この一冊には、様々なかたちの愛が描かれている。
父が息子を見守る、そして亡き娘を偲ぶ父の親子愛。
言い争いながらも共に暮らす老年の連れ合い、その娘である亡き妻を想う夫の夫婦愛。
かつて親友だった亡き友を巡る二人の男の、プラトニックな同性愛を秘めた友愛。
大人たちの傍らでは、10代の少年少女たちが、まだ愛とは呼べない幼い衝動で生きている。
性への好奇心や、友人に対する見栄や、離れて暮らす親への複雑な心情、将来の選択…
登場する大人たちも、いつかは通ったはずの道。
でも現代の子供たちに与えられる情報や選択を迫る時期は早過ぎて、親さえも戸惑う。
それぞれが不完全ながら、人はみな、愛する者の体温を感じて、生きてゆく―
個人的に一番感情移入できたのは、バレエ王子かな。
子供の世界は狭くて横並びで、早くから目的を持った子は弾かれ易い。
周囲を気にしない、空気読めない…というより読む必要がないと思ってる子は特に。
彼のように強くなく、この国の無言の圧力に馴染めずに懊悩する子は、結構たくさんいると思う。
「みんな同じ」が良しとされる時代になって、学校に行けない子供が増えたのは、偶然ではない。
日常の些細な心の動きを掬い取る細やかさは、この作者ならでは。良作です。
追記:バレエ王子の話で登場するローザンヌコンクールの辛口批評家の女性は、
クロード・ベッシー女史がモデルと思われる。というか、そうとしか思えない。
彼女が解説していた時代は、多くの視聴者がその指摘でバレエを見る目を養った。
体操選手だった12歳のシルヴィ・ギエムを見出し、15歳の上野水香を絶賛した人でもあります。
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こどもの体温 (ウィングス・コミックス) コミック – 1998/7/21
よしなが ふみ
(著)
我が子ながら、なかなかうまくそだっている。親ばか承知でそう思っていた息子がガールフレンドをニンシンさせた!?
ふつうの生活の中にも、誰にも言えない『秘密』や『愛情』を抱え、僕らは暮らしてゆくのです。
表題作ほか、僕の見た“彼"と“彼"の生活を綴る『僕の見た風景』などシリーズ4篇を収録した傑作短篇集。
ふつうの生活の中にも、誰にも言えない『秘密』や『愛情』を抱え、僕らは暮らしてゆくのです。
表題作ほか、僕の見た“彼"と“彼"の生活を綴る『僕の見た風景』などシリーズ4篇を収録した傑作短篇集。
- 本の長さ189ページ
- 言語日本語
- 出版社新書館
- 発売日1998/7/21
- ISBN-104403615120
- ISBN-13978-4403615122
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登録情報
- 出版社 : 新書館 (1998/7/21)
- 発売日 : 1998/7/21
- 言語 : 日本語
- コミック : 189ページ
- ISBN-10 : 4403615120
- ISBN-13 : 978-4403615122
- Amazon 売れ筋ランキング: - 309,942位コミック
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年12月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
少女漫画の枠を出ていないのが残念
悪くはないけど凡庸かな
ストーリー的にはほのぼの系であたたかい感じはする
キメの重要なシーンで人体のデッサンができてないので萎えます
もう少しエッジというかパンチがあってもいい
食べ足りない感じ
悪くはないけど凡庸かな
ストーリー的にはほのぼの系であたたかい感じはする
キメの重要なシーンで人体のデッサンができてないので萎えます
もう少しエッジというかパンチがあってもいい
食べ足りない感じ
2012年12月12日に日本でレビュー済み
よしなが作品の中で一番好きな一冊です。
ともすれば巨大なドラマになりそうな出来事を、しかし日常の一端として淡々と、けれど劇的に描き出す彼女の手腕は本当に見事。
「静」が「動」に移り変わる瞬間の描写が見事です。
どのエピソードもじわりと噛みしめるように切なく愛おしい。
共感とは少し違う、他人を尊重し敬うような、愛しい気持ちが芽生えます。
ともすれば巨大なドラマになりそうな出来事を、しかし日常の一端として淡々と、けれど劇的に描き出す彼女の手腕は本当に見事。
「静」が「動」に移り変わる瞬間の描写が見事です。
どのエピソードもじわりと噛みしめるように切なく愛おしい。
共感とは少し違う、他人を尊重し敬うような、愛しい気持ちが芽生えます。
