「競馬というスポーツはイギリスからやってきて、フランスでは絶対王制時代にまず王侯
貴族の若い世代の心を掴んだ。そして封建時代が終わりを告げ、新興富裕層が台頭すると、
競馬は今度はブルジョワのエリートたち、ダンディのたしなみのひとつとして根付く
こととなる。……本書ではまず現代フランスの競馬の情景をご覧いただき、その後で、
プリンスとダンディたちが歴史を作りながら、また歴史に翻弄されながら、どのように、
どんな精神で競馬に情熱を注いできたかをご覧いただこう」。
基本的に本書で扱われる「歴史」は、18世紀半ばから19世紀末のあたりまで。「現代
フランス競馬の情景」と言えば聞こえはいいが、有り体に言えば、筆者の個人的な紀行文。
「競馬のせいでフランス大革命も七月革命も起こり、ナポレオンはサラブレッドを否定
したのでイギリスとの戦争に負け、産業革命は競馬への情熱によって促進された」との
仮説はやりすぎにしても、フランスの競馬と歴史をリンケージさせて語りを進めていくと
いう狙いそのものにはそれなりの収穫はあるようには思う。
ただ、競馬の母国イギリスを「避けて通れない鍵」と述べつつも、その歴史への言及が
簡潔に過ぎるがために、この両国の対比を通じてフランス競馬史を明らめるという本書の
基軸そのものが機能不全を呈してしまっている。
そして致命的なことに、日本語のクオリティが今ひとつ。とりわけ印象的であったのは、
「世間は『変人がまた変わったことを始めた』と、冷ややかな、無関心な目を向けるだけ
だった」、との一文。
言わんとするところは分からないでもないが、「目を向け」もしないことこそが「無関心」の
意味するものではないのか、とおよそプロの物書きとは思えない言語センスにしばし絶句。
「変人がまた変わったことを」という文章も大概だし。
フランスのJockey Clubを「ジョッキークラブ」と英語読みしたかと思いきや、どういう
こだわりなのか、いわゆるセレブは「セレブリテcelebrite」と仏語に寄せてみたり、と
このあたりの不徹底にも個人的にはストレスを感じずにはいられなかった。
競馬用語についての注釈も特になくて、入門書として有効な機能を果たしうる書籍とは
思い難い。
けれども、それなりに嗜まれる方にとっては雑学に富んではいるし、『
ナナ
』からの引用
だけでも、やっぱゾラって楽しい、と思えたりもしたので、まあいいんじゃないですかね。
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華麗なるフランス競馬 ロンシャン競馬栄光の日 単行本 – 2011/3/23
大串久美子
(著)
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- 本の長さ302ページ
- 言語日本語
- 出版社駿河台出版社
- 発売日2011/3/23
- ISBN-104411040123
- ISBN-13978-4411040121
商品の説明
著者について
茨城県出身。学習院大学文学部卒。1993年よりフランスにて生活文化史を研究。翻訳・執筆活動の傍ら、フランス競馬に関わる取材を15年にわたり続ける。
登録情報
- 出版社 : 駿河台出版社 (2011/3/23)
- 発売日 : 2011/3/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 302ページ
- ISBN-10 : 4411040123
- ISBN-13 : 978-4411040121
- Amazon 売れ筋ランキング: - 839,725位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 913位競馬 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年3月21日に日本でレビュー済み
本のタイトルやスタイル、
著者が「競馬の世界の人」ではない女性なので、
「スイーツw」な本かなと思わせるかもしれません。
確かに本の前半は、
ディープインパクトが出たロンシャン競馬場の
キャッキャウフフな感じがスイーツっぽく綴ってあるので
勘違いしてしまいそうですが、
後半はフランス競馬の勃興期について
日本語で読める文献としては最も詳しい。
巻末に参考文献リストがありますが、
フランス語で書かれた競馬の歴史に関する文献がびっしり。
ガチです。
ヨーロッパ、とりわけフランスとイギリスの競馬の知識がない読者は、
ついていくのがしんどいかもしれません。
JockeyClubなどのほとんどの競馬用語はもともと、
イギリス好きのフランス人によって
英語からフランスへ持ち込まれたものです。
フランスでも伝統的に英語読みします。
なので、ジョッキークラブで正しいです。
(いわゆるフランスの国粋主義者は
英語を嫌ってフランス風に発音しようとしますが。)
著者が「競馬の世界の人」ではない女性なので、
「スイーツw」な本かなと思わせるかもしれません。
確かに本の前半は、
ディープインパクトが出たロンシャン競馬場の
キャッキャウフフな感じがスイーツっぽく綴ってあるので
勘違いしてしまいそうですが、
後半はフランス競馬の勃興期について
日本語で読める文献としては最も詳しい。
巻末に参考文献リストがありますが、
フランス語で書かれた競馬の歴史に関する文献がびっしり。
ガチです。
ヨーロッパ、とりわけフランスとイギリスの競馬の知識がない読者は、
ついていくのがしんどいかもしれません。
JockeyClubなどのほとんどの競馬用語はもともと、
イギリス好きのフランス人によって
英語からフランスへ持ち込まれたものです。
フランスでも伝統的に英語読みします。
なので、ジョッキークラブで正しいです。
(いわゆるフランスの国粋主義者は
英語を嫌ってフランス風に発音しようとしますが。)