社会主義という思想は、マルクス主義(いわゆる共産主義)や、
その影響下にあるレーニン主義やトロツキズムだけが「本流」ではありません。
アナキズムという個人の絶対的な自由を求め、経済的な連帯をも目指す思想があります。
アナキズムは、支配者や権力機構のない、
政治的・経済的・社会的な階層のない社会の創造を目指す政治思想です。
アナキズムは「個人の自由」と「社会の平等」を実現する社会システムです。
自由と平等は「互いに自立して助け合うこと」で実現出来るとアナキストは考えます。
この著作自体が1965年に上梓されたのものなので、
正確には「現代」の内容ではありませんが、
アナキズムの基本理念やアナキズムの歴史の中での実践、
例えば、ロシア革命やスペイン革命等に与えた影響、
そして時の国家権力だけではなく、
同じく左派に属するはずの権威主義的社会主義(特にスターリン主義)によって、
常に徹底的に弾圧され、革命的な実践が結果的に失敗に潰えたことを知ることが出来ます。
スターリン主義に基づいた権威主義的な自称「社会主義」国家は殆どが崩壊・自滅しました。
東西冷戦体制の終焉です。
ところで、その後、自由で平和な社会は実現に向かっているでしょうか?
現実世界はますます「剥き出しの資本主義」にむしばまれ、
世界中の人々の生活は脅かされ続けています。
こうした情勢の中、世界中でアナキズムが見直されつつあります。
もともとアナキズムの影響の濃かった南欧諸国だけではなく、
「社会主義」体制下にあった旧東欧諸国でさえ、
アナキズムの運動は少しずつではありますが、活発化しています。
あの権威主義的な社会主義の失敗から、人々は確実に教訓を学び取っているのです。
経済の新自由主義とグローバリズムという「剥き出しの資本主義」にさらされた現代。
まだまだ実践的な活動の芽は小さいとはいえ、
アナキズムは今こそ見直されるべき極めて実践的な思想ではないでしょうか。
著者が掲げていますが、アナキズムの本質は次の言葉に要約されるでしょう。
「無政府思想が、回教徒におけるコーランのように、信奉者から崇められる教義であり、不可侵の、異議をさしはさむ余地のない原理であると思われないよう、気をつけていただきたい。違うのです。われわれが当然の権利として要求している絶対的な自由は、絶えずわれわれの思考を発展させ、(各個人の知能の求めるままに)新しい視野へと思想を高めて、思想をすべての規則や慣習の狭い枠から離脱させるのです。われわれは"信者"ではありません」
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現代のアナキズム (三一新書 579) 単行本 – 1967/6/1
- 本の長さ235ページ
- 言語日本語
- 出版社三一書房
- 発売日1967/6/1
- ISBN-104380670066
- ISBN-13978-4380670060
登録情報
- 出版社 : 三一書房 (1967/6/1)
- 発売日 : 1967/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 235ページ
- ISBN-10 : 4380670066
- ISBN-13 : 978-4380670060
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5 星
蘇える絶対自由の思想
社会主義という思想は、マルクス主義(いわゆる共産主義)や、その影響下にあるレーニン主義やトロツキズムだけが「本流」ではありません。アナキズムという個人の絶対的な自由を求め、経済的な連帯をも目指す思想があります。アナキズムは、支配者や権力機構のない、政治的・経済的・社会的な階層のない社会の創造を目指す政治思想です。アナキズムは「個人の自由」と「社会の平等」を実現する社会システムです。自由と平等は「互いに自立して助け合うこと」で実現出来るとアナキストは考えます。この著作自体が1965年に上梓されたのものなので、正確には「現代」の内容ではありませんが、アナキズムの基本理念やアナキズムの歴史の中での実践、例えば、ロシア革命やスペイン革命等に与えた影響、そして時の国家権力だけではなく、同じく左派に属するはずの権威主義的社会主義(特にスターリン主義)によって、常に徹底的に弾圧され、革命的な実践が結果的に失敗に潰えたことを知ることが出来ます。スターリン主義に基づいた権威主義的な自称「社会主義」国家は殆どが崩壊・自滅しました。東西冷戦体制の終焉です。ところで、その後、自由で平和な社会は実現に向かっているでしょうか?現実世界はますます「剥き出しの資本主義」にむしばまれ、世界中の人々の生活は脅かされ続けています。こうした情勢の中、世界中でアナキズムが見直されつつあります。もともとアナキズムの影響の濃かった南欧諸国だけではなく、「社会主義」体制下にあった旧東欧諸国でさえ、アナキズムの運動は少しずつではありますが、活発化しています。あの権威主義的な社会主義の失敗から、人々は確実に教訓を学び取っているのです。経済の新自由主義とグローバリズムという「剥き出しの資本主義」にさらされた現代。まだまだ実践的な活動の芽は小さいとはいえ、アナキズムは今こそ見直されるべき極めて実践的な思想ではないでしょうか。著者が掲げていますが、アナキズムの本質は次の言葉に要約されるでしょう。「無政府思想が、回教徒におけるコーランのように、信奉者から崇められる教義であり、不可侵の、異議をさしはさむ余地のない原理であると思われないよう、気をつけていただきたい。違うのです。われわれが当然の権利として要求している絶対的な自由は、絶えずわれわれの思考を発展させ、(各個人の知能の求めるままに)新しい視野へと思想を高めて、思想をすべての規則や慣習の狭い枠から離脱させるのです。われわれは"信者"ではありません」
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2006年8月22日に日本でレビュー済み
社会主義という思想は、マルクス主義(いわゆる共産主義)や、
その影響下にあるレーニン主義やトロツキズムだけが「本流」ではありません。
アナキズムという個人の絶対的な自由を求め、経済的な連帯をも目指す思想があります。
アナキズムは、支配者や権力機構のない、
政治的・経済的・社会的な階層のない社会の創造を目指す政治思想です。
アナキズムは「個人の自由」と「社会の平等」を実現する社会システムです。
自由と平等は「互いに自立して助け合うこと」で実現出来るとアナキストは考えます。
この著作自体が1965年に上梓されたのものなので、
正確には「現代」の内容ではありませんが、
アナキズムの基本理念やアナキズムの歴史の中での実践、
例えば、ロシア革命やスペイン革命等に与えた影響、
そして時の国家権力だけではなく、
同じく左派に属するはずの権威主義的社会主義(特にスターリン主義)によって、
常に徹底的に弾圧され、革命的な実践が結果的に失敗に潰えたことを知ることが出来ます。
スターリン主義に基づいた権威主義的な自称「社会主義」国家は殆どが崩壊・自滅しました。
東西冷戦体制の終焉です。
ところで、その後、自由で平和な社会は実現に向かっているでしょうか?
