著者はひねくれ者だと書いてありましたが、文章はとてもユニークで読みやすく、専門的な事柄をなんとか言葉を砕いて伝えようとしてくれています。思いっきり専門的な言葉のところもありますが。
現地に行ったことが無いですが、行って体験してきたような気持ちになれました。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥1,980¥1,980 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥1,980¥1,980 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥950¥950 税込
無料配送 6月13日-14日にお届け
発送元: 東麻布飛鳥書店 販売者: 東麻布飛鳥書店
¥950¥950 税込
無料配送 6月13日-14日にお届け
発送元: 東麻布飛鳥書店
販売者: 東麻布飛鳥書店
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
- ビデオ
現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。 単行本 – 2019/8/27
吉岡 乾
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,980","priceAmount":1980.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,980","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"OcgYYdv%2F68IsLakD00dVxzmhFrYN3az5jSEi2LwfECcnSQrtPPLtTNDFwhy0OH2pX8uyXTw0N49jNuhK4XkUOKGhY%2Bz31r1hbQ66PIK%2FwVqC3v7Q8Ey7VOn%2B5pnRrKGDbHu8gn%2B8P4g%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥950","priceAmount":950.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"950","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"OcgYYdv%2F68IsLakD00dVxzmhFrYN3az58harcLYK8M%2FSrwImkNCClda3%2BMeC8v%2FYyl6NK17idpppn0wTxsaw%2B1Z%2Fds8Ghe%2FwJnx6MXgTTZm39NbbNFPqXHBZsBqEDIr%2BEN8m8nCNDOJg29gmlhRz2uO5ZdV3Jxz4gVSd8Hrg1BOcw8bMzoIhMQ%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
はやく日本に帰りたい。
ブルシャスキー語、ドマーキ語、コワール語、カラーシャ語、カティ語、シナー語、
カシミーリー語……。
文字のない小さな言語を追って、パキスタン・インドの山奥へ――。
著者は国立民族学博物館に勤務するフィールド言語学者。
パキスタンとインドの山奥で、ブルシャスキー語をはじめ、
話者人口の少ない七つの言語を調査している。
調査は現地で協力者を探すことに始まり、谷ごとに異なる言語を聞き取り、
単語や諺を集め、物語を記録するなど、その過程は地道なものである。
現地の過酷な生活環境に心折れそうになりつつも、独り調査を積み重ねてきた著者が、
独自のユーモアを交えつつ真摯に綴る、思索に満ちた研究の記録。
【書評続々!!】
2019年
日刊ゲンダイ(9月5日)/書評
幻冬舎plus(9月15日)/紹介(辻山良雄氏・本屋Title店主)
週刊エコノミスト(10月1日号)/紹介
月刊みんぱく(10月号)/紹介
ダ・ヴィンチ(11月号)/書評(辻山良雄氏・本屋Title店主)
てんとう虫(11月号)/紹介(蜂飼耳氏・詩人)
産経新聞(10月6日)/書評(竹内洋氏・京都大学名誉教授)
週刊読書人(10月11日)/書評(高野秀行氏・ノンフィクション作家)
毎日新聞(10月20日)/書評(渡邊十絲子氏・詩人)
琉球新報(10月20日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
南日本新聞(10月20日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
北國新聞(10月20日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
秋田魁新報(10月20日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
