ペルソナがビジネスに浸透してそれなりの年数が経ちますが、おそらく殆どの方がペルソナの起源や元々根底にあった考え方は意識せずになんとなく利用していることかと思います。しかも簡易ペルソナをなんとなくつくり、効果出ませんよ、何か意味あるの? と思いつつ、これまたなんとなく使い続ける。
また詳細にペルソナをつくるにしても、どんなデータをもとにどんなプロセスを経て設定して、さらにそれをどう組織に浸透させて、最後にはペルソナを改善するのか捨てるのか、こういった一連の流れを意識して作成することには、どこを見てもあまり触れられてないのです。特にペルソナ設定前の、ユーザーセグメントの決定・情報収集・クラスター分析などについて詳細に書かれている記事は皆無と言っていい。ここが最も重要なポイントであるにもかかわらずだ。
この書籍は、そういったペルソナ設定の本質的なプロセスについて学べます。どういった場面で簡易ペルソナを選択すべきなのか詳細なペルソナをつくるべきなのか、どういうプロセスをたどるべきなのか見えてきます。現在は簡略的なペルソナを何も考えずに選択することも多いですが、どういった条件や体制ならそのようなペルソナでも有効になるのか、というヒントも得られます。
みんなが使ってるからなんとなくペルソナを設定するのでは有効に利用できません。そこには目的意識とペルソナ作成のタイプとの関係性が無視されているからです。最初に目的があって、自分がどのようなペルソナ手法を採用すればいいのかが初めて明確になります。ペルソナをつくってみることだけが独り歩きしている風潮をあらためて考え直す一冊です。
一つ残念なのは、やはり翻訳が不十分でわかりにくい表現が時々あるところくらいでしょうか
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