「言霊」と並ぶ井沢氏のノンフィクションの傑作である。
本書の中で著者は断言する。非武装論者なる人々は自衛官(+警察官)を差別する差別主義者である・・・と。
本書を読んでいて、小生は思う。
以前、警察幹部として70年代前後の大学封鎖、連合赤軍事件等の警備取締の陣頭指揮に当たった佐々淳行氏が、その著書の中で御子息が「警察官の子供」と言う理由で、教師から不当な差別的扱いを受けた、という話を思い出した。
また、最近ある学校のPTAで、ある母親が看護婦であるという理由で村八分のような扱いを受けている話を聞いた。
小生は、このような差別を理性的に許すわけにはいかないと思う。
しかし、おそらく「死穢」とそれに関わる職業にかかわる人々への穢れ・差別意識は、古来より日本人の中で培われ、今日でも多く彼少なかれ全ての日本人を蝕む社会的病理であろう。無論小生も例外ではないと思う。
小生も含め「そんな差別意識など、少なくとも自分は抱いていない」と意識的には思い、その旨を周囲に公言していても、それは結局、自己の無意識にすまう「呪縛」への無知の告白に他ならないような気がする。
本書は、武力を持つものを差別すればいずれその報復を受けること、そして現に、昭和初期までの日本人にも、現代の日本人の多くの人々と同じように軍人を差別しており、それが軍部の台頭を招いた可能性があること、等も具体的事実を挙げつつ論証する。
本書は、決して特定のイデオロギーへの感情的な批判ではない。日本史全体を俯瞰して「非武装中立」というイデオロギーを、何故、多くの日本人が正しいと考えるのか、そのように自分を考えさせている無意識の“何か”の正体を、数々の具体的な歴史的事例を挙げつつ、科学的に追及しようと試みる力作である。
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穢れと茶碗: 日本人は、なぜ軍隊が嫌いか (ノン・ポシェット い 6-5) 文庫 – 1999/2/1
井沢 元彦
(著)
- 本の長さ289ページ
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日1999/2/1
- ISBN-104396311141
- ISBN-13978-4396311148
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登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (1999/2/1)
- 発売日 : 1999/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 289ページ
- ISBN-10 : 4396311141
- ISBN-13 : 978-4396311148
- Amazon 売れ筋ランキング: - 726,857位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 651位日本論
- - 13,581位社会学概論
- - 68,597位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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昭和29年、名古屋市生まれ。早大法学部卒。TBS入社後、報道局放送記者時代『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。その後退社し執筆活動に専念。歴史推理・ノンフィクションに独自の世界を開拓。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 井沢式「日本史入門」講座4 (ISBN-13: 978-4198931230)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年3月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
kindleでこの本を知って読んでみましたが、電子版で読んでて物足りなさを感じ、紙の本を探して
購入しました。明治から敗戦までもそうでしたが、今に至っても日本人は軍隊に嫌悪感を抱く割合が
高いように思います。それはなぜかという一つの見方を示しています。
購入しました。明治から敗戦までもそうでしたが、今に至っても日本人は軍隊に嫌悪感を抱く割合が
高いように思います。それはなぜかという一つの見方を示しています。
2014年8月14日に日本でレビュー済み
学者気取りの似非インテリと左翼リベラル人士など左翼業界人には極めて評判の悪い「逆説の日本史」シリーズの井沢元彦。しかし、彼の功績は絶大だ。
1行目の方々は「そんなこと前々から常識だ」とおっしゃる、日本人の穢れの意識。しかし、これは多くの日本人には無自覚なものだった筈。井沢元彦が初めて分かりやすく解説してくれたのではないか?死の穢れを忌み嫌う日本人の無自覚の意識が、警察官・自衛隊員への蔑視、延いては部落差別につながっているという解説など、井沢以前に明言した人がいたか?「そんなの分かっていた」はダメだよ。分かっていても、言わなけりゃ知らないのと同じ。違うか?
