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人生は勉強より「世渡り力」だ! (青春新書インテリジェンス) (青春新書INTELLIGENCE 204) 新書 – 2008/6/3
- 本の長さ196ページ
- 言語日本語
- 出版社青春出版社
- 発売日2008/6/3
- ISBN-104413042042
- ISBN-13978-4413042048
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商品の説明
著者からのコメント
蚊と同じ太さの針をつくったなんていうと、「一に技術、二に技術、三、四がなくて五に技術」なんて言いそうなオヤジって感じがするだろ? たしかに技術、腕は大事だし、そのための勉強はしとかなきゃ、話にならねえよ。
でも、それと同じくらい大事だと自信を持って言えるのが「世渡り力」なんだ。どんなにいい腕を持ってても、それだけじゃダメ。「世渡り力」がなきゃ、仕事も人生もゼッタイうまくいかないよ。
ヘラヘラおべっか使ったり、人を騙したり陥れたりして自分だけ得をするような、うすっぺらい「世渡り上手」をすすめてるんじゃないよ、それほど世の中甘かない。「人と情報のマネジメント力」って意味だ。言ってみれば、仕事の運命を決めるような決定的情報を入手するには、人と情報をどう使って動かせばいいか、自分はどう動けばいいかといったことだよな。たとえていえば、太平洋戦争のミッドウェー海戦。日本軍の暗号を解読した米軍が上空で待ち構えていると、まるで「どうぞ撃ち落して下さい」と言わんばかりに、日本軍機が下方に現れた。まさか米軍機が大挙して真上から襲いかかってくるとは思っていない日本軍は大混乱、壊滅的な敗北を喫し、戦局は一気に日本の不利へと傾いただろ。どんなに日本海軍のパイロットの腕がよくても、情報で負けたんだよ。それは米軍も同じだ。腕がいいだけじゃ勝てなかっただろう。
まぁこれは決定的な情報の例だけどな。
どんなに頭がよくていい腕を持っていても、
「この会社は来年、この業界から撤退する」
とか、
「いまウチが一〇〇円でやっているこの仕事を、A社は一五〇円でやっている」
っていう決定的な情報を持っているのといないのとじゃ、運命が変わっちゃうだろう? 「人と情報のマネジメント」っていったけど、こういうのをいかに入手するか、そのためにはどんな人とどうつきあっていけばいいのかってことだよ。
具体的なエピソードや発想、ノウハウは本文にあるけど、大事なのはこういうことだ。
・重要な情報が飛び交う集まりに「あいつを呼ぼう」と言われるには?
・人に「あいつは面白い」と思われるには?
・上の立場の人を動かす方法
・1円もかけず、お願いもせず、相手が自分をPRしてくれる方法
・何倍にもなって返ってくるお金の使い方
・言いにくいことをキッチリ伝え、意見を通す方法
・お金がなくても一流どころとつきあう方法
みんなもわかってると思うけど、世の中善人ばかりじゃない。俺も、人にはいつも泣かされてきたよ。だから次のような「世渡り力」も、ゼッタイに必要だ。
・自分のアイデア・ノウハウを守る
・「前例がない」を盾にとる人を突き崩す
・ナメてくる相手を返り討ちにする
・権威をカサに着てくる人をギャフンと言わせる
こういうことは「勉強」じゃ学べないだろう? あなたのまわりにも、いい腕を持ってるのに、いい大学を出て頭もいいのに評価されない人はたくさんいるんじゃないかな? そういう人を山ほど見てきて、「俺もそうなっちゃたまらねえ!」と思った。だから若いころから、どうすれば腕を最大限生かせるか考えてきたよ。
俺は下町の金型屋の二代目。学歴もカネも何もない、ないないづくしの人間だった。そのままいけばいまごろ仕事はジリ貧、工場だってどうなってたか、分かったもんじゃないね。学校は大っ嫌いで幼稚園も三日で中退、勉強はからっきしって人間だったけど、いろんな人にもまれて「世渡り力」はたっぷり鍛えてきた。まわりにいつもいい人たちが集まってくれるのも、仕事を思い通りに思いっ切りできるのも、そのおかげなんだよ、ほんとの話。
