この本「フォークソングのアメリカ」の書評を読み、興味を持ったので購読。期待通りだったのでさらに「フォークソングのアメリカ ゆで卵を産むニワトリ」を購読。と、いった具合に読み進みました。
別の処にも書きましたが、読みようによってアメリカの西部劇映画やテレビドラマの背景もわかる面白い本です。たとえば「ローハイド」という有名なテレビ番組がありましたが、牛追いという職業はアメリカ史ではたかだか20年くらいの間の「産業」だったのかとはじめて知り、黒人霊歌とブルーズの関係も自分なりに整理できました。
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アメリカを歌で知る (祥伝社新書) 新書 – 2016/3/1
ウェルズ恵子
(著)
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アメリカが自由の国として輝いていた時代、そこにはいつも歌Fがあった。 それらの歌にはどのようなルーツがあり、なぜ長く歌い継がれてきたのか。新天地アメリカが発展し、国土が拡大していく過程で、歌に人々は何を求め、何を託してきたのか。そして、それらの歌は、なぜ後世にのこったのか。 本書は、フォークソングの源流を探り、歌詞に込められた深い意味を分析、歌が誕生した社会的な背景に迫ります。 アメリカ音楽の魂を訪ねる、スリリングな旅!
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2016/3/1
- 寸法10.9 x 1.3 x 17.3 cm
- ISBN-104396114591
- ISBN-13978-4396114596
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商品の説明
出版社からのコメント
現在の経済大国・軍事大国のイメージとは違い、アメリカが自由の国として輝いていた時代がありました。 貧しいながらも人々の生活を支えていたのは、勤勉な労働と、先の暮らしは豊かになれる、という希望。 そこにはいつの時代も「アメリカの歌―フォークソング」がありました。 アメリカで生まれた歌の数々は今も世界中にその歌声を響かせています。アメリカの歌がなかったら今の音楽シーンがどうなっていたのか、想像もつかないことでしょう。 ジャズ、ゴスペル、ロック、ラップ、ヒップホップ・・。アメリカはその多様な歌声をどこから手に入れたのでしょうか。どんな勇気と犠牲の元に、歌を世界に旅立たせたのでしょうか。 アメリカの歌の原型となった数々のフォークソングの由来を明かし、歴史的背景を解き明かしながら、アメリカがたどったもう一つの歴史に迫ります。
著者について
立命館大学文学部教授。アメリカ文学、比較文化論の研究家。詩、歌、物語に関しての著作が多い。黒人文化・白人文化をともに研究の対象とし、その接点としての歌の収集に力を入れている。著書に『フォークソングのアメリカ』『黒人霊歌は生きている』『狼女物語』『魂をゆさぶる歌に出会う―アメリカ黒人文化のルーツ』など。
登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2016/3/1)
- 発売日 : 2016/3/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 280ページ
- ISBN-10 : 4396114591
- ISBN-13 : 978-4396114596
- 寸法 : 10.9 x 1.3 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 244,570位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年4月10日に日本でレビュー済み
著者は1958年生まれの立命館大学文学部教授。
私はその書名からこの書が近年のロックやジャズといった歌曲からアメリカの文化的背景を読み解くという内容なのかと想像しましたが、それは少し違いました。むしろもっと時代をさかのぼって、第二次大戦よりも前の労働歌がどのように今日のアメリカの大衆歌の系譜につながっているのかといった点をつぶさに見ていく構成になっています。
フォークソングが農村や漁村で第一次産業に携わる民衆に土着の文化であったこと。
