どんな考察でも論文でも、“前後の文脈”は大事である。
私も修士課程時代、指導教官から「レビュー（いままでの経緯）は大事である」と口を酸っぱくして言われたが、アニメやマンガに関する限り、なんとなくわかった気になっていることは多い。
「アニメはクールジャパンの象徴のひとつ」
「アニメは儲かる」
これらの言説に対して、本書は反証をするというよりは、アニメをめぐる歴史や環境を俯瞰しつつ、“前後の文脈”を補うことで本当にそう思えるのか、読者が考えるための材料を提示している。
最後の「第５章 日本のアニメはどうなるか」は、その材料をもとに読者が考える部分だろう。
「クールジャパン」に簡単に結論を出さないために読むべき良書である。
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