「自分をアピールするなんて......」
「わざわざ"世渡り"に力を注ぎたくないかな」
なんてヌルイこと言ってると、おいしいところをゴッソリ他人に持っていかれちゃうぞ。俺みたいに子どもの頃からでなくたって、知っているだけでずいぶん見方、考え方が変わるもんだ。ぜひ「世渡り力」を武器に、じゃんじゃんおいしい思いをしてほしい。
出版社からのコメント
「頭も腕もいいのに潰れちまった職人は山ほどいる。世渡り力がなきゃ仕事も人生もうまくいかないんだよ」。江戸っ子ならではの名調子が冴えわたります(内容は「著者からのコメント」をご参照ください)。
昔のものを整理していたら出てきたといって見せてくれた、誰でもその名を知っている大企業に実際に送ったファクスを見たときは驚きました。「請求書通り支払っていただきます。今日中に連絡ないときは金型を取り外しに行きます。値引きは出来ません」「"精度は出せ、金は出さない"という会社との取引はお断りです」など、相手がどんな大企業だろうと筋は通すという姿勢が徹底している様に、自分の腕と「世渡り力」への確かな自信を痛烈に感じました。
ときには大企業と裁判で争い苦渋をなめながら、社員6人の町工場のトップとしてNASAをはじめ世界的大企業と対等に渡り合ってきた岡野氏。その世渡り力の源泉は少年の頃に通った「玉の井」にあります。今の六本木と歌舞伎町を合わせたような花街には俳優、女優、噺家、芸者等が連日連夜集い、生々しい人間模様を繰り広げていたそうです。お使いに行く岡野少年は、そこで「世渡り力」をたっぷり学んだーー墨田区東向島の岡野工業でそんな話を聞いていると、人と人が密接に関わり合いながら切磋琢磨していた時代の空気が今も岡野工業には息づいていること、その土壌から「痛くない注射針」が生まれたことを確かに感じ、幼稚園も三日で中退、「学歴のなさでは人後に落ちない」岡野氏がなぜ世界一の職人たりえたか分かった気がしました。男女とわず、すべての働く人にすぐ役立つヒントが満載、ぜひ読んでほしい本です。青春出版社 プライム涌光 村松基宏
抜粋
仕事じゃ信用が第一だっていうけど、こいつは一朝一夕にはものにできない、頼まれた仕事をきちんきちんとこなしていくしか手はないと思っている人が多いと思うね。だけど、皆が思っていることを同じようにやってるだけじゃ、横並びから抜け出せないんだよ。
振り込みが当たり前になった今でもそういうところはあると思うけど、しばらく前までは、注文をもらった会社に集金に行くというシステムがふつうだった。手形での支払いでも、支払い日になると、みんな手形をもらいに会社に出向くわけだ。
だけど、俺は行かない。絶対、取りに行かないんだ。するとどうなる? 相手の会社じゃ、俺んところに支払いを済ませないことには、経理上の決まりがつかないわけだよ。困るよな。だから、会計係から電話がかかってくる。
「岡野さん、手形が出てますから、早く取りに来てださい」
それも一度や二度じゃない。だって、電話が来たって俺は行かないんだからね。実際は、忙しくて忙しくて、行く時間がなかったんだけどね。
そのうち向こうは、岡野工業って会社が、岡野雅行って男が気になってしょうがなくなってくる。ほかの会社は、支払い日になると雁首そろえるように、待ってましたとばかり手形を取りにくるのに、俺んとこだけ、何度催促しても取りに来ねぇんだからさ。
催促ってのは、お金をもらう側がするもんで、支払う側が「頼むから、もらいに来てくれ」なんてことはまずないだろ。いったいどんな会社だってことになるんだよ。
「おい、おい、岡野工業ってどんな会社なんだ? 岡野ってどこまで変わり者なんだ?」
聞かずにはいられないってことになる。担当者は俺のことをよく知ってるから、説明するわけだ。
「岡野さん? 根っからの職人気質っていうか、とびきりの偏屈だね。でも、仕事はきっちりする。腕のほうもとびきりだよ。それは俺が保証する」
