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RE>PLAY: 一度は観たい不滅の定番 単行本 – 2005/10/1
- 本の長さ326ページ
- 言語日本語
- 出版社樹花舎
- 発売日2005/10/1
- ISBN-104434067907
- ISBN-13978-4434067907
商品の説明
著者からのコメント
「なぜ同じ作品を何回も観るのか」「なぜあんなに何時間も並んでまでチケットがほしいのか」「CGでリアルかつ迫力あるものがいくらでも観られる時代なのになぜわざわざ原始的な演劇なのか」などなど、観ない側の人たちが覚えがちな根深い疑問の数々、そしてなによりも「演劇の何がそんなにおもしろいのか」という根元的な疑問に応えようとこの本を書きました。
知識や経験は必要ありません。「演劇には1ミリの興味もなし」「ドラマと名のつくものやフィクションは大嫌い」「本当にあった話以外はうけつけない」という体質の方以外ならば、充分お楽しみいただけると思います。演劇を愛する者の一人として、深い溝を少しでも埋められたら望外の喜びです。
なお、25本はそれぞれ独立したエッセイ(劇評)としても読めますが、順番に通して読むことでガイドとしての流れが見えてくるように配置されていますので、できましたら「知っている作品だけを拾い読み」するのではなく、伏線(?)を楽しみつつ、最初から順番に通読していただくことを希望します。
出版社からのコメント
抜粋
あらゆる娯楽の中で、演劇を観ることほど「しんどい遊び」はありません。
まず、映画のように、その日にフラリと行って観られるものではない(観られるものもあるけど)。ときには何ヶ月も前から予約が必要になるし、公演によってはチケットをとるために徹夜で並んだり、何時間も電話をかけ続けるなどの苦行を強いられることもあります。
また、チケットがとれたらとれたで、何ヶ月も先の予定を埋められてしまうため、他のスケジュールのやりくりに困ったりもします。
そこまで苦労してとったチケットも、急に都合が悪くなった日には、今度は代わりに行ってくれる人を捜して奔走しなくてはなりません。
「急に行ってもらうんだから」とついつい腰が低くなり、「手数料を加算してようやくとったチケット」を今度は値引きして放出するという理不尽な目に遭うこともしばしばです。
チケット代だって決して安くはありません。大劇場のミュージカル作品ともなれば、一万円を超すのが当たり前です。
それに、演劇はライブなので、観るだけでこちらも相当気力や体力を消耗します。
「役者さんたちから元気をもらいました!」なんて言う人がよくいますが、私に言わせれば、公演を通してどんどん元気になっていくのは舞台の上に乗っている役者さんのほう。観客はむしろ精気を吸い取られていきます。もちろん、魂の深いところでは大きなエネルギーをもらうのですが、とりあえず今日帰って仕事しなきゃとか、ご飯作らなきゃ……といった現実的なパワーは確実に吸い取られる気がします。
役者さんのライブのエネルギーは映像とは比較にならないほど濃く、あれだけのエネルギーをナマでぶつけられたら、こちらもそれに対峙するだけのエネルギーを放出しなければなりません。その結果、終演後は「なにか……甘いものがほしい……」とヘロヘロになり、ついつい寄り道。結局その日は使い物になりません。
かくして、体力を使い、時間を使い、財布は軽く、体重は重くなっていくのが「演劇」を楽しむ者に課せられたさだめです。
そんな「人類の阿片」のような娯楽に手を染めなくても、世の中には他にもっと気楽に楽しめる娯楽があるではないか。と言われそうですが、一度「演劇」のおもしろさにはまりこんでしまうと、他の娯楽はどれも物足りなく思えてしまいます。
たしかに「演劇」は、時間つぶしに気軽に観るには重いものだし、観る者にそれなりの心構えのようなものを強いる敷居の高さがありますが、それに見合うだけの手応えも確実に与えてくれるのです。
とはいうものの、「演劇」はその敷居の高さゆえに敬遠する人が多いこともたしかです。
敷居の高い原因は数々考えられますが、「料金の高さ」や「予約のわずらわしさ」もさることながら、最も高い敷居は「興味はあっても、何を観たらいいのかわからない」という点にあるのではないでしょうか。
たとえば、あなたがある芝居を観ることになり、劇場に足を運んだとします。
たいていは、入口の係員から押しつけられるか、座席にすでにセッティングされている形で、大量のチラシをあなたは手にすることになります。初めて芝居を観る人は、その量の多さ、中味の豊富さ、ジャンルの幅の広さにびっくりすると思います。
「芝居って……こんなにやってるの……?」
そう。こんなにやってるんですよ……。
幕間が何回もある大劇場の華やかな座長芝居から、ろくに装置もない倉庫のような狭い場所で演じられる実験的な芝居まで、「演劇」のジャンルはじつにさまざまですし、数も多い。それも「映画」のように全国のどこででも同じものが観られるわけではなく、劇場の数だけ違うものが提供されているのです。
にもかかわらず、「この夏の話題作」というように、ある程度選択肢が絞られ、なおかつ新作についての情報が豊富に提供される映画に比べると、演劇は情報をシステマティックに紹介してくれる場が少なく、初心者にとってはきわめて選択が難しい娯楽であるといえるでしょう。
さらに、「演劇」は多くの場合、上演期間が短く、レビューなどを頼りに観ようと思っても「おもしろそうだから観てみようかな」と思ったときにはすでに千秋楽が間近だったり、チケットは完売していたりして、せっかくの情報も事実上役にたたないことが多いのです。
映画評は盛んなのに、演劇評があまり発展しないのは、ひとえにこういった「鑑賞期間の短さ」に原因があるのではないでしょうか。
今回、書きためた演劇評を出版したいと思い立ったときもこれがネックになりました。
「演劇評なんて、どんなにおもしろくたって役に立たない。公演はすぐに終わっちゃうんだから」と何度言われたことか……。
でも本当にそうでしょうか?
