上巻は反脆さの重要性についての情熱的な語り口が目立った。故に引き込まれた。下巻はどちらかというと反脆さの理に興味がある人向けだと思う。
なによりも興味深いのは、誰かが反脆くなれば代わりに誰か(何か)が脆くなること。カモと反脆さを奪われた納税者との違いはなんだろうか。おそらく奪うという言葉がその違いを表していると思う。つまり、自分が反脆くなるためなら何をやってもいいわけではないという主張だ。ただ、これは価値観の問題であって10人いたら10人全員が同意するわけではないかもしれない。
上巻を含めて、本書に出会えたことに感謝したい。不確実性に立ち向かうためのたったひとつの有用な物差しを私に明示的に認識させてくれたことに。あとはこの道具を正しく使いこなせるようになるかどうかだが、そのための教科書として本書が十分かどうかは分からない。より多くの教材が増えることを願うばかりである。
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反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方 単行本 – 2017/6/22
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反脆弱性―不確実な世界を生き延びる唯一の考え方 上下巻セット こちらをチェック
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世界最高の「知の巨人」、
『ブラック・スワン』のタレブ集大成!
国家、社会の行く末から、生き残る仕事、学ぶべき知識まで――。
私たちはこれからどう生きるべきか、
万物に通じる思考のものさし
「脆弱/頑健/反脆弱」をもとに語り尽くす。
◆「絶対ない」は、絶対ない。
混迷の時代を強かに生き抜く至高のバイブル、待望の邦訳
経済、金融から、教育、テクノロジー、
食事、健康、果ては人生や愛まで――。
世界最高の哲人タレブが、ありとあらゆる事象に潜む
「脆弱性」と「頑健性」、そして「反脆弱性」について語り尽くしたとき、
ついにこの不確実な世界のバランスを崩す“犯人"が明らかになる。
「身銭を切らない人」とは、果たして誰のことなのか?
真に評価されるべき「英雄」とは、果たして誰のことなのか?
セネカ、ソクラテスに始まり、スティグリッツ、カーネマンに至る
人類が数千年かけて培ってきた「知」を駆け巡る本書を読み終えたとき、
あなたの「世界の見方」は大きく、そして根本から変わっているだろう。
なぜなら、この不確実な世界で不確実性を飼いならし、
したたかに生き延びるための「新たな知」を手にしているのだから。
◆世界が震撼した大ベストセラー!
「数々の洞察、物語、格言、面白エピソードに満ちた大胆、愉快、かつ知的な一冊。一度のみならず二度、三度と読みたくなるだろう」
――マット・リドレー(『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に寄せて)
「変動に耐え抜くだけでなく、変動を利益に変えられるとしたら? 本書はそれを試みる究極のモデルを提示している」
――『タイムズ』紙
「たぐいまれなる予言能力を持った真に偉大な哲学者。力強く、独創的で、偽りのない独自の発想だけで、私たちの世界観をすっかりくつがえしてしまう」
――『GQ』誌
「タレブはアウトサイダーのなかのアウトサイダーだ。そんな彼が中央権力に向けて手榴弾を投げつけんとしているとしたら……さあ、こいつは面白いことになるぞ」
――『デイリー・テレグラフ』紙
『ブラック・スワン』のタレブ集大成!
国家、社会の行く末から、生き残る仕事、学ぶべき知識まで――。
私たちはこれからどう生きるべきか、
万物に通じる思考のものさし
「脆弱/頑健/反脆弱」をもとに語り尽くす。
◆「絶対ない」は、絶対ない。
混迷の時代を強かに生き抜く至高のバイブル、待望の邦訳
経済、金融から、教育、テクノロジー、
食事、健康、果ては人生や愛まで――。
世界最高の哲人タレブが、ありとあらゆる事象に潜む
「脆弱性」と「頑健性」、そして「反脆弱性」について語り尽くしたとき、
ついにこの不確実な世界のバランスを崩す“犯人"が明らかになる。
「身銭を切らない人」とは、果たして誰のことなのか?
真に評価されるべき「英雄」とは、果たして誰のことなのか?
セネカ、ソクラテスに始まり、スティグリッツ、カーネマンに至る
人類が数千年かけて培ってきた「知」を駆け巡る本書を読み終えたとき、
あなたの「世界の見方」は大きく、そして根本から変わっているだろう。
なぜなら、この不確実な世界で不確実性を飼いならし、
したたかに生き延びるための「新たな知」を手にしているのだから。
◆世界が震撼した大ベストセラー!
