1年9ヶ月にわたる岩倉具視使節団の欧米視察旅行がどれだけ近代日本飛躍の原点になったかということが、わかりやすく平明にかかれており、使節団の一挙一動が本書で手に取るように眼前に浮かびあがります。短い書物だけに一気に読了してしまいます。基礎文献となっているのは「米欧回覧実記」5巻で、さらに興味ある方はそちらの原文を読めばもっと面白いかもしれません。単に欧米諸国の政治・経済だけに絞って分析しているだけではありません。50人ほどの平均年齢32歳の日本人の集団が始めて西欧文明にじかに触れて感じたこと、気候、風俗、食事、キリスト教、日常生活など、ありとあらゆる事柄について正直な感想を記しており、本書の内容は決して堅苦しいものではありません。すでに欧米に駐在されたことがある日本人でしたら、彼らの鋭い正確な観察眼に驚くでしょう。最初、英・仏・独・北欧と北ヨーロッパ諸国を回った視察団が、イタリアに入って車窓を見ているうちにイタリアはのんびりし過ぎて享楽的でないかと述べている光景には、思わずまさに自分と同じ体験だった笑ってしまいました。政治・経済・産業についての観察は言うまでもなく核心を鋭くついたものばかりでしばしば驚嘆させられるのですが、逆に完全に理解不能だったのは訪問先の至るところでみるキリストの磔刑の絵などであり、さすがこれだけは別の惑星のことのようにとらえています(本書144頁)。
本書でわかる興味深いことは、この視察団の頃を境にして日本人の教養が漢文から英語重視にゆっくりと移っていくことです。視察団はある程度の英仏語をしゃべり、理解しても、当時としては当然ですが物の分析・思考はガチガチの漢文派であり、互いに正反対の意見を持つ日本人同士でも四書五経などの古典が共通の基盤であり、そのおかげでむしろ正確に西欧文明の本質を捉えているのです。この時点だけに限れば、中華文明の精華を継承しているのは明らかに日本人ということになります。当時、清からもわりと何度も使節が欧州に行っているはずですが、欧米の進歩を認めたくない中華思想の弊害か太平天国の乱収束後の影響があったためか、日本の使節団の資質・教養の方が圧倒的に高かったようであり、それは一部の欧米人も認めていました(166頁引用「中国人は人間の格が低すぎて、占めている地位相応の威厳を示すことのできない人物を外国に派遣した」)。
使節団随一の知識人といえば「米欧回覧実記」を著した漢学者の久米ですが、欧米では物質的な欲求が満たされた「快美の生活」、東洋(実際は日本)では「全き生活」(審美的で精神的な具足)が重要視されると具体的に比較しています(150頁あたり)。この他、東西文明の比較論は随所にあり、本書の魅力となっています。彼は当時の日本の師匠オランダについても、国土の貧しさを発見し(石炭・木材等の自然資源がない)、それにも拘わらず、繁栄してきたのはそのものずばり勤勉・忍耐心および海外へ積極的に出るという進取の気象だと指摘しており、1世紀以上過ぎた今でもこの言葉は色あせていません。引用したい語句は多数あり過ぎるのですが、一つ恐らく指摘されていないだろうことは、使節団の慧眼が大発展してきた欧州も実は最近40年のことに過ぎなかったと、産業革命の動きを見抜いたことでした(72頁、160頁)。中国側の使節にはこうした動的把握が欠如していたようであり、この鋭い洞察が明らかに日本を近代化の波にぴたりと乗せる原動力になったと推察できます。単に殖産興業、富国強兵、教育の重要性の理念だけでなく、西欧の動きを当時の日本の上層部がまさしく体感できたことは本当に幸運でした。
