栗本薫はとにかく文章が長すぎメジャー長編を読もうとして挫折したので、短めで作者の趣味が濃く出ていそうなものをこちらを含め3作ほど読んでみました。
その中で言えば、多分栗本流名作にくらべ心理描写が荒い、描写すべき人間関係や心理の配分が違わないか?人物の肉付けや魅力掘り下げがだいぶ適当なのでは?等々ありますが、3話目までいくと「なるほどこれがやりたかったんですね」と私は納得できました。3話目が一番人物描写やなりゆきなど魅力あると思いますし。
あとがきにかかれていますが、これが書かれた当時、BL作品の風潮がライトかつテンプレ化していくので、自分の満足を追求したく書かれたのだそうです。
BLに限らず、あれもこれもライトにテンプレ化している今の商業作品は私もつまらないのですが、
この作品は最終的に意外な決着があり、お約束でもテンプレでもなく「なるほどそんな背徳性もまたオツですね」と思わせてくれ、そういう意味で満足し印象に残りました
時代や流行りに流されず深堀りする姿勢やよしなのではないかと。
画家で言えば素描や試し描きに入りそうな作品な為か、電子の過去作合本にこちらはタイトル見る限り含まれてないようですが、栗本薫のチャレンジ精神を見るにはこれはこれで面白いですし、こういうガッツのある作家のほうがやはり面白いとおもいます。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
タトゥーあり (クリスタル文庫 97) 文庫 – 2005/8/1
- 本の長さ297ページ
- 言語日本語
- 出版社成美堂出版
- 発売日2005/8/1
- ISBN-104415088805
- ISBN-13978-4415088808
登録情報
- 出版社 : 成美堂出版 (2005/8/1)
- 発売日 : 2005/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 297ページ
- ISBN-10 : 4415088805
- ISBN-13 : 978-4415088808
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,506,519位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,539位ボーイズラブノベルス (本)
- - 35,580位日本文学
- - 269,787位文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
別名に中島梓。東京生まれ。
早稲田大学文学部卒。1977年中島梓名義の「文学の輪郭」で群像新人賞評論部門を受賞。
1978年『ぼくらの時代』で江戸川乱歩賞受賞。以後、作家・栗本薫、評論家・中島梓を使い分けて多彩な文筆活動を展開する。
小説作品は、ミステリ、SF、時代小説、耽美小説と多岐にわたる。1979年よりスタートした、ライフワークともいうべき一大長篇ロマン「グイン・サーガ」は、2005年に100巻を達成したが、2009年著者病没により130巻が最終巻となった。著書は『弦の聖域』、『魔界水滸伝』、『真夜中の天使』など、400冊を超える。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2005年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
後書きで、この作品について必要とされる人だけついてくればいい、孤高を選ぶと断言されている以上、レビューは書くべきではないのかもしれないが。
あるのは陰惨な暴力。ぬくもりも説得力もない陳腐な心理の変遷と稚拙な人間関係。
手前勝手な人物の垂れ流すモノローグを耐えていたら疲れてしまった。
なによりも登場人物の誰一人魅力がなかったことが堪えた。
だいたい魅力の無い人間がどうなろうとかまわないわけで、それだけで本を手に取る意味は無い。
ところで、「陋劣」という言葉が今の栗本薫のマイブームなのだろうか。
文中に使いすぎで創意工夫もないのはプロ作家としてどうなのかと不思議でならない。
その昔、冷酷無比のサディストだった蛇の化身が、愛する相手を見出した後に辿った運命に胸を打たれたものだった。
あのせつなさはどこに行ったの?
これを世に出す意味を誰か教えて。
あるのは陰惨な暴力。ぬくもりも説得力もない陳腐な心理の変遷と稚拙な人間関係。
手前勝手な人物の垂れ流すモノローグを耐えていたら疲れてしまった。
なによりも登場人物の誰一人魅力がなかったことが堪えた。
だいたい魅力の無い人間がどうなろうとかまわないわけで、それだけで本を手に取る意味は無い。
ところで、「陋劣」という言葉が今の栗本薫のマイブームなのだろうか。
文中に使いすぎで創意工夫もないのはプロ作家としてどうなのかと不思議でならない。
その昔、冷酷無比のサディストだった蛇の化身が、愛する相手を見出した後に辿った運命に胸を打たれたものだった。
あのせつなさはどこに行ったの?