「言霊思想」にしても同様。これも多くの人々は無自覚だった筈。井沢の著作は、いわば「コロンブスの卵」だったのは間違いない。
井沢元彦の本によって歴史は複眼で見るべきものと納得した人は多いはず。自然科学者の如く、科学的で客観的で公正中立を気取っている人文・社会科学者の主張が、実は秘かに、あるいは大っぴらに左に傾いていることは普通の常識ある日本人なら誰でも知っている。井沢元彦がこれに対するため、反左翼に思われるのはいわば当然。「井沢は右翼」という批判など、井沢の読者には何の痛痒も感じない。「そんなことを言うおたくは左翼ですなぁ」と返せばよろしい。井沢元彦の奮闘を今後も期待する。
1行目の方々は「そんなこと前々から常識だ」とおっしゃる、日本人の穢れの意識。しかし、これは多くの日本人には無自覚なものだった筈。井沢元彦が初めて分かりやすく解説してくれたのではないか?死の穢れを忌み嫌う日本人の無自覚の意識が、警察官・自衛隊員への蔑視、延いては部落差別につながっているという解説など、井沢以前に明言した人がいたか?「そんなの分かっていた」はダメだよ。分かっていても、言わなけりゃ知らないのと同じ。違うか?
「言霊思想」にしても同様。これも多くの人々は無自覚だった筈。井沢の著作は、いわば「コロンブスの卵」だったのは間違いない。
井沢元彦の本によって歴史は複眼で見るべきものと納得した人は多いはず。自然科学者の如く、科学的で客観的で公正中立を気取っている人文・社会科学者の主張が、実は秘かに、あるいは大っぴらに左に傾いていることは普通の常識ある日本人なら誰でも知っている。井沢元彦がこれに対するため、反左翼に思われるのはいわば当然。「井沢は右翼」という批判など、井沢の読者には何の痛痒も感じない。「そんなことを言うおたくは左翼ですなぁ」と返せばよろしい。井沢元彦の奮闘を今後も期待する。
2015年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戦争に関することへの日本人特有の思考停止について、非常にわかりやすく説明された本でした。
とにかく戦争はいけないんだ!と壊れたレコードみたいに繰り返す人は一度この本を読んでいただきたいです…。
ちょうど半分程読んだ時に、「SNSで自分は戦争反対だけどみんなはどう思う?と問題提起しても議論にならないのはなぜか?事なかれ主義なのか?」と議論をふっかけられることがありましたので、この本のことをお伝えしてみました。結論としては、この方こそが戦争反対論者だったので、お話になりませんでした…「平安時代のことなんか自分たちには関係ない」果ては「本に洗脳されている」で終わりにされました。
私としては、良い本読んだよ!とお伝えしたかったのですが、「戦争は悪だ、人間は簡単に悪になるのだから金輪際武力を持ってはいけない」「戦争をやりたい男に政治を任せてはいけない」という軸から離れない方には説明をしても無駄なのだな…と思うと、後半部分に出てきた、実在の方を想定した討論方式(?)は正解だったと思います。読んでてちょっと疲れた部分ですが、たしかに必要です。
本当の敵は無知ですが、学ぶ前に己の日本人気質の何たるかは知っておいたほうが絶対いい。
度を越せば確実に悪癖なのですから、まずは認識しましょう。認識しないと治りませんもん。
その上で美徳を選び取って生きてゆきたいと思いました。
とにかく戦争はいけないんだ!と壊れたレコードみたいに繰り返す人は一度この本を読んでいただきたいです…。
ちょうど半分程読んだ時に、「SNSで自分は戦争反対だけどみんなはどう思う?と問題提起しても議論にならないのはなぜか?事なかれ主義なのか?」と議論をふっかけられることがありましたので、この本のことをお伝えしてみました。結論としては、この方こそが戦争反対論者だったので、お話になりませんでした…「平安時代のことなんか自分たちには関係ない」果ては「本に洗脳されている」で終わりにされました。
