SFミステリとして、以前SFマガジンに紹介されていたので読みました。
軌道エレベータによる月観光が日常化した、今から70年後の世界。著名なミュージシャンで億万長者の男が月に作った住まいに日本庭園をつくるため、庭師を呼び寄せる。この庭師が探偵役の若い女性。男の住まいには、ノーベル賞作家や往年の大女優、大企業家など、ひと癖も二癖もあるような老人たちが同居している。
軌道エレベータの終着駅から月行きのシャトル乗り場で起こる幼女誘拐事件、月の住まいに徘徊する死んだ男の亡霊、月のクレータに飛び降り自殺を遂げようとした男の目的は心中なのか? かつて愛した男は果たして自分を愛していたのか? など、月の住人を巡って、連作短編のように小さな「日常の謎」が起こっては解決されていきます。
全編を貫くのは、月という過酷な環境でどうやって地球でのような日本庭園を造るかというプロジェクトの成否にあります。様々な妨害や試練の中、庭を作るプロジェクトは、まるで『ソラリス』を思わせる宇宙的な壮大な事件に発展していきます。
とても読みやすい作品です。未来の世界のディテールもしっかり書かれていて好感が持てます。SFとしては、ファーストコンタクトものとして、なかなか面白いかもしれません。
ただ、ミステリとしてはいま一つです。謎がどれもSF的とはいえない日常の謎で小粒なのと、それほど難しい謎ではないからです。これが、SFでしかありえない謎だったりすると良かったのですが。
あと、主人公があの人にいったいいつどうして恋をしたの?という部分も、ちょっと謎でついていけなかったのが残念です。
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ルナティック ガーデン 単行本 – 2011/3/15
太田 忠司
(著)
月に庭園は造れるか!?
不気味な警告、少女誘拐、幽霊騒動、自殺未遂…
若き女性園芸家が、立ちふさがる事件と謎に挑む SFミステリーの傑作誕生!
英国サマーセットの伝説的園芸家アデル・コープが、弟子の山際繪智花に微笑んだ。
「わたしの古い友達がね、自分の家に庭を造りたいと言ってるの。ずいぶんと無茶な話だと思ったけど、約束もしてたし。どう? お願いできるかしら?」
古い友人とは、二十一世紀最高と呼ばれた往年のミュージシャンにして世界で十本の指に入る大富豪、“永遠なる(エターナル)タッド”ことT・モリス、その人だった。
「何が無茶なんですか」
「彼の終の住処がね、ちょっと遠いところにあるのよ」アデルは人差し指を天井に向けた。「今夜も見られるはずよ。たしか……三日月だったかしらね」
若き庭師エチカは月に向かった。
“エターナル・タッド”が終の住処に選んだのは月面だった。“傍観者の家(オンルッカー・ハウス)”と名付けられた邸宅には、音楽家、小説家、投資家、大女優ら、曰くありげな老人たちも集っていた。そして人類最初の“月の庭”を作るべく、地球からエチカが呼ばれたのだ。
軌道エレベーターで任地に向かう途中駅での少女誘拐に始まり、オンルッカー・ハウスでも幽霊騒ぎ、老小説家の身投げ未遂など不可解な事件が続く。さらに、苛酷な環境に立ち向かって造園を進めるエチカには、“キテハイケナイ”と告げる悪夢や、世界環境機関WEOの妨害、隕石騒動など、さまざまトラブルが降りかかった。
やがて、不可思議なものごとの鍵を求め、“月の声”が聞こえるという“シェラの崖”を訪れたエチカが、外宇宙由来の球体を持ち帰ったのち、ハウスを幻影の嵐が襲う。
そしてエチカは、老人たちとともに人生の真実を知ることとなった……。
不気味な警告、少女誘拐、幽霊騒動、自殺未遂…
若き女性園芸家が、立ちふさがる事件と謎に挑む SFミステリーの傑作誕生!
