表題作の「しらみつぶしの時計」は、なかなかの力作。
外界からシャットアウトされている施設の中にいる主人公が、1分ずつ時刻のずれている1440個の時計から、唯一の正確な時刻を刻んでいる時計を、論理的な思考で選び出すゲーム。
本当に力作だと思うが、論理的な頭を持っていない私には、楽しい話ではない。でも、パズルが好きな人にとっては、こたえられない作品かも。
しかしまあ、デジタル時計とランドルト環(視力検査に使われる「C」のマーク)をながめながら、こんな話を思いつくとは…ミステリ作家も本当に大変な職業だと思う。
その他「使用中」は、変則的な密室で、下ネタも入っていて、結構、笑えます。
特筆すべきは「猫の巡礼」。富士山のふもとに猫の聖地があって、野良猫はもちろん、飼い猫も一度は行った方が良いという話。もちろん、架空の話だが、妙に納得する場面もある。猫好きな人は、ぜひ、読んでみてください。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
しらみつぶしの時計 単行本 – 2008/7/23
法月 綸太郎
(著)
すべて異なる時を刻む1440個の時計
その中から唯一正確な時計を探し出せ――
神の命題か、悪魔の謎かけか!?
本格ミステリの名手が放つ、驚愕の推理、極限の論理(ロジック)!
無数の時計が配置された不思議な回廊。その閉ざされた施設の中の時計はすべて、たった一つの例外もなく異なった時を刻んでいた。すなわち、一分ずつ違った、一日二四時間の時を示す一四四〇個の時計――。正確な時間を示すのは、その中のただ一つ。夜とも昼とも知れぬ異様な空間から脱出する条件は、六時間以内にその“正しい時計”を見つけ出すことだった!? 神の下すがごとき命題に挑む唯一の武器は論理(ロジック)。奇跡の解答にはいかにして辿り着けるのか。極限まで磨かれた宝石のような謎、謎、謎! 名手が放つ本格ミステリ・コレクション!
その中から唯一正確な時計を探し出せ――
神の命題か、悪魔の謎かけか!?
本格ミステリの名手が放つ、驚愕の推理、極限の論理(ロジック)!
無数の時計が配置された不思議な回廊。その閉ざされた施設の中の時計はすべて、たった一つの例外もなく異なった時を刻んでいた。すなわち、一分ずつ違った、一日二四時間の時を示す一四四〇個の時計――。正確な時間を示すのは、その中のただ一つ。夜とも昼とも知れぬ異様な空間から脱出する条件は、六時間以内にその“正しい時計”を見つけ出すことだった!? 神の下すがごとき命題に挑む唯一の武器は論理(ロジック)。奇跡の解答にはいかにして辿り着けるのか。極限まで磨かれた宝石のような謎、謎、謎! 名手が放つ本格ミステリ・コレクション!
- 本の長さ376ページ
- 出版社祥伝社
- 発売日2008/7/23
- ISBN-104396632991
- ISBN-13978-4396632991
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2008/7/23)
- 発売日 : 2008/7/23
- 単行本 : 376ページ
- ISBN-10 : 4396632991
- ISBN-13 : 978-4396632991
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,151,520位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 289,747位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
chm
Amazonで購入
90年代後半から十年余りの間に発表されたノンシリーズの短編集。
探偵法月綸太郎は登場しないが、法月林太郎は登場するwww
以下、表題作について。
視点人物が二人称表記なのは、『二の悲劇』以来か?
あちらでの効果は忘れてしまったが、本作での二人称は、主人公(完全に一人しか登場しない)が完全に監視下にあることを印象づかせる。
アナログ時計とデジタル時計の特性から、両者の数を推定していくのは見事だが、アナログ×719個、デジタル×721個と読み解くのは、十分に感心しきれなかった。
理由に納得できないというよりは、可能性のクレームを想定する頭脳と、最後の二者択一がそぐわないというか、問題者は相当逝っちゃってるに違いないw
このオチには、腰がカクンとなるか、怒り爆発するか、まぁ怒っちゃ負けなんだけど、論理、論理と喧しく、クレームの可能性までパズルに組み込んでいるのだから、あえて書いておくが、論理的に考えると大きな疵があると言わざるを得ない。
1440個の時計は、決して精密なものではなく、電池で動く既製品の寄せ集めだと明記している。
時刻を合わせてスタートさせた瞬間から、時間はずれていくのでは?
