「権力を内面化する主体」はいかに権力に「抵抗」できるのか。素朴な、しかし、切実な問題意識によって、現代思想を読み直す力作です。その答えが「主体的な抵抗」でないことはいうまでもありません。立論のバランスがよく、現代思想の入門書としては少し高度ですが、教科書としては最適だと思います。
「抵抗」が生まれる様子を、一部はフーコーとドゥルーズ=ガタリの主体化論で、二部はデリダとアルチュセールの構造論で解き明かしていきます。つまり「私とは何か」と「世界はどうなっているのか」。憎らしいほど基本的。全篇を通じてフロイト、ラカンの精神分析を下敷きに、批判的に受け継ぎ、「脱中心化」「多数性」「偏差」「偶然」から「抵抗」が生まれる過程が説得力を持って提示されています。それぞれの思想家のエッセンスもつかみやすい。
基本的には「読み直し」なので、目覚しく新しい思想が胚胎しているというわけではないとは思いますが(誤読しているかもしれません)重要な研究です。同じ年生まれ(1971年)の東浩紀さんが『存在論的、郵便的』で斬新な読みを提示してから10年。方向はほぼ同じですが、「抵抗」というテーマと幅広い視野によって基礎固めはここまで進んだかと感嘆することしきりです。その後「動物化」にいく東さんにはない問題意識。大学生必読の書。
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権力と抵抗: フーコー・ドゥルーズ・デリダ・アルチュセール 単行本 – 2008/8/1
佐藤 嘉幸
(著)
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「権力」はあまりに強靭かつ精緻に作動している。果たして、そこに抵抗の契機はあるのか。構造主義/ポスト構造主義の理論を丹念に分析し、その先に豊穣な可能性を見出す、気鋭による圧倒的達成。エティエンヌ・バリバールによる解説を付す。
- 本の長さ329ページ
- 言語日本語
- 出版社人文書院
- 発売日2008/8/1
- ISBN-104409040928
- ISBN-13978-4409040928
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商品の説明
著者について
佐藤嘉幸(さとう・よしゆき)/1971年、京都府生れ。京都大学大学院経済学研究科博士課程終了後、パリ第十大学にて博士号取得(哲学)。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科専任講師。
登録情報
- 出版社 : 人文書院 (2008/8/1)
- 発売日 : 2008/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 329ページ
- ISBN-10 : 4409040928
- ISBN-13 : 978-4409040928
- Amazon 売れ筋ランキング: - 332,600位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 264位論理学・現象学
- - 562位西洋哲学入門
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2010年1月29日に日本でレビュー済み
決して抽象的な概念などを振り回しているのではないと思います。ただあまりにも他人のふんどしで相撲を取りすぎでは何か、と思われるほど「引用」は多いです。著者自身の文章より引用文のほうが多いのではないか(事実?)と思えるほどです。
しかし、要点はしっかりと押さえて、引用文を多用するとはいえ、あくまでもそれにただすがるだけではなく構築しています。
正直に言うと、わたしは引用文の著書(具体的にいうなら『監視と処罰』『アンチ・エディプス』など)を精緻に読み解いてはいません。なのに「要点はしっかり押さえている」など記してしまって無責任なようですが、わたしはこの著書を読みながら、実際に『監視と処罰』『アンチ・エディプス』等の著書を読みたい!という強い気持ちを抱きました。そのうえでは、わたしはこの著書を読んで良かった、モチベーションが格段に上がったと思いました。その意味で著者には実に感謝の気持ちでいっぱいです。
唯一付け加えるなら、この著者にまさに自分のふんどしで堂々と相撲を取ってもらえる日が来ることを願っています。
しかし、要点はしっかりと押さえて、引用文を多用するとはいえ、あくまでもそれにただすがるだけではなく構築しています。
正直に言うと、わたしは引用文の著書(具体的にいうなら『監視と処罰』『アンチ・エディプス』など)を精緻に読み解いてはいません。なのに「要点はしっかり押さえている」など記してしまって無責任なようですが、わたしはこの著書を読みながら、実際に『監視と処罰』『アンチ・エディプス』等の著書を読みたい!という強い気持ちを抱きました。そのうえでは、わたしはこの著書を読んで良かった、モチベーションが格段に上がったと思いました。その意味で著者には実に感謝の気持ちでいっぱいです。
唯一付け加えるなら、この著者にまさに自分のふんどしで堂々と相撲を取ってもらえる日が来ることを願っています。
2008年12月15日に日本でレビュー済み
抽象的な概念を振り回しているだけの感があり、著者自身がこれらの諸概念を本当に理解して使っているのか、疑問がもたれる―もし理解していれば、自分なりの言葉で言い換えることができるはず―。また、ファルスを父なるものと同定し、父なるもの一般に異議申し立てをする姿勢(父なるものを攻撃する姿勢)を見せているが、人類は父なるものの代わりとなるものを発明し得たわけではない―父なるものが存在しなければ、精神病に陥ってしまうのであり、それはラカンが避けようとしたことである―。また、最後のバリバールによる「推薦文」は言い訳がましい。思想家として自信があるなら、推薦文をつける必要はなかろう。内容によってプロモーションすべきで、権威を借りてプロモーションするのはいかがなものであろうか。