担当者の説明が、うちの宣伝になってるんだ。それも、"とびきり"効果的な宣伝だ。いくら費用を使ったって、こんな宣伝なんてできっこないだろ。それを一円もかけずにやるのが、世渡り力なんだよ。
その会社にとって横並びだった仕事先のなかで、岡野工業は頭ひとつも、ふたつも抜け出るね。「岡野の親父は変わってる!」。けっこうだねぇ。
変わり者って言われるような人間じゃなきゃダメなんだ。変わってるから、人と違う発想ができるんだし、人と違うものがつくれるんだよ。
優等生と言われて喜んでるようじゃ、先が知れてる。当たり前のことを、当たり前にしかできねぇってのが優等生だもん。
人と同じようにすることが、世渡りのコツだなんて勘違いはするなよ。世渡りにとって"変わってる"ってことは、これ以上ないアドバンテージなんだ。美徳と言ってもいいね。
●イヤなヤツを使いこなす知恵
誰にだって嫌なヤツ、気にくわないヤツがいるだろ。理由はそれぞれだろうけど、ふつうだと、そんなヤツとはなるべく距離を置こうとか、つきあわないようにしようとかって思うわけだ。だけど、イヤな人間にも使い道はあるんだよ。
たとえば、詐欺師まがいで信用できないのがいるだろ。自分はまともにつきあいたくない、こんな人間にも格好の役どころってもんがあるんだよ。ふだんから何かにつけてむかっ腹が立つようなヤツに、こいつを紹介する。
口八丁手八丁で人をたぶらかしてこその詐欺まがいだ。こいつがむかっ腹にどう近づくか、むかっ腹がどんな手でコロッと騙されるか、高見から見物してるほうはおもしれえや。それで、むかっ腹が地団駄踏んだりすることになりゃ、こっちはスカッとするわな。
ちょっとばかり意地が悪い方法だけど、そのくらいの灸を据えてやらなきゃ、世の中舐め切ってるヤツがいるからね。
俺にもこんな経験がある。おんなじ業界のヤツなんだけど、俺がいい仕事をもらって伸びていくのが悔しかったんだろうね。僻みやがった。骨のある人間だったら、「よぉし、俺も岡野に負けないように、頑張んなきゃな」となるんだろうけど、そいつはなにかにつけて俺の足を引っ張ろうとした。うちの職人が仕事でそこに使いに逝くと、吹き込むわけさ。
「おまえね、いい腕してんだから、岡野のところなんか辞めちまえよ。ほかにいい会社があるからよ」
うちから職人を引き抜いて、戦力ダウンさせようって算段だけど、こっちはとっくにそんなことはお見通し。
ちょうどその頃、うちにも辞めてもらいたいと思ってた職人がいたんだ。ここは僻み野郎に乗っかってやる手だね。その職人を始終、そこに使いに出すことにしたんだ。案の定、そいつは職人におんなじようなことを吹き込んだわけだ。
俺が辞めてもらいたいと思ってるんだから、その職人だってうちには居づらいと感じてたに違いないよな。そこんところに、
「いい会社があるんだ。岡野のところなんて辞めちまえ」
なんて、顔を合わせるたびにいわれてみろよ。その気にならないほうが不思議ってもんじゃねぇか。俺んところを辞めて、そいつの紹介で別の会社に移るまでに、そう時間はかからなかったね。紹介するとき、そいつが、
「岡野のところでばっちり鍛えられてるから、腕は間違いないよ」
くらいのことをいってるのは、簡単に想像できる。俺だってうちでまじめにやってる職人の腕は保証するよ。だけど、辞めてもらいたいヤツの腕までは保証できねぇってんだよ。
結果は見えるだろ。そいつの能書きを真に受けた会社は、文句たらたらってことになる。
「なんだよ。おまえがいい腕してるっていうから、こっちは雇ったんじゃないか。どこがいい腕なんだよ!」
口をきいたそいつの立場は、すっかりなくるって寸法だ。どこか、「風が吹くと桶屋が儲かる」の世界だろ。「職人を使いに出すと、嫌なヤツの面目が丸つぶれになる」ってね。