可能性としては、主人公が目覚める直前に1440人が一斉にそれぞれの時計の時刻を合わせてスタートさせたとすれば、6時間程度なら問題になるズレは生じないか。
主人公の何をテストするのか知らないが、この大掛かりな手間。どんな組織やねん。怖いわ。
探偵法月綸太郎は登場しないが、法月林太郎は登場するwww
以下、表題作について。
視点人物が二人称表記なのは、『二の悲劇』以来か?
あちらでの効果は忘れてしまったが、本作での二人称は、主人公(完全に一人しか登場しない)が完全に監視下にあることを印象づかせる。
アナログ時計とデジタル時計の特性から、両者の数を推定していくのは見事だが、アナログ×719個、デジタル×721個と読み解くのは、十分に感心しきれなかった。
理由に納得できないというよりは、可能性のクレームを想定する頭脳と、最後の二者択一がそぐわないというか、問題者は相当逝っちゃってるに違いないw
このオチには、腰がカクンとなるか、怒り爆発するか、まぁ怒っちゃ負けなんだけど、論理、論理と喧しく、クレームの可能性までパズルに組み込んでいるのだから、あえて書いておくが、論理的に考えると大きな疵があると言わざるを得ない。
1440個の時計は、決して精密なものではなく、電池で動く既製品の寄せ集めだと明記している。
時刻を合わせてスタートさせた瞬間から、時間はずれていくのでは?
可能性としては、主人公が目覚める直前に1440人が一斉にそれぞれの時計の時刻を合わせてスタートさせたとすれば、6時間程度なら問題になるズレは生じないか。
主人公の何をテストするのか知らないが、この大掛かりな手間。どんな組織やねん。怖いわ。
ねこまま
Amazonで購入
時計を探す話の結末が気になって購入。
しかし表題作以外の話のほうが面白かった。
矛盾がないというか、かなりよく考えている作者だなと思う。
しかし表題作以外の話のほうが面白かった。
矛盾がないというか、かなりよく考えている作者だなと思う。
シャンペン・ノヴァ
Amazonで購入
収録作は、進行中の犯罪を描いたもの(倒叙もの?)の「使用中」「ダブルプレー」「素人芸」、パスティッシュの「盗まれた手紙」「四色問題」「幽霊をやとった女」、あえて分類するなら"奇妙な味"というしかない「イン・メモリアム」「猫の巡礼」、パズル小説(?)の「しらみつぶしの時計」、それにボーナストラックの「トゥ・オブ・アス」(『二の悲劇』の短編版)の全10篇。
法月綸太郎ものでは愚直なまでに本格ミステリの定型を意識している感じですが、非シリーズものを集めたこの短編集はバラエティに富んだ内容になっています。非シリーズものの短編集というと以前に『パズル崩壊』が出ていますが、『パズル崩壊』で顕著だった尖鋭的な面は本短編集では見られません。ああいう尖がった部分は、評論のほうで発散できているのかもしれませんね。
著者があとがきで「会心の作」といっている「使用中」が集中のベストだと思いますが、他のほとんどの作品も水準以上といっていいでしょう。
法月綸太郎ものでは愚直なまでに本格ミステリの定型を意識している感じですが、非シリーズものを集めたこの短編集はバラエティに富んだ内容になっています。非シリーズものの短編集というと以前に『パズル崩壊』が出ていますが、『パズル崩壊』で顕著だった尖鋭的な面は本短編集では見られません。ああいう尖がった部分は、評論のほうで発散できているのかもしれませんね。
著者があとがきで「会心の作」といっている「使用中」が集中のベストだと思いますが、他のほとんどの作品も水準以上といっていいでしょう。
レオナルド