私としては、良い本読んだよ!とお伝えしたかったのですが、「戦争は悪だ、人間は簡単に悪になるのだから金輪際武力を持ってはいけない」「戦争をやりたい男に政治を任せてはいけない」という軸から離れない方には説明をしても無駄なのだな…と思うと、後半部分に出てきた、実在の方を想定した討論方式(?)は正解だったと思います。読んでてちょっと疲れた部分ですが、たしかに必要です。
本当の敵は無知ですが、学ぶ前に己の日本人気質の何たるかは知っておいたほうが絶対いい。
度を越せば確実に悪癖なのですから、まずは認識しましょう。認識しないと治りませんもん。
その上で美徳を選び取って生きてゆきたいと思いました。
2014年3月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
井沢さんが繰り返し話して見えることの羅列ですから
新鮮味はありませんが おっしゃっていることは そうだと思います
新発見は なし。
新鮮味はありませんが おっしゃっていることは そうだと思います
新発見は なし。
2021年2月11日に日本でレビュー済み
戦争中の憲兵や特高の振る舞いに対する嫌悪感によるものであり
戦前はむしろ軍人さんは尊敬されていましたよ。
穢れ思想と軍隊嫌いは何の関係もありません。
戦前はむしろ軍人さんは尊敬されていましたよ。
穢れ思想と軍隊嫌いは何の関係もありません。
2015年4月19日に日本でレビュー済み
本書は1994年に刊行されたものです。
井沢氏の「逆説の日本史」シリーズを愛読している中で、本書を偶然手に入れました。
尤もな内容もありますが、偏見も多く感じます。
歴史物を書き始めて間もなくで、どうしても多くの方々に「穢れ」思想の悪影響を知って欲しいようで
かなり肩に力が入っています。
井沢史観を知らない方には読んでほしい一冊です。
井沢氏の「逆説の日本史」シリーズを愛読している中で、本書を偶然手に入れました。
尤もな内容もありますが、偏見も多く感じます。
歴史物を書き始めて間もなくで、どうしても多くの方々に「穢れ」思想の悪影響を知って欲しいようで
かなり肩に力が入っています。
井沢史観を知らない方には読んでほしい一冊です。
2004年1月7日に日本でレビュー済み
初版が1994年のため、取り上げられている題材に古くささは感じるが、イラクへの自衛隊派遣問題や憲法改正問題にも通ずることなので、今でも十分読み応えのある一冊だ。
日本人が自分の茶碗や箸以外を使うのを嫌がるのは穢れ(ケガレ)が原因である、とした上で、日本人が軍隊を嫌う理由も同じであると筆者は述べている。平安時代の検非違使制度に顕著に表れる穢れ思想こそが今日の日本人の軍隊に対する感情論を形作っている、という著者の意見は極めて斬新であり、従来の憲法9条や自衛隊の議論では指摘されていなかった著者独自の視点だけに大変興味深い。
ただ平安時代のことを指摘しながら、戦前の軍国主義体制も「軍隊嫌いへの反動」として片づけているだけでなく、平安以前や鎌倉以降の軍事政権と穢れ思想との関係性についてあまり踏み込まれていなかったのは残念だった。
日本人が自分の茶碗や箸以外を使うのを嫌がるのは穢れ(ケガレ)が原因である、とした上で、日本人が軍隊を嫌う理由も同じであると筆者は述べている。平安時代の検非違使制度に顕著に表れる穢れ思想こそが今日の日本人の軍隊に対する感情論を形作っている、という著者の意見は極めて斬新であり、従来の憲法9条や自衛隊の議論では指摘されていなかった著者独自の視点だけに大変興味深い。
ただ平安時代のことを指摘しながら、戦前の軍国主義体制も「軍隊嫌いへの反動」として片づけているだけでなく、平安以前や鎌倉以降の軍事政権と穢れ思想との関係性についてあまり踏み込まれていなかったのは残念だった。