日本経済新聞(10月26日)/短評
沖縄タイムス(10月26日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
福島民報(10月26日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
下野新聞(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
宮崎日日新聞(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
中國新聞(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
新潟日報(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
日本海新聞(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
朝日新聞(11月2日)/書評「著者に会いたい」(著者インタビュー)
神戸新聞(11月3日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
山陽新聞(11月3日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
大分合同新聞(11月3日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
好書好日(11月7日)/書評「著者に会いたい」(著者インタビュー)
佐賀新聞(11月10日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
岐阜新聞(11月17日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
東奥日報(11月17日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
京都新聞(11月24日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
山陰中央新報(12月10日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
ブルシャスキー語、ドマーキ語、コワール語、カラーシャ語、カティ語、シナー語、
カシミーリー語……。
文字のない小さな言語を追って、パキスタン・インドの山奥へ――。
著者は国立民族学博物館に勤務するフィールド言語学者。
パキスタンとインドの山奥で、ブルシャスキー語をはじめ、
話者人口の少ない七つの言語を調査している。
調査は現地で協力者を探すことに始まり、谷ごとに異なる言語を聞き取り、
単語や諺を集め、物語を記録するなど、その過程は地道なものである。
現地の過酷な生活環境に心折れそうになりつつも、独り調査を積み重ねてきた著者が、
独自のユーモアを交えつつ真摯に綴る、思索に満ちた研究の記録。
【書評続々!!】
2019年
日刊ゲンダイ(9月5日)/書評
幻冬舎plus(9月15日)/紹介(辻山良雄氏・本屋Title店主)
週刊エコノミスト(10月1日号)/紹介
月刊みんぱく(10月号)/紹介
ダ・ヴィンチ(11月号)/書評(辻山良雄氏・本屋Title店主)
てんとう虫(11月号)/紹介(蜂飼耳氏・詩人)
産経新聞(10月6日)/書評(竹内洋氏・京都大学名誉教授)
週刊読書人(10月11日)/書評(高野秀行氏・ノンフィクション作家)
毎日新聞(10月20日)/書評(渡邊十絲子氏・詩人)
琉球新報(10月20日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
南日本新聞(10月20日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
北國新聞(10月20日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
秋田魁新報(10月20日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
日本経済新聞(10月26日)/短評
沖縄タイムス(10月26日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
福島民報(10月26日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
下野新聞(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
宮崎日日新聞(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
中國新聞(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
