個人的には一番読み込んだ本の一つ。
ブルバキみたいな公理証明補題証明定理の連続で記述されているような無味乾燥な教科書的な本ではなく、
どういうつもりか、どういう意図か、を自然言語で説いているので
向いてる人には非常に向いてると思われる。
ほかに自分の知ってるあたりだと佐武一郎「代数学への誘い」、堀田良之「加群十話」「代数入門」、あたりが公理的ブルバキ的じゃない読み物タイプの代数学入門の本に挙げられると思う。
でもこの本はそれらの本よりかなり広範な題材を扱ってるのでもっとヴォリュームが多く盛りだくさん。
「代数学とは何か」は日本の代数学の本で重要視されて紙面を多く割くことがありがちなガロア理論の扱いが意外と小さい。
そして前半には線形代数の一般化した加群の話が結構な分量で載っている。
まあ確かにガロア理論は代数学の勉強する時の目標にされるケースが多いと思われるが
代数学の勉強でメルクマーク一里塚ともいえる商集合商代数や準同型定理、イデアルなんかの「割り算」の概念の方の理解の方が重要だというのは一つの見識だと思う。
後半は広範な話題がずっと続く。
最後の方の章で圏論とかコホモロジーの小さくまとまった概観、K群や指数定理とブラウアー群なんかを扱ってる。
個人的な思い出思い入れなのだがこの本にハマってた同時期に長野正「曲面の数学」、吉田朋好「ディラック作用素の指数定理」や安藤哲哉「コホモロジー」、加藤五郎「コホモロジーのこころ」なんかも読み込んでたので個人的にはドラームコホモロジーによるアティヤシンガーの指数定理が幾何学と代数学の合流点に位置づけられる大定理という認識が個人的にはとっても強く感じられる。
長野正「曲面の数学」、吉田朋好「ディラック作用素の指数定理」の数学寄りの幾何学の二冊の読み合わせは中原幹夫、佐久間一浩「理論物理学のための幾何学とトポロジー1,2」、橋本義武「ゲージ理論の基礎数理」なんかと被った内容で物理学分野と幾何学分野での対応を意識的に扱いながら勉強した方がいいとも思える。
ここらの読み合わせで数学の代数学と幾何学、そして対応する物理学までカヴァーできるのでならばいっそ残りの数学の解析学分野の本でも「代数学とは何か」みたいな分野を総覧できる本があればいいなあ~。と思えるんだが、どなたかご存じないだろうか?。
ないなら出来れば偉い先生に書いてほしいなあ。「解析学とは何か。」。
¥13,140¥13,140 税込
配送料 ¥250 6月22日-25日にお届け
発送元: おもちゃ鑑定団 (Toys & Books) 販売者: おもちゃ鑑定団 (Toys & Books)
¥13,140¥13,140 税込
配送料 ¥250 6月22日-25日にお届け
発送元: おもちゃ鑑定団 (Toys & Books)
販売者: おもちゃ鑑定団 (Toys & Books)
¥2,400¥2,400 税込
配送料 ¥250 6月9日-11日にお届け
発送元: 四方堂書店 販売者: 四方堂書店
¥2,400¥2,400 税込
配送料 ¥250 6月9日-11日にお届け
発送元: 四方堂書店
販売者: 四方堂書店
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
代数学とは何か 単行本 – 2001/7/1
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥13,140","priceAmount":13140.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"13,140","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"nXrVF4O5BswSnysX9VwS52RHrThYP0pS1ddOXRNGtuAj3WYlkwx6oele0sLSdVOeZRpihLLZY%2B1bgnxHu7OG35qxSYS0doU003897pf3M3%2FHyS2V2qIERS37eG3tmtf38wt319x5XHb4fbyrqrZel37Xfld%2BtBSYnbc1YYgabWS58m37eqqK2NnplGc4kYc%2B","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥2,400","priceAmount":2400.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,400","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"nXrVF4O5BswSnysX9VwS52RHrThYP0pSayPi9trtsvyRo5mboXlLp8gGWMmXyAuq1ZPjMlAHrv%2BGHBS6pei6wtjO088QuA8C7kcRBuk6LL4A4Hi5NA0gM08W4BMDf6tSKzEJHEnrgA80q0MHhnhgwbL89NK2Yx6lzjEl57crbk6iVgeNIHF92sVgC93gieST","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
- 本の長さ367ページ
- 言語日本語
- 出版社シュプリンガー・フェアラーク東京
- 発売日2001/7/1
- ISBN-104431708278
- ISBN-13978-4431708278
この商品を見た後に買っているのは?
