先斗町歌舞会が監修しているせいでしょうか、決定版『先斗町のすべて』といういささか大上段に構えたような書名です。
先斗町は難読地名のはずですが、昭和歌謡の「お座敷小唄」の歌詞に「ぽんとちょう」が取り入れられたこともあって多くの人が認知している花街です。阪急河原町駅からも京阪三条駅や京阪祇園四条駅から近いこともあって、年々人通りが多くなりました。観光地として持て囃されますが、花街の雰囲気は残念ながら薄くなったと感じています。そんな先斗町の魅力や様々な飲食店を掲載した本でした。
本文にも書かれていますが、昔と比べてお茶屋さんの数も減り、芸妓さんの姿も他の花街と比較して減りましたが、それでも夜ともなると提灯に灯りがともり、風情が増すのは流石です。
京都の花街を撮り続けてきた溝縁 ひろしさんの美しい写真を元に、京都新聞の編集局編集委員だった杉田 博明氏が丁寧な解説を付している、といった内容でした。
もっとも、先斗町というエリアだけに関心を持つ方がどれくらい、いるのかと言った心配をしてしまいそうでした。
最初に先斗町歌舞練場を取り上げています。1927年の建設ですから80年以上経っているわけで、クラシックな良い建物です。5月の鴨川をどりの頃は狭い先斗町が人ごみで歩けなくなるほどで、先斗町が花街であることを再認識する季節でもあります。
26ページからはお座敷遊びの楽しみが書かれています。金比羅船々、トラトラほかいろいろな遊び方があり、読んだだけでは分からないものもありましたが、花街らしい宴の過ごし方です。
43ページからは、先斗町おすすめの銘店として、老舗の割烹や料亭、バーの紹介がありました。場所柄高級なお店が多いのは当然ですが、少し離れたお蕎麦屋さんの「大黒屋」のように比較的リーズナブルなお店も掲載してありました。巻末に地図があり、電話番号も掲載してありますので、ガイドブック的な使い方も可能です。
ただし、狭いエリアですから、ご自身の眼で確かめるのが一番でしょう。
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