テーゼ以前に、議論の問題意識自体(設定)がかなり古いのでわ?
日本でも昭和中期くらいからずっと言われているのと大差ない問題設定。
最近の個々人の人間科学的な観点では「栄養」や「細胞」などの科学知識も
考慮して検討してほしい。
たとえば「IQ」の有効性については不問にするとしても
「一卵性双生児」の場合、「遺伝」=「遺伝子・染色体」を同じとしているが
「一卵性双生児」の場合はそれだけでなく、当然に母親受精卵ミトコンドリアと
出産前の栄養状態まで「同じ」。それら全てを「遺伝」と言えるかどうかは
疑問が残る。 (「一卵性双生児」でなければ、当然異なるだけでなく
変更も可能だから)
評者の本当に冷ややかなレビューとしては
図書館に行くと、「ほとんど同じなのでわ?」といいたくなるような
似たようなテーマの本が多く、必ずしも「学術的」とは言えないとも
いえる。
要するに、このテーマは「売れるテーマ」という面がかなり大きい。
関係する分野の本当に現代的な知識を持っている人であれば
もうすこし違う角度の問題設定をするはずと思う。
そもそも「頭が良い」の設定もよくわからないが、
一方で、普通学級に入れないと言われた子のIQを向上させた
「栄養治療」。
一方で、日本では「公的教育」とは別に「塾歴社会」と言われる
私塾、私的教育と偏差値の関係が今になって暴露されてきた。
(いわゆる、トップレベル・エリートレベルの子たちはみんな
有名私塾での学習によってトップ校に合格している圧倒的な事実)
それらの知識を本当に体験的に知ってる人はこういうテーマは
あまり意味がないと思う反面、切り口が無限にあるテーマではある

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頭のでき―決めるのは遺伝か、環境か 単行本 – 2010/3/12
リチャード E ニスベット
(著),
水谷 淳
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
東洋人と西洋人のどちらがより賢いのか? 白人と黒人のIQの違いは何を意味するのか? ユダヤ人が知的な活動において飛びぬけて成功しているのはなぜか? ……
人間の知能を決めるのは遺伝か環境かという論争に終止符を打つ書。アメリカを代表する社会心理学者が、人間の知能の本質と知能を伸ばすための具体的な方法について、心理学的な調査と実験によって明らかにする。
[書評]
「人間であることの意味について、これほどわれわれの理解を深めてくれるものはない」――マルコム・グラッドウェル、『急に売れ始めるにワケがある』『天才!』著者
「本書の価値は、数々の証拠を説得力をもって整理し、知能を判定するうえで非遺伝的要因の重要性を強く主張している点にある」――ニューヨーク・タイムズ
「人間は生まれつき、誰でも賢くなる能力があることを示す好著!」――AP通信
人間の知能を決めるのは遺伝か環境かという論争に終止符を打つ書。アメリカを代表する社会心理学者が、人間の知能の本質と知能を伸ばすための具体的な方法について、心理学的な調査と実験によって明らかにする。
[書評]
「人間であることの意味について、これほどわれわれの理解を深めてくれるものはない」――マルコム・グラッドウェル、『急に売れ始めるにワケがある』『天才!』著者
「本書の価値は、数々の証拠を説得力をもって整理し、知能を判定するうえで非遺伝的要因の重要性を強く主張している点にある」――ニューヨーク・タイムズ
「人間は生まれつき、誰でも賢くなる能力があることを示す好著!」――AP通信
- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社ダイヤモンド社
- 発売日2010/3/12
- ISBN-104478001243
- ISBN-13978-4478001240
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商品の説明
著者について
[著者]
リチャード・E・ニスベット(Richard E. Nisbett)
ミシガン大学心理学教授。アメリカ心理学会科学功労賞、アメリカ心理学協会ウィリアム・ジェームズ賞、グッゲンハイム・フェローシップ受賞。2002年、同世代の社会心理学者として初めて全米科学アカデミー会員に選ばれる。『木を見る西洋人 森を見る東洋人』(ダイヤモンド社)をはじめ、著書、論文多数。
[訳者]
水谷 淳(みずたに じゅん)
翻訳家。東京大学理学部卒。博士(理学)。主な訳書に、『数学で身につける柔らかい思考力』(ダイヤモンド社)、『論理ノート』(ダイヤモンド社)、『歴史は「べき乗則」で動く』(早川書房)、『物理学天才列伝』(講談社ブルーバックス)、『もっとも美しい対称性』(日経BP社)、『ファーストマン』(ソフトバンククリエイティブ)などがある。