列車に無賃乗車して北米大陸を移動した労働者たちが歌い継いだホーボーソングの流れがジミー・ロジャースからウディ・ガスリーへと受け継がれていったこと。
アイルランドやスコットランドからの貧しい移民が炭鉱労働者として働く中で慰安の糧にした歌がヒルビリー音楽、そしてカントリーソングへと発展していったこと。(ロレッタ・リンはアイルランド系炭鉱労働者の娘)
最初からカントリーソングとカウボーイとの結びつきがあったわけではなく、両者がセットで考えられるようになったのは1930年代に流行した西部劇映画のせいであること。
特に興味深く読んだのは、「パンと薔薇(bread and roses)」という言葉が、1912年1月12日に起こったストライキに由来しているというくだりです。
労働者や貧困層に優しい眼差しを向ける作風で知られる英国人映画監督ケン・ローチがアメリカを舞台に撮った『 ブレッド&ローズ 』が、なぜそのような題名をつけられているのかとずっと以前から不思議に感じていました。
この書によれば、マサチューセッツ州の街ローレンスの工場労働者たち3万人が参加したストライキの幟に「パンを私たちに与えよ。薔薇を私たちに与えよ」と記されていたことからこのストライキは「パンと薔薇のストライキ」と呼ばれるようになったのだとか。そしてこの言葉を織り込んだジェイムズ・オッペンハイムの詩が歌になり、アメリカで知られるようになったというのです。
この場合の「パン」は身体の糧を、そして「薔薇」は精神の糧を表します。
「精神活動と労働をひとつに考える自律的で毅然とした伝統的ニューイングランド女性の特質を、彼らはこの歌を通して理解し、受け継いだといえるのではなかろうか」(263頁)と著者は綴ります。
映画『ブレッド&ローズ』はアメリカで働くメキシコ出身の不法労働者の組合活動を描く作品です。まさに「パンと薔薇」を求めて闘う女性労働者の映画だったというわけです。
長年の疑問が氷解しました。
この書に関連して以下の二冊を紹介しておきます。
◆東理夫『 アメリカは歌う。――歌に秘められた、アメリカの謎 』(作品社)
◆町山智浩『 本当はこんな歌 』(アスキー・メディアワークス)
--------
*23頁:「通づる」という表記がありますが、正しくは「通ずる」です。
私はその書名からこの書が近年のロックやジャズといった歌曲からアメリカの文化的背景を読み解くという内容なのかと想像しましたが、それは少し違いました。むしろもっと時代をさかのぼって、第二次大戦よりも前の労働歌がどのように今日のアメリカの大衆歌の系譜につながっているのかといった点をつぶさに見ていく構成になっています。
フォークソングが農村や漁村で第一次産業に携わる民衆に土着の文化であったこと。
列車に無賃乗車して北米大陸を移動した労働者たちが歌い継いだホーボーソングの流れがジミー・ロジャースからウディ・ガスリーへと受け継がれていったこと。
アイルランドやスコットランドからの貧しい移民が炭鉱労働者として働く中で慰安の糧にした歌がヒルビリー音楽、そしてカントリーソングへと発展していったこと。(ロレッタ・リンはアイルランド系炭鉱労働者の娘)
最初からカントリーソングとカウボーイとの結びつきがあったわけではなく、両者がセットで考えられるようになったのは1930年代に流行した西部劇映画のせいであること。
特に興味深く読んだのは、「パンと薔薇(bread and roses)」という言葉が、1912年1月12日に起こったストライキに由来しているというくだりです。
労働者や貧困層に優しい眼差しを向ける作風で知られる英国人映画監督ケン・ローチがアメリカを舞台に撮った『 ブレッド&ローズ 』が、なぜそのような題名をつけられているのかとずっと以前から不思議に感じていました。
この書によれば、マサチューセッツ州の街ローレンスの工場労働者たち3万人が参加したストライキの幟に「パンを私たちに与えよ。薔薇を私たちに与えよ」と記されていたことからこのストライキは「パンと薔薇のストライキ」と呼ばれるようになったのだとか。そしてこの言葉を織り込んだジェイムズ・オッペンハイムの詩が歌になり、アメリカで知られるようになったというのです。
この場合の「パン」は身体の糧を、そして「薔薇」は精神の糧を表します。
「精神活動と労働をひとつに考える自律的で毅然とした伝統的ニューイングランド女性の特質を、彼らはこの歌を通して理解し、受け継いだといえるのではなかろうか」(263頁)と著者は綴ります。
映画『ブレッド&ローズ』はアメリカで働くメキシコ出身の不法労働者の組合活動を描く作品です。まさに「パンと薔薇」を求めて闘う女性労働者の映画だったというわけです。