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
代数学が誰にでもわかるように、代数的な概念や手法を、具体的で豊富な例で解き明かす。その上で、有限群、リー群それぞれの特徴と多岐にわたる応用について述べ、さらに、ガロア理論、リー代数、K理論等を扱う。
登録情報
- 出版社 : シュプリンガー・フェアラーク東京 (2001/7/1)
- 発売日 : 2001/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 367ページ
- ISBN-10 : 4431708278
- ISBN-13 : 978-4431708278
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,041,166位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,239位代数・幾何
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
10グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年9月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年4月12日に日本でレビュー済み
本書は数学者シャファレヴィッチによる、代数学の広大な世界を口語体で展開した名著である。
本書の中は加群・代数的に見た場合の無限小の概念、非可換環とその上の加群、半単純加群と半単純環、群の図を用いた豊富な例、群の表現と応用、さらには素粒子物理との関連、リー代数・圏・ホモロジー代数・K理論といった、どの分野も本格的に証明を細かくつけて行くと一冊の本になってしまいそうなボリュームである。それを一冊の本で概観している。しかしそれでいて内容は損うことなく上質で豊富な世界を保っている名著であるといえる。
代数学とは何か、代数学としての生きた生命・魂とでもいうべき本質が語りかけられ伝わってくるかのようである。
いわゆる一般的な数学書は難しい定義・定理・証明の無味乾燥な繰り返しに陥りがちだが、本書では著者が見ている代数の世界が自由に(時にはイメージをもって)横断的に語られている非常に優れた本と言える。数学者はこのように数学を見ているのである。
スタイルの自由さから定義していない語句を使ったりという部分もあるが、他書でそういった知識をつけてからまた本書を読むと深みを増し楽しみが増えるといえるだろう。
このような語り口ができる著者は教育者としても非常に優れていたと思われる。そしてこうした背景が当時の旧ソ連の科学技術を支え、数学や基礎科学がその大きな礎となっていたとさえ思わせる。
本書の中は加群・代数的に見た場合の無限小の概念、非可換環とその上の加群、半単純加群と半単純環、群の図を用いた豊富な例、群の表現と応用、さらには素粒子物理との関連、リー代数・圏・ホモロジー代数・K理論といった、どの分野も本格的に証明を細かくつけて行くと一冊の本になってしまいそうなボリュームである。それを一冊の本で概観している。しかしそれでいて内容は損うことなく上質で豊富な世界を保っている名著であるといえる。
代数学とは何か、代数学としての生きた生命・魂とでもいうべき本質が語りかけられ伝わってくるかのようである。
いわゆる一般的な数学書は難しい定義・定理・証明の無味乾燥な繰り返しに陥りがちだが、本書では著者が見ている代数の世界が自由に(時にはイメージをもって)横断的に語られている非常に優れた本と言える。数学者はこのように数学を見ているのである。
スタイルの自由さから定義していない語句を使ったりという部分もあるが、他書でそういった知識をつけてからまた本書を読むと深みを増し楽しみが増えるといえるだろう。
このような語り口ができる著者は教育者としても非常に優れていたと思われる。そしてこうした背景が当時の旧ソ連の科学技術を支え、数学や基礎科学がその大きな礎となっていたとさえ思わせる。