リチャード・E・ニスベット(Richard E. Nisbett)
ミシガン大学心理学教授。アメリカ心理学会科学功労賞、アメリカ心理学協会ウィリアム・ジェームズ賞、グッゲンハイム・フェローシップ受賞。2002年、同世代の社会心理学者として初めて全米科学アカデミー会員に選ばれる。『木を見る西洋人 森を見る東洋人』(ダイヤモンド社)をはじめ、著書、論文多数。
[訳者]
水谷 淳(みずたに じゅん)
翻訳家。東京大学理学部卒。博士(理学)。主な訳書に、『数学で身につける柔らかい思考力』(ダイヤモンド社)、『論理ノート』(ダイヤモンド社)、『歴史は「べき乗則」で動く』(早川書房)、『物理学天才列伝』(講談社ブルーバックス)、『もっとも美しい対称性』(日経BP社)、『ファーストマン』(ソフトバンククリエイティブ)などがある。
登録情報
- 出版社 : ダイヤモンド社 (2010/3/12)
- 発売日 : 2010/3/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 368ページ
- ISBN-10 : 4478001243
- ISBN-13 : 978-4478001240
- Amazon 売れ筋ランキング: - 633,487位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 24,677位医学・薬学・看護学・歯科学
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2014年5月11日に日本でレビュー済み
知能は遺伝で決まるのか、それとも環境で決まるのか。
「知能のほとんどは遺伝で決まる」「知能は半分は遺伝、半分は制御できない環境で決まる」のような論に抗して、筆者は知能に対する環境の重要性を擁護する。
まずさまざまな実験・観察から、SES(社会経済的地位)が知能に及ぼす影響が大きいことを指摘する。
遺伝の影響があるとしても、例えば「遺伝で9割決まる身長が、一世代で標準偏差以上の伸びを記録する国がいくつもある」等の点を考えれば、環境は様々に作用していることは明らかである。
学校についてもいろいろ作用があり、少人数クラスの方が学力の伸びが大きい、等の工夫ができる。
ペリー就学前プログラムという貧困層向けのプログラムでは、一度上がったIQは学校入学後同水準に戻ってしまうものの、留年率や犯罪率の低さを実現できている(こういったことはミルウォーキープロジェクトやABC介入等でも確認されている)。
さらに、「知識は力」プログラム(KIPP)では、報酬と罰則を科しつつ教師が生徒と密にコミュニケーションを取り、さまざまな文化・芸術に接する環境を与えることで、恵まれない子供たちでも1年で平均ないしそれ以上の成績を収めることを示した。
SESによる知能の影響は様々な形で生じている。
例えば、妊娠時の喫煙や飲酒は胎児の知能にも悪影響を及ぼしやすい。そしてそういった行動はSESの低い親ほどとりやすい。
また、SESの高い親ほど子供に話しかける量が多く、それは子供の知能の発展によい影響を与える。
そして悪いことに、アメリカは貧富の差が激しく、そしてSESの低い側に黒人が非常に多くなっている。
さらに、黒人は高学歴でも差別されやすい(信用が置かれにくい)ために、学業への意欲が最初から削がれてしまうという問題もある。
そして、スポーツ等で花開くことを夢見て勉強がおろそかになるという問題にもつながる。
後半では、アジア人やユダヤ人の優秀さの理由として、勤勉であること、目標達成するまで努力することといった文化要因を挙げている。
確かに「宿題をしてきただけで賞がもらえる」というのは馬鹿げていると思うが、しかし逆に文化の影響をあまりに強く見過ぎな気もする。
また、遺伝がどのように効いているのかについての説明がほとんどないために、旧来の「遺伝か環境か」の誤った二項対立(これがどう誤っているかは 心を生みだす遺伝子 (岩波現代文庫) 等を参照)に戻ってしまうようにも思った。
ただ、アメリカでは「黒人は遺伝的に劣っている」という言説が根強いので、このような形でのカウンターが必要なのかもしれない。
「知能のほとんどは遺伝で決まる」「知能は半分は遺伝、半分は制御できない環境で決まる」のような論に抗して、筆者は知能に対する環境の重要性を擁護する。
まずさまざまな実験・観察から、SES(社会経済的地位)が知能に及ぼす影響が大きいことを指摘する。
遺伝の影響があるとしても、例えば「遺伝で9割決まる身長が、一世代で標準偏差以上の伸びを記録する国がいくつもある」等の点を考えれば、環境は様々に作用していることは明らかである。
学校についてもいろいろ作用があり、少人数クラスの方が学力の伸びが大きい、等の工夫ができる。
ペリー就学前プログラムという貧困層向けのプログラムでは、一度上がったIQは学校入学後同水準に戻ってしまうものの、留年率や犯罪率の低さを実現できている(こういったことはミルウォーキープロジェクトやABC介入等でも確認されている)。
