ティク・ナット・ハン師によれば、“仏教は世界の本質を「苦」と見る。そしてその原因を明らかにし、その原因を克服する方法を提示する。このような道筋を辿ることによって、「苦」からの解放を実現するのが仏教なのだが、従来の仏教では、「苦」の原因はもっぱら個人の内面に巣喰う無知や欲望と考えられた。しかし、ベトナムの仏教徒たちは、戦争という現実の苦しみの中で、「苦」の原因には社会が生み出したものもあるのではないか、と気づき始めた。そして、「苦」の原因となる社会の矛盾、社会構造の変革に積極的に立ち向かうことになった。ティク・ナット・ハン師は、このようなあり方を「エンゲイジド・ブッディズム(Engaged Buddhism、以下EBと略記)」と呼んだ。”(p.18)
本書では、親鸞の信心中心主義に基づく「社会倫理(理想的な社会像)」の実現を目指した高木顕明の構想を具体化させることが日本のEBとなることを論じている。
ティク・ナット・ハン(Thich Nath Hanh)師以外に、アンベードカル(B. R. Ambedkar)と佐々井秀嶺、アリヤラトネ(A. T. Ariyaratne)、ブッダダーサ比丘(Buddadasa Bhikkhu)とパユットー師(P. O. Payutto)、ダライ・ラマ(Dalai Lama)などもEBとされるが、彼らの活動の共通点は「ブッダ釈尊が現代に登場されたら実践するであろうことを推進する」という一点である。EBの実践方法は各人で異なっても、各人が工夫した「社会倫理」の実践によって理想的な社会に近づくという、新たなパラダイムこそが従来の宗教の抱える限界を克服できるのかも知れない。
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社会をつくる仏教: エンゲイジド・ブッディズム 単行本 – 2003/6/5
阿満 利麿
(著)
- 本の長さ243ページ
- 言語日本語
- 出版社人文書院
- 発売日2003/6/5
- ISBN-10440941075X
- ISBN-13978-4409410752
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
釈迦のいう利他の教えの思想に立ち、真宗の仏教者たちの足跡を検討。戦争や靖国問題に対する仏教者の態度を問い、日本の仏教に伝統的に欠けている精神と仏教の社会倫理の大切さを力説する。
登録情報
- 出版社 : 人文書院 (2003/6/5)
- 発売日 : 2003/6/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 243ページ
- ISBN-10 : 440941075X
- ISBN-13 : 978-4409410752
- Amazon 売れ筋ランキング: - 858,820位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,704位仏教入門
- カスタマーレビュー:
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