本書は、小中高での勤務経験の後、京都教育大学や関西大学で教鞭を
とられ、関西英語教育学会で要職を務められた、英語教育界の重鎮の
おひとりでいらっしゃる著者が、英語の授業を英語で行うためのポイ
ントをまとめたものである。
本書は２部構成で、全９章から構成されている。第１部では、英語で
行う授業について、これまでの文法訳読式による講義式の授業と比較
しながら、その意義について論じている。そして、英語で授業をする
ための一歩として、Fact Finding型の問いから入り内容を確認した上で、
Inferential型の問いへと発展させ、Personal Involvment型の問いに導く
ことを説いている。
第２部では、新出単語の指導としてのフラッシュカードの利用の利点や
準備などについて、指名論としては席順指名からランダム指名にして
知的緊張を保つことの意義について、音読指導としてはネイティブや
教師の英語を聴き、繰り返し音読し、四方読みや交互読みを通した音読
指導論について、学習姿勢としては生徒が自ら質問を発することができ
るように涵養することの重要性について述べられている。
著者の主張ポイントは四角で囲まれて分かりやすく提示されたり、著者
と新米教師との対話を通して書き進める構成をとったりして、読みやす
い本となっている。
いずれの主張も、著者の50年以上に亘る、教育、研究経験に基づいた
信念とも言えるもので、文面からは著者の熱意が熱く伝わってくる。
英語で自己表現できる力を育成することを目的とした今日の英語教育を
先どったような英語教育書である。
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