新潟日報(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
日本海新聞(10月27日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
朝日新聞(11月2日)/書評「著者に会いたい」(著者インタビュー)
神戸新聞(11月3日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
山陽新聞(11月3日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
大分合同新聞(11月3日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
好書好日(11月7日)/書評「著者に会いたい」(著者インタビュー)
佐賀新聞(11月10日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
岐阜新聞(11月17日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
東奥日報(11月17日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
京都新聞(11月24日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
山陰中央新報(12月10日)/書評(サンキュータツオ氏・学者芸人)
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社創元社
- 発売日2019/8/27
- 寸法12.8 x 18.8 cm
- ISBN-104422390031
- ISBN-13978-4422390031
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。
¥1,980¥1,980
最短で6月13日 木曜日のお届け予定です
残り5点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
出版社より
商品の説明
著者について
吉岡乾(よしおか・のぼる)
国立民族学博物館准教授。専門は記述言語学。博士(学術)。
1979年12月、千葉県船橋市生まれ。
2012年5月、東京外国語大学大学院博士課程単位取得退学。同9月に博士号取得。
博士論文の題は「A Reference Grammar of Eastern Burushaski」。2014年より、現職。
大学院へ進学した2003年よりブルシャスキー語の研究を開始し、その後、
パキスタン北西部からインド北西部に亙る地域で、合わせて7つほどの言語を、
記述的に調査・研究している。著書に『なくなりそうな世界のことば』(創元社)。
国立民族学博物館准教授。専門は記述言語学。博士(学術)。
1979年12月、千葉県船橋市生まれ。
2012年5月、東京外国語大学大学院博士課程単位取得退学。同9月に博士号取得。
博士論文の題は「A Reference Grammar of Eastern Burushaski」。2014年より、現職。
大学院へ進学した2003年よりブルシャスキー語の研究を開始し、その後、
パキスタン北西部からインド北西部に亙る地域で、合わせて7つほどの言語を、
記述的に調査・研究している。著書に『なくなりそうな世界のことば』(創元社)。
登録情報
- 出版社 : 創元社 (2019/8/27)
- 発売日 : 2019/8/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4422390031
- ISBN-13 : 978-4422390031
- 寸法 : 12.8 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 211,101位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 206位その他の外国語関連書籍
- - 43,107位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.3つ
5つのうち4.3つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
44グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年3月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なにしろパキスタン北部を中心に分布する言語の研究者なのに「分かりやすく言えば少なくともパキスタンは大嫌いだ(p.28)」ときっぱり言い切るし、フィールド言語学者なのに「いつだって調査に行く際には、出発前から早く家に帰りたいと思っている(p.21)」と言うのだ。あまつさえ、この本でフィールドワークや言語学について著者が語ることで「無垢な幼い子供たちがむやみやたらと学者に憧れを抱くのを阻むことができるし、それによって不幸な人を減らすことができ(p.299)」るだろうと書く。おかしい。普通の啓蒙書なら「この学問はこんなに面白いですよ。研究してみたいでしょ? でしょでしょ!」と迫るのではないか。