さらに、「知識は力」プログラム(KIPP)では、報酬と罰則を科しつつ教師が生徒と密にコミュニケーションを取り、さまざまな文化・芸術に接する環境を与えることで、恵まれない子供たちでも1年で平均ないしそれ以上の成績を収めることを示した。
SESによる知能の影響は様々な形で生じている。
例えば、妊娠時の喫煙や飲酒は胎児の知能にも悪影響を及ぼしやすい。そしてそういった行動はSESの低い親ほどとりやすい。
また、SESの高い親ほど子供に話しかける量が多く、それは子供の知能の発展によい影響を与える。
そして悪いことに、アメリカは貧富の差が激しく、そしてSESの低い側に黒人が非常に多くなっている。
さらに、黒人は高学歴でも差別されやすい(信用が置かれにくい)ために、学業への意欲が最初から削がれてしまうという問題もある。
そして、スポーツ等で花開くことを夢見て勉強がおろそかになるという問題にもつながる。
後半では、アジア人やユダヤ人の優秀さの理由として、勤勉であること、目標達成するまで努力することといった文化要因を挙げている。
確かに「宿題をしてきただけで賞がもらえる」というのは馬鹿げていると思うが、しかし逆に文化の影響をあまりに強く見過ぎな気もする。
また、遺伝がどのように効いているのかについての説明がほとんどないために、旧来の「遺伝か環境か」の誤った二項対立(これがどう誤っているかは 心を生みだす遺伝子 (岩波現代文庫) 等を参照)に戻ってしまうようにも思った。
ただ、アメリカでは「黒人は遺伝的に劣っている」という言説が根強いので、このような形でのカウンターが必要なのかもしれない。
2010年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「これまで学者たちは頭の出来はほとんど遺伝が決めると考えていたが、
もしかすると、ほとんど環境で説明できるかもしれない」
・・・・これが著者の主張です。
日本では、「誰でも努力すれば一番になれる。遺伝はそれほど重要ではない」というタテマエがあるので、
「知能が遺伝する」なんてことをテレビや新聞で言うかというと絶対いいませんし、言ったら袋叩きにあいます。
だから、日本に住む私がこの本をよむと、
「実は、遺伝って強いんだなあ」というのが素直な感想です。
さて、
「違う環境で育てられた一卵性双生児のIQの相関は、0.74であり、
(=一卵性双生児の場合、違う環境で育ったにも関わらず、IQはかなり一致する)
一方、同じ環境で育てられた養子同士のIQ相関は、0.2にすぎず、成人すると0.05まで低下する
(=養子の場合、同じ環境で育ったにも関わらず、IQはほとんど一致しない)」
という統計データがわかっており、そのデータを元に学者たちは遺伝の重要性を主張します。
が、「良く調べれば、それは違う。」とこの本の著者は主張します。
「養子に出す家庭は下層社会に属し、遺伝に加え環境が足をひっぱる。
養子受入家庭は中上層社会に属し、子供に十分に手間暇をかけてあげる。
だから、この大きな差は、遺伝ではなく、環境の差からでていると思われる」
「環境が改善すると偏差値にして12-3くらいの改善が見られるので、
下層の人と中上層の人の成績の差はこれでほとんど説明がつく。
だから黒人と白人の差なども、環境でほとんどを説明できる」
・・・とのことですが、貧富の差がとてつもないアメリカでは、環境が問題なのはわかります。
だいたい、あの国の貧民街に生まれて人生で逆転ホームランが可能かと言われると、厳しいのはわかりきってます。
しかーし、よーくデータを眺めてみましょう。なるべく客観的な目でデータを見ると、
「頭良い親の子供が頭が良い相関0.74」という、相関の高さはとても高いものです。
一方で「環境が同じの子供同士0・05」という、相関の低さははとても低いものです。
この著者は、このデータの差をを統計の歪みだけで説明しきろうとしていますが、
統計データを見慣れたものとしては、なかなか苦しいように思います。
これだけ大きな差があれば、統計に歪みがあると主張しても、
遺伝:環境で、50:50がせいぜいで、0:100に持って行くのは厳しいのではないでしょうか。
(著者は、人間科学の専門家であることを考えると、この差をすべて統計の歪みで説明しきることが厳しいことは重々承知であろう。
つまり、アメリカでも人種問題は非常にセンシティブな話題なので、人種に差がないという結論で書かないと本が書きづらいのかもしれません。)
しかも、この著者によると、どうやら「環境」は、
「親の経済力や治安の悪さや学校の質の悪さ」という意味で使っているわけでなく、
「子供を大事にするかどうか」といった個々の家庭の文化まで含められてしまっています。
・・・そうなると、別に遺伝も、環境も、その2つを分ける意味がるのかしら?
