2006年に実業之日本社から出た単行本の文庫化。
著者はもともと漫画批評から入ったのだが、ここのところは漱石関係の仕事が増えているようだ。
最初に夏目家の3代(漱石、その息子=著者の父、本人)のことが語られているのだが、ここがいちばんおもしろかった。奔放に生きた父のこと、印税の行方、教科書に出るということ等々。
それから『坊っちゃん』、『吾輩は猫である』……と、時代順に作品を読んでいく。ただ、文芸批評としてはたいしておもしろくない。本人もそのことを自覚しているようで、作品の内容には余り踏み込まず、「孫」である自分がどんなふうに読んできたか、漱石と家族との関係など、周辺的なところから攻めている。
しかし、この手の仕事も、いささかネタ切れを起こしてきているような……。
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孫が読む漱石 単行本 – 2006/1/19
夏目 房之介
(著)
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社実業之日本社
- 発売日2006/1/19
- ISBN-10440853479X
- ISBN-13978-4408534794
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登録情報
- 出版社 : 実業之日本社 (2006/1/19)
- 発売日 : 2006/1/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 296ページ
- ISBN-10 : 440853479X
- ISBN-13 : 978-4408534794
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,134,827位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 47,541位評論・文学研究 (本)
- - 135,522位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1950年東京生まれ。青山学院大学卒。マンガ、エッセイ、マンガ評論などを手がける。1999年「手塚治虫文化賞特別賞」を受賞。2008年より学習院大学大学院教授を務める(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『書って何だろう? (ISBN-10: 4544011620)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年9月26日に日本でレビュー済み
漱石の孫である夏目房之助氏がロンドンの漱石の下宿を訪れるTVドキュメントは
ご覧になっただろうか。その下宿が思いのほか小さかった・・・そんな感想からこの本は
はじまる。
個々の作品に対する分析も意外と(失礼)面白かったのだが、著者が孫なのだからやはり
興味はおのずと漱石の家庭生活、とりわけ悪妻といわれた鏡子夫人との関係に向かう。
漱石の孫なら鏡子夫人の孫でもある。身内の汚名を返上すべくがんばっているのが
ちょっと笑えた。
幼いわが子をステッキでしたたか打ち据えるような夫に文句も言わない方がよほど悪妻だと
思うが、現代の感覚では測れないので何ともいえない。ただ、この本を読む限りいい嫁さん
にしか見えないので、弁護は成功しているように思える。
文庫にもなっている「漱石の思い出」を読みたくなった。
ご覧になっただろうか。その下宿が思いのほか小さかった・・・そんな感想からこの本は
はじまる。
個々の作品に対する分析も意外と(失礼)面白かったのだが、著者が孫なのだからやはり
興味はおのずと漱石の家庭生活、とりわけ悪妻といわれた鏡子夫人との関係に向かう。
漱石の孫なら鏡子夫人の孫でもある。身内の汚名を返上すべくがんばっているのが
ちょっと笑えた。
幼いわが子をステッキでしたたか打ち据えるような夫に文句も言わない方がよほど悪妻だと
思うが、現代の感覚では測れないので何ともいえない。ただ、この本を読む限りいい嫁さん
にしか見えないので、弁護は成功しているように思える。
文庫にもなっている「漱石の思い出」を読みたくなった。
2010年9月30日に日本でレビュー済み
私は漱石ファンではありません。実は鴎外の方が好きです。
ただ「デキゴトロジー」の頃からの夏目房之介ファンです。
房之介氏が漱石の孫として、その作品をどう読むのかに興味があって読みました。
祖父漱石とは全く会っていないのだから、孫と言えど作品がわかるわけないだろう、という考えは正論だと思います。
しかし、「血のつながり」というのは怖いものです。
年齢を経るとともに、どこかで似ている部分が出てきます。
若いうちは親や祖父母の嫌なところに反発したりするのですが、気がつくと、
そんなところがそっくりの人間になっていたりすることが多々あります。
「たまんないなぁ。」という不満と「ああ、やっぱりだ。」という諦めを感じます。
この本で房之介氏が推測している漱石は「あっ、やはり孫だなぁ。」というものでした。
恐らく研究者や評論家では出て来ない感想でしょう。
実際に祖母や親、叔父伯叔母たちから聞いているためもあるでしょうが、
祖父漱石の中に自分と同じ部分を見出している孫房之介氏の気持ちは、私には非常に納得いくものでした。
「坊っちゃん」「吾輩は猫である」で苦笑し、「こころ」ではあの長い手紙と終わり方についての感想に頷きました。
熱狂的な漱石ファンには嫌がられるような内容かもしれませんが(房之介氏も何度も嫌な思いをされているようで)、
私にとっては少しだけ漱石を身近にしてくれた本でした。
ただ「デキゴトロジー」の頃からの夏目房之介ファンです。
房之介氏が漱石の孫として、その作品をどう読むのかに興味があって読みました。
祖父漱石とは全く会っていないのだから、孫と言えど作品がわかるわけないだろう、という考えは正論だと思います。
しかし、「血のつながり」というのは怖いものです。
年齢を経るとともに、どこかで似ている部分が出てきます。
若いうちは親や祖父母の嫌なところに反発したりするのですが、気がつくと、
そんなところがそっくりの人間になっていたりすることが多々あります。
「たまんないなぁ。」という不満と「ああ、やっぱりだ。」という諦めを感じます。
この本で房之介氏が推測している漱石は「あっ、やはり孫だなぁ。」というものでした。
恐らく研究者や評論家では出て来ない感想でしょう。
実際に祖母や親、叔父伯叔母たちから聞いているためもあるでしょうが、
祖父漱石の中に自分と同じ部分を見出している孫房之介氏の気持ちは、私には非常に納得いくものでした。
「坊っちゃん」「吾輩は猫である」で苦笑し、「こころ」ではあの長い手紙と終わり方についての感想に頷きました。
熱狂的な漱石ファンには嫌がられるような内容かもしれませんが(房之介氏も何度も嫌な思いをされているようで)、
私にとっては少しだけ漱石を身近にしてくれた本でした。