「仏教の基礎知識」というタイトルは、ある意味でこれ以上なく本書の内容を示している。
ただ、「図解:●●」のようなライトさを求めている人にとっては、本格的すぎてきっと度肝を抜かれるだろう。
というのも、「仏教とは何か」「仏教の基礎となる考え方は何か」「法とは何か」という、
上座部・大乗を貫いている精神について述べ、その上で「図解:●●」的な本ですぐに列挙されるような知識の解説を行っているからだ。
「仏教における法の重要性」について語っているあたりは、抑えめな筆致のなかにも著者の思いが溢れており、「仏教とは何か」ということへの強いメッセージ性を感じる。
もちろん碩学である。たとえ出典を書いていない箇所であっても、
あとあと論書、経典を読んでいる時、水野氏の言及の出典と思われるものに遭遇することがある。
個人のメッセージ性によって歪曲しない、信用できる学者である。
面白いのは、戦後、国内の左傾化、共産主義・社会主義思想の興隆によってか
「仏教は宗教というよりは哲学」のような風潮で、たいていの本に
「仏教は魂は認めない」といちいち書いてあったものだが、
水野氏の著作では、「仏教においても霊魂のようなものは存在するが、固定的な永遠の存在ではなく、
三業によって常に変化変転する性質のものであり、これが三世を流転する」というようなことをちゃんと言っている。
渡辺照宏氏なども近いものがあるが、時代に合わせた安直な「神秘否定」をしていない。
「宗教なのだから霊能力、超能力はあって当然。経典にもそう書いてある」という
非常に“正直”なスタイルをとっているのは、
むしろイデオロギーに影響されなかったということであり、好感が持てるというものである。
これを否定してしまうと、結局、お経にある仏陀の言葉を無視することになるからだ(神秘記述は相当多い)。
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仏教の基礎知識 単行本 – 2009/4/1
水野 弘元
(著)
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仏教の基本的な概念や理論を,豊富な例証を駆使して平易かつ具体的に解明し,また多様な仏教学説の内部構造に光をあて,その人間主義と近代性の意義を説く絶好の入門書。
・版型:四六
・ISBNコード:9784393106082
・出版年月日:2009/04/10
・版型:四六
・ISBNコード:9784393106082
・出版年月日:2009/04/10
- 本の長さ238ページ
- 言語日本語
- 出版社春秋社
- 発売日2009/4/1
- ISBN-104393106083
- ISBN-13978-4393106082
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登録情報
- 出版社 : 春秋社 (2009/4/1)
- 発売日 : 2009/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 238ページ
- ISBN-10 : 4393106083
- ISBN-13 : 978-4393106082
- Amazon 売れ筋ランキング: - 243,334位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,048位仏教入門
- - 11,328位楽譜・スコア・音楽書 (本)
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2019年1月29日に日本でレビュー済み
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2014年8月11日に日本でレビュー済み
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30年以上前の本ですが、今も輝きを失いません。水野先生は偉大だったと思います。
2010年6月22日に日本でレビュー済み
仏教の基礎知識というには結構難しい話が多かった。
四諦、八正道などの話が後半になるまで出てこず、不安になった。
また、原始仏教から大乗仏教までに共通する仏教の本質を解説しようとしたのは凄いことだと思った。
読み応え充分だった。
学生運動を批判してたりして、ちょっと時代を感じるけど。
四諦、八正道などの話が後半になるまで出てこず、不安になった。
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2023年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こちらの「仏教の基礎知識」と「仏教要語の基礎知識」を同時購入し、共に2回読みました。
よく似ていますが、こちらの「仏教の基礎知識」が断然、面白くありました。こちらをお勧めします。
とくに第3章の無我・空の解説は驚きました。常に仏教の本質は「執着から離れること」
と考えていたので、それが明確な文章として書かれていたので、私に刺さりました。
仏教の本を100冊ほど読んでいる私ですが、新しい発見・新しい論理解説もあり良かったです。
ただ、両方とも「一切皆苦」の「苦」の説明で、四苦八苦に基づく様々な苦しみの解説であり、
私が理解する「苦ドゥッカ」は思い通りにならないことであり、苦しみだけでなく、
困難が伴うからこの世は喜びもあり苦しみもある。という解釈と違ったので、
その点だけは納得しておりません。が、総じて、本当に、良い書物でした。
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ただ、両方とも「一切皆苦」の「苦」の説明で、四苦八苦に基づく様々な苦しみの解説であり、
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困難が伴うからこの世は喜びもあり苦しみもある。という解釈と違ったので、
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