細かな描写が綺麗。心に残る一冊です。涙する場面がいくつかあって、はじめの方は辛い涙だけど、最後はよかった~って涙。
ただ、やっぱり、父親のことが私は最後まで気がかりでした。
この話の肝となる人物ですが、この父親の心が読めない。有理目線で話が進んでいるので、その言動から推測するしかないのですが、有理でも見えない部分があって、なんとも危うく、不安にさせる。作者はあえてそうやって、心を見えなくすることで読者を有理と同じ心理状態にしようとしているのではとないかと…。
有理の父親は、父親失格だけども悪い人ではなくて。だけど人を傷つけてしまった。周囲も巻き込んで、そして自らも傷ついて。
彼がその十字架を背負って、ずっと一人で生きていくのかと思うと…それが本当に切ないです。すぐには無理だけど、この物語のずっと先で…有理たちと再会する日がくることを願ってしまいます。
(以下、本文からの引用があり、多少ネタバレかもしれませんのでご注意ください)
さて、そんな父親のせいで、ある意味切り裂かれてしまった二人ですが、どんな障害があっても、離れてはいけない二人なのです。
ラストあたりで怜人はこんなことを言いました。
「だから、俺は君を守るよ。誰に何を言われてもー 。俺の心の中に暗い闇があったとしても、その闇からも、君を守ってみせるよ」
この部分だけ取り出すと、歯の浮くような台詞に聞こえるかもしれませんが、いままでの繊細な物語の運びがあってこそ、響いてくる言葉です。
まあ、ものすごく愛されちゃってますよね。羨ましい限りですが。
「もうずっと一緒だから…」という言葉通り、二人にはこれから先も、ずっと一緒に、幸せに暮らしていてほしいです。もちろんチビちゃんも一緒に。
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世界が終わるまできみと (幻冬舎ルチル文庫 す 2-2) 文庫 – 2007/9/14
- 本の長さ380ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎コミックス
- 発売日2007/9/14
- ISBN-104344811100
- ISBN-13978-4344811102
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登録情報
- 出版社 : 幻冬舎コミックス (2007/9/14)
- 発売日 : 2007/9/14
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 380ページ
- ISBN-10 : 4344811100
- ISBN-13 : 978-4344811102
- Amazon 売れ筋ランキング: - 555,982位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,325位ボーイズラブノベルス (本)
- - 124,785位文庫
- - 145,143位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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BL作家。のんびりまったり執筆してます。
「小説ビーボーイ」(旧ビブロス)の新人賞受賞作「星の国から」でデビュー。「chara文庫(徳間書店)」「ルチル文庫(幻冬舎コミックス)」「shyノベルス(大洋図書)」などで執筆。
**同人誌の電子書籍もkindleで販売中です**
活動情報の詳細はこちらへ↓
【twitter】@rio_sugihara
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
と言ってしまうと失礼ですが、昔読んで、大好き過ぎてドラマCDも買っては何度も聞いていた記憶があります。
引っ越しなどで一度は手放してしまった小説ですが、やはりもう一度読みたくなってkindle版を購入。
だいたいの内容は覚えてましたが、抜け落ちていた部分もありました。まさに、記憶を取り戻す怜人とシンクロできた気分です(笑)
やっぱり、この本の世界観が好きだなぁ。と改めて再確認。
読み返したくなる、お気に入りの一冊です。
引っ越しなどで一度は手放してしまった小説ですが、やはりもう一度読みたくなってkindle版を購入。
だいたいの内容は覚えてましたが、抜け落ちていた部分もありました。まさに、記憶を取り戻す怜人とシンクロできた気分です(笑)
やっぱり、この本の世界観が好きだなぁ。と改めて再確認。
読み返したくなる、お気に入りの一冊です。
2018年3月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
美少年二人の複雑な家庭環境に翻弄される美しい恋愛模様。
大人が読むにはちょっと、物足りないかんじ。もうちょいドロついたお話がよみたかったですが、心を洗われる程度に切ないよいお話だったように思います。
大人が読むにはちょっと、物足りないかんじ。もうちょいドロついたお話がよみたかったですが、心を洗われる程度に切ないよいお話だったように思います。
2015年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
切なすぎて、心臓が常にギューっと痛くなってしまいました。。
高星さんの絵ととってもマッチしていて、すっごく綺麗で切なくて素敵なお話しでした!!