Amazonで購入
単純に面白かったです。
場面への感情移入はありませんでしたが、正解を言い当てるまでのスピード感や理論が面白かったです。
場面への感情移入はありませんでしたが、正解を言い当てるまでのスピード感や理論が面白かったです。
マーキー
ノンシリーズの短編集。表題作の解決に至る経緯は、途中までは確かにロジックなのだが、最後の選択はそう言えるのか。「四色問題」はダイイングメッセージものだが、ありがちな感想として、死者の最後のアイディアにしてはちょっと凝りすぎかと思う。「幽霊をやとった女」を読む限り、この著者はハードボイルドの方に適性があるように感じる。「猫の巡礼」は謎もオチもないホラ話なので、ミステリを期待している人は読み飛ばした方が良い。全体的にはバラエティ豊かな小品で楽しめたが、やはりシリーズの新作が読みたいところ。
Amazonカスタマー
「使用中」
途中からは犯人視点の倒叙ものと思わせておいて、さらにひねって、別の人物の疑心暗鬼によるリドルストーリーになっている。前半の推理作家と編集者の打ち合わせの内容がうまくラストのオチにつながっている。
「ダブル・プレイ」
見知らぬ人物から持ち込まれた交換殺人の顛末が語られていくが、思わぬ逆転劇が起こり、予期せぬカラクリが明らかになる。しかし、最後のある人物の独白にある「濡れ衣」はうまく行くとは思えない。
「素人芸」
浪費癖のある妻が腹話術の人形を買ったことにかっとなり、殺してしまったと思った夫。せんさく好きな隣人の通報で警察官がやってきて、死体の隠ぺいに四苦八苦する様子がコミカルに描かれている。
警察官が腹話術を見せてくれなんて言うはずがないと思ったが、意外なオチがあって納得した。
「盗まれた手紙」
2つの南京錠を使うことによって、他人には開封不可能な箱に入っていた手紙が盗まれた謎。極秘の手紙のやり取りの方法も面白いが、盗難の方法が論理的パズルになっている。私はこの方法を完全に見抜くことができ、謎解きの快感を味わった。
「イン・メモリアム」
存命中の作家の追悼文を書くことが会員となる条件の<評議会>のことを書いた文章。作中に出てくる「土方勇三」という人物は検索したところ、架空の人物のようだ。
作家先生であればいかにもやりそうな奇妙なことを想像した奇想か。
「猫の巡礼」
飼い猫の「猫の巡礼」の様子が切々と描かれている。実際にそんなことがあるのかと思い、検索したところ、「猫の巡礼」は見つからず、存在しない模様。
実際にはないものを、真に迫っていかにもあるかのように語ったほら話か。
「四色問題」
戦隊物ヒロインの女優がナイフで刺された後に、手首を切って死んだ謎。特殊な専門知識を使った面白いダイイングメッセージだが、ちょっと凝りすぎ。
「幽霊をやとった女」
妻を寝取られて、ルンペンに落ちぶれたニューヨークの元私立探偵が主人公。
ハードボイルドタッチの文章の中に、意外なカラクリを暴く本格的な内容を持った作品。
「しらみつぶしの時計」
論理的ではあるが、ちょっとわかりにくいし、中身にも疑問。最後の2つの内でどちらかを決めるロジックがあるのだろうかと思っていたが、最後はそうきたかという感じ。
(ネタバレ)
・「1440個の時計は、たったひとつの例外もなく、すべて異なった時刻に合わせてある」という書き方だと、午前と午後のペアは「デジタル/デジタル」の場合しか駄目なように感じる。「デジタル(午前)/アナログ(午後)」の場合は、同じ時刻を指しているのでは?「時計は1分ずつずらして設定したが、『正しい時刻を示している時計』と同じ時刻を指している時計はない」とすべきでは?