長年の疑問が氷解しました。
この書に関連して以下の二冊を紹介しておきます。
◆東理夫『 アメリカは歌う。――歌に秘められた、アメリカの謎 』(作品社)
◆町山智浩『 本当はこんな歌 』(アスキー・メディアワークス)
--------
*23頁:「通づる」という表記がありますが、正しくは「通ずる」です。
2016年9月3日に日本でレビュー済み
声には特別な力があると思う。
以前、「声の力、詩の力」というシンポジウムで、ある方の最期のことばが
「お母さんの声が聞きたい」だったという話が紹介された。
愛する人の声で呼びかけられること、
その人と自分との間で何度も呼び交(か)わされた言葉を耳にすることは、魂を抱きしめられる気持ちのすることなのだろう。
古来から声や息(いき)は魂の現われだったし、声色(こわいろ)はその人の感情を代弁した。
声は肉体を超えて遠くへ届く自分の一部であり、声が再現する言葉は他者とのつながりを保証するかけがえのない絆(きずな)であった。
私が、人の声を好きだと気づいたのは、歌詞の研究者になってからのことである。
~「はじめに」から
・・・・・やっぱ、じぶんが何かを好きだ と表明することの すがすがしさ。。。つか強さ。つか美しさ。
2016年3月の発売直後にたまたま駅前の小さな本屋で立ち読みして電光石火「これや!」おもて買って読んで感心して 半年ほど寝かしておいた本。
パラっとめくったら やはりステキな書物である。
祥伝社新書は良質な作品をうみだす波にのっている。
チャーチルやドストエフスキーの伝記も面白かった。
あるしゅ、カンペキを目指さずに勢いありきで出版してるとこがかっこよく、アツい。
だからあれだ。日刊ゲンダイみたいに、「生きてる言葉」、なまものとしての言葉を味わえる。
冗長率の高さもたのしい。具体例。
マルディグラは、ヨーロッパの早春のお祭りに発していて、そこへ各地の文化伝統が入り込み、
ネイティブアメリカンの衣装や風習も取り込みながら、世界的に名を馳せる盛大なお祭りになっていきました。
また、パレードばかりがマルディグラではなく、地域のコミュニティでさまざまなイベントが行なわれるのです。
秋田のなまはげに似た封中などもあります。 p169
じぶんの仕事と暮らしを嘆(なげ)くのは、アメリカ民謡の典型だ。
聞いていると、これは日本の呑み屋で耳にするサラリーマンのグチと同じことかなあと思ったりする。
しかし時間の経過は、よい歌だけをふるいにかけて残してくれた。
不平不満をつきぬけて、彼らの歌声は人生の重さや愛(いと)おしさまでを表現する。 p133
以前、「声の力、詩の力」というシンポジウムで、ある方の最期のことばが
「お母さんの声が聞きたい」だったという話が紹介された。
愛する人の声で呼びかけられること、
その人と自分との間で何度も呼び交(か)わされた言葉を耳にすることは、魂を抱きしめられる気持ちのすることなのだろう。
古来から声や息(いき)は魂の現われだったし、声色(こわいろ)はその人の感情を代弁した。
声は肉体を超えて遠くへ届く自分の一部であり、声が再現する言葉は他者とのつながりを保証するかけがえのない絆(きずな)であった。
私が、人の声を好きだと気づいたのは、歌詞の研究者になってからのことである。
~「はじめに」から
・・・・・やっぱ、じぶんが何かを好きだ と表明することの すがすがしさ。。。つか強さ。つか美しさ。
2016年3月の発売直後にたまたま駅前の小さな本屋で立ち読みして電光石火「これや!」おもて買って読んで感心して 半年ほど寝かしておいた本。
パラっとめくったら やはりステキな書物である。
祥伝社新書は良質な作品をうみだす波にのっている。
チャーチルやドストエフスキーの伝記も面白かった。
あるしゅ、カンペキを目指さずに勢いありきで出版してるとこがかっこよく、アツい。
だからあれだ。日刊ゲンダイみたいに、「生きてる言葉」、なまものとしての言葉を味わえる。
冗長率の高さもたのしい。具体例。
マルディグラは、ヨーロッパの早春のお祭りに発していて、そこへ各地の文化伝統が入り込み、
ネイティブアメリカンの衣装や風習も取り込みながら、世界的に名を馳せる盛大なお祭りになっていきました。
また、パレードばかりがマルディグラではなく、地域のコミュニティでさまざまなイベントが行なわれるのです。
秋田のなまはげに似た封中などもあります。 p169
じぶんの仕事と暮らしを嘆(なげ)くのは、アメリカ民謡の典型だ。