2005年10月9日に日本でレビュー済み
主人公は妻に先立たれた酒井高紀。
ある時は父、ある時は息子、ある時は大学時代の先輩、ある時は保護者としてお話が展開していく。
酒井息子は1ページ目で衝撃のデビューを飾りましたが、
その後すくすくとお育ちあそばされ、ちょっと出来すぎな息子になっとります。
ある時は父、ある時は息子、ある時は大学時代の先輩、ある時は保護者としてお話が展開していく。
酒井息子は1ページ目で衝撃のデビューを飾りましたが、
その後すくすくとお育ちあそばされ、ちょっと出来すぎな息子になっとります。
2011年6月11日に日本でレビュー済み
よしながふみさんの家族を含んだ相関関係のマンガですね。
この作品とても好きです。
『愛すべき娘たち』を読んで、この作者ってすごい、、。と感じていたのですが、人間関係を書くのが、とっても上手です。
親子がメイン登場人物で、親である父の友人の話から、子供(中学生)の学校での生活やその友人の話までと幅広く場面が展開しているのですが、無理なく多面的に登場人物たちを見て(読んで)いかれます。
そして途中にちょこちょこと出てくる食べ物ことが、またもいい味だしてます(ビゴのパンとか)。
後味の悪い話はナシで、どれも読み終わると気持ちが軽くなるような話でした。
各話の詳細は他の方が書いていらっしゃる通りです。
この作品とても好きです。
『愛すべき娘たち』を読んで、この作者ってすごい、、。と感じていたのですが、人間関係を書くのが、とっても上手です。
親子がメイン登場人物で、親である父の友人の話から、子供(中学生)の学校での生活やその友人の話までと幅広く場面が展開しているのですが、無理なく多面的に登場人物たちを見て(読んで)いかれます。
そして途中にちょこちょこと出てくる食べ物ことが、またもいい味だしてます(ビゴのパンとか)。
後味の悪い話はナシで、どれも読み終わると気持ちが軽くなるような話でした。
各話の詳細は他の方が書いていらっしゃる通りです。
2002年2月11日に日本でレビュー済み
この人の描く世界は、冬の陽気のように温かい。
裏切りや幼さ、傷つけあう人間関係の中で、
傷ついた人も傷つけた人も、
何かを心の深淵に沈めながら、生きていく。
それぞれの物語の登場人物に、作者は
『あなたはここにいていいのよ』と、語り
かけているような気がする。
まっすぐなだけじゃいられない、
そんな人の在り方を肯定する、
作者の視線が心地いい。
裏切りや幼さ、傷つけあう人間関係の中で、
傷ついた人も傷つけた人も、
何かを心の深淵に沈めながら、生きていく。
それぞれの物語の登場人物に、作者は
『あなたはここにいていいのよ』と、語り
かけているような気がする。
まっすぐなだけじゃいられない、
そんな人の在り方を肯定する、
作者の視線が心地いい。
2003年10月14日に日本でレビュー済み
父子二人の一家を中心に展開する、よしむら風ジュブナイル漫画。冒頭は、中学生になった息子の「彼女が妊娠したかも」とゆー爆弾告白から始まります。ありそーな話なだけに、頭が痛い。お父さん、御愁傷様です。やっぱ性教育は恥ずかしがらずに、避妊法まで教えとかなきゃと思いました。
最後の「バレエの王子様」も、間違いなく変わり者のバレエ少年に対して、実は周囲は内心こんな風に思ってました、という下りが個人的にとても好きです。
父親の友人の話1編があれほど色っぽくなければ、迷わず図書館のヤングアダルトコーナーにお勧めする1冊。でも個人的に買うのは全然OK、というより、その辺に転がってるボーイズラブの本買うくらいなら、これをきっちり読んどいてください。
最後の「バレエの王子様」も、間違いなく変わり者のバレエ少年に対して、実は周囲は内心こんな風に思ってました、という下りが個人的にとても好きです。
父親の友人の話1編があれほど色っぽくなければ、迷わず図書館のヤングアダルトコーナーにお勧めする1冊。でも個人的に買うのは全然OK、というより、その辺に転がってるボーイズラブの本買うくらいなら、これをきっちり読んどいてください。
2002年6月19日に日本でレビュー済み
さすが、というか。
よしなが先生の世界だなぁ。
で、私は気に入ってます。
ある親子とその周りの人たちのお話です。
いろんなドラマがあって、いろんな人が出てきます。
優しいばっかりじゃないけど、ツライばっかりでもないよ、
というカンジでしょうか。
よしなが先生の世界だなぁ。
で、私は気に入ってます。
ある親子とその周りの人たちのお話です。
いろんなドラマがあって、いろんな人が出てきます。
優しいばっかりじゃないけど、ツライばっかりでもないよ、
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