周りの大人達の身勝手に振り回される有理と冷人…冷人が記憶を失ってからの有理がそれはもう切ない。そして可愛い。
自分たちが恋人だったことを思い出して欲しい、でも全て思い出したらもう冷人のそばにいられない。何も言えなくてただ涙を流す有理が本当に健気で可愛かったです。攻めの冷人もね、脱帽の包容力男子ですわ。彼のような恋人がいたら癒されるわ、本当に。終わったあと、あ〜良かったね〜って素直に思える本当に良い作品でした。
高星さんの絵ととってもマッチしていて、すっごく綺麗で切なくて素敵なお話しでした!!
周りの大人達の身勝手に振り回される有理と冷人…冷人が記憶を失ってからの有理がそれはもう切ない。そして可愛い。
自分たちが恋人だったことを思い出して欲しい、でも全て思い出したらもう冷人のそばにいられない。何も言えなくてただ涙を流す有理が本当に健気で可愛かったです。攻めの冷人もね、脱帽の包容力男子ですわ。彼のような恋人がいたら癒されるわ、本当に。終わったあと、あ〜良かったね〜って素直に思える本当に良い作品でした。
2014年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
杉原理生さんの作品は、攻くんが相手のことをすごくすごく大好きなところがたまらないですね!!
設定的には、重いお話しですが二人が乗り越えて幸せになってくれることでしょう・・(もちろん弟くんも一緒に)
挿絵もステキで一度で二度おいしい読み物でした。
設定的には、重いお話しですが二人が乗り越えて幸せになってくれることでしょう・・(もちろん弟くんも一緒に)
挿絵もステキで一度で二度おいしい読み物でした。
2007年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
父に連れられて引っ越した先は、王子様のいるお城だった…なーんて説明だけだとちょっと語弊がありますが、作者があとがきでおっしゃっているように、まさにイラストを担当されている高星さんの絵に合うような王子様のようにかっこいい男の子がたくさんいるお話でした。ストーリーは結構シビアだしハードなんですけれども、主人公二人はもちろん、そのお父さん方までみんながみんな王子様な描写なのでなんだか面白いです。
主人公の二人は中学生のときに出会って恋に落ちて、色々あって離れ離れになった後、数年後にまた出会ってやっとハッピーエンドになるんですが、最後の最後まで攻の子がやさしかったのが印象的でした。BLだと思いが通じないと実力行使!って展開が多いですが、気持ちを押し付けることなく、けれどどんなことがあっても受の子を守るって気持ちが強くてかっこよかったです。あと受の弟の存在が大きく扱われていたのも良かったです。ストーリーはちょっとホロリな場面もあって本当に買って満足でした。
余談ですが、主人公の男の子だって普通とは言っても王子様な外見という設定なので、それじゃ自分と似たような顔に恋するようなもので、自己愛に近いのでは?とちょっと疑問を感じてしまいました。それに先述のとおり高星さんのイラストイメージがすごく強いので、良くも悪くもリアリティが全く感じられないんですよね。BLはファンタジーじゃん!っと言ってしまえばそれまでなんですが、どうも20代になると将来を考えながら読んでしまって、素直にハッピーエンドが喜べない…笑。でもそう思ってしまうのは、攻の少女漫画ヒーローな印象が強いせいなのかなとも思います。とにかく男性として、人として欠点がないので。そういうのが好きな人には特にたまらない作品かもしれません。
主人公の二人は中学生のときに出会って恋に落ちて、色々あって離れ離れになった後、数年後にまた出会ってやっとハッピーエンドになるんですが、最後の最後まで攻の子がやさしかったのが印象的でした。BLだと思いが通じないと実力行使!って展開が多いですが、気持ちを押し付けることなく、けれどどんなことがあっても受の子を守るって気持ちが強くてかっこよかったです。あと受の弟の存在が大きく扱われていたのも良かったです。ストーリーはちょっとホロリな場面もあって本当に買って満足でした。