これを世に出す意味を誰か教えて。
2005年8月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
やおい、ボーイズラブ等いろいろ言い方はあると思いますが、そういったジャンルに分けられる物語になるのでしょう。
おいや、というのもありましたね。
どっちだっけ。
表紙を見ただけで、内容が想像できそうですが、これはボーイズ~というよりは、おっさんズラブじゃないのかと自分は思いました。
主人公が犯され人生観変わっちゃうところとか、よくあるパターンと言えばパターンでしょう。
ただ、唐突すぎる感はありましたね。
それが栗本薫の角川から出版されてるホラー系物語の、最初から狂っているものが、余計狂っていく感覚を思わせ、少し引っかかりました。
連作長編になりそうなので、この1冊だけで気に入る、入らないを決めたくはありません。
この先、書きこまれていくうちに、人物、世界がさらに見えてくると、さらに面白くなると思います。
おいや、というのもありましたね。
どっちだっけ。
表紙を見ただけで、内容が想像できそうですが、これはボーイズ~というよりは、おっさんズラブじゃないのかと自分は思いました。
主人公が犯され人生観変わっちゃうところとか、よくあるパターンと言えばパターンでしょう。
ただ、唐突すぎる感はありましたね。
それが栗本薫の角川から出版されてるホラー系物語の、最初から狂っているものが、余計狂っていく感覚を思わせ、少し引っかかりました。
連作長編になりそうなので、この1冊だけで気に入る、入らないを決めたくはありません。
この先、書きこまれていくうちに、人物、世界がさらに見えてくると、さらに面白くなると思います。
2005年10月24日に日本でレビュー済み
精神的・肉体的を問わず「暴力性とパワーゲーム」は、これまで作者が繰り返し書いて来たテーマの一部だと思います。
今まで名作と言われた作品では、そこに「普遍的な何か」を感じさせるような…読みながら何度も涙するようなJUNEっぽさ、がありました。
でも、この作品にはそれが見当たりませんでした…。「萌え」はありましたが。この違いが重要だと思います。
(「萌」だけ求めるなら、BLを読めばいい話ですよね)
今まで名作と言われた作品では、そこに「普遍的な何か」を感じさせるような…読みながら何度も涙するようなJUNEっぽさ、がありました。
でも、この作品にはそれが見当たりませんでした…。「萌え」はありましたが。この違いが重要だと思います。
(「萌」だけ求めるなら、BLを読めばいい話ですよね)
2006年1月13日に日本でレビュー済み
大量に出回るBLノベルズの中で、繰り返し描かれるテーマのひとつに
粗暴で愚直ないじめっ子(攻)と、
プライドが高く坊ちゃん育ちのいじめられっ子(受)
という組合せがあります。
現実のいじめ問題では永遠に交わらない平行線が、BLファンタジーでは
性愛を通して双方が癒され、受側の傷ついた心は必ず贖われることになるわけですが、
この物語は、一見同じような設定で始まりながら
まったく逆のベクトルをもってストーリーが展開します。
著者の、「お手軽で安易なボーイズラブなど蹴散らしてくれるわ」という
気合(?)が行間から立ち上るようです。
ひどい強姦から始まった関係がそうそう快感になるわけもなく、
にもかかわらず自分のエゴだけで関係を継続させる主人公。
だから行為の最中に相手から「愛してる」と言われて鼻白むくだりは
非常にリアルであるなあと思いました。
この設定で、この話で、ひとつの世界を作り上げ、とにかく読ませてしまう
著者の(手腕というより)剛腕はさすがの一言。
ボーイズラブを砂糖菓子にたとえるなら、この物語はクセのある強い酒でしょうか。
甘い物を口にして心身を癒すのもいいけれど、たまには悪酔い覚悟でガツンときつい
スピリットを味わいたい、そんな諸姉におすすめいたします。
粗暴で愚直ないじめっ子(攻)と、
プライドが高く坊ちゃん育ちのいじめられっ子(受)
という組合せがあります。
現実のいじめ問題では永遠に交わらない平行線が、BLファンタジーでは
性愛を通して双方が癒され、受側の傷ついた心は必ず贖われることになるわけですが、
この物語は、一見同じような設定で始まりながら
まったく逆のベクトルをもってストーリーが展開します。
著者の、「お手軽で安易なボーイズラブなど蹴散らしてくれるわ」という
気合(?)が行間から立ち上るようです。
ひどい強姦から始まった関係がそうそう快感になるわけもなく、
にもかかわらず自分のエゴだけで関係を継続させる主人公。
だから行為の最中に相手から「愛してる」と言われて鼻白むくだりは
非常にリアルであるなあと思いました。
この設定で、この話で、ひとつの世界を作り上げ、とにかく読ませてしまう
著者の(手腕というより)剛腕はさすがの一言。
ボーイズラブを砂糖菓子にたとえるなら、この物語はクセのある強い酒でしょうか。
