震災から1年が過ぎましたが、未だに「セシウムの低線量内部被爆 」に関して国民的見解の一致に至っていない現状に不安を感じ本書を含め関連する書籍を数冊読んで、一番印象に残った本書を多くの人に勧めたいと思います。
科学の世界はイデオロギーの論争や「原発推進」と「反原発」の対立と切り離して客観的に判断するべきだと思います。また、「セシウムの低線量内部被爆 」に関して国民に大きな認識の違いが共存する現状は日本に取って危険な状態だと思います。例えるなら天動説と地動説が共存している様な状態だと思います。
そろそろ「セシウムの低線量内部被爆 」の論争に決着を付ける為に、本書を沢山の人に読んで頂き、各自冷静に客観的に検証して頂けばそれ程大きな結論の相違は無いと思い本書を多くの人に勧めます。
特に本書を勧める理由は、論点が明確な点です。「内部被爆 に関しては線量の議論は意味が無い」と児玉先生は、キッパリ断定しています。「線量の多い少ないに係わらず内部被爆するとガンになる」と言うのが児玉先生の仮説です。放射線防護の常識を根底から覆すスゴイ仮説です。仮説を三つの症例から児玉先生は検証しています。
まず、トロトラスト肝障害は日本では広島、長崎の原爆に次ぐ大規模な放射線による健康障害です。ここで気を付けたいのはトロトラストの障害はα線による障害だと言うことです。通常の線量計やホールボディーカウンターで計測できないα線による障害です。ちなみに劣化ウラン弾もα線です。
確かに、ネットでトロトラスト肝障害を調べてみると先生が仰ってるようにがん抑制遺伝子P53に突然変異を起こしてがんを発生するといわれている様ですが、同時に「肝線量率が増えると死亡までの期間が短縮する」と言う表(・・・)もヒットします。この表を見る限りトロトラスト肝障害の死亡率は低線量被爆の領域では無いと思います。簡単な表なので断定は出来ませんが、反対にこの表を見る限り100ミリシーベルト以下は全然問題ないように思います。
次にチェルノブイリの甲状腺ガンですが、これは余りにも有名な食物連鎖による被爆で最大甲状腺量50グレイと言う話で低線量被爆では有りません。
最後にチェルノブイリ膀胱炎ですが、「チェルノブイリ膀胱炎物語」(・・・)を参考にすると直ぐに分かります。福島博士本人が「一度実施した尿中セシウム137の測定は大惨事から12年経って行った物で、それ以前はもっと高かった可能性が有る。」と仰っています。全ての可能性は否定できませんが常識的に考えて児玉先生が断定できる根拠にはならないと思います。
国会の場で臆することなく「内部被爆 に関しては線量の議論は意味が無い」と言ってしまう児玉先生はスゴイ人です。完璧なミスリーディング、泣き落としと専門用語を駆使して聴衆を惑わし日本全国に「セシウムの低線量内部被爆はキケン」を定着させてしまいました。科学の進歩は定説を否定する所から生まれる気がしますが、今回の仮説は研究所の中だけでお願いしたかったと私は思います。科学者として、思いつきのような仮説で日本中に不安をまき散らした罪は大きいと私は思います。
是非、特に国会議員を含め全ての政治家の皆さんは、本書を読まれてご自身で「内部被爆 に関しては線量の議論は意味が無い」を検証して下さい。全国の政治家の皆さんが最低限本書の内容を理解できる程の知識を持たれたらガレキの広域処理も前進すると思います。
例のビデオ(・・・)で醜態を見せた武田先生も国会で発言しているし、このままでは「日本の国会は権威も威厳もないバラエティー番組ですか?」という声が近くから聞こえてきそうで不安になります。
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内部被曝の真実 (幻冬舎新書) 新書 – 2011/9/8
児玉龍彦
(著)
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購入オプションとあわせ買い
「私は国に満身の怒りを表明します」
「7万人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体、何をやっているのですか!」
福島原発事故では、広島原爆20個分以上の放射性物質が放出された。国が「測定と除染」に今すぐ全力を挙げなければ、子どもと妊婦を守れない。
YouTubeで100万回以上も再生されて大きな反響を呼んだ、正義の科学者による魂の国会スピーチを完全採録。
さらに
■国会でのスピーチに寄せられた疑問・批判への回答
■ヨウ素被曝と子どもの甲状腺がんの因果関係の立証には長い年月がかかることを、今から2年前にすでに警告していた論考
■国会出席を決断するにいたった南相馬でのある1日について書き下ろした「私はなぜ国会へ行ったか」
を加えての緊急出版!