そういう本書のスタイルに関係するのが著者の研究への姿勢である。
「地味な研究を無駄と蔑んだりしないでほしい。……おのれが解らぬからと言って価値がないと浅はかに思うのは正しくない。……それが研究である限り、無駄な研究などないのだ。解ってくれ。(p.125)」
とある通り、著者は、科学研究を、有用性や利益や面白さや社会貢献に直接結びつけることに批判的である。古典的な研究観と言うべきか。
当然ながら、そういう世間一般の風潮に(言葉は悪いが)迎合する科学者についても
「声が大きく華々しい経歴の『研究者』サマがTVで引っ張りダコにされ、コメンテータとして登壇したり、客寄せパンダのように方々の大学から講演依頼が来たり、名が知れたからと三文小説などを書いたりする…(p.122)」
と辛らつだ。
章ごとに、著者の研究する少数言語に関するコラムがあり、「私の名前はノボルだ」「また会おう」等の基本フレーズも紹介されている。そのうちの、例えばドマーキ語のように「話者は100人を切っていると思われる(p.95)」というような言語の「ドマーキ語で何というの?」という質問文を使おうとする読者がいるとは思えないが、上のようなスタンスの著者ゆえ、意識的にこれらを載せているのだろう。
話がずれるが、著者が研究のためにインド側カシミール地域を訪問した際に出くわした「二〇一六年カシミール政情不安」という事態について私はまったく知らなかった。著者も記す通り、日本の国際報道の欧米中心主義を端的に示しているといえるだろう。
そういう本書のスタイルに関係するのが著者の研究への姿勢である。
「地味な研究を無駄と蔑んだりしないでほしい。……おのれが解らぬからと言って価値がないと浅はかに思うのは正しくない。……それが研究である限り、無駄な研究などないのだ。解ってくれ。(p.125)」
とある通り、著者は、科学研究を、有用性や利益や面白さや社会貢献に直接結びつけることに批判的である。古典的な研究観と言うべきか。
当然ながら、そういう世間一般の風潮に(言葉は悪いが)迎合する科学者についても
「声が大きく華々しい経歴の『研究者』サマがTVで引っ張りダコにされ、コメンテータとして登壇したり、客寄せパンダのように方々の大学から講演依頼が来たり、名が知れたからと三文小説などを書いたりする…(p.122)」
と辛らつだ。
章ごとに、著者の研究する少数言語に関するコラムがあり、「私の名前はノボルだ」「また会おう」等の基本フレーズも紹介されている。そのうちの、例えばドマーキ語のように「話者は100人を切っていると思われる(p.95)」というような言語の「ドマーキ語で何というの?」という質問文を使おうとする読者がいるとは思えないが、上のようなスタンスの著者ゆえ、意識的にこれらを載せているのだろう。
話がずれるが、著者が研究のためにインド側カシミール地域を訪問した際に出くわした「二〇一六年カシミール政情不安」という事態について私はまったく知らなかった。著者も記す通り、日本の国際報道の欧米中心主義を端的に示しているといえるだろう。
2022年4月30日に日本でレビュー済み
勘違いかもしれないけど、めちゃくちゃ気負って書いてんなあ、という印象。沼野充義や黒田龍之介のポジション狙ってる?って気恥ずかしさがある。
2019年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
生きのいいフィールド言語学者のデビュー作品(2作目?)。舞台はパキスタン北西部・インド北西部の谷間。危機言語と呼ばれ系統的孤立語と呼ばれる7つの言語記録を残すべく、現地フィールドワークが繰り返される。著者吉岡乾(よしおか・のぼる)は1979年12月生まれ。丸2か年をかけ完成させた本著作刊行時で、まだ39歳。若々しさが漲る。地味な記述言語学の研究過程を個人史を交えて溌溂と描いてゆく様は正に「研究青春記」と言えよう。
2007年当時のフンザ谷・バックパッカー宿。中々うまく進まないフィールドワークに倦んだ著者は、バックパッカーたちと毎夜ゲームに耽り、挙句の果ては、バックパッカーの一人に同行し別の谷間へと出かけてしまう(その谷でカラーシャ語・ヌーリスタン語・コワール語の3つの言語調査)。2週間ぶりに宿に戻ると、「のぼるさん、お久しぶりです」「お元気ですか」「よいご旅行を」「恋しくなるよ」ー。待ち切れずに去った韓国人女学生からのラブレターが残されていた(154頁)。