聞いていると、これは日本の呑み屋で耳にするサラリーマンのグチと同じことかなあと思ったりする。
しかし時間の経過は、よい歌だけをふるいにかけて残してくれた。
不平不満をつきぬけて、彼らの歌声は人生の重さや愛(いと)おしさまでを表現する。 p133
2016年6月26日に日本でレビュー済み
ウェルズ恵子さんの著書『アメリカを歌で知る』は、彼女が継続的に執筆している、アメリカ音楽の誕生したダイナミックな時代を取り扱った過去の原稿内容に改稿と大幅な加筆を施したものです。歌詞のイメージの豊穣さが際立つ初期アメリカの歌を通して、歌い手のその時々の心情や心意気に肉迫していきます。地道な資料研究を踏まえた事実関係に基づく著者の女性的な感情移入もごく自然な魅力ある一冊です。
アメリカの歌の源流へ遡ってその本旨に迫っていますが、フォークソングを愛する著者の視線は自ずと歌うという人の肉声で伝える行為に向けられます。日々の暮らしの中で歌声が地続きに密接な関わりを持っていた時代。戦後の日本がこれらの先例のアメリカ文化を享受していったのも、延いては事実上ロック、ジャズ、ソウルといった20世紀音楽全体を形作った万能の仕様書だったというアメリカ音楽の影響力の大きさには驚くとともに再度考えさせられるものがあります。
本書の内訳はホーボーソング、ジミー・ロジャーズ、ウディ・ガスリー、ピート・シーガー、ボブ・ディランの歌を辿る第一章。シーシャンティ~捕鯨のバラッド、つまり船乗りの歌を取り上げた第二章。第三章ではカウボーイ~アウトローや鉄道員の歌を取りあげて、鉄道というキーワードで次章へ繋ぎます。第四章ではレッドベリーやチャーリー・パットン等のブルーズに込められた正体。第五章は炭鉱夫の歌や、スコティッシュ~アイリッシュ関係の白人音楽から派生していったヒルビリー~カントリー~ブルーグラスまで。楽曲の誕生した時代背景や個別のアーティストから無名の人々まで、その営みが歌詞を通して描かれています。
この中で本編の第二章では、戦前の20数年間を船乗りに従事し、最後のシャンティマンと目されたスタン・ハギルの著作物からの引用で構成されていますが、新書でメルヴィル『白鯨』の世界をリアルに伝える彼の船乗りの営為を大きく取り上げているのは画期的でしょう。平たく言えば、見知らぬ土地や海原で劣悪な労働環境にあった何時命を落とすか判らない日々の、彼ら船員を鼓舞して逞しく生き抜く合間に機能した必須の歌だったこと、あらゆる国籍をこえて意志の疎通をはかる重要な役割を担っていたことが記されています。
第一章のフォークソングと同様に日本で人気の、ウェスタン映画や小説が好きな方には外せない、第三章でカウボーイの実態が描かれています。アメリカ民謡の典型とされながらカウボーイの歌に込められたのは、現代人のある部分では何ら変わらない有り様に親近感を覚えるものの、安定しない日々の彼らにとっては切実な生きる上での吐露や余興としての受け皿、つまりは生活が苦しくてやりきれない労働の気晴らしだったという彼らの悲哀。それは次なる第四章に顕著で、宗教色の濃厚な黒人霊歌以外の、切り捨てられた世俗的な黒人歌にこそブルーズの本懐があり、当時の黒人が人種差別や貧窮に喘ぐ中から昇華していたという切なくも逞しい歌世界に表れています。ブルーズの歌詞が如何に深遠なものだったかは本書に詳しいですが、そこにあるのは現代人がツイッターでつぶやく行為と何ら変わらない彼らの実態です。
初期のブルーズは民謡と見分けがつかず、歌い手には「自分の歌」という意識があまりない。なにかを伝えようという意識もあまりない。むしろ、歌うことで自分と対話し、しんどさを「他人事」にかえて癒されようとしている。聞かせるための歌ではなくて、つぶやく歌なのだ。(174頁より)
ブルーズのすごさは、心身の乖離感覚が、簡単な言葉で、だれにでも共感できるような詩になっているところである。歌い手は、苦痛で麻痺するほどの状態にありながら、苦痛の原因を自分から取り出して、「ブルーズ」だの黒猫だの、悪運や死神だのといった登場人物に仕立て上げ、傍観者のようにそれを眺め、しかも歌という娯楽を生産している。どん底の苦痛をネタに楽しみを生み出しているのだ。(199頁より)
