坂口安吾の桜の森の満開の下、は大好きな小説で、
桜の怖さと美しさを表現する究極でこれ以上はないんじゃないかと思ってましたが
森見版、京都と現代(?)に置き換えてもは匹敵するすばらしさを感じました。
大学生の「偉大なる思い込み」が、もう笑っちゃうほどわかりやすく描かれていると思った。
こういうぶつけどころのない情念を、いつかどっかに閉じ込めたまま生きてるんだよなーと反省。
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新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1) 文庫 – 2009/10/15
森見 登美彦
(著)
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〜日本一愉快な青春小説/こんな友情もあったのか/あの「名作」が京都の街によみがえる!?〜
あの名作が京都の街によみがえる!? 「真の友情」を示すため、古都を全力で逃走する21世紀の大学生(メロス)(「走れメロス」)。恋人の助言で書いた小説で一躍人気作家となった男の悲哀(「桜の森の満開の下」)。――馬鹿馬鹿しくも美しい、青春の求道者たちの行き着く末は? 誰もが一度は読んでいる名篇を、新世代を代表する大人気著者が、敬意を込めて全く新しく生まれかわらせた、日本一愉快な短編集。
解説・神山健治
あの名作が京都の街によみがえる!? 「真の友情」を示すため、古都を全力で逃走する21世紀の大学生(メロス)(「走れメロス」)。恋人の助言で書いた小説で一躍人気作家となった男の悲哀(「桜の森の満開の下」)。――馬鹿馬鹿しくも美しい、青春の求道者たちの行き着く末は? 誰もが一度は読んでいる名篇を、新世代を代表する大人気著者が、敬意を込めて全く新しく生まれかわらせた、日本一愉快な短編集。
解説・神山健治
- ISBN-104396335334
- ISBN-13978-4396335335
- 出版社祥伝社
- 発売日2009/10/15
- 言語日本語
- 寸法10.5 x 1 x 14.8 cm
- 本の長さ272ページ
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商品の説明
著者について
一九七九年、奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。二〇〇三年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。〇七年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。他の著書に『四畳半神話大系』『きつねのはなし』『有頂天家族』『美女と竹林』『恋文の技術』『宵山万華鏡』がある。
登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2009/10/15)
- 発売日 : 2009/10/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 272ページ
- ISBN-10 : 4396335334
- ISBN-13 : 978-4396335335
- 寸法 : 10.5 x 1 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 161,796位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 506位祥伝社文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 ペンギン・ハイウェイ (ISBN-13: 978-4048740630 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年12月7日に日本でレビュー済み
どの作品も原作を読んでいる、そして森見登美彦先生の作品が好きなので、購入しました。
だけど、、、ちょっとがっかり。
「走れメロス」「山月記」はまだよしとして、「藪の中」もまぁギリギリ許容範囲。
だけど残りの二作はなんだかとってつけたような文章だなぁと感じました。別の作品として読むほうがいいと思いました。もはやオチもちょっと違うし。。うーん。新釈する必要あるんかな?
ただ、登場人物が色々なところでリンクしてくるのがおもしろかったです。
だけど、、、ちょっとがっかり。
「走れメロス」「山月記」はまだよしとして、「藪の中」もまぁギリギリ許容範囲。
だけど残りの二作はなんだかとってつけたような文章だなぁと感じました。別の作品として読むほうがいいと思いました。もはやオチもちょっと違うし。。うーん。新釈する必要あるんかな?