現実世界はますます「剥き出しの資本主義」にむしばまれ、
世界中の人々の生活は脅かされ続けています。
こうした情勢の中、世界中でアナキズムが見直されつつあります。
もともとアナキズムの影響の濃かった南欧諸国だけではなく、
「社会主義」体制下にあった旧東欧諸国でさえ、
アナキズムの運動は少しずつではありますが、活発化しています。
あの権威主義的な社会主義の失敗から、人々は確実に教訓を学び取っているのです。
経済の新自由主義とグローバリズムという「剥き出しの資本主義」にさらされた現代。
まだまだ実践的な活動の芽は小さいとはいえ、
アナキズムは今こそ見直されるべき極めて実践的な思想ではないでしょうか。
著者が掲げていますが、アナキズムの本質は次の言葉に要約されるでしょう。
「無政府思想が、回教徒におけるコーランのように、信奉者から崇められる教義であり、不可侵の、異議をさしはさむ余地のない原理であると思われないよう、気をつけていただきたい。違うのです。われわれが当然の権利として要求している絶対的な自由は、絶えずわれわれの思考を発展させ、(各個人の知能の求めるままに)新しい視野へと思想を高めて、思想をすべての規則や慣習の狭い枠から離脱させるのです。われわれは"信者"ではありません」
その影響下にあるレーニン主義やトロツキズムだけが「本流」ではありません。
アナキズムという個人の絶対的な自由を求め、経済的な連帯をも目指す思想があります。
アナキズムは、支配者や権力機構のない、
政治的・経済的・社会的な階層のない社会の創造を目指す政治思想です。
アナキズムは「個人の自由」と「社会の平等」を実現する社会システムです。
自由と平等は「互いに自立して助け合うこと」で実現出来るとアナキストは考えます。
この著作自体が1965年に上梓されたのものなので、
正確には「現代」の内容ではありませんが、
アナキズムの基本理念やアナキズムの歴史の中での実践、
例えば、ロシア革命やスペイン革命等に与えた影響、
そして時の国家権力だけではなく、
同じく左派に属するはずの権威主義的社会主義(特にスターリン主義)によって、
常に徹底的に弾圧され、革命的な実践が結果的に失敗に潰えたことを知ることが出来ます。
スターリン主義に基づいた権威主義的な自称「社会主義」国家は殆どが崩壊・自滅しました。
東西冷戦体制の終焉です。
ところで、その後、自由で平和な社会は実現に向かっているでしょうか?
現実世界はますます「剥き出しの資本主義」にむしばまれ、
世界中の人々の生活は脅かされ続けています。
こうした情勢の中、世界中でアナキズムが見直されつつあります。
もともとアナキズムの影響の濃かった南欧諸国だけではなく、
「社会主義」体制下にあった旧東欧諸国でさえ、
アナキズムの運動は少しずつではありますが、活発化しています。
あの権威主義的な社会主義の失敗から、人々は確実に教訓を学び取っているのです。
経済の新自由主義とグローバリズムという「剥き出しの資本主義」にさらされた現代。
まだまだ実践的な活動の芽は小さいとはいえ、
アナキズムは今こそ見直されるべき極めて実践的な思想ではないでしょうか。
著者が掲げていますが、アナキズムの本質は次の言葉に要約されるでしょう。
「無政府思想が、回教徒におけるコーランのように、信奉者から崇められる教義であり、不可侵の、異議をさしはさむ余地のない原理であると思われないよう、気をつけていただきたい。違うのです。われわれが当然の権利として要求している絶対的な自由は、絶えずわれわれの思考を発展させ、(各個人の知能の求めるままに)新しい視野へと思想を高めて、思想をすべての規則や慣習の狭い枠から離脱させるのです。われわれは"信者"ではありません」
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2006年8月19日に日本でレビュー済み
著者は1904年パリ生まれ。書籍商や、印刷屋の校正係、出版業界団体の専務
理事、ユースホステル運動の創始者という様々な経歴をもっています。
自叙伝に『風変わりな若者』(1964年)があります。
1章はアナキズムの基本理念
2章は未来社会の展望をめぐって
3章は革命的実践の中のアナキズム
と続き、反マルクス主義としてのアナーキズムの姿を浮き彫りにさせていきます。
なお本書ではシュテイルナーがスチルネルと表記されています。
理事、ユースホステル運動の創始者という様々な経歴をもっています。
自叙伝に『風変わりな若者』(1964年)があります。
1章はアナキズムの基本理念
2章は未来社会の展望をめぐって
3章は革命的実践の中のアナキズム
と続き、反マルクス主義としてのアナーキズムの姿を浮き彫りにさせていきます。
なお本書ではシュテイルナーがスチルネルと表記されています。