2021年6月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とりあえず全部読みましたが、全く理解はしてないです。2回目以降読むことは考えてないですね。
2008年1月19日に日本でレビュー済み
非可換環、群の表現論、リー代数、圏論などなど代数に関するトピックが具体例を中心に幅広く解説されています。普通の教科書で抽象的な代数は勉強したけど、一体それが数学のいろんな分野にどう役立つのかいまいちピンと来てないというときに、その具体例を教えてくれる本だと思います。勉強する動機を与えてくれます。
でも自分もそうでしたが、代数の普通の教科書が全然分かってない状況でこの本を読んでもやっぱりつまらない気もします。そういう意味でいろんな教科書と併用して始めて役に立つ本なんじゃないかと思います。
でも自分もそうでしたが、代数の普通の教科書が全然分かってない状況でこの本を読んでもやっぱりつまらない気もします。そういう意味でいろんな教科書と併用して始めて役に立つ本なんじゃないかと思います。
2018年11月20日に日本でレビュー済み
要旨
体・環・群の基礎概念。有限群・リー群・代数群。ガロア理論・表現論・リー代数・カテゴリー・ホモロジー代数・K理論の高度な概念。結晶・量子力学・素粒子への応用まで、代数学のすべてがここにある。
内容
代数学とは何か?;体;可換環;準同型とイデアル;加群;代数的に見た次元;代数的に見た無限小概念;非可換環;非可換環上の加群;半単純加群と半単純環[ほか]
内容の詳細はp.333からの参考文献についてのコメントを読むのが一番。
はっきり言って初学者向きではない中級者が頭の整理に役立つ多彩な内容です。
代数の基礎を学ぶ良い方法は整数論の合同・剰余・など部分集合の上手な扱い方を理解することです。例えば、部分群、イデアル、商空間、剰余類、位相、ボレル集合など。数学とは根本的に
二つの集合が同じであるかどうか?いつどんな概念で・・群論ではそれを同型(写像)という。それをケイリー表で具体的に調べることである。
「群とは対称性を測るものである」本書は、とくに変換(演算子、作用、操作とも言う)の集合と、変換を合成する演算で定義する群を扱います。
たとえば平行移動や回転の繰返しから生じます。これらの幾何的変換とその繰返しを群とみることができます。あみだくじもルービックキューブも「置換群」といって何らか操作を繰り返すことで「もとに戻す」ことができます。
長方形は対称軸がたて、よこの2本しかないが正方形は対角線の2本も加えて4本ある。この対称軸で折り返す操作を鏡映変換という、次に回転させて見ると長方形は180度回転で不変である、正方形ではそれに加えて90,270度回転でも不変である。
正三角形をそれ自身に移す平面上の回転変換は0度、120度、240度の三種類で、これらは群を構成します。正三角形には回転すると元の位置に重なるという対称性がある。何もしない操作や裏返しも含め,位数6の群が得られる。この群は位数2の群を回転のなす位数3の群で拡大したものと解釈できる。一般に,有限群は有限単純群の拡大の繰り返しでできている。最も簡単な有限単純群は素数位数巡回群である。
群の定義は簡単で、結合法則をみたす二項演算が定義され、単位元という特別な元が存在し、各元に逆元が存在すること。
こんな簡単な概念が「対称性」を記述する強力な道具であるということが驚きである。
同形とは2つの群の間の元の対応が、1対1で、各々の元の集合が同じ群の表をみたしていること。
準同形とは群の間の元の対応が、2対1(または多対1)で、しかし積の関係は保存されていること。写像とはレントゲン写真と同じで写真に写ったモノはもとの基本的な性質を保存している。つまり、二項演算という「代数構造」を保っている。要するに、準同形写像とは、演算を写像する前に行っても、写像する後で行っても、結果が同じになるという写像のこと。(相似形の考え)