しかし、著者が指摘するようにこれまでこの岩倉具視の使節団の訪欧の重要性は明らかに低く評価されており、その原因として西郷さん贔屓(びいき)に引きずられ、日本人の間で岩倉・大久保嫌いが多いことだろうとしています。この辺の突っ込みは表面的であり、物足りなさを感じるところであり、本書の読者は補足的にもっと独自に深読みをした方が、本書が一層生きてきます。岩倉具視がその圧倒的な業績にかかわらず、なぜ日本人に愛されていないかは、当時の民衆が結局西郷さんを政権から追放したのは岩倉・大久保組の陰謀だと誤解し、岩倉具視による孝明天皇毒殺説までかなり強く信じていたからです。毒殺説が真であれ偽であれ、孝明天皇の崩御により明治維新が大きく動いた以上、これに深く触れることはタブーであったようです。当時の日本には倒幕派もいれば、幕府維持の佐幕派も結構多数おり、その一部には共和制の日本を考える少数派もいたのです。尊王で単純にまとまっていたわけではありません。同時にもう一つの重大なことは、明治維新の裏舞台では英国からの膨大な資金が薩摩藩に流れ込み、明治政府自身も英国から巨額の融資を受けていたということです。動乱期には裏表の融資があり、裏融資については明らかにされていません。名目上はともかく、実質的にはどう見ても英国経由の資金が岩倉具視の使節団にもある程度流入しているはずだし、そうでなければ渡欧2年近くに渡って50万ドルという巨額資金を発足当時で財政難の日本政府が用意できたとは思えません。使節団の会計係も誰なのか本書を読む限りでは不明です。手持ちの金銀の他に行く先々で現地通貨を立て替えてくれる人がいないと当時の世界旅行は無理ではないでしょうか(電信による外国為替送金はまだない)。しかも途中で盗難にさえあっています。各国の新聞社への手配も、英国の資金を背景とした現地有力者によるマスコミ対策を想定しなければ難しいですし、外交団の通訳者能力だけでは限界があります。在外公館(大使館等)の業務を知らない本書の著者は単に「いざとなればそれくらいの金は、準備できるだけの国力が備わっていた」(64頁)としています。
現在、英国大使館は皇居そばの一等地にあり、しかも外国大使館としては恐らく最大の面積であり、当時の日本への最大の貸し手として当然であるとともに、万が一日本が英国への債務不履行をなし、何らかの動乱が再び日本で生じた場合には英国大使館は英国の軍隊を収容する場所として皇居横にその広さが必要だったということになります。横浜(実際には桜木町)から新橋まで日本初の鉄道が敷かれたのも、横浜から新橋、および英国大使館まで英国の部隊を運ぶ目的で必要だったと思わざるえません。中国でのアヘン戦争及びその前後の英国の動きは英国にとっていわば黒歴史であり、日本で何をきっかけに(薩英戦争?)英国が方向転換をして薩摩藩と倒幕・開国への動きと歩調を合わせたのかは、恐らくまだ外交機密とされている英国側での資料でしかわからず、歴史の闇は一般に思われている以上に非常に深いようです。本書ではこうした日本の夜明け前後に繰り広げられた歴史の闇の動きについては一切触れておらず、岩倉具視使節団を絶えず賛美しているだけであり、批判的な視点が一切ないというのが本書の物足りない面と言えるかもしれません。
最後に本書後半では、征韓論の西郷を中心とする留守組と富国強兵優先の岩倉・大久保海外組の拮抗から、最初は西郷の征韓論が優勢になり、結局岩倉・大久保が勝利するという流れをかなり劇的に描写しており、その部分だけでも読む価値があります。ただし、推測するに大久保はこの時期を境に殖産政策により英国への借金返済を最優先しなければ、日本は最終的に英国への植民地となるだろうということ(国家的な機密?)を明治天皇に訴えた可能性はありますし、西郷ともそれを議論した可能性はありますが、本書ではそれについては一切触れていません。