これは相当手の込んだ"しかけ"だ。なにしろ、最初は皆が「してやったり!」と思ってる。いっぽう俺は辞めてもらいたい職人に、面と向かって「辞めろ」なんて言わなくてすんだし、その職人だって、居づらい俺んところを辞めて、"いい会社"に移れたと喜んだ。口をきいたヤツは、俺に一泡吹かせた気分になっただろうし、先方の会社も、腕のいい職人を雇えて儲けもんだと思ったろうからね。
ところが、三か月後には様相はガラリと一変だ。腕以上のことを期待された職人は居場所がなくなり、口をきいたヤツと会社は反目し合うようになっちまう。結局のところ、得をしたのは俺だけだったってわけだ。いらない職人には自分から辞めてもらえて、嫌な野郎にもギャフンといわせた。職人を引き受けた会社には気の毒だったけど、「してやったり」の独り占めってとこだな。
嫌なヤツに関して、学校じゃ「誰にでも良い面があるから、そこを見ましょう」とか、せいぜい「君子危うきに近づかず」くらいのことしか教えてくれないけど、話にならないね。こういうのが世渡りの知恵、世渡り力ってもんなんだ。
●真正直ばかりじゃダメ、頭を使え!
仕事で頭を使わないやつは伸びないよ。ただ真面目なだけじゃだめなんだ。
俺の知り合いに、うだつの上がらない営業マンがいたんだ。入社してから、やれ静岡だ、やれ九州だ、と地方の営業所を回されたんだけど、いっこうに営業成績が上がらない。
その揚げ句に回されたうちの近所の営業所は、いってみれば、"最後の砦"だったわけだ。実際、所長は俺にこんな紹介の仕方をした。
「彼にとってはここが最後だから、なんとか売上があげられるように、いろいろ教えてやってください」
そんなことからつきあいが始まったんだけど、つきあってみると仕事は真面目だし、熱意もある。だから、俺も心当たりのある会社を紹介した。「岡野さんの紹介で...」とやっているうちに、けっこうプレス機も売れるようになってきたんだ。
そんななかでの話だけど、こんなことがあった。俺が紹介したある大きな会社に営業にいった彼が、しょぼくれて報告にきたんだよ。その大会社では、話もロクに聞かずに、
「おまえのところのプレス機なんか買うつもりはない!」
と言われたっていうんだ。頭にきたねぇ。「コノヤロウ!」だよな。俺はちょっとばかり頭をひねって、ある作戦を伝授した。
その会社は元請けで、使っている下請け工場がたくさんあったから、まず、そこにプレス機を買わせる作戦だ。
「いいか、下請けにはできるだけ安く、月賦にするからっていって、プレス機を売りまくれ。当分、例の会社は相手にするんじゃねぇぞ」
彼は下請けを丹念に回って、一台一台、プレス機を入れていった。下請けがみんな新しいプレス機を導入したとなったら、大会社はどうなる? 自分のところだけ、相変わらず古い機械じゃ格好がつかないじゃねぇか。だけど、俺は営業には行かせなかった。
「こっちからは営業に行くなよ。待ってりゃ、向こうから『売ってください』って言ってくるからな。こっちは焦らず、向こうを焦らせてやるんだよ。それと、ここが肝心だけど、値引きなんか間違ってもするんじゃねぇぞ。定価にたっぷり上乗せして売りつけてやれ」
"待てば海路~"の展開になることは読めてた。一年後、その大会社はプレス機を買ったよ。さすがに「売ってください」とはいはず、えらそうに「買ってやる」って態度だったらしいけど、折れてきたことには変わりはないやね。定価より高い値段で売りつけられてりゃ、世話ねぇや。おかげで、下請けに安く売った分のもとも取れたって塩梅だ。
真っ正直に大会社に日参してたら、こんな展開はなかったね。外堀をガッチリ埋めちまえば、本丸は落ちるしかないんだよ。
頭を使った仕事、商売ってのはこういうもんなんだ。それですっかり商売のコツを飲み込んだ彼は、社内の売上のトップにいつもランクインするようになった。実践のなかで世渡りをひとつ、学んだんだな。
●名参謀になれる女房を持て
いまは晩婚傾向っていうか、結婚年齢が高くなってるし、結婚しないっていう人も増えてるみたいだね。年収○千万円以上じゃなきゃ嫌なんて、女性が平気で御託を並べる時代だから、男としても二の足を踏んじゃうってことなのかい?