剰余類を考える利点は、無限個存在する数を有限個に類別して考察しやすくすることにある。
剰余類群(商群)は、群の元を剰余類にグループ分けしたものを元とする群です。
可換群(アベール群、ガロア群)の場合には右剰余群と左剰余群は常に一致する。また有限群の場合左右の剰余群の個数は同じである。 Gを自然数の集合とすると、その元aのすべての冪a^nからなる集合をHとすれば、HはGの部分群である。具体的な例でa=3とすれば、その冪はH={3,9,27,81,・・}で部分群。これは巡回群で可換群でもある。数値の3は生成元という。連続的な変換から成る、したがって無限個の元から成る群を扱います。
たとえば円をそれ自身に移す平面上の回転変換は0度から360度まで無限に存在します。群の表現が線形代数の行列となる。なんで難しく抽象的な言葉でいうのか?有限次元べクトル空間=体上の有限生成加群とのことだった。
併読お薦めは「新装版 入門入門群論 代数的構造への第一歩」石谷茂 、初めて学ぶ人のための「群論入門」横田一郎
ネットでも群論は「物理のかぎしっぽ」「群論の軽い説明」、「らいおんの家」、「T_NAKAの阿房ブログ」群論入門。でも
わかりやすく解説されています。メチャ分かりやすい解説は上田正仁「物理数学Ⅲ講義ノート」PDF
群の連続性は元と元をつなげる無限小の変化から生まれます。
この無限小変化の生成元を取り出したものをリー代数と呼びます。
リー代数に対して、固有値に類似したウエイトとルートという指標を考えます。
そして、連続群の構造をリー代数のウエイトとルートを通して探ります。
多様体は局所的にはユークリッド空間と同じものと定義されるが大域的性質を調べるのにホモロジーとコホモロジー の概念がある。風船と浮き輪が同相でないことはオイラー数が異なることで証明される。ホモロジー群は多面体でよく知られるオイラー標数の概念を一般化・抽象化して(面・辺・頂点の形式的な一次結合からなる)加群を使って同相かどうかを調べるのである。
他方(微分が定義できるなめらかな)微分可能多様体ではコホモロジー群が考案された。微分形式を利用したのがド・ラムのコホモロジー 群という訳である。つまりホモロジーは図形の位相的なつながりを考察するのに対して、微分形式という解析的な量と関係するド・ラムのコホモロジー 群が一致するという驚愕の事実が示される。
微分幾何学の最後の方にでてくるガウス・ボンネの定理(高次元では微分形式が必要)は位相幾何と微分幾何とを結びつける驚愕の定理であり、その結びつきは基本的にはストークスの定理が実現する。このストークスの定理はたいがいがベクトル解析の本の終わり出てくる、これが微分形式を使って簡潔な美しい形で示される。
図形の基本を三角形からホモロジー、その双対概念でコホモロジーが登場。
ホモロジーは、図形(点・曲線・曲面・……)から作られた加群から定義。
コホモロジーは、関数からなる加群(双対空間)から定義。
というように、何をもとにして作ったのかが異なっている。
一般に、ある性質を満たす加群の系列(=鎖複体)があれば、そこからホモロジー、コホモロジーを定義することができる。おおまかに言えば、図形をもとにして作ればホモロジー、関数をもとにして作ればコホモロジーになる。
関数は初めから加群になっている(足し算とスカラー倍ができる)ので、ホモロジーではなくコホモロジーが自然に出てくる。例えば、層のコホモロジーやド・ラームコホモロジーは、どちらも関数的なもの(層、微分形式)から定義されている。
多様体論の根幹を成すのはド・ラームの定理です。
『微分可能多様体のホモロジーが微分形式によって検出できる』ことを保証します。
ホモロジーとは図形の中にサイクルと呼ばれる各次元の「穴」が何個あるかを計るものです。
ド・ラームの定理はカルタンが1928年に予想し、ド・ラームが証明を与えました。
Cartan&Eilenberg「Homological Algebra」がホモロジー代数の名著といわれる
併読おすすめは読み物風で抽象数学の概観できる