2017年11月追記:
本書を読んで、なぜ日本が英仏米の植民地にならなかったのかというよく聞かれる疑問について漠然と答えが出てくるかもしれません。英米仏がアジア諸国を植民地とするかどうかは、(1)相手方の軍事力、(2)単一の立法・行政組織があるかどうか(国としてまとまっているか)、(3)外交的な配慮:英国は仏と、仏は英国と争いごとにならないか、米国だけは南北戦争中かその直後で取り込み中。これら3つの観点で英仏の植民地化検討が行われたようです。当時の日本は薩英戦争および下関戦争(長州藩の仏との戦い)でとりあえず英国側にそうそう簡単に日本を武力支配できないと認めさせたわけで(長州も賢明にも武力による攘夷を以後放棄)、江戸城引渡しにより軍事面では仏支援の幕府から英国をバックとした薩摩・長州となり、日本としては当時世界最強の英国を選び、正しい外交的選択をしたことになります。タイは軍隊がないに等しい弱小の商業国でしたが、自ら英仏の緩衝地帯となるということを英仏両方に説得して独立保持に成功。結局、日本もタイも独自に国としてまとまっていることが英仏の植民地にならなかった一番大きな原因となりますが、本書でわかるのは使節団の多くが国家の行政、立法について強い自覚を持ち、その重要性を深く知っていたことです。タイ以外、上層部がぼんやりとした他のアジア諸国と比べるとそれは本当に驚嘆させられるほどです。唯一、司法権については抽象性が高く、欧米由来のために理解不十分なところがあり(実際、外国人の裁判権については治外法権の問題があった)、外交についてもうっかり天皇の委任状もないのに不平等条約についての是正の交渉を使節団が米国と開始してしまうという初歩的なミスをしていますが、開国当初の混乱を考えれば、誰もそれを非難できないでしょう。
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堂々たる日本人: 知られざる岩倉使節団 (祥伝社黄金文庫 い 12-1) 文庫 – 2004/6/1
泉 三郎
(著)
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<石原慎太郎氏推薦!>
130年前の日本人——
彼らは世界から何を学び、
世界は彼らの何に驚嘆したのか!?
明治4年、岩倉具視を団長とする遣米欧使節団が横浜を出港した。近代国家の青写真を描くため、大久保利通、伊東博文らも参加したが、1年10ヶ月もの壮大な旅となった。欧米人が驚嘆した、彼らの“堂々たる”態度とは? 石原慎太郎氏絶賛の話題の書、ついに文庫化!
<私たちが私たち自身を取り戻すために>
石原慎太郎
岩倉使節団の外国での去就をつぶさに眺めると、彼らが祖国の運命を背にしながらいかに毅然とことに処したかうかがえる。
我々はこの今こそ、私たちのごく近い祖先の者たちが示した、彼らを初めて目にした者たちもが心打たれた、国を背にして胸を張り祖国への情熱の故に真摯(しんし)で敬虔(けいけん)で豪胆な日本人の姿勢を取り戻さなくてはなるまい。
今日の日本の、自己主張の欠落した国家としての主体性を欠いた姿をかつての先人たちはどんな目で見守っていることだろうか。私たちが私たち自身を取り戻すために、これほど格好な啓示としての著作はない。(「推薦の辞」より)
130年前の日本人——
彼らは世界から何を学び、
世界は彼らの何に驚嘆したのか!?
明治4年、岩倉具視を団長とする遣米欧使節団が横浜を出港した。近代国家の青写真を描くため、大久保利通、伊東博文らも参加したが、1年10ヶ月もの壮大な旅となった。欧米人が驚嘆した、彼らの“堂々たる”態度とは? 石原慎太郎氏絶賛の話題の書、ついに文庫化!
