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山手樹一郎長編時代小説全集 34 文庫 – 1979/2/1

4.4 5つ星のうち4.4 2個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 春陽堂書店 (1979/2/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1979/2/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 360ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4394101344
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4394101345
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 2個の評価

カスタマーレビュー

星5つ中4.4つ
5つのうち4.4つ
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上位レビュー、対象国: 日本

2011年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
山手版、遠山の金さんの続編です。
テレビのイメージは江戸町奉行で定着していますが、こちらは若くてイナセな江戸の遊び人の金さんの姿が読めます。
入れ墨も好きなお玉と添い遂げようとの粋な心づかいから、女ごころには寸ときますね。

あたしには山手作品のセリフ回しや、江戸の風俗描写のようにちょっと前の小説が好みに合います。
市井ものでなおかつすっきり楽しみたいし、読みたいという方におすすめ。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年3月2日に日本でレビュー済み
山手版の「 遠山の金さん 」の直接の続編です。題材が同じだけではなくて、ちゃんと前作から続いており、家出して遊び人生活を送る金四郎とお玉の仲睦まじい関係のその後を描いています。
前作は連作短編で、次々に色んな事件を解決していくような内容でしたが、今回は(場面は色々変わるものの)偶然もあり必然もあって特定の悪役とぶつかりあいつづけたり、特定の女性キャラに振り回され続けたりする内容です。長編というか連作中編のような構成。ただし最後は、その敵役の関係者ではあるものの、新キャラが急に出てきて、彼女についての短いエピソードが語られて急に終わってしまいます。ちょっと唐突感がある。
山手作品で得意の姐御キャラであるお駒が、再三敵に回りながらも、金さんに惚れてつきまとうというのが特徴です。彼女は魅力的なキャラで、いいところもあり、最後は完全に改心するのですが、もともとは本当に悪い奴なので、(作者が気に入ったのかもしれませんし、もともと悪女には甘い作風ですが)全くお咎めなしというのも何だか納得いかないですね。ただ、お駒の活躍は面白く、全編の殆どを占めるお駒関連の話は、前述通り改心するところで綺麗に終わっています。なので、そのあとの短い別エピソードが猶更余計に感じます。
お玉とは鴛鴦夫婦関係が続いており、あちこちで惚気ていて微笑ましい。しかし、だからこそ、余計なエピソードをつけるくらいならばお玉との関係を最後まで描いてほしかった気もします。お玉はずっと家出中の金四郎が実家に戻ってしまって関係が壊れることを恐れていて、実際史実を考えるとそうなりそうに思えるのですが、なにか抜け道があってハッピーエンドになるということを明示してほしかった。お玉同様、読者も不安なまま終わってしまいます。また、前作でお玉が切望していた妊娠が本作では実現するのですが、流産してしまいます。別作品でいえば「江戸名物からす堂」でも延々と切望しながら子供は出来なかったし、「愉しからずや万作」「万作罷り帰る」でも子供は流産してしまいます。「青空剣法」などは赤ちゃんが出来たところで終わるのでめでたいですが、明朗・ほのぼの・主役カップルがラブラブということで知られる山手作品は意外と懐胎についてはドライな作品も多いように思います。そういった、お玉の未来についての部分だけが残念です。あとは楽しい作品。