「7万人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体、何をやっているのですか!」
福島原発事故では、広島原爆20個分以上の放射性物質が放出された。国が「測定と除染」に今すぐ全力を挙げなければ、子どもと妊婦を守れない。
YouTubeで100万回以上も再生されて大きな反響を呼んだ、正義の科学者による魂の国会スピーチを完全採録。
さらに
■国会でのスピーチに寄せられた疑問・批判への回答
■ヨウ素被曝と子どもの甲状腺がんの因果関係の立証には長い年月がかかることを、今から2年前にすでに警告していた論考
■国会出席を決断するにいたった南相馬でのある1日について書き下ろした「私はなぜ国会へ行ったか」
を加えての緊急出版!
- ISBN-104344982290
- ISBN-13978-4344982291
- 出版社幻冬舎
- 発売日2011/9/8
- 言語日本語
- 本の長さ165ページ
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商品の説明
著者について
一九五三年、東京都生まれ。一九七七年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部助手、マサチューセッツ工科大学研究員などを経て、東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学教授。二〇一一年四月より東京大学アイソトープ総合センター長を併任。 著書に『新興衰退国ニッポン』(金子勝氏との共著、講談社)、『逆システム学』(金子勝氏との共著、岩波新書)、『システム生物医学入門』(仁科博道氏との共著、羊土社)等がある。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2011/9/8)
- 発売日 : 2011/9/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 165ページ
- ISBN-10 : 4344982290
- ISBN-13 : 978-4344982291
- Amazon 売れ筋ランキング: - 674,928位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1953年東京都生まれ。1977年東京大学医学部卒業。東京大学医学部助手、マサチューセッツ工科大学研究員などを経て、東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学教授(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『新興衰退国ニッポン(ISBN-10: 4062950588)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年10月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
国会スピーチを視聴して、本書を購入した口である。
聞きなれない単位と用語で、十分理解したとは言えないが、
国やマスコミが垂れ流す情報が、
いかに特権階級の都合によって捻じ曲げられているのかがよくわかる。
過去の遺物と思っていたイタイイタイ病によるカドミウム汚染が、
いまだに土壌洗浄のさ中であることが軽く触れられているが、
それはある意味セシウム汚染よりも驚くべき事実であった。
ちなみにカドミウム汚染地域は3000ヘクタールであるが、
ようやく1500ヘクタールが除染された段階だという。
明らかにちぐはぐな対応をしている政府が、
セシウムの除染を軌道に乗せるまで、
一体何年かかるのだろうか…。
足尾鉱毒、水俣水銀について軽くググってみるとよい。
どれだけあいまいにされ、
どれだけ忘却の彼方に葬り去られているかがよくわかるから。
私は私の立場で、満身の怒りを表明しなければならない。
著者の怒りの言葉は、とても有名になったが、
本書では、このような内省の弁も述べられている。
「原子力学会や原子力政策のすべての失敗は、
専門家が専門家の矜持を捨ててしまったことにあります。
国民に本当のことを言う前に政治家になってしまった。
経済人になってしまった。」
すべての専門家に、いや私のような一般人もかみしめるべき言葉かもしれない。
聞きなれない単位と用語で、十分理解したとは言えないが、
国やマスコミが垂れ流す情報が、
いかに特権階級の都合によって捻じ曲げられているのかがよくわかる。