<私たちが私たち自身を取り戻すために>
石原慎太郎
岩倉使節団の外国での去就をつぶさに眺めると、彼らが祖国の運命を背にしながらいかに毅然とことに処したかうかがえる。
我々はこの今こそ、私たちのごく近い祖先の者たちが示した、彼らを初めて目にした者たちもが心打たれた、国を背にして胸を張り祖国への情熱の故に真摯(しんし)で敬虔(けいけん)で豪胆な日本人の姿勢を取り戻さなくてはなるまい。
今日の日本の、自己主張の欠落した国家としての主体性を欠いた姿をかつての先人たちはどんな目で見守っていることだろうか。私たちが私たち自身を取り戻すために、これほど格好な啓示としての著作はない。(「推薦の辞」より)
- 本の長さ291ページ
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2004/6/1
- ISBN-104396313500
- ISBN-13978-4396313500
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登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2004/6/1)
- 発売日 : 2004/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 291ページ
- ISBN-10 : 4396313500
- ISBN-13 : 978-4396313500
- Amazon 売れ筋ランキング: - 395,780位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2017年10月20日に日本でレビュー済み
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2021年2月7日に日本でレビュー済み
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素晴らしい日本。きちんとした歴史を学びます。
2019年7月23日に日本でレビュー済み
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270年の鎖国開国直後、一地方藩の漢学者が欧米先進国の現実を客観的に見て、維新後の日本にとって
何が役に立って、参考にできないことは何かを消化、理解して記録できていることは大きな驚きです。
第二次大戦後の時代も同様、大きな変革期にその時代にふさわしい人物、指導者が現れる日本はすごい国だと思います。
何が役に立って、参考にできないことは何かを消化、理解して記録できていることは大きな驚きです。
第二次大戦後の時代も同様、大きな変革期にその時代にふさわしい人物、指導者が現れる日本はすごい国だと思います。
2016年12月3日に日本でレビュー済み
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終戦後の当時、学校で習った歴史は、なんとお粗末な、上っ面をなでるだけの、年代を覚えるだけの、人間の歴史を欠いた歴史でした。だから、この岩倉使節団の世界行脚もその目的も成果も知りませんでした。こんなにもすばらしい人たちが日本の祖先に居たことにびっくりしました。おそらくGHQに歴史の意味を学習することを制限されていたのでしょう。そして、戦地から復員してきた先生たちにも不幸にして深い知識はなかったのかもしれません。過ぎ去ったことは仕方ないこととして、いま、日本人は祖国のすばらしさに目覚める必要があると思っております。
2015年8月23日に日本でレビュー済み
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ちょっと思うところがあり読んでみました。思いがけず良書でした。明治維新以降、日本がどのように西洋文明を学び国づくりをしたか分かります。
2007年9月10日に日本でレビュー済み
本書は明治4年に明治政府の中枢をなす大物たちが2年近くに渡って欧米諸国を視察する「岩倉使節団」の様子を描いたものである。
興味深いのは、欧米社会&政治体制&価値観を当時の日本人がどのように分析したかである。
共和制、民主主義、君主制、個人主義などをどう捉えたのか?
それらを鋭く分析しているのには驚かされる。
戦後日本では民主主義が絶対的に優れたものと勘違いしているように思えるが、当時の日本人は当たり前のようにそれのデメリットを見抜いている。
また、「岩倉使節団」の様子だけでなく、まだまだ不安定だった明治黎明期の日本の政局も描かれていて、個人的に、この辺の知識が疎かったため非常に参考になった。
興味深いのは、欧米社会&政治体制&価値観を当時の日本人がどのように分析したかである。
共和制、民主主義、君主制、個人主義などをどう捉えたのか?
それらを鋭く分析しているのには驚かされる。
戦後日本では民主主義が絶対的に優れたものと勘違いしているように思えるが、当時の日本人は当たり前のようにそれのデメリットを見抜いている。
また、「岩倉使節団」の様子だけでなく、まだまだ不安定だった明治黎明期の日本の政局も描かれていて、個人的に、この辺の知識が疎かったため非常に参考になった。
2013年2月26日に日本でレビュー済み
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良く調べて書いたものです。驚きました。米欧回覧実記と併せて読むと一層
良く理解できます。
当時の我が国のリーダーたちの意気込みと覚悟の程が良く判ります。
良く理解できます。
当時の我が国のリーダーたちの意気込みと覚悟の程が良く判ります。
2005年4月7日に日本でレビュー済み
明治4年の遣米欧使節団の話。当時の政府首脳の大部分が1年10ヶ月もの間、世界への旅をおこなった。これだけでも驚きなのに、まだまだ江戸時代の風采であった日本人が、他国の人々の異様な、好奇な視線の中で、それを恥じるでもなかった姿勢には感動する。日本のためにとの真剣な姿勢には、現代の人たちが見習うべき点も多いと感じた。また、そのころの日本に残った政府の姿も描写されているが、開き直りのような対応には、拍手を送りたくなるような爽快さがみえる。現在の自己主張もままならない日本にも、過去にこんな人たちがいたんだと、考えさせられる一冊となっている。