共生生物学は1990年頃に体系化された新しい学問で、この本はその先駆けだけあって熱意がこもっています。
眼目はバクテリアのDNAの特異性で、接合という遺伝子注入による進化によって、あらゆる生命体と共生しているという発見です。
この生物界で、バクテリアとの共生なしに生きている者は無く、それ無しには生きられないという事も分かってきました。その具体例として、動物が呼吸で酸素からエネルギーを得られるのはミトコンドリアのお蔭、というのは最も有名ですが、植物が窒素固定と光合成によって生育できるのも微生物との共生のお蔭です。その様な生物の共生は、海底3000mのマグマ噴出口でも、岩石1g当たり10万もの微生物が何千種もの多様性をもって織りなされている事が述べられています。
こうした研究は、2010年頃から人体の共生菌学「マイクロバイオーム」として発展しており、数々の驚くべき発見をしています。それは、体細胞の10倍程存在する共生微生物のDNAに関してで、その多様性は千種類を超え、発現遺伝子は人遺伝子の百倍に及ぶという発見です。それらから作られた酵素は、その人の体質と性格まで左右すると言います。いかに善玉菌との共生が大事かが分かって来て、年をとっても悪玉菌優勢に成らない様にする技術研究も注目を集めています。 詳しくは、日経サイエンスの「マイクロバイオーム」特集を見て下さい。
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共生という生き方 単行本 – 2006/4/24
T.ウェイクフォード
(著),
遠藤 圭子
(翻訳)
- 本の長さ193ページ
- 言語日本語
- 出版社シュプリンガー・フェアラーク東京
- 発売日2006/4/24
- ISBN-10443171197X
- ISBN-13978-4431711971
登録情報
- 出版社 : シュプリンガー・フェアラーク東京 (2006/4/24)
- 発売日 : 2006/4/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 193ページ
- ISBN-10 : 443171197X
- ISBN-13 : 978-4431711971
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,627,215位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,015位生物学 (本)
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2014年6月27日に日本でレビュー済み
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2008年1月15日に日本でレビュー済み
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共生は「異種の生物が一緒になって生活している」ことと定義されているが、一般にはそれら生物間に密接な関係(相利共生、、片利共生、寄生)があるとされている。しばらく前から、森林、池など、ある場所に棲息する生物は共生関係にあるとする考え方が新聞、雑誌などに限らす、学術書にまでに見られるようになった。この本は動物や植物が生きていくためにバクテリアや菌類など微生物と密接な関係を築いていることを多くの例をあげて紹介し、同時に進化にも大きな役割を演じてきたと述べている。
地衣は光合成を行う藻類あるいはシアノバクテリアと菌類とで構成されているので、典型的な共生現象である。その説明の中で次のような逸話が紹介されている。ピーター・ラビットの作者として知られるビアトリクス・ポターは地衣類の観察の顕微鏡観察を行って、先駆者の「地衣は2種の生物から構成されている」という主張を支持した。この考え方は当時の学会に受け入れられないばかりでなく、女であるということで差別もされた。もし、受け入れられていたらポターは地衣研究者としての道を歩んだはずなので、ピーター・ラビットは生まれていなかっただろう。
他に、マメ科植物と根粒菌、ランと菌類のように植物とその根につくバクテリアや菌類との関係、深海の熱水噴出孔付近で見つかったイオウ酸化細菌といくつかの動物との関係、昆虫の腹の細胞に入っている細菌が栄養分の乏しい餌にもかかわらず昆虫の生活を支えているなどいろいろな例が手際よくまとめられている。
翻訳はわかりやすい。わずかな生物の知識があれば理解できる内容だが、多様な例がややスローテンポでお話風に紹介されているので、一度ならず眠くなってしまった。
地衣は光合成を行う藻類あるいはシアノバクテリアと菌類とで構成されているので、典型的な共生現象である。その説明の中で次のような逸話が紹介されている。ピーター・ラビットの作者として知られるビアトリクス・ポターは地衣類の観察の顕微鏡観察を行って、先駆者の「地衣は2種の生物から構成されている」という主張を支持した。この考え方は当時の学会に受け入れられないばかりでなく、女であるということで差別もされた。もし、受け入れられていたらポターは地衣研究者としての道を歩んだはずなので、ピーター・ラビットは生まれていなかっただろう。
他に、マメ科植物と根粒菌、ランと菌類のように植物とその根につくバクテリアや菌類との関係、深海の熱水噴出孔付近で見つかったイオウ酸化細菌といくつかの動物との関係、昆虫の腹の細胞に入っている細菌が栄養分の乏しい餌にもかかわらず昆虫の生活を支えているなどいろいろな例が手際よくまとめられている。
翻訳はわかりやすい。わずかな生物の知識があれば理解できる内容だが、多様な例がややスローテンポでお話風に紹介されているので、一度ならず眠くなってしまった。