「シンメトリーとモンスター 数学の美を求めて」マーク ロナン (著)
「臨時別冊・数理科学 2006年12月 SGCライブラリー52 理工系のための トポロジー・圏論・微分幾何 双対性の視点から」
「21世紀の新しい数学 ~絶対数学、リーマン予想、そしてこれからの数学~ (知の扉)」
「絶対数学の世界 ―リーマン予想・ラングランズ予想・佐藤予想―」
「佐藤幹夫の数学 増補版」と編者で合気道の達人でもある木村達雄先生のネット検索で「数学は体力だ!」はメチャ面白い。また「古都がはぐくむ現代数学: 京大数理解析研につどう人びと」内村直之もおすすめです。
体・環・群の基礎概念。有限群・リー群・代数群。ガロア理論・表現論・リー代数・カテゴリー・ホモロジー代数・K理論の高度な概念。結晶・量子力学・素粒子への応用まで、代数学のすべてがここにある。
内容
代数学とは何か?;体;可換環;準同型とイデアル;加群;代数的に見た次元;代数的に見た無限小概念;非可換環;非可換環上の加群;半単純加群と半単純環[ほか]
内容の詳細はp.333からの参考文献についてのコメントを読むのが一番。
はっきり言って初学者向きではない中級者が頭の整理に役立つ多彩な内容です。
代数の基礎を学ぶ良い方法は整数論の合同・剰余・など部分集合の上手な扱い方を理解することです。例えば、部分群、イデアル、商空間、剰余類、位相、ボレル集合など。数学とは根本的に
二つの集合が同じであるかどうか?いつどんな概念で・・群論ではそれを同型(写像)という。それをケイリー表で具体的に調べることである。
「群とは対称性を測るものである」本書は、とくに変換(演算子、作用、操作とも言う)の集合と、変換を合成する演算で定義する群を扱います。
たとえば平行移動や回転の繰返しから生じます。これらの幾何的変換とその繰返しを群とみることができます。あみだくじもルービックキューブも「置換群」といって何らか操作を繰り返すことで「もとに戻す」ことができます。
長方形は対称軸がたて、よこの2本しかないが正方形は対角線の2本も加えて4本ある。この対称軸で折り返す操作を鏡映変換という、次に回転させて見ると長方形は180度回転で不変である、正方形ではそれに加えて90,270度回転でも不変である。
正三角形をそれ自身に移す平面上の回転変換は0度、120度、240度の三種類で、これらは群を構成します。正三角形には回転すると元の位置に重なるという対称性がある。何もしない操作や裏返しも含め,位数6の群が得られる。この群は位数2の群を回転のなす位数3の群で拡大したものと解釈できる。一般に,有限群は有限単純群の拡大の繰り返しでできている。最も簡単な有限単純群は素数位数巡回群である。
群の定義は簡単で、結合法則をみたす二項演算が定義され、単位元という特別な元が存在し、各元に逆元が存在すること。
こんな簡単な概念が「対称性」を記述する強力な道具であるということが驚きである。
同形とは2つの群の間の元の対応が、1対1で、各々の元の集合が同じ群の表をみたしていること。
準同形とは群の間の元の対応が、2対1(または多対1)で、しかし積の関係は保存されていること。写像とはレントゲン写真と同じで写真に写ったモノはもとの基本的な性質を保存している。つまり、二項演算という「代数構造」を保っている。要するに、準同形写像とは、演算を写像する前に行っても、写像する後で行っても、結果が同じになるという写像のこと。(相似形の考え)
剰余類を考える利点は、無限個存在する数を有限個に類別して考察しやすくすることにある。
剰余類群(商群)は、群の元を剰余類にグループ分けしたものを元とする群です。
可換群(アベール群、ガロア群)の場合には右剰余群と左剰余群は常に一致する。また有限群の場合左右の剰余群の個数は同じである。 Gを自然数の集合とすると、その元aのすべての冪a^nからなる集合をHとすれば、HはGの部分群である。具体的な例でa=3とすれば、その冪はH={3,9,27,81,・・}で部分群。これは巡回群で可換群でもある。数値の3は生成元という。連続的な変換から成る、したがって無限個の元から成る群を扱います。