ただ、登場人物が色々なところでリンクしてくるのがおもしろかったです。
2014年7月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
京都をペンで荒らしまくっているらしい森見先生が、あの名作を改変?されました。
本家を、知っている人も知らない人も、失笑確実です。
電車やバスの中では読まれる時はご注意。
本家を、知っている人も知らない人も、失笑確実です。
電車やバスの中では読まれる時はご注意。
2008年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新釈「薮の中」
多視点を形式にした有名な原作であるが、新釈では、素材が刑事事件ではなく学内恋愛または主人公の人格であるという点でより身近なものになっているように思う。周囲に誤解されやすい主人公の人柄に切なく共感した。
新釈「走れメロス」
あとがきで森見氏が原作の「作者自身が書いていて楽しくてしょうがないといった印象の、次へ次へと飛びついていくような文章」に惹かれたと書いているように、この新釈版も畳み掛けるようなスピード感が再現されており、『太陽の塔』や『夜は短し歩けよ乙女』の後半にかけての疾走感にも勝るとも劣らない、まさに森見氏の面目躍如、胸躍る思いで読んだ。映像化に向いていると思ったけれども、このスピード感を映像で表現できる監督はいないだろうと思い直した。
また、文章のスピード感だけでなく、「友情」をあのように再構成してみせたのは見事だと思う。あまりに美しくもばかばかしい友情に泣けた。相変わらずの笑いも満載で、存分に楽しんだ。
新釈「桜の森の満開の下」
大学生の頃、坂口安吾『桜の森の満開の下』を読んだとき、その意図するところがよく理解できなかった。森見氏の本作を読んで、「なるほど」と膝を打った。
結婚には幸福という記号が結びつけられていることは家族社会学者の指摘するところだが、事実の問題としては、必ずしも結婚が幸福をもたらすわけではなく、また、結婚しないことによって不幸になるとも限らない。「興ざめさせんな。ペシミスティックな自意識過剰野郎」と言われそうだが、おそらくこういうことだろう。一人で生きることは孤独だが、男と女とには本質的な違いがあるために両者が社会的結合関係に入った場合には、それゆえに男に別種の孤独をもたらすという事態が存在する。しかし、男にとってもこの幸福という記号に結びつけられている関係を捨て去るのは容易ではない。満開の桜の美しさには人を狂わせる力がある。登場人物の男は桜の森の満開の下で、女のもとを去り、一人でいる孤独を選ぶ。それは既婚男性一般にとっての憧れの決断であり、かつ哀しい決断でもある。
新釈「山月記」ほか
残りの二作品は原作を読んでいないので新釈をレビューする資格はないのかもしれないけれども、「山月記」は非常に面白かった。「性狷介で自ら恃むところすこぶる厚い」主人公が、自らの言語観に根ざした文学への絶対的信頼そして過剰な自信がともに費消され尽くして終いにはゲシュタルト的に崩壊するまでを、自ら述懐する様を通じて、現代京都を舞台にした青春の悲哀が語られていたように思う。
多視点を形式にした有名な原作であるが、新釈では、素材が刑事事件ではなく学内恋愛または主人公の人格であるという点でより身近なものになっているように思う。周囲に誤解されやすい主人公の人柄に切なく共感した。
新釈「走れメロス」
あとがきで森見氏が原作の「作者自身が書いていて楽しくてしょうがないといった印象の、次へ次へと飛びついていくような文章」に惹かれたと書いているように、この新釈版も畳み掛けるようなスピード感が再現されており、『太陽の塔』や『夜は短し歩けよ乙女』の後半にかけての疾走感にも勝るとも劣らない、まさに森見氏の面目躍如、胸躍る思いで読んだ。映像化に向いていると思ったけれども、このスピード感を映像で表現できる監督はいないだろうと思い直した。
また、文章のスピード感だけでなく、「友情」をあのように再構成してみせたのは見事だと思う。あまりに美しくもばかばかしい友情に泣けた。相変わらずの笑いも満載で、存分に楽しんだ。
新釈「桜の森の満開の下」
大学生の頃、坂口安吾『桜の森の満開の下』を読んだとき、その意図するところがよく理解できなかった。森見氏の本作を読んで、「なるほど」と膝を打った。
結婚には幸福という記号が結びつけられていることは家族社会学者の指摘するところだが、事実の問題としては、必ずしも結婚が幸福をもたらすわけではなく、また、結婚しないことによって不幸になるとも限らない。「興ざめさせんな。ペシミスティックな自意識過剰野郎」と言われそうだが、おそらくこういうことだろう。一人で生きることは孤独だが、男と女とには本質的な違いがあるために両者が社会的結合関係に入った場合には、それゆえに男に別種の孤独をもたらすという事態が存在する。しかし、男にとってもこの幸福という記号に結びつけられている関係を捨て去るのは容易ではない。満開の桜の美しさには人を狂わせる力がある。登場人物の男は桜の森の満開の下で、女のもとを去り、一人でいる孤独を選ぶ。それは既婚男性一般にとっての憧れの決断であり、かつ哀しい決断でもある。
新釈「山月記」ほか
残りの二作品は原作を読んでいないので新釈をレビューする資格はないのかもしれないけれども、「山月記」は非常に面白かった。「性狷介で自ら恃むところすこぶる厚い」主人公が、自らの言語観に根ざした文学への絶対的信頼そして過剰な自信がともに費消され尽くして終いにはゲシュタルト的に崩壊するまでを、自ら述懐する様を通じて、現代京都を舞台にした青春の悲哀が語られていたように思う。
2013年8月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こんな「走れメロス」嫌だ!「桜の森の満開の下」も、ちょうど坂口安吾の原作を読んだところだったので、原作の感動が、、、、「歩けよ乙女」「四畳半」同様、へんてこな学生がいっぱい出てくる、いつもの森見作品でした。いつも通りオモチロかったけど。
2007年5月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「山月記」
斎藤秀太郎の底抜けの阿呆っぷりが、おいしすぎ。斎藤同様、〈もんどり〉が気になって気になって…。
「藪の中」
数人の証言から浮かび上がる真実。微妙な食い違いに注目。
「走れメロス」
絶妙なボケとツッコミ(さすが関西人!)に、噴き出すこと数知れず。
「桜の森の満開の下」
美しさは嫌というほど伝わってくるのに、体温が感じられない女の人が怖すぎる。
「百物語」
京都の蒸し暑い夏の夜。古い屋敷の座敷に自分も座っているかのような臨場感。
最近は“古典新訳”が流行りですが、こちらは“古典新釈”ときましたか!