余談ですが、主人公の男の子だって普通とは言っても王子様な外見という設定なので、それじゃ自分と似たような顔に恋するようなもので、自己愛に近いのでは?とちょっと疑問を感じてしまいました。それに先述のとおり高星さんのイラストイメージがすごく強いので、良くも悪くもリアリティが全く感じられないんですよね。BLはファンタジーじゃん!っと言ってしまえばそれまでなんですが、どうも20代になると将来を考えながら読んでしまって、素直にハッピーエンドが喜べない…笑。でもそう思ってしまうのは、攻の少女漫画ヒーローな印象が強いせいなのかなとも思います。とにかく男性として、人として欠点がないので。そういうのが好きな人には特にたまらない作品かもしれません。
2008年11月13日に日本でレビュー済み
壊れやすい、けれどきれいな欠片だけをかき集めてできたような小説。 昏い状況でも光の指す方をみようとする男の子。 高星さんのイラストで透明感を増しています。
2013年5月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2部構成ですが、一貫して思春期の恋愛をふんわりと繊細な表現力で綴られていて、あっという間に読破してしまいました。日々のエピソードの描写で主人公の玲人への思いが積み重なっていくのを、主人公の目線で無理なく共感しながら読みました。
また、お互いを思いやるあまり、一歩踏み出せないもどかしさとせつなさも堪能させて頂きました。
決して激しいシーンはありませんし、しぐさや目の動きで感情を表す間接的なおさえめな表現が多いのですが、その筆致が逆に、主人公有理や玲人、そして有理父や高宮父の内にある、温度が高く静かに燃える炎を感じさせて、作品全体を通して熾火のような熱さを醸し出しているように思いました。
主人公を取り巻く環境や玲人に起こった事件はかなり苛烈のですが、淡々とした表現と弟、学の天使のような存在で、全く悲壮感を感じませんでした。
その方が主人公と玲人の前述の情感の機微に焦点を絞れると思いますが、一方、個人的には、もう少し、環境の厳しさを二人が乗り越えた山みたいなものを感じてみたい、という気持ちもあります。
こちらも個人な意見ですが、イラスト自体はふんわりとメルヘンぽく、かわいいのですが、有理・玲人の二人の個性・イメージとイラストがあまり一致せず違和感を感じました。
BLというカテゴリーではなく、せつない思春期の情感あふれる読み物としてお勧めの1冊です。
また、お互いを思いやるあまり、一歩踏み出せないもどかしさとせつなさも堪能させて頂きました。
決して激しいシーンはありませんし、しぐさや目の動きで感情を表す間接的なおさえめな表現が多いのですが、その筆致が逆に、主人公有理や玲人、そして有理父や高宮父の内にある、温度が高く静かに燃える炎を感じさせて、作品全体を通して熾火のような熱さを醸し出しているように思いました。
主人公を取り巻く環境や玲人に起こった事件はかなり苛烈のですが、淡々とした表現と弟、学の天使のような存在で、全く悲壮感を感じませんでした。
その方が主人公と玲人の前述の情感の機微に焦点を絞れると思いますが、一方、個人的には、もう少し、環境の厳しさを二人が乗り越えた山みたいなものを感じてみたい、という気持ちもあります。
こちらも個人な意見ですが、イラスト自体はふんわりとメルヘンぽく、かわいいのですが、有理・玲人の二人の個性・イメージとイラストがあまり一致せず違和感を感じました。
BLというカテゴリーではなく、せつない思春期の情感あふれる読み物としてお勧めの1冊です。