たしかに公演はすぐに終わってしまいますし、TVや映画のようにビデオやDVDであとから同じものを鑑賞できるわけでもありません(最近は、DVD販売は盛んになりましたが、所詮ライブの代わりにはなれません)。
が、演劇にはTVや映画と違って「再演が多い」という顕著な特徴があり、すぐれた戯曲は、ひとつの公演を見逃しても、何年か待っていればまた再演されるという確率がじつはかなり高いのです。
TVや映画の作品は形に残るため、同じ脚本をもう一度違う(または同じ)キャストやスタッフで作り直すということはまずありません。ある意味、作品は常に消耗され、常に新作を供給し続けなければならない運命にありますが、演劇は違います。
それに気づいたのはつい最近で、ある日ふと「この一年間に自分が観た舞台作品のリスト」を眺めていて「ほとんど再演ものじゃないか」と思ったのです。
新作だってたくさん上演されているのですが、新作は正直なところ当たりはずれがあり、それは実際に観るまではわかりません。台本のあがりがギリギリになることも珍しくなく、そうなるとチラシの内容と実際の内容が違う!なんてことも起こってきます。
その点、再演を重ねている作品はブラッシュアップもされていますし、繰り返し上演されるにはそれなりに人をひきつける何かがあるわけで、やはり「これは観ておきたいな」というものを選んでいくと、どうしても再演ものが多くなるんですね。
そこで考えました。
数多くの作品の中から再演されたものだけをピックアップし、初心者の人が「作品選び」に迷ったときの定番ガイドを作れば、敷居がかなり低くなるのではないかと。
なおかつ、今までに再演されたことのある定番メニューなら、これから先も再演される確率は高いだろうし、「実際に観劇するチャンス」も多くなるのではないかと。
こうして生まれたのが本書『RE > PLAY』です。
「Replay」は、文字通り「再演」の意味ですが、こうやって区切ると、メールの返信画面みたいに見えるので、「舞台に感想をレスする」という意味も含めてつけてみました。
劇評の構成は、ストレートプレイ(いわゆる台詞劇)が一三本、ミュージカルが五本、宝塚が三本、オペラが三本、狂言が一本で計二五本となっています。
劇評というと難しげな雰囲気ですが、「演劇作品をネタにしたエッセイ」だとお考えください。
基本的には、「自分がいいと思った作品」しかとりあげていませんが、必ずしもこれが「ベスト二五」というわけではありません。当然ですが、ここに載っていない作品にもすばらしい作品はいっぱいありますし、自分自身、ここに載っているものよりもっと好きな作品はたくさんあるのですが、「良い作品だし、好きなんだけど、特に語りたいことが(普通にしか)ない」というものはあえてとりあげていません。あくまでも、「観劇を通してなんらかの発見があったもの。語りたいことが強烈にあるもの」を中心に選んでいます。
評論家だったら、良い作品もそうでない作品も、すべての作品を公平に客観的に論じなければならないのでしょうが、私は評論家ではないので重要な作品もガンガンはずしています。「これが入っていてあれが入っていないのはどういうわけだ!」と怒らないでください(笑)。
「観てないけど、観てきたような気分になる劇評」というのが目標ですので、劇評としてはそれぞれかなりボリュームがあり、内容の紹介も「あらすじ」というには詳細です。
そのため、いわゆるネタバレもありますが、リピーターや再演が多く、戯曲集も出回っているということをみても、「演劇」のおもしろさはネタバレで損なわれるものではないと思っていますので、あえて書いています。ご了承ください。
なお、劇評はそれぞれ観劇日の直後に書いたものですが、補足は二〇〇五年現在のものですので、文中の時差にご注意ください。
また、タイトルの下にあるデータで「初演」とあるのは基本的に「日本での初演年」です。オペラについては、初演の定義が難しいので省略しました。
本書を手引きに定番メニューに慣れ親しみ、眼力を身につけ、最終的には新作もセレクトできるようになれば、あなたももう観劇の達人です。
著者について
登録情報
- 出版社 : 樹花舎 (2005/10/1)
- 発売日 : 2005/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 326ページ
- ISBN-10 : 4434067907
- ISBN-13 : 978-4434067907
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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再演された作品ばかりをとりあげてあるのは、読者にもこれからも見るチャンスがあるから…とあって、なるほど、と思いました。
また、再演されるからには評判のいい作品揃いなんだけど、あまり演劇に詳しくない私には初めて聞く名前もいくつかありました。
でも、どの作品も紹介のしかたがすごく上手なので、ぐいぐい読んでしまいましたよ。こんな本は初めてです。
唐沢さんのように、演劇を深く楽しめるようになったらいいなー、と思います。演劇ツウに近づくためのコツもたくさん書いてあるので、さっそく真似してみました。
何を真似したかはヒミツ!
目の前で演劇を観ているかのようにグイグイと引き込まれ、三時間足らずで一気に読み終えてしまいました。著者の冷静かつユーモラスな評論は温かく、心から演劇を愛している方なのだろうなぁ・・・と想像してしまいました。
ぜひとも続編を期待しています!