だいたい一緒じゃない?・・・私自身は思う訳です。
だって、赤ん坊がひとりで、誰の助けもいらずに大人になるわけで無いのです。
なるべく遺伝部分を狭く解釈して「ほら人は皆同じなんだ」と言うのは、
「人類皆平等」という政治的な理念を守るのには意味があるんでしょうが、
現実問題として、遺伝部分と文化部分が分けられない位混ざっているのなら、分けることは無意味な気がします。
例えば、自分のパートナーを選ぶ場面で考えてみましょう。
虐待を受けた子が親になって虐待をしがちだそうです。
・・・だとしたら、それが遺伝でなく、文化によるものであっても、
私ははっきりいってどっちでもいいです。そういう虐待をしがちな文化を持たない人を選びたいです。
だから遺伝か家庭の文化かであるかどうかなんて無意味な論争で、
現実問題を処理するうえでは意味ないのでは・・・なんて思わないでもない私。
あと、東アジアの人たち(つまり、日本人+韓国人+中国人)は、白人より知能が高いというデータがあります。
しかし、この本では、やはり、文化の違いだという結論になります。
ま。そこんじょそこらの白人よりは日本人は賢い気がします。
遺伝ではなく、文化だと言われればそうかもしれませんけど。
と、いうわけで、赤ん坊が一人で成長するわけでなし、
文化だって立派な遺伝の一種だと考えれば、より合理的なんじゃないかと思いました。
もしかすると、ほとんど環境で説明できるかもしれない」
・・・・これが著者の主張です。
日本では、「誰でも努力すれば一番になれる。遺伝はそれほど重要ではない」というタテマエがあるので、
「知能が遺伝する」なんてことをテレビや新聞で言うかというと絶対いいませんし、言ったら袋叩きにあいます。
だから、日本に住む私がこの本をよむと、
「実は、遺伝って強いんだなあ」というのが素直な感想です。
さて、
「違う環境で育てられた一卵性双生児のIQの相関は、0.74であり、
(=一卵性双生児の場合、違う環境で育ったにも関わらず、IQはかなり一致する)
一方、同じ環境で育てられた養子同士のIQ相関は、0.2にすぎず、成人すると0.05まで低下する
(=養子の場合、同じ環境で育ったにも関わらず、IQはほとんど一致しない)」
という統計データがわかっており、そのデータを元に学者たちは遺伝の重要性を主張します。
が、「良く調べれば、それは違う。」とこの本の著者は主張します。
「養子に出す家庭は下層社会に属し、遺伝に加え環境が足をひっぱる。
養子受入家庭は中上層社会に属し、子供に十分に手間暇をかけてあげる。
だから、この大きな差は、遺伝ではなく、環境の差からでていると思われる」
「環境が改善すると偏差値にして12-3くらいの改善が見られるので、
下層の人と中上層の人の成績の差はこれでほとんど説明がつく。
だから黒人と白人の差なども、環境でほとんどを説明できる」
・・・とのことですが、貧富の差がとてつもないアメリカでは、環境が問題なのはわかります。
だいたい、あの国の貧民街に生まれて人生で逆転ホームランが可能かと言われると、厳しいのはわかりきってます。
しかーし、よーくデータを眺めてみましょう。なるべく客観的な目でデータを見ると、
「頭良い親の子供が頭が良い相関0.74」という、相関の高さはとても高いものです。
一方で「環境が同じの子供同士0・05」という、相関の低さははとても低いものです。
この著者は、このデータの差をを統計の歪みだけで説明しきろうとしていますが、
統計データを見慣れたものとしては、なかなか苦しいように思います。
これだけ大きな差があれば、統計に歪みがあると主張しても、
遺伝:環境で、50:50がせいぜいで、0:100に持って行くのは厳しいのではないでしょうか。
(著者は、人間科学の専門家であることを考えると、この差をすべて統計の歪みで説明しきることが厳しいことは重々承知であろう。
つまり、アメリカでも人種問題は非常にセンシティブな話題なので、人種に差がないという結論で書かないと本が書きづらいのかもしれません。)
しかも、この著者によると、どうやら「環境」は、
「親の経済力や治安の悪さや学校の質の悪さ」という意味で使っているわけでなく、
「子供を大事にするかどうか」といった個々の家庭の文化まで含められてしまっています。
・・・そうなると、別に遺伝も、環境も、その2つを分ける意味がるのかしら?