「数々の洞察、物語、格言、面白エピソードに満ちた大胆、愉快、かつ知的な一冊。一度のみならず二度、三度と読みたくなるだろう」
――マット・リドレー(『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に寄せて)
「変動に耐え抜くだけでなく、変動を利益に変えられるとしたら? 本書はそれを試みる究極のモデルを提示している」
――『タイムズ』紙
「たぐいまれなる予言能力を持った真に偉大な哲学者。力強く、独創的で、偽りのない独自の発想だけで、私たちの世界観をすっかりくつがえしてしまう」
――『GQ』誌
「タレブはアウトサイダーのなかのアウトサイダーだ。そんな彼が中央権力に向けて手榴弾を投げつけんとしているとしたら……さあ、こいつは面白いことになるぞ」
――『デイリー・テレグラフ』紙
- 本の長さ424ページ
- 言語日本語
- 出版社ダイヤモンド社
- 発売日2017/6/22
- 寸法13.6 x 2.8 x 19.5 cm
- ISBN-104478023220
- ISBN-13978-4478023228
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商品の説明
著者について
[著者]
ナシーム・ニコラス・タレブ(Nassim Nicholas Taleb)
文筆家、トレーダー、大学教授および研究者という三つの顔を持つ、現代の急進的な哲学者。生涯を通じて、運、不確実性、確率、知識の問題に身を捧げており、主な研究テーマは「不透明性のもとでの意思決定」、つまり人間にとって理解不能な世界で生きていくための地図やルールについて考えること。レバノンでギリシア正教の一家に生まれ、ウォートン・スクールでMBAを、パリ大学で博士号を取得。現在、ニューヨーク大学タンドン・スクール・オブ・エンジニアリングでリスク工学の教授を務める。著書『まぐれ』および『ブラック・スワン』(ともにダイヤモンド社)は33の言語で出版されたベストセラーである。
[監訳者]
望月 衛(もちづき・まもる)
大和投資信託株式会社リスクマネジメント部。京都大学経済学部卒業、コロンビア大学ビジネススクール修了。CFA、CIIA。投資信託等のリスク管理やパフォーマンス評価に従事。訳書に『ヤバい経済学』、『ヤバすぎる経済学』、『その問題、経済学で解決できます。』、『社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた』(以上、東洋経済新報社)、『ブラック・スワン』、『まぐれ』、『経済は「予想外のつながり」で動く』(以上、ダイヤモンド社)、『ヘッジホッグ』、『ウォール街のイカロス』(ともに日本経済新聞出版社)等がある。
[訳者]
千葉敏生(ちば・としお)
翻訳家。1979年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。訳書に、『情報と秩序』、『デザイン思考が世界を変える』、『スイッチ! 』、『決定力! 』(以上、早川書房)、『クリエイティブ・マインドセット』(日経BP社)、『ウソはバレる』(ダイヤモンド社)等がある。
ナシーム・ニコラス・タレブ(Nassim Nicholas Taleb)
文筆家、トレーダー、大学教授および研究者という三つの顔を持つ、現代の急進的な哲学者。生涯を通じて、運、不確実性、確率、知識の問題に身を捧げており、主な研究テーマは「不透明性のもとでの意思決定」、つまり人間にとって理解不能な世界で生きていくための地図やルールについて考えること。レバノンでギリシア正教の一家に生まれ、ウォートン・スクールでMBAを、パリ大学で博士号を取得。現在、ニューヨーク大学タンドン・スクール・オブ・エンジニアリングでリスク工学の教授を務める。著書『まぐれ』および『ブラック・スワン』(ともにダイヤモンド社)は33の言語で出版されたベストセラーである。
[監訳者]
望月 衛(もちづき・まもる)
大和投資信託株式会社リスクマネジメント部。京都大学経済学部卒業、コロンビア大学ビジネススクール修了。CFA、CIIA。投資信託等のリスク管理やパフォーマンス評価に従事。訳書に『ヤバい経済学』、『ヤバすぎる経済学』、『その問題、経済学で解決できます。』、『社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた』(以上、東洋経済新報社)、『ブラック・スワン』、『まぐれ』、『経済は「予想外のつながり」で動く』(以上、ダイヤモンド社)、『ヘッジホッグ』、『ウォール街のイカロス』(ともに日本経済新聞出版社)等がある。
[訳者]
千葉敏生(ちば・としお)
翻訳家。1979年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。訳書に、『情報と秩序』、『デザイン思考が世界を変える』、『スイッチ! 』、『決定力! 』(以上、早川書房)、『クリエイティブ・マインドセット』(日経BP社)、『ウソはバレる』(ダイヤモンド社)等がある。
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2019年7月17日に日本でレビュー済み
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2017年9月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この社会は予測なんてできやしない.だから,何が起こっても損しないように備えよう.
そのためには,反脆弱性のある行動を取るべき.それは,...というのがこの本の内容だと思います.
確率や統計の理論を使って一生懸命将来を予測しようとするのが経済学.
でも,経済学は既にあったことの後追いであり,現在の延長上にある未来を前提としている.すなわち,線型性の原則である.
だから,まだ出会ったことのない新たな出来事の予測には無力である.すなわち,非線形の現実である.
これは,20年以上前に話題になった複雑性やカオス理論のリバイバルとも言えるのかな.
ただ,タレブは理論派ではなく実行派であるので,彼の専門領域である金融デリバティブの事例で読者を納得させてくれる.
決して網羅的ではなく,いわゆるお勉強の本ではない.しかし,あーどうだよね,そういうことって押さえておくべきだよね,
というように気づかせてくれる上質のエッセイだと思います.
そのためには,反脆弱性のある行動を取るべき.それは,...というのがこの本の内容だと思います.
確率や統計の理論を使って一生懸命将来を予測しようとするのが経済学.
でも,経済学は既にあったことの後追いであり,現在の延長上にある未来を前提としている.すなわち,線型性の原則である.
だから,まだ出会ったことのない新たな出来事の予測には無力である.すなわち,非線形の現実である.
これは,20年以上前に話題になった複雑性やカオス理論のリバイバルとも言えるのかな.
ただ,タレブは理論派ではなく実行派であるので,彼の専門領域である金融デリバティブの事例で読者を納得させてくれる.
決して網羅的ではなく,いわゆるお勉強の本ではない.しかし,あーどうだよね,そういうことって押