英国サマーセットの伝説的園芸家アデル・コープが、弟子の山際繪智花に微笑んだ。
「わたしの古い友達がね、自分の家に庭を造りたいと言ってるの。ずいぶんと無茶な話だと思ったけど、約束もしてたし。どう? お願いできるかしら?」
古い友人とは、二十一世紀最高と呼ばれた往年のミュージシャンにして世界で十本の指に入る大富豪、“永遠なる(エターナル)タッド”ことT・モリス、その人だった。
「何が無茶なんですか」
「彼の終の住処がね、ちょっと遠いところにあるのよ」アデルは人差し指を天井に向けた。「今夜も見られるはずよ。たしか……三日月だったかしらね」
若き庭師エチカは月に向かった。
“エターナル・タッド”が終の住処に選んだのは月面だった。“傍観者の家(オンルッカー・ハウス)”と名付けられた邸宅には、音楽家、小説家、投資家、大女優ら、曰くありげな老人たちも集っていた。そして人類最初の“月の庭”を作るべく、地球からエチカが呼ばれたのだ。
軌道エレベーターで任地に向かう途中駅での少女誘拐に始まり、オンルッカー・ハウスでも幽霊騒ぎ、老小説家の身投げ未遂など不可解な事件が続く。さらに、苛酷な環境に立ち向かって造園を進めるエチカには、“キテハイケナイ”と告げる悪夢や、世界環境機関WEOの妨害、隕石騒動など、さまざまトラブルが降りかかった。
やがて、不可思議なものごとの鍵を求め、“月の声”が聞こえるという“シェラの崖”を訪れたエチカが、外宇宙由来の球体を持ち帰ったのち、ハウスを幻影の嵐が襲う。
そしてエチカは、老人たちとともに人生の真実を知ることとなった……。
- 本の長さ380ページ
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2011/3/15
- ISBN-104396633629
- ISBN-13978-4396633622
商品の説明
著者について
太田忠司(おおたただし)
1959年、名古屋市生まれ。1人6役の離れ業に挑んだ90年のデビュー作『僕の殺人』以来、本格ミステリの先端を走る氏は、ノン・ノベルの作家探偵霞田志郎や少年探偵俊介、調査員藤森涼子ものなど、熱い感傷と意外性を併せ持つシリーズで、多くの読者を獲得している。近年は、“死者の最期の思いを読みとる能力者”、“予告探偵”や、“奇談蒐集家”など従来のミステリの枠を越えた独創性で、ホラーや幻想小説にも作風を広げる。ノン・ノベルの既刊に、霞田が犯罪に対する探偵のあり方を巡って天才ライバル桐原と対決する『紫の悲劇』『紅の悲劇』『藍の悲劇』『男爵(バロン)最後の事件』などがある。
公式サイト(http://homepage2.nifty.com/tadashi-ohta/)では日記や掌編小説が読める。
1959年、名古屋市生まれ。1人6役の離れ業に挑んだ90年のデビュー作『僕の殺人』以来、本格ミステリの先端を走る氏は、ノン・ノベルの作家探偵霞田志郎や少年探偵俊介、調査員藤森涼子ものなど、熱い感傷と意外性を併せ持つシリーズで、多くの読者を獲得している。近年は、“死者の最期の思いを読みとる能力者”、“予告探偵”や、“奇談蒐集家”など従来のミステリの枠を越えた独創性で、ホラーや幻想小説にも作風を広げる。ノン・ノベルの既刊に、霞田が犯罪に対する探偵のあり方を巡って天才ライバル桐原と対決する『紫の悲劇』『紅の悲劇』『藍の悲劇』『男爵(バロン)最後の事件』などがある。
公式サイト(http://homepage2.nifty.com/tadashi-ohta/)では日記や掌編小説が読める。
登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2011/3/15)
- 発売日 : 2011/3/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 380ページ
- ISBN-10 : 4396633629
- ISBN-13 : 978-4396633622
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,938,813位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1959年、名古屋生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒。
1981年、星新一ショートショートコンテストで『帰郷』が優秀作に選ばれる。
1990年、『僕の殺人』で長編デビュー。
2005年、『黄金蝶ひとり』で、うつのみやこども賞受賞。
カスタマーレビュー
星5つ中3.3つ
5つのうち3.3つ
2グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年5月23日に日本でレビュー済み
軌道エレベーター、月面基地が設置され、比較的容易に月面旅行が可能となった近未来が舞台
タイトルから推測すると、月に庭園を造るプロジェクトの話かと思い読み始めました
小川一水著「第六大陸」みたいな話かなと思っていましたが違いました
しかし、ハードSF的要素有りませんが、SF的なラストを迎えます
誘拐事件、幽霊騒動、短歌に秘められた想い 等、ミステリー要素も多数散りばめられています
最近の太田氏の作品によくみられる特異な世界を舞台にしたミステリーでした
タイトルから推測すると、月に庭園を造るプロジェクトの話かと思い読み始めました
小川一水著「第六大陸」みたいな話かなと思っていましたが違いました
しかし、ハードSF的要素有りませんが、SF的なラストを迎えます
誘拐事件、幽霊騒動、短歌に秘められた想い 等、ミステリー要素も多数散りばめられています
最近の太田氏の作品によくみられる特異な世界を舞台にしたミステリーでした