現代の認知心理学における世界的研究者の一人である著者が、法廷に立った経験などを基にして、記憶についての研究成果を記した書物である。ここで対象となっている記憶とは、もちろん、大脳生理学・解剖学・神経学における述語としての「記憶」とはまったく異なる。私たちが日常「思い出す」行為の源として、また「思い出す」過程をふくめた、記憶についてである。念のため。
実に興味深い結論の数々が、少々学術的な語り口ではあるが理解しやすく述べられている。そして著者自身の研究グループによって見出された実験データとその条件、さらには引用も充分備わっている。良心的だ。
ただし、本書が執筆されておよそ20年の歳月が流れたため、現在の知見と突き合せねばなるまいが、理解の出発点としての意義は、持ち続けている。
記憶は、人間活動の中核的要素の一つであることは間違いないであろう。したがって、人間活動に関心を寄せるならば、一瞥しておいて損はない一冊ではないか、このように小生は感じた。
それゆえ推薦したい。
関心があるけれども、学術的口調に戸惑う方は、エッセイ風でありながら大筋本書と同じ方向を持つ『記憶は嘘をつく』ジョン・コートル著をお勧めしたい。
こちらも良書である。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
目撃者の証言 単行本 – 1987/10/1
エリザベス・F. ロフタス
(著),
西本 武彦
(翻訳)
- 本の長さ265ページ
- 言語日本語
- 出版社誠信書房
- 発売日1987/10/1
- ISBN-104414302633
- ISBN-13978-4414302639
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 誠信書房 (1987/10/1)
- 発売日 : 1987/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 265ページ
- ISBN-10 : 4414302633
- ISBN-13 : 978-4414302639
- Amazon 売れ筋ランキング: - 636,147位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 608位司法・裁判(一般)関連書籍
- - 2,942位法律入門
- - 23,648位心理学 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2007年5月13日に日本でレビュー済み
目撃証言の信頼性に疑義を投げる心理学の知見(たとえば記憶の性質や誘導尋問への弱さなど)は、事実上、本書の著者ロフタスによって切り開かれた分野といっても過言ではない。
著者は、後に記憶回復運動や、ホロコースト修正論のちょっとした弁護、偽記憶の問題へ投げ出され、この分野で活躍していくことになるのだが、その原点が本書なのである。
科学の一つの道を切り開いた、まさにその瞬間を堪能できる一冊という意味で、またその価値も殆ど色あせていないという意味で、本書は大変に素晴らしい。
というか、そんな褒めたりしなくとも、何がイイかというと、これは本としても面白いのだ。知的好奇心を刺激する。本書は非常に良い本なので、私は復刊運動にエントリーしていたが、いつのまにか普通に復刊されていたようで、手に入り易くなったのもの嬉しい限り。
2007年現在で、最重要文献とは言わないが、やはり抑えておきたい一冊だ。
著者は、後に記憶回復運動や、ホロコースト修正論のちょっとした弁護、偽記憶の問題へ投げ出され、この分野で活躍していくことになるのだが、その原点が本書なのである。
科学の一つの道を切り開いた、まさにその瞬間を堪能できる一冊という意味で、またその価値も殆ど色あせていないという意味で、本書は大変に素晴らしい。
というか、そんな褒めたりしなくとも、何がイイかというと、これは本としても面白いのだ。知的好奇心を刺激する。本書は非常に良い本なので、私は復刊運動にエントリーしていたが、いつのまにか普通に復刊されていたようで、手に入り易くなったのもの嬉しい限り。
2007年現在で、最重要文献とは言わないが、やはり抑えておきたい一冊だ。