24
幸崎 えん
(著)
人間を滅ぼし江戸を異端のものにしようとする千輝。城へ乗り込む桃太郎組だったが、そこには息絶えた大勢の異端たちが…! 伝奇アクションいよいよ完結。
- 本の長さ180ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎コミックス
- 発売日2007/4/24
- ISBN-104344809807
- ISBN-13978-4344809802
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎コミックス (2007/4/24)
- 発売日 : 2007/4/24
- 言語 : 日本語
- コミック : 180ページ
- ISBN-10 : 4344809807
- ISBN-13 : 978-4344809802
- Amazon 売れ筋ランキング: - 519,430位コミック
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