かつてブライアン・イーノをして「アラン・ロマックスがいなければ、ブルーズの爆発もR&Bの運動も、ビートルズもローリング・ストーンズもヴェルヴェット・アンダーグラウンドも存在しなかったであろう」と言わしめた、1950年代後半~60年代前半にかけてイギリスの若者に注目を集めることになるアメリカ民謡の研究者にしてナビゲーターだったアラン・ロマックスの影響下にある、日本的な視点で探訪する同テーマの骨子ですが、本書の内容に関係している「我が祖国」「ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンズ」「花はどこへ行った」「むなしき愛」「スウィート・ベッツィ・フロム・パイク」「セイラー・ボーイ」といったカバーでも知られるこれら新旧の音楽を、個人的には何の脈絡もなしに気の向くまま聴いてきたのですが、その歌詞に着目した本書のおかげで、より身近な歌として見通しよい捉え方が出来るようになりました。現代から見れば、全ては古き良き歌に思えてしまいますが、必ずしもそうではないことが本書から得られる最大の利点でしょう。
研究の成果があまりにさらっと書かれてあるので見過ごしがちですが、貴重な見解や提言も盛り込まれていると思います。サイレント映画『チャップリンの船乗り生活』の原題だった「シャンハイ(上海)する」という英語表現や、奴隷制時代の宗教儀式を表す「シャウト」についての考察など、細かな部分でも面白い記述に恵まれました。なお、本書で興味を持たれた向学心ある方は同テーマを公に解説した、著者が主幹の立命館大学アート・リサーチ・センター/アメリカンフォークソング資料保存プロジェクトのウェブページをご覧いただくことを推奨します。
アメリカの歌の源流へ遡ってその本旨に迫っていますが、フォークソングを愛する著者の視線は自ずと歌うという人の肉声で伝える行為に向けられます。日々の暮らしの中で歌声が地続きに密接な関わりを持っていた時代。戦後の日本がこれらの先例のアメリカ文化を享受していったのも、延いては事実上ロック、ジャズ、ソウルといった20世紀音楽全体を形作った万能の仕様書だったというアメリカ音楽の影響力の大きさには驚くとともに再度考えさせられるものがあります。
本書の内訳はホーボーソング、ジミー・ロジャーズ、ウディ・ガスリー、ピート・シーガー、ボブ・ディランの歌を辿る第一章。シーシャンティ~捕鯨のバラッド、つまり船乗りの歌を取り上げた第二章。第三章ではカウボーイ~アウトローや鉄道員の歌を取りあげて、鉄道というキーワードで次章へ繋ぎます。第四章ではレッドベリーやチャーリー・パットン等のブルーズに込められた正体。第五章は炭鉱夫の歌や、スコティッシュ~アイリッシュ関係の白人音楽から派生していったヒルビリー~カントリー~ブルーグラスまで。楽曲の誕生した時代背景や個別のアーティストから無名の人々まで、その営みが歌詞を通して描かれています。
この中で本編の第二章では、戦前の20数年間を船乗りに従事し、最後のシャンティマンと目されたスタン・ハギルの著作物からの引用で構成されていますが、新書でメルヴィル『白鯨』の世界をリアルに伝える彼の船乗りの営為を大きく取り上げているのは画期的でしょう。平たく言えば、見知らぬ土地や海原で劣悪な労働環境にあった何時命を落とすか判らない日々の、彼ら船員を鼓舞して逞しく生き抜く合間に機能した必須の歌だったこと、あらゆる国籍をこえて意志の疎通をはかる重要な役割を担っていたことが記されています。
第一章のフォークソングと同様に日本で人気の、ウェスタン映画や小説が好きな方には外せない、第三章でカウボーイの実態が描かれています。アメリカ民謡の典型とされながらカウボーイの歌に込められたのは、現代人のある部分では何ら変わらない有り様に親近感を覚えるものの、安定しない日々の彼らにとっては切実な生きる上での吐露や余興としての受け皿、つまりは生活が苦しくてやりきれない労働の気晴らしだったという彼らの悲哀。それは次なる第四章に顕著で、宗教色の濃厚な黒人霊歌以外の、切り捨てられた世俗的な黒人歌にこそブルーズの本懐があり、当時の黒人が人種差別や貧窮に喘ぐ中から昇華していたという切なくも逞しい歌世界に表れています。ブルーズの歌詞が如何に深遠なものだったかは本書に詳しいですが、そこにあるのは現代人がツイッターでつぶやく行為と何ら変わらない彼らの実態です。
初期のブルーズは民謡と見分けがつかず、歌い手には「自分の歌」という意識があまりない。なにかを伝えようという意識もあまりない。むしろ、歌うことで自分と対話し、しんどさを「他人事」にかえて癒されようとしている。聞かせるための歌ではなくて、つぶやく歌なのだ。(174頁より)