過去の遺物と思っていたイタイイタイ病によるカドミウム汚染が、
いまだに土壌洗浄のさ中であることが軽く触れられているが、
それはある意味セシウム汚染よりも驚くべき事実であった。
ちなみにカドミウム汚染地域は3000ヘクタールであるが、
ようやく1500ヘクタールが除染された段階だという。
明らかにちぐはぐな対応をしている政府が、
セシウムの除染を軌道に乗せるまで、
一体何年かかるのだろうか…。
足尾鉱毒、水俣水銀について軽くググってみるとよい。
どれだけあいまいにされ、
どれだけ忘却の彼方に葬り去られているかがよくわかるから。
私は私の立場で、満身の怒りを表明しなければならない。
著者の怒りの言葉は、とても有名になったが、
本書では、このような内省の弁も述べられている。
「原子力学会や原子力政策のすべての失敗は、
専門家が専門家の矜持を捨ててしまったことにあります。
国民に本当のことを言う前に政治家になってしまった。
経済人になってしまった。」
すべての専門家に、いや私のような一般人もかみしめるべき言葉かもしれない。
2011年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本からは、被曝についてはもちろんのこと、それに関わる誠実な科学者のあるべき姿が浮かび上がってくる。それは現実の危機的事態から一歩も引かない、その責任を全身で受け止める勇気ある科学者の姿でもある。識者とは、学者とは、専門家とはかくあるべきなのである。そして、私はそこに真の人間の姿を見る。
2012年11月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今後の生命の危険性から、原発全廃と、瓦礫のばらまきを阻止して被災地に瓦礫を留めておく事の必要性を思いながら、本書を読みました。
本書が出版された福島原発事故の半年後の時点で、広島・長崎の20倍の放射線量の放出と言われていますが、セシウム換算では800倍、チェルノブイリ原発事故の何倍とも言われています。種々の放射性物質の摂取によって影響の出る身体の組織・器官の部位に違いが有り、「ヨウ素131」は甲状腺に対し影響力が有り半減期8日、「セシウム137」は水溶性で尿管上皮・膀胱で強力なγ線・β線を放出し半減期30年、「ストロンチウム90」は骨髄でβ線を放出して半減期29年、肝臓の造影剤「トロトラスト」に使われていた「トリウム232」は肝臓や肺臓、膵臓でα線を放出して半減期140億年等と、身体の体内に長期間残留して蓄積し内部被爆を起こします。放射線の中で最も人体に対する作用が大きいのはα線です。人体に対する作用の大きさにおいてx線を1とした場合に、γ線が0.6〜1、β線が1、陽子線が1〜10、中性子線が2〜10、α線が15〜20です(放射線荷重係数)。
比較的半減期の短いヨウ素131も、チェルノブイリ原発事故の際にはガンと原発事故との関連性が認定されるまでに20年を要しました。その際には前例が無くデータが不足してエビデンスが得られなかった事もあって、癌や慢性疾患、急性疾患等の原発事故が原因であるという判断がし難かったと言う事も有りました。しかし、福島原発事故の場合にはチェルノブイリのデータが有り、ある程度のエビデンスが存在しているはずです。原発事故由来の疾患の認定には、政治や企業の利権も関係します。又、20km内の警戒区域、30km内の緊急時避難準備区域、その範囲外の計画的避難区域が政府によって指定され、その地域の方の避難に対しては補償金が降りますが、その指定から漏れた地域の方が遠方の地域に避難した場合には国からの補償金が出されません。内部被爆は瓦礫のばらまきや飲食品・大気の摂取など様々な形で人間の体内に摂取されますが、政府の指定している範囲内だけでは無く、より広範囲に影響が出ます。茶葉においては、静岡の辺りにまで基準値を超える影響が出ています。又、ガン等の発症には20年〜30年かかり、原発事故との関連性が認められるまでにも時間を要し、其々のエビデンスが得られるのも時間の経過と共に被災者を始めとした周辺地域、及び物流等によって広がった放射性物質を摂取した可能性の有る人々を監視して調べていく事による為に、事故が起きてからすぐに必要な補償金・賠償金が出してもらえず、最悪の場合、亡くなってからの補償・賠償となってしまいます。