まぁ、若いうちは遊んだほうがいいよ。俺も女房と一緒になる前は嫌っていうくらい遊んだね。そういう男だったから、まわりの女性からは"鼻摘み"って目で見られてた。俺がいまみたいになるなんて、夢にも思わなかっただろうしね。
なかには、仕事がうまくいき始めてからの俺を見て、「あんとき、まーちゃん(俺のこと)と結婚しておけばよかった」なんて言うのがいた。バカヤロウってんだよ。こっちがよくなってから来たってダメなんだ。
まだ芽が出ないうちから男を育てるようでなくちゃ、ダメだよ。
男が仕事で成功してから、お金を儲けるようになってから、一緒になろうっていう女房は、苦労は男にさせて自分はハナからセレブを気取ろうってわけだろ? それで亭主がちょっとしくじりゃ、「離婚しましょ」ってんだから、身勝手もいいとこなんだよ。必ずしっぺ返しを食らうぞ。
男にとって女房は参謀役なんだ。どうかすると目一杯突っ走りがちな男を、上手に立て、乗せながら、軌道修正させたり、勝負どころでは背中を押したりする。それが女房ってもんだし、男はそういう女房を持たなきゃダメだね。男を上手に立てられない女房なんて持つんじゃないぞ。
うちの女房は近所の大工の棟梁の娘だけど、会社の会計のことは全部やってくれている。俺はゼニカネのことなんかいっさい考えないで、仕事に没頭してりゃいいってわけだ。
結婚してから、年収が三万五〇〇〇円ってことがあったね。
新しい技術開発に取り組んでるときだったんだけど、なかなかうまくいかなくてさ。機械がいい具合に動いたなと思うと、途中で止まっちまう。それを直して動かすんだけど、また、止まるってことが続いたんだ。一年近くそんなことの繰り返しだったんだから、年収三万五〇〇〇円も無理ないって話だよ。
「おとうさん、今年の年収は三万五〇〇〇円きりよ」
さすがに女房は怒ったけど、それ以上のことは言わなかったね。いったん仕事を始めたら、仕上げるまでやめないっていう俺の性分が分かってるんだ。だけど、暮らしがあるから、ちょっとばかり"危機感"を煽っとけってところだったんだろ。参謀の戦略だよ。
三〇万円で受けた仕事に、一五万円の潤滑油代を使ったこともあったよ。潤滑油ってのはプレス製品のできを決めるくらい重要なんだ。どんな油がいいか研究してるうちに、代金がかさんでしまったんだな。そのときも、
「お父さん、毎日、油飲んでるの? おいしくもないでしょうに......」
っていうのが女房の"苦言"だったね。うまいこと言うだろ?