ブルーズのすごさは、心身の乖離感覚が、簡単な言葉で、だれにでも共感できるような詩になっているところである。歌い手は、苦痛で麻痺するほどの状態にありながら、苦痛の原因を自分から取り出して、「ブルーズ」だの黒猫だの、悪運や死神だのといった登場人物に仕立て上げ、傍観者のようにそれを眺め、しかも歌という娯楽を生産している。どん底の苦痛をネタに楽しみを生み出しているのだ。(199頁より)
かつてブライアン・イーノをして「アラン・ロマックスがいなければ、ブルーズの爆発もR&Bの運動も、ビートルズもローリング・ストーンズもヴェルヴェット・アンダーグラウンドも存在しなかったであろう」と言わしめた、1950年代後半~60年代前半にかけてイギリスの若者に注目を集めることになるアメリカ民謡の研究者にしてナビゲーターだったアラン・ロマックスの影響下にある、日本的な視点で探訪する同テーマの骨子ですが、本書の内容に関係している「我が祖国」「ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンズ」「花はどこへ行った」「むなしき愛」「スウィート・ベッツィ・フロム・パイク」「セイラー・ボーイ」といったカバーでも知られるこれら新旧の音楽を、個人的には何の脈絡もなしに気の向くまま聴いてきたのですが、その歌詞に着目した本書のおかげで、より身近な歌として見通しよい捉え方が出来るようになりました。現代から見れば、全ては古き良き歌に思えてしまいますが、必ずしもそうではないことが本書から得られる最大の利点でしょう。
研究の成果があまりにさらっと書かれてあるので見過ごしがちですが、貴重な見解や提言も盛り込まれていると思います。サイレント映画『チャップリンの船乗り生活』の原題だった「シャンハイ(上海)する」という英語表現や、奴隷制時代の宗教儀式を表す「シャウト」についての考察など、細かな部分でも面白い記述に恵まれました。なお、本書で興味を持たれた向学心ある方は同テーマを公に解説した、著者が主幹の立命館大学アート・リサーチ・センター/アメリカンフォークソング資料保存プロジェクトのウェブページをご覧いただくことを推奨します。
2016年3月17日に日本でレビュー済み
フォークソング、ブルーズ、ゴスペル、モダン・フォーク、カントリー、ウェスタン、ブルーグラス...日本にはありとあらゆる「アメリカの(ポピュラー音楽の)歌」が入って来ており、それぞれに熱心な愛好者がいる。だが、私たちはこれらの「歌」を、概して「歌」としてよりは「音」として楽しんできたのではないか。「歌」には「歌」にしか伝えられない重要な役割(機能)があるのだとすれば、「歌」から「歌」を切り捨ててしまったのでは、「歌」が「歌」として本当に愛好されてきたとは言えないのではないか。
こんな疑問を抱いてきた人がいるとすれば、「歌詞研究」を通じてそれに正面から答えてくれるのが本書だ。
歌詞研究は歌詞の正確な把握から出発するが、その歌詞はアメリカの歴史的、社会的、文化的文脈に結びつけられ、参照されて解釈されなければならない。また、本書は、それらの「歌」を一つの文学的資料として扱い、文学的分析の対象として位置づける。その上で、「アメリカの歌」の数々、また、それらの「歌」が属するサブ・ジャンルが徹底的に分析され、遂にはその最も深層に潜んでいる、その「歌」なりサブ・ジャンルなりの本質が発見されるに至る。本書は、その過程を豊富な例を通じて一つ一つ実際に見せてくれる。これを著者と共に追っていくのは、読者にとっても実にスリリングな体験だ。
一般向けに書かれているとはいえ、本書に書かれている内容は極めて深い。「アメリカのポピュラー音楽」に関心を持つ諸兄姉にとっては、決して無関心ではいられない一冊だ。
こんな疑問を抱いてきた人がいるとすれば、「歌詞研究」を通じてそれに正面から答えてくれるのが本書だ。
歌詞研究は歌詞の正確な把握から出発するが、その歌詞はアメリカの歴史的、社会的、文化的文脈に結びつけられ、参照されて解釈されなければならない。また、本書は、それらの「歌」を一つの文学的資料として扱い、文学的分析の対象として位置づける。その上で、「アメリカの歌」の数々、また、それらの「歌」が属するサブ・ジャンルが徹底的に分析され、遂にはその最も深層に潜んでいる、その「歌」なりサブ・ジャンルなりの本質が発見されるに至る。本書は、その過程を豊富な例を通じて一つ一つ実際に見せてくれる。これを著者と共に追っていくのは、読者にとっても実にスリリングな体験だ。
一般向けに書かれているとはいえ、本書に書かれている内容は極めて深い。「アメリカのポピュラー音楽」に関心を持つ諸兄姉にとっては、決して無関心ではいられない一冊だ。