富山県神通川下流域におけるイタイイタイ病発生原因のカドミウムの除染に対する国費が、3000ha(1万'u)の半分実施の時点で8000億円かかっており、福島原発の除染は1000倍の範囲に必要だとされ、単純計算だけでも800兆円がかかるとされています。又、空間の放射線測定値はその場所の平均値であり、雨樋の下やすべり台の下等の部分的に放射線量が多く溜まっている「ミニ・ホットスポット」が在り、一概に、平均的に対処する事が出来ません。先述の放射線物質の種類によって身体の中の蓄積する部分が違ってくる事があり、携帯型の簡易放射線量計測器で身体の表面の放射線を計っただけでは詳細な部位等までが解らない事も併せて、其々における個々に応じた対応・処置・治療等が必要です。一つの根拠、一つのパターンに当てはめて診る事は出来ません。それらの現段階で根拠とされているものに当てはまるものだけが原発事故と関係が有る訳ではありません。その根拠には、政治・官僚・財界・外国権力等の利権が関係しています。因みに原発の利権問題や批判から、管理職の女性が暗殺された東電OL殺人事件やその他冤罪事件等の不可解な事件が数多く起こされて来ました。
放射性物質の摂取により遺伝子が損傷を受けます。細胞の中の核には多数の染色体が存在し、染色体の中に多くの遺伝子が存在します。その遺伝子を構成するのが二重らせん構造をとるDNAであり、細胞分裂の時に二重らせん構造がほどけて不安定となった時に放射線によって切れやすくなります。普通は「p53遺伝子」によって、各細胞内でDNAの修復や細胞増殖の抑制、アポトーシス(細胞死)を起こして癌細胞の増殖を抑制しているのですが、放射線によってこの癌抑制遺伝子が損傷を受けてしまって、生体の恒常性を失ってしまい癌を引き起こしてしまいます。セシウム137の場合、腫瘍マーカーとしてNF-κBとp38マップキナーゼの活性化や、p50、p65遺伝子の増殖が有ります。
施設によって放射線核種の取扱に制限が有り、著者は法律違反を犯して事故後の緊急時から除染作業を行っております。緊急時に行政に頼るだけでは間に合わず、法律の改正を求めております。
元々地球上にはセシウム137は無く、ストロンチウム90も殆ど存在しませんでした。第二次大戦前の1940年から原爆実験が始められ、広島・長崎原爆の1000倍の放射線を放出する水爆実験を第二次大戦後に行って来ましたが、猿橋勝子博士の働きかけで1963年に米・英・ソによって部分的核実験禁止条約が締結されて、其の後にそれらの放射性物質の月間降下量が減少化しました。しかしその後も、核保有国の地位を認められている以上3ヶ国以外のフランスや中国と、認められていないイスラエル、北朝鮮、インド、パキスタンが水爆実験を繰り返して地球上に放出されました。因みに1963年はレイチェル・カーソンの働きかけで米国での有機塩素系殺虫剤であるDDTの全面禁止や、1961年から1975年までの米軍によるベトナム戦争でのダイオキシンを含んだ枯葉剤の散布を行なっていた背景があります。当時の米国大統領はケネディで、その1963年に亡くなっています。レイチェル・カーソンも翌年に亡くなっております。
著者は、内部被曝の原因となる食品検査に、医療で用いられるPETやSPECTで使われる検出器を応用する事を提案しています。それらは陽電子や光子を用いたCTで、身体の内部からの放射線を外部で検出して画像として表す物で、非常に感度が良く試作品も短期間で比較的安価で作る事が出来ます。
科学を今後は経済・産業の限りある成長に用いるのでは無く、人間が地球上に出してしまった放射性物質の処理や除染、廃棄物の処理、再生可能代替エネルギー等の自然環境の回復と保護に用いるべきで、発展途上国等の不足する地域への広い限りない発展が必要です。自然環境の回復と保護が、その生態系の一部である人間の回復と保護にも繋がります。
著者は言います、「・・・みんなが専門家に聞きたいのは、何も政治家みたいに折り合いをつけることじゃない。危険を危険だとはっきり言うのが専門家なのです。今までの原子力学会や原子力政策のすべての失敗は、専門家が専門家の矜持を捨てたことにあります。国民に本当のことを言う前に政治家になってしまった。経済人になってしまった。これの反省なくしては、・・・日本の科学者の再生もありえないと思っています。」。マスコミも含めて、権力者に迎合したり媚びへつらったりせず、真実を述べられる事が望まれます。
本書が出版された福島原発事故の半年後の時点で、広島・長崎の20倍の放射線量の放出と言われていますが、セシウム換算では800倍、チェルノブイリ原発事故の何倍とも言われています。種々の放射性物質の摂取によって影響の出る身体の組織・器官の部位に違いが有り、「ヨウ素131」は甲状腺に対し影響力が有り半減期8日、「セシウム137」は水溶性で尿管上皮・膀胱で強力なγ線・β線を放出し半減期30年、「ストロンチウム90」は骨髄でβ線を放出して半減期29年、肝臓の造影剤「トロトラスト」に使われていた「トリウム232」は肝臓や肺臓、膵臓でα線を放出して半減期140億年等と、身体の体内に長期間残留して蓄積し内部被爆を起こします。放射線の中で最も人体に対する作用が大きいのはα線です。人体に対する作用の大きさにおいてx線を1とした場合に、γ線が0.6〜1、β線が1、陽子線が1〜10、中性子線が2〜10、α線が15〜20です(放射線荷重係数)。