だいたい一緒じゃない?・・・私自身は思う訳です。
だって、赤ん坊がひとりで、誰の助けもいらずに大人になるわけで無いのです。
なるべく遺伝部分を狭く解釈して「ほら人は皆同じなんだ」と言うのは、
「人類皆平等」という政治的な理念を守るのには意味があるんでしょうが、
現実問題として、遺伝部分と文化部分が分けられない位混ざっているのなら、分けることは無意味な気がします。
例えば、自分のパートナーを選ぶ場面で考えてみましょう。
虐待を受けた子が親になって虐待をしがちだそうです。
・・・だとしたら、それが遺伝でなく、文化によるものであっても、
私ははっきりいってどっちでもいいです。そういう虐待をしがちな文化を持たない人を選びたいです。
だから遺伝か家庭の文化かであるかどうかなんて無意味な論争で、
現実問題を処理するうえでは意味ないのでは・・・なんて思わないでもない私。
あと、東アジアの人たち(つまり、日本人+韓国人+中国人)は、白人より知能が高いというデータがあります。
しかし、この本では、やはり、文化の違いだという結論になります。
ま。そこんじょそこらの白人よりは日本人は賢い気がします。
遺伝ではなく、文化だと言われればそうかもしれませんけど。
と、いうわけで、赤ん坊が一人で成長するわけでなし、
文化だって立派な遺伝の一種だと考えれば、より合理的なんじゃないかと思いました。
2010年8月30日に日本でレビュー済み
著名な心理学者が書く、「頭のでき」についての現時点の研究結果
著者は、ミシガン大学教授というか、かなり著名な心理学者みたいです。
構成は、「頭のでき」とは何かを定義した上で、
この著者の主張、つまり遺伝的なものと「頭のでき」とは
関係しないことをこの本で述べることを宣言しています。
その上で、学校と「頭のでき」との関係、貧富との関係
黒人と白人のそれの違い、などまるで統計の授業のような
内容で述べていきます。
後半は、知能の差の埋め方、アジア人と西洋人の違い、そしてユダヤ人
が何故賢いのかを色々な事例を含めて述べています。
最後に、学者らしくこの本での結論が述べています。
この部分だけでも読めば、この本の内容がわかります。
証明が大変なものに挑む姿勢がすばらしいです。
「頭のでき」という、多くのノイズが混じってしまう主題に
対して、さすがにうまくまとめているなぁというのが感想です。
学者らしく、反証の余地がある点はちゃんと記述しており
そのまめさが、この本を読みづらくしているのが痛し痒しという
感じがします。また、論文に基づいていないところ、ユダヤ人の
賢さやアジア人と西洋人との違いの一部など、類推で終わっている
ところもあり、その点も少し残念です。
とはいえ、10章の結論は、よくこれらの断片的な研究から
ここまで構成したのかと思うぐらいすばらしく、この結論だけでも
読む価値がとてもあると考えます。
なかなか難しい課題に対して、ここまでわかりやすく体系的に
述べた本はなかったかと思います。専門家でない私にでも
有益と思える情報が多いこの本はお薦めだと考えます。
著者は、ミシガン大学教授というか、かなり著名な心理学者みたいです。
構成は、「頭のでき」とは何かを定義した上で、
この著者の主張、つまり遺伝的なものと「頭のでき」とは
関係しないことをこの本で述べることを宣言しています。
その上で、学校と「頭のでき」との関係、貧富との関係
黒人と白人のそれの違い、などまるで統計の授業のような
内容で述べていきます。
後半は、知能の差の埋め方、アジア人と西洋人の違い、そしてユダヤ人
が何故賢いのかを色々な事例を含めて述べています。
最後に、学者らしくこの本での結論が述べています。
この部分だけでも読めば、この本の内容がわかります。
証明が大変なものに挑む姿勢がすばらしいです。
「頭のでき」という、多くのノイズが混じってしまう主題に
対して、さすがにうまくまとめているなぁというのが感想です。
学者らしく、反証の余地がある点はちゃんと記述しており
そのまめさが、この本を読みづらくしているのが痛し痒しという
感じがします。また、論文に基づいていないところ、ユダヤ人の
賢さやアジア人と西洋人との違いの一部など、類推で終わっている
ところもあり、その点も少し残念です。
とはいえ、10章の結論は、よくこれらの断片的な研究から
ここまで構成したのかと思うぐらいすばらしく、この結論だけでも
読む価値がとてもあると考えます。
なかなか難しい課題に対して、ここまでわかりやすく体系的に
述べた本はなかったかと思います。専門家でない私にでも
有益と思える情報が多いこの本はお薦めだと考えます。