久しぶりに田辺さんの作品を読みましたが、やはりいいなあ。読みやすくて、バランスが取れていて、かつ作品の機微に分け入ったいわゆる田辺節です。中身はいろいろな場所に発表されたエッセーをテーマごとにまとめ直したアンソロジーです。時代は1970年から1990年代のものです。やはり中心になるのは「源氏」かな。何度も源氏を読み込んだ著者の作品と作者(紫式部)に向ける愛情が様々な角度から語られています。もっとも結果として重複が多くなるのはご愛嬌です。伊勢物語、更級日記や和泉式部への愛着も隠せないようで、この平安の物語を扱った部分がこのアンソロジーのハイライトでしょう。
それにも負けずとも劣らないのは「西鶴の目」でしょう。「西鶴置土産」執筆の背景を想像したこのエッセーは同じ大坂出身の西鶴の不思議な本質に迫っており、みごとな起承転結の下で話が展開され、「西鶴置土産」を読みたい気持ちにさせてくれます。さらにみごとなのは、「才女たちの晩年」と「詩人の死」です。ここでは虚構を操る小説家としての特権をフルに生かして、見事な想像力の下でそれぞれの芸術家の「真実」が創造されています。
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古典の文箱 単行本 – 1999/5/1
田辺 聖子
(著)
- 本の長さ357ページ
- 言語日本語
- 出版社世界文化社
- 発売日1999/5/1
- ISBN-104418995145
- ISBN-13978-4418995141
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
古典には、人間の営みのすべてがある。男女の機微も、人生の哀歓も、自然とともに暮らす祖先の心映えや英知も。古典への無類の造詣とつきせぬ恋ごころを集大成し、失ってはならない日本人の心のふるさとを案内する。
登録情報
- 出版社 : 世界文化社 (1999/5/1)
- 発売日 : 1999/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 357ページ
- ISBN-10 : 4418995145
- ISBN-13 : 978-4418995141
- Amazon 売れ筋ランキング: - 601,825位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 135位古典文学研究
- カスタマーレビュー:
著者について
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1928年3月27日大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。56年「虹」で大阪市民文芸賞。64年「感傷旅行」で第50回芥川賞、『花衣ぬぐやまつわる…』で女流文学賞、『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞する。2008年文化勲章受章(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 愛してよろしいですか? (ISBN-13: 978-4087465785 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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