比較的半減期の短いヨウ素131も、チェルノブイリ原発事故の際にはガンと原発事故との関連性が認定されるまでに20年を要しました。その際には前例が無くデータが不足してエビデンスが得られなかった事もあって、癌や慢性疾患、急性疾患等の原発事故が原因であるという判断がし難かったと言う事も有りました。しかし、福島原発事故の場合にはチェルノブイリのデータが有り、ある程度のエビデンスが存在しているはずです。原発事故由来の疾患の認定には、政治や企業の利権も関係します。又、20km内の警戒区域、30km内の緊急時避難準備区域、その範囲外の計画的避難区域が政府によって指定され、その地域の方の避難に対しては補償金が降りますが、その指定から漏れた地域の方が遠方の地域に避難した場合には国からの補償金が出されません。内部被爆は瓦礫のばらまきや飲食品・大気の摂取など様々な形で人間の体内に摂取されますが、政府の指定している範囲内だけでは無く、より広範囲に影響が出ます。茶葉においては、静岡の辺りにまで基準値を超える影響が出ています。又、ガン等の発症には20年〜30年かかり、原発事故との関連性が認められるまでにも時間を要し、其々のエビデンスが得られるのも時間の経過と共に被災者を始めとした周辺地域、及び物流等によって広がった放射性物質を摂取した可能性の有る人々を監視して調べていく事による為に、事故が起きてからすぐに必要な補償金・賠償金が出してもらえず、最悪の場合、亡くなってからの補償・賠償となってしまいます。
富山県神通川下流域におけるイタイイタイ病発生原因のカドミウムの除染に対する国費が、3000ha(1万'u)の半分実施の時点で8000億円かかっており、福島原発の除染は1000倍の範囲に必要だとされ、単純計算だけでも800兆円がかかるとされています。又、空間の放射線測定値はその場所の平均値であり、雨樋の下やすべり台の下等の部分的に放射線量が多く溜まっている「ミニ・ホットスポット」が在り、一概に、平均的に対処する事が出来ません。先述の放射線物質の種類によって身体の中の蓄積する部分が違ってくる事があり、携帯型の簡易放射線量計測器で身体の表面の放射線を計っただけでは詳細な部位等までが解らない事も併せて、其々における個々に応じた対応・処置・治療等が必要です。一つの根拠、一つのパターンに当てはめて診る事は出来ません。それらの現段階で根拠とされているものに当てはまるものだけが原発事故と関係が有る訳ではありません。その根拠には、政治・官僚・財界・外国権力等の利権が関係しています。因みに原発の利権問題や批判から、管理職の女性が暗殺された東電OL殺人事件やその他冤罪事件等の不可解な事件が数多く起こされて来ました。
放射性物質の摂取により遺伝子が損傷を受けます。細胞の中の核には多数の染色体が存在し、染色体の中に多くの遺伝子が存在します。その遺伝子を構成するのが二重らせん構造をとるDNAであり、細胞分裂の時に二重らせん構造がほどけて不安定となった時に放射線によって切れやすくなります。普通は「p53遺伝子」によって、各細胞内でDNAの修復や細胞増殖の抑制、アポトーシス(細胞死)を起こして癌細胞の増殖を抑制しているのですが、放射線によってこの癌抑制遺伝子が損傷を受けてしまって、生体の恒常性を失ってしまい癌を引き起こしてしまいます。セシウム137の場合、腫瘍マーカーとしてNF-κBとp38マップキナーゼの活性化や、p50、p65遺伝子の増殖が有ります。
施設によって放射線核種の取扱に制限が有り、著者は法律違反を犯して事故後の緊急時から除染作業を行っております。緊急時に行政に頼るだけでは間に合わず、法律の改正を求めております。
元々地球上にはセシウム137は無く、ストロンチウム90も殆ど存在しませんでした。第二次大戦前の1940年から原爆実験が始められ、広島・長崎原爆の1000倍の放射線を放出する水爆実験を第二次大戦後に行って来ましたが、猿橋勝子博士の働きかけで1963年に米・英・ソによって部分的核実験禁止条約が締結されて、其の後にそれらの放射性物質の月間降下量が減少化しました。しかしその後も、核保有国の地位を認められている以上3ヶ国以外のフランスや中国と、認められていないイスラエル、北朝鮮、インド、パキスタンが水爆実験を繰り返して地球上に放出されました。因みに1963年はレイチェル・カーソンの働きかけで米国での有機塩素系殺虫剤であるDDTの全面禁止や、1961年から1975年までの米軍によるベトナム戦争でのダイオキシンを含んだ枯葉剤の散布を行なっていた背景があります。当時の米国大統領はケネディで、その1963年に亡くなっています。レイチェル・カーソンも翌年に亡くなっております。