著者は自分の研究を「じれったい研究」と表現する。章末には箴言の如く1文が記される。「地理的にも情報的にもアクセスしづらい言語のデータを採りに、現地まで行くのがフィールド言語学者なのである」「それが研究である限り、無駄な研究などないのだ。解ってくれ」「何を仕事として考えているかと言えば、消滅する前に言語を記録することである」ー。冒頭近くには「遥かなる言葉の旅は、いつだって途中でしかない」(16頁)とあって、フィールド言語学者の覚悟のほどがさりげなく示されている。「日本人にとってマイナーな国であるパキスタンの、山奥の少数言語を調査して、単語を集めたり、文法を解明しようとして何年も費やすのは、無駄な行為に見えるかもしれない」「それをして日本の社会にどんな貢献があるのかと言えば、直接的にはないだろう」「けれど、そもそも研究者は貢献者になりたいわけではないし、何をどう活かすかは個々人に任せるべき話である」(124頁)。著者は終始一貫して「役に立つ研究」に対して懐疑的であり禁欲的だ。
初めは本書を読み通せるか心配だった。パキスタンの地名や言語名は初めて接するものばかり。言語学用語にも馴染みがなかった。しかし、著者の驚くべき筆力・思索力によって、パキスタン・インド少数言語の研究現場に立ち会う面白さを、深く味わうことができた。加えて、特筆すべきなのが、この本自体のモノとしての美しさだ。装幀・造本・組版があいまって、本書の魅力を際立たせている。画家「マメイケダ」による現地スケッチを惜しげもなく配置した大胆な紙面構成。それが、読みやすさと臨場感を高めるのに一役も二役も買っている。帯も目次も美的センスに溢れ、フィールド言語学の世界に引き込んでくれる。
絶妙なのが、巻末に添えられた(編集者執筆による)「あとがきに代えて」だ。それまで著者と一体化してフィールド言語学の現場に密着していた読者は、この文章で、そっと肩を叩かれたかのように我に返る。これも著者と編集者の阿吽の呼吸だろうか。創元社パキスタン航空便の見事な着陸術。感嘆させられました。
2007年当時のフンザ谷・バックパッカー宿。中々うまく進まないフィールドワークに倦んだ著者は、バックパッカーたちと毎夜ゲームに耽り、挙句の果ては、バックパッカーの一人に同行し別の谷間へと出かけてしまう(その谷でカラーシャ語・ヌーリスタン語・コワール語の3つの言語調査)。2週間ぶりに宿に戻ると、「のぼるさん、お久しぶりです」「お元気ですか」「よいご旅行を」「恋しくなるよ」ー。待ち切れずに去った韓国人女学生からのラブレターが残されていた(154頁)。
著者は自分の研究を「じれったい研究」と表現する。章末には箴言の如く1文が記される。「地理的にも情報的にもアクセスしづらい言語のデータを採りに、現地まで行くのがフィールド言語学者なのである」「それが研究である限り、無駄な研究などないのだ。解ってくれ」「何を仕事として考えているかと言えば、消滅する前に言語を記録することである」ー。冒頭近くには「遥かなる言葉の旅は、いつだって途中でしかない」(16頁)とあって、フィールド言語学者の覚悟のほどがさりげなく示されている。「日本人にとってマイナーな国であるパキスタンの、山奥の少数言語を調査して、単語を集めたり、文法を解明しようとして何年も費やすのは、無駄な行為に見えるかもしれない」「それをして日本の社会にどんな貢献があるのかと言えば、直接的にはないだろう」「けれど、そもそも研究者は貢献者になりたいわけではないし、何をどう活かすかは個々人に任せるべき話である」(124頁)。著者は終始一貫して「役に立つ研究」に対して懐疑的であり禁欲的だ。
初めは本書を読み通せるか心配だった。パキスタンの地名や言語名は初めて接するものばかり。言語学用語にも馴染みがなかった。しかし、著者の驚くべき筆力・思索力によって、パキスタン・インド少数言語の研究現場に立ち会う面白さを、深く味わうことができた。加えて、特筆すべきなのが、この本自体のモノとしての美しさだ。装幀・造本・組版があいまって、本書の魅力を際立たせている。画家「マメイケダ」による現地スケッチを惜しげもなく配置した大胆な紙面構成。それが、読みやすさと臨場感を高めるのに一役も二役も買っている。帯も目次も美的センスに溢れ、フィールド言語学の世界に引き込んでくれる。
絶妙なのが、巻末に添えられた(編集者執筆による)「あとがきに代えて」だ。それまで著者と一体化してフィールド言語学の現場に密着していた読者は、この文章で、そっと肩を叩かれたかのように我に返る。これも著者と編集者の阿吽の呼吸だろうか。創元社パキスタン航空便の見事な着陸術。感嘆させられました。
2019年10月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
絶妙のセンスある文体でどんどん読み進めました。フィールド言語学というものがどういうものなのか、まったく予備知識がなかったのですが、「役に立たない研究」どころか、人類の言語の成り立ちを追求していくための貴重なパーツになる基礎研究と言えると思いました。それはつまるところ、私たちがどこから来て、どこへ向かうのか、という問いかけを続けていくのに欠かせない思考的な作業だと思います。余談ですが、ブルシャスキー語の民話の「カエルの花嫁」とほぼ同じあらすじの童話がイギリスのウェールズにあったとのこと、私は、これとほぼ同じお話を、子ども時代に愛読していた「ロシア童話集」で読んだことがあります。あかね書房刊「ロシア童話集」中村融訳という本でした。(ネタバレすみません)