たとえば円をそれ自身に移す平面上の回転変換は0度から360度まで無限に存在します。群の表現が線形代数の行列となる。なんで難しく抽象的な言葉でいうのか?有限次元べクトル空間=体上の有限生成加群とのことだった。
併読お薦めは「新装版 入門入門群論 代数的構造への第一歩」石谷茂 、初めて学ぶ人のための「群論入門」横田一郎
ネットでも群論は「物理のかぎしっぽ」「群論の軽い説明」、「らいおんの家」、「T_NAKAの阿房ブログ」群論入門。でも
わかりやすく解説されています。メチャ分かりやすい解説は上田正仁「物理数学Ⅲ講義ノート」PDF
群の連続性は元と元をつなげる無限小の変化から生まれます。
この無限小変化の生成元を取り出したものをリー代数と呼びます。
リー代数に対して、固有値に類似したウエイトとルートという指標を考えます。
そして、連続群の構造をリー代数のウエイトとルートを通して探ります。
多様体は局所的にはユークリッド空間と同じものと定義されるが大域的性質を調べるのにホモロジーとコホモロジー の概念がある。風船と浮き輪が同相でないことはオイラー数が異なることで証明される。ホモロジー群は多面体でよく知られるオイラー標数の概念を一般化・抽象化して(面・辺・頂点の形式的な一次結合からなる)加群を使って同相かどうかを調べるのである。
他方(微分が定義できるなめらかな)微分可能多様体ではコホモロジー群が考案された。微分形式を利用したのがド・ラムのコホモロジー 群という訳である。つまりホモロジーは図形の位相的なつながりを考察するのに対して、微分形式という解析的な量と関係するド・ラムのコホモロジー 群が一致するという驚愕の事実が示される。
微分幾何学の最後の方にでてくるガウス・ボンネの定理(高次元では微分形式が必要)は位相幾何と微分幾何とを結びつける驚愕の定理であり、その結びつきは基本的にはストークスの定理が実現する。このストークスの定理はたいがいがベクトル解析の本の終わり出てくる、これが微分形式を使って簡潔な美しい形で示される。
図形の基本を三角形からホモロジー、その双対概念でコホモロジーが登場。
ホモロジーは、図形(点・曲線・曲面・……)から作られた加群から定義。
コホモロジーは、関数からなる加群(双対空間)から定義。
というように、何をもとにして作ったのかが異なっている。
一般に、ある性質を満たす加群の系列(=鎖複体)があれば、そこからホモロジー、コホモロジーを定義することができる。おおまかに言えば、図形をもとにして作ればホモロジー、関数をもとにして作ればコホモロジーになる。
関数は初めから加群になっている(足し算とスカラー倍ができる)ので、ホモロジーではなくコホモロジーが自然に出てくる。例えば、層のコホモロジーやド・ラームコホモロジーは、どちらも関数的なもの(層、微分形式)から定義されている。
多様体論の根幹を成すのはド・ラームの定理です。
『微分可能多様体のホモロジーが微分形式によって検出できる』ことを保証します。
ホモロジーとは図形の中にサイクルと呼ばれる各次元の「穴」が何個あるかを計るものです。
ド・ラームの定理はカルタンが1928年に予想し、ド・ラームが証明を与えました。
Cartan&Eilenberg「Homological Algebra」がホモロジー代数の名著といわれる
併読おすすめは読み物風で抽象数学の概観できる
「シンメトリーとモンスター 数学の美を求めて」マーク ロナン (著)
「臨時別冊・数理科学 2006年12月 SGCライブラリー52 理工系のための トポロジー・圏論・微分幾何 双対性の視点から」
「21世紀の新しい数学 ~絶対数学、リーマン予想、そしてこれからの数学~ (知の扉)」
「絶対数学の世界 ―リーマン予想・ラングランズ予想・佐藤予想―」
「佐藤幹夫の数学 増補版」と編者で合気道の達人でもある木村達雄先生のネット検索で「数学は体力だ!」はメチャ面白い。また「古都がはぐくむ現代数学: 京大数理解析研につどう人びと」内村直之もおすすめです。