チクリとやっても、男のやる気をそがないってのが参謀の腕の見せどころなんだよ。
女房と一緒になってなけりゃ、いまの俺は絶対にない。非の打ちどころのない参謀役だね。
著者について
登録情報
- 出版社 : 青春出版社 (2008/6/3)
- 発売日 : 2008/6/3
- 言語 : 日本語
- 新書 : 196ページ
- ISBN-10 : 4413042042
- ISBN-13 : 978-4413042048
- Amazon 売れ筋ランキング: - 343,330位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 166位青春新書インテリジェンス
- - 2,146位倫理学入門
- - 22,471位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
是非手にして見たかったのがラッキーにも入手出来ました。
東京の下町(墨田区東向島)に生まれ育った著者(08年
現在75歳だが、若々しい)が、親父さんから受継いだ金
型工場で、大企業に出来ない、「無痛注射針」や「携帯
電話電池ケース」を世に生み出している。本人は、幼くし
て勉強嫌いというか、周囲の下町特有の人間関係に包
まれ、学歴に拘らずのびのび育てられた環境に有ったよ
うです。
■ 【人に裏切られ騙されるも、スキルを信念に変え】
その結果、著者本人は義理人情に厚く、一方、他人から
騙されるなど、多くのことを人間関係を通じて学び、鍛え
られ知恵を身に付けたと思われます。そこで、役に立つ
「情報」、好かれる「人柄」、確実な「PR]、騙されない「防
衛策」、一流から学ぶ「品格」、仕事から生まれる「自信」
などを通じて、『世渡り力』として学歴社会をも凌駕するも
のがあることを警鐘しております。
■ 【高学歴世代の犯罪】
昨今世間を騒がせております「大分教員採用試験汚職」
は言うまでもなく、社保庁不正・官民癒着による不正事
件など、その枚挙にいとまがありません。又、「秋葉原事
件」を始めとする。ネットの闇サイト活用に代表される社
会の閉塞感などには、現代社会の識者達も成す術を
失っている感があります。
■ 【デジタル世代へのメッセージ】
教育委員会の皆さんは、高学歴であり、社保庁不正・官
民癒着などは、高級官僚と大企業幹部によって引き起こされ
ております。又、闇サイトは、人間関係の希薄なデジタ
ル世代によって運営活用されております。こんな風に考
えると、本書の著者「岡野 雅行」さんが主張する『世渡
り力』は、お人柄から言っても、極めてアナログであり、
アナログ世代の代表者の弁です。正に、デジタル世代
がなおざりにしていた数々を思い起こさせていただきまし
た。
岡野社長の人柄は、テレビで見たり本書で読んだりする限りは「いかにも下町の小企業の社長」であります。
そもそも競合他社が既に進出している部門に自社が進出するに当たり「他社が手を付けないもの」に
目をつけ、「自社でしかできない技術」を作り上げ「大企業の名を借りて特許申請する」という
「いままでの痛い経験から捻り出した処世術」を持って会社を運営していることがわかりました。
本書の中で「しがない営業マンが岡野社長の知恵を借りて、出世していく様」が面白かったです。
本書を通じてこのような会社は「岡野社長の人柄故に維持できること」であり「規模を拡大したり
経営者が変わった場合には継続できないのではないか」と感じました。
つまり「確かに世渡り力が必要ではあるが、同じことを他の会社で実践して効果が出るとは限らない」と
理解しました。
しかしながら青春新書らしい読みやすい文章で、ストーリー性があり、爽快感を求める分には
本書は最適であると思います。
つまり本書は「ビジネス書のコカ・コーラ」です。
たたき上げの人であることを忘れていた。
もしサラリーマンの方で、人生の指針?になる本を・・ということで選択したのであれば
それは間違いです。著者の生きてきた世界はサラリーマンのそれとはまったく異なるからです。
書いてある内容を否定したり批判するつもりは全くありません。そういう世界や生き方も
あるでしょう。ただ、サラリーマンのそれとは全く違うということを言いたいだけです。
最後にもう一つだけ。この本を読み終わったときに著者のほくそ笑む顔が浮かびました。
やられた〜!って感じです。
これを読んでいると元気になれます。