吉岡先生の次回作(一般向け)を楽しみにしています。
吉岡先生の次回作(一般向け)を楽しみにしています。
2019年12月29日に日本でレビュー済み
『現地嫌いなフィールド言語学者』というタイトルに矛盾がありますし、帯のキャッチコピー『はやく日本に帰りたい。』にも矛盾があります。
フィールド言語学者としてのその「矛盾」が本著のツカミになっていますが、内容は矛盾をはらむことなく「真摯」です。
言語学に限らず、文系の学問全般が、その存在意義を問われ、公立大学の予算削減が日本国内で議題(議論)になったことがありましたが、そのことに対してこの著者の吉岡乾さんは真摯に回答しています。「負の循環で再生産されつづけるその風潮は、社会的同調圧力との乗算で渦巻く瘴気となって四方を覆い尽くし、順わぬ者へ社会不適合の烙印を捺しだす。利益を呼ぶ研究だけが社会に必要なのだ、と。」
たとえ大発見や大発明があったとして、人々の生活の向上に直結しない。経済性や生産性が上がるわけではない。「無駄な行為に見えるかもしれない。それをして日本の社会にどんな貢献があるかと言えば、直接的にはないだろう。けれど、そもそも研究者は貢献者になりたいわけではないし、何をどう活かすかは個々人に任せるべき話である」と。
フィールド言語学というものを紹介し、言語学の魅力や、その苦労と経験談を綴っているだけではなく、根源的な問題を追及し、そして自問して、回答をしている。とても真摯です。
大学で言語学や民俗学を専攻してみたいと思っている受験生が読んでもいいと思いますし、専攻した自分の学問に悩んでいる大学生や院生が読んでもいいと思います。その具体的な内容や活動について知ることはもちろん、フィールド言語学者が抱える葛藤というか世間との軋轢を知ることができます。
強いて難点を挙げるならば、著者近景もなければ、調査に赴いた現地の写真も載っていない。写真を元に描いたのであろうイラストが載っているだけで、このイラストを描いたのは著者ではない。
「どんな風景の場所なんだろう?」、「どんな街並みの、どんな顔つきの人々なのだろう?」。イラストの情報量では具体的な情報を掴めません。
言葉に自信がある人だからこそ写真の具体性に依存しない文字主体の本なのでしょうが、異文化訪問記としてはちょっとイメージを掴みにくいところがあります。
フィールド言語学者としてのその「矛盾」が本著のツカミになっていますが、内容は矛盾をはらむことなく「真摯」です。
言語学に限らず、文系の学問全般が、その存在意義を問われ、公立大学の予算削減が日本国内で議題(議論)になったことがありましたが、そのことに対してこの著者の吉岡乾さんは真摯に回答しています。「負の循環で再生産されつづけるその風潮は、社会的同調圧力との乗算で渦巻く瘴気となって四方を覆い尽くし、順わぬ者へ社会不適合の烙印を捺しだす。利益を呼ぶ研究だけが社会に必要なのだ、と。」
たとえ大発見や大発明があったとして、人々の生活の向上に直結しない。経済性や生産性が上がるわけではない。「無駄な行為に見えるかもしれない。それをして日本の社会にどんな貢献があるかと言えば、直接的にはないだろう。けれど、そもそも研究者は貢献者になりたいわけではないし、何をどう活かすかは個々人に任せるべき話である」と。
フィールド言語学というものを紹介し、言語学の魅力や、その苦労と経験談を綴っているだけではなく、根源的な問題を追及し、そして自問して、回答をしている。とても真摯です。
大学で言語学や民俗学を専攻してみたいと思っている受験生が読んでもいいと思いますし、専攻した自分の学問に悩んでいる大学生や院生が読んでもいいと思います。その具体的な内容や活動について知ることはもちろん、フィールド言語学者が抱える葛藤というか世間との軋轢を知ることができます。
強いて難点を挙げるならば、著者近景もなければ、調査に赴いた現地の写真も載っていない。写真を元に描いたのであろうイラストが載っているだけで、このイラストを描いたのは著者ではない。
「どんな風景の場所なんだろう?」、「どんな街並みの、どんな顔つきの人々なのだろう?」。イラストの情報量では具体的な情報を掴めません。
言葉に自信がある人だからこそ写真の具体性に依存しない文字主体の本なのでしょうが、異文化訪問記としてはちょっとイメージを掴みにくいところがあります。
2019年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
彼にはユーモアがあり、文中に不必要な言葉が一切出てこない所が良いです。全く知らない人ですが、今後も命の危険なく研究が続けられるよう陰ながら応援したい。人はどんどん死んでいくので、当然使われなくなっていった言語もたくさん存在するのだとは思いますが、消滅速度を急激に早める原因要素の事を思うとちょっと溜息が出ますね、自然破壊の次くらいに。人について知るための学問ですが、そのヒトによって無くなってしまいやすい、痕跡すら無くなる、若しくは痕跡と気づくことさえ出来なくなる所が大変ですね。