甘い物を口にして心身を癒すのもいいけれど、たまには悪酔い覚悟でガツンときつい
スピリットを味わいたい、そんな諸姉におすすめいたします。
2006年1月5日に日本でレビュー済み
学者一家に生まれたサラブレッドで自身も36の若さにしてT大教授という美貌の主人公が、倣岸で獰猛な年下ヤクザに「踏みにじられる」系のしかし「支配される方が実は支配する方」な要素もある話、ではある。ありがちな反面、そそる要素も有りだと思う。しかし!!この小説にはまったく入り込めない。
私は大昔同じ作者の「元禄無頼」にはまった口だが、その当時にはあった説得力やヒリヒリするような感情が皆無なのだ。だから、ただ単にエグくてグロテスクなだけ。「ボーイズラブとは一線を画す」ようなことが後書きに書かれているが、そんなご大層なもんじゃない。登場人物の身勝手でグダグダな心中吐露をいつまで読まされるのかきりがなく、「グインもこれで挫折したんだっけ」と思い出す。「JUNE」を牽引しつづけた栗本薫がなぜに今こんなものを書くのか分からない。
私は大昔同じ作者の「元禄無頼」にはまった口だが、その当時にはあった説得力やヒリヒリするような感情が皆無なのだ。だから、ただ単にエグくてグロテスクなだけ。「ボーイズラブとは一線を画す」ようなことが後書きに書かれているが、そんなご大層なもんじゃない。登場人物の身勝手でグダグダな心中吐露をいつまで読まされるのかきりがなく、「グインもこれで挫折したんだっけ」と思い出す。「JUNE」を牽引しつづけた栗本薫がなぜに今こんなものを書くのか分からない。
2006年3月14日に日本でレビュー済み
ご本人もあとがきで書いていらっしゃいましたが、これはBLではありません。ジュネです、ヤオイです(笑)
栗本薫さんといえば今現在のBLの流れを一番最初に、ジュネやヤオイという部分で書かれた方だと思うのですが、その方が久しぶりに書いたなあって感じです。
知らない方から見ればジュネもBLも同じだろうということになるのでしょうが。
実際のこの方の筆力というのはご本人もかつてからいってられるとおり、誰でも読める手軽なものという部分からはかけ離れていると思うので、読んだ後に読んだなーと思えることだけはたしかです。
ただね、実際終わりのないラブソングを読んだときの感動はなかった。
きっと栗本さん自身が今のBLへの何かを問いかけたくてあわてて書いたんだろうという気はするけどそれだけです。
ジュネやヤオイとBLは別物なんだよなあ、ということだけは再認識できました
栗本薫さんといえば今現在のBLの流れを一番最初に、ジュネやヤオイという部分で書かれた方だと思うのですが、その方が久しぶりに書いたなあって感じです。
知らない方から見ればジュネもBLも同じだろうということになるのでしょうが。
実際のこの方の筆力というのはご本人もかつてからいってられるとおり、誰でも読める手軽なものという部分からはかけ離れていると思うので、読んだ後に読んだなーと思えることだけはたしかです。
ただね、実際終わりのないラブソングを読んだときの感動はなかった。
きっと栗本さん自身が今のBLへの何かを問いかけたくてあわてて書いたんだろうという気はするけどそれだけです。
ジュネやヤオイとBLは別物なんだよなあ、ということだけは再認識できました
2006年1月31日に日本でレビュー済み
容姿端麗な痩せぎすの完璧な男の好きな耽美派の作家栗本薫らしい作品になっている。
とは言うものの、作者も言っているように、「ボーイズラブ」の「あまあまラブラブ」の洪水に敢然と果たし状をぶつけた「ヤオイ」作品になっている。従って、この手の作品に嫌悪感を感じる人は読まない方がいいだろう。
個人的には、私自身もこの手の作品は好きではないが、栗本薫の作品だけは読んでしまう。それは、どの作品を読んでもそれだけで終わっていないからである。例えば、三編中の表題の作品は、知的にも、金銭的にも、地位もすべてにおいて完璧に作られた主人公が、レイプされることによって、それが親によって作られたものであることを悟り、一皮剥けた人間らしくなり、今までの弱弱しい人間から強い人間になってゆく。そのあたりのストーリー構成の上手さは流石である。
とは言うものの、作者も言っているように、「ボーイズラブ」の「あまあまラブラブ」の洪水に敢然と果たし状をぶつけた「ヤオイ」作品になっている。従って、この手の作品に嫌悪感を感じる人は読まない方がいいだろう。
個人的には、私自身もこの手の作品は好きではないが、栗本薫の作品だけは読んでしまう。それは、どの作品を読んでもそれだけで終わっていないからである。例えば、三編中の表題の作品は、知的にも、金銭的にも、地位もすべてにおいて完璧に作られた主人公が、レイプされることによって、それが親によって作られたものであることを悟り、一皮剥けた人間らしくなり、今までの弱弱しい人間から強い人間になってゆく。そのあたりのストーリー構成の上手さは流石である。