・12のブロックに分けた後、それぞれのブロックについて並べ替える必要などない。ブロックごとにデジタルの時計の数と、アナログの時計の数を数えて、2つの数が違うブロックに正しい時刻の時計は含まれている。そのブロックのデジタルの時計だけを並べ替えて、12時間違いの時刻を指している時計を見つければ良い。こちらの方が簡単だし、速い。
「トゥ・オブ・アス」
男の思い込みから生まれた勘違いによる事件だと思わせておいて、最後まで読むと、さらなる勘違いが秘められていることがわかる。読者をミスリードする叙述トリックも複数盛り込まれている。
途中からは犯人視点の倒叙ものと思わせておいて、さらにひねって、別の人物の疑心暗鬼によるリドルストーリーになっている。前半の推理作家と編集者の打ち合わせの内容がうまくラストのオチにつながっている。
「ダブル・プレイ」
見知らぬ人物から持ち込まれた交換殺人の顛末が語られていくが、思わぬ逆転劇が起こり、予期せぬカラクリが明らかになる。しかし、最後のある人物の独白にある「濡れ衣」はうまく行くとは思えない。
「素人芸」
浪費癖のある妻が腹話術の人形を買ったことにかっとなり、殺してしまったと思った夫。せんさく好きな隣人の通報で警察官がやってきて、死体の隠ぺいに四苦八苦する様子がコミカルに描かれている。
警察官が腹話術を見せてくれなんて言うはずがないと思ったが、意外なオチがあって納得した。
「盗まれた手紙」
2つの南京錠を使うことによって、他人には開封不可能な箱に入っていた手紙が盗まれた謎。極秘の手紙のやり取りの方法も面白いが、盗難の方法が論理的パズルになっている。私はこの方法を完全に見抜くことができ、謎解きの快感を味わった。
「イン・メモリアム」
存命中の作家の追悼文を書くことが会員となる条件の<評議会>のことを書いた文章。作中に出てくる「土方勇三」という人物は検索したところ、架空の人物のようだ。
作家先生であればいかにもやりそうな奇妙なことを想像した奇想か。
「猫の巡礼」
飼い猫の「猫の巡礼」の様子が切々と描かれている。実際にそんなことがあるのかと思い、検索したところ、「猫の巡礼」は見つからず、存在しない模様。
実際にはないものを、真に迫っていかにもあるかのように語ったほら話か。
「四色問題」
戦隊物ヒロインの女優がナイフで刺された後に、手首を切って死んだ謎。特殊な専門知識を使った面白いダイイングメッセージだが、ちょっと凝りすぎ。
「幽霊をやとった女」
妻を寝取られて、ルンペンに落ちぶれたニューヨークの元私立探偵が主人公。
ハードボイルドタッチの文章の中に、意外なカラクリを暴く本格的な内容を持った作品。
「しらみつぶしの時計」
論理的ではあるが、ちょっとわかりにくいし、中身にも疑問。最後の2つの内でどちらかを決めるロジックがあるのだろうかと思っていたが、最後はそうきたかという感じ。
(ネタバレ)
・「1440個の時計は、たったひとつの例外もなく、すべて異なった時刻に合わせてある」という書き方だと、午前と午後のペアは「デジタル/デジタル」の場合しか駄目なように感じる。「デジタル(午前)/アナログ(午後)」の場合は、同じ時刻を指しているのでは?「時計は1分ずつずらして設定したが、『正しい時刻を示している時計』と同じ時刻を指している時計はない」とすべきでは?
・12のブロックに分けた後、それぞれのブロックについて並べ替える必要などない。ブロックごとにデジタルの時計の数と、アナログの時計の数を数えて、2つの数が違うブロックに正しい時刻の時計は含まれている。そのブロックのデジタルの時計だけを並べ替えて、12時間違いの時刻を指している時計を見つければ良い。こちらの方が簡単だし、速い。
「トゥ・オブ・アス」
男の思い込みから生まれた勘違いによる事件だと思わせておいて、最後まで読むと、さらなる勘違いが秘められていることがわかる。読者をミスリードする叙述トリックも複数盛り込まれている。
ジジ
処女作から読み続けてきた。「密閉教室」。反吐が出るほど嫌いだった。
しかし、どうだ。
情緒不安定な(それが魅力の)「雪密室」や「誰彼」をはじめ、「一の悲劇」以降の快進撃。そして、本書。
揺るがない、手堅い。
そして何よりも面白い。
これまで読み手を選ぶかのような話が多かった(と思う)が、本書は読者を選ばない。誰が読んでも、充実の時間を過ごすことができるだろう。
もはや、大家の風格。
すごいぞ!法月!!(年上だけど)
しかし、どうだ。
情緒不安定な(それが魅力の)「雪密室」や「誰彼」をはじめ、「一の悲劇」以降の快進撃。そして、本書。
揺るがない、手堅い。
そして何よりも面白い。
これまで読み手を選ぶかのような話が多かった(と思う)が、本書は読者を選ばない。誰が読んでも、充実の時間を過ごすことができるだろう。
もはや、大家の風格。
すごいぞ!法月!!(年上だけど)