原作から受けるイメージを大切に、一編ごとに文体を自由自在に変える器用さはお見事です。
彼の古風でノスタルジックなスタイルが、驚くほどハマッてしまった傑作でしょう。
人によって好みの作品が異なりそうなところもおもしろい。それだけ多彩ってことですね。
古書のような装丁もすてきです。
斎藤秀太郎の底抜けの阿呆っぷりが、おいしすぎ。斎藤同様、〈もんどり〉が気になって気になって…。
「藪の中」
数人の証言から浮かび上がる真実。微妙な食い違いに注目。
「走れメロス」
絶妙なボケとツッコミ(さすが関西人!)に、噴き出すこと数知れず。
「桜の森の満開の下」
美しさは嫌というほど伝わってくるのに、体温が感じられない女の人が怖すぎる。
「百物語」
京都の蒸し暑い夏の夜。古い屋敷の座敷に自分も座っているかのような臨場感。
最近は“古典新訳”が流行りですが、こちらは“古典新釈”ときましたか!
原作から受けるイメージを大切に、一編ごとに文体を自由自在に変える器用さはお見事です。
彼の古風でノスタルジックなスタイルが、驚くほどハマッてしまった傑作でしょう。
人によって好みの作品が異なりそうなところもおもしろい。それだけ多彩ってことですね。
古書のような装丁もすてきです。
2013年7月13日に日本でレビュー済み
著者は、京都大学大学院農学研究科修士課程修了、森見登美彦。
(H21/10/20 初版第1刷発行)
誰もが一度は読んだ名作を、森見登美彦ワールドをマッシュアップした、敬意を込めて全く新しく生まれ変わらせた、日本一愉快な短編集。
山月記(中島敦)、藪の中(芥川龍之介)、走れメロス(太宰治)、桜の森の満開の下(坂口安吾)、百物語(森鴎外)の5編からなる。
登場人物、世界観、土地観はいつもの森見登美彦作品と共通し、京都大学でのうのうと学生生活を過ごしている大学生が主人公である。
…数冊に亘って森見登美彦作品を読んできたが、一番微妙かもしれない。
ただ自分がこの繰り返されるパラレル世界に少々食傷気味なのか…。
原作を知っていても、「嗚呼、なんとなくなぞってるね」くらいの感覚。
自分が一番満足したのは、神山健治が担当した「解説」かな…。笑
神山健治が作品を作る時、他の作品を参考にする経緯が良かったです。
(H21/10/20 初版第1刷発行)
誰もが一度は読んだ名作を、森見登美彦ワールドをマッシュアップした、敬意を込めて全く新しく生まれ変わらせた、日本一愉快な短編集。
山月記(中島敦)、藪の中(芥川龍之介)、走れメロス(太宰治)、桜の森の満開の下(坂口安吾)、百物語(森鴎外)の5編からなる。
登場人物、世界観、土地観はいつもの森見登美彦作品と共通し、京都大学でのうのうと学生生活を過ごしている大学生が主人公である。
…数冊に亘って森見登美彦作品を読んできたが、一番微妙かもしれない。
ただ自分がこの繰り返されるパラレル世界に少々食傷気味なのか…。
原作を知っていても、「嗚呼、なんとなくなぞってるね」くらいの感覚。
自分が一番満足したのは、神山健治が担当した「解説」かな…。笑
神山健治が作品を作る時、他の作品を参考にする経緯が良かったです。
2015年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「走れメロス」以外は、人の心の奥に渦巻く悲しい業を見るようで、怖ろしささえ感じました。自分が信じて突き進んできた道が、深い藪の中にしか繋がっていないと知ったときの斎藤の狂気。その斎藤に憧れながら、桜の妖気に自分の道を見失った男の虚無。古都京都のあちこちにしみこんでいるただならぬ雰囲気が、学生たちの心にもしみこんでいるようでした。「走れメロス」は気持ちのいいおもしろさ。相手を理解してこその友情という新釈に頷いてしまいました。森身さんの作品を読むと、本当に京都が好きなのだなと、彼の描く京都に行ってみたくなります。