著者は、内部被曝の原因となる食品検査に、医療で用いられるPETやSPECTで使われる検出器を応用する事を提案しています。それらは陽電子や光子を用いたCTで、身体の内部からの放射線を外部で検出して画像として表す物で、非常に感度が良く試作品も短期間で比較的安価で作る事が出来ます。
科学を今後は経済・産業の限りある成長に用いるのでは無く、人間が地球上に出してしまった放射性物質の処理や除染、廃棄物の処理、再生可能代替エネルギー等の自然環境の回復と保護に用いるべきで、発展途上国等の不足する地域への広い限りない発展が必要です。自然環境の回復と保護が、その生態系の一部である人間の回復と保護にも繋がります。
著者は言います、「・・・みんなが専門家に聞きたいのは、何も政治家みたいに折り合いをつけることじゃない。危険を危険だとはっきり言うのが専門家なのです。今までの原子力学会や原子力政策のすべての失敗は、専門家が専門家の矜持を捨てたことにあります。国民に本当のことを言う前に政治家になってしまった。経済人になってしまった。これの反省なくしては、・・・日本の科学者の再生もありえないと思っています。」。マスコミも含めて、権力者に迎合したり媚びへつらったりせず、真実を述べられる事が望まれます。
2017年5月19日に日本でレビュー済み
読了:2017年54冊(4月9冊)★3.2
『内部被曝の真実 (幻冬舎新書)』2011/9/8、児玉龍彦 (著)
東海大地震の後に大急ぎで書かれた?本。内容も薄いし、ページも薄い。改行も多いし、巻末参考資料も多い。ざっと文章だけのページは100ページ前後しかない。しかし、5刷もされている。耳目を集めるのだろう。
現状の認識と政策の矛盾、これからの課題。特に印象に残った(筆者が一番紙幅を費やしている)のは、当時の政府政策のお粗末さについて。まさにお役所仕事とはこのことか、と思った。セシウムの線量を同心円状に距離を測って避難区域を設定したが、これがまずい。同じ公園内でも濃い部分と薄い部分が明らかに違うのである。放射能とは光線ではなく物質であり、堆積するのである。非難すべき箇所は個別に線量を測定し、具体的に定めるべきであった。また、被ばくカウンターを役所に送ったのは良いが、その説明書は英語で使い方が全く分からない。電話の一本もない。対応はFax一本のみである。役所が混乱しているときにFax一枚送られても気づかれないこともあろう。
最近は復興大臣の軽率な発言・思想が露わになり辞任に至った。さまにトップの認識から末端にその思想が伝わっているなぁと、ちょうど本書を読んだ後のニュースだったので感心してしまった。今までは被爆について他人事のきらいがあったが、その重要性の認識が変わりました。今度の国の被災地に対する支援の仕方についてより注目したい。
『内部被曝の真実 (幻冬舎新書)』2011/9/8、児玉龍彦 (著)
東海大地震の後に大急ぎで書かれた?本。内容も薄いし、ページも薄い。改行も多いし、巻末参考資料も多い。ざっと文章だけのページは100ページ前後しかない。しかし、5刷もされている。耳目を集めるのだろう。
現状の認識と政策の矛盾、これからの課題。特に印象に残った(筆者が一番紙幅を費やしている)のは、当時の政府政策のお粗末さについて。まさにお役所仕事とはこのことか、と思った。セシウムの線量を同心円状に距離を測って避難区域を設定したが、これがまずい。同じ公園内でも濃い部分と薄い部分が明らかに違うのである。放射能とは光線ではなく物質であり、堆積するのである。非難すべき箇所は個別に線量を測定し、具体的に定めるべきであった。また、被ばくカウンターを役所に送ったのは良いが、その説明書は英語で使い方が全く分からない。電話の一本もない。対応はFax一本のみである。役所が混乱しているときにFax一枚送られても気づかれないこともあろう。
最近は復興大臣の軽率な発言・思想が露わになり辞任に至った。さまにトップの認識から末端にその思想が伝わっているなぁと、ちょうど本書を読んだ後のニュースだったので感心してしまった。今までは被爆について他人事のきらいがあったが、その重要性の認識が変わりました。今度の国の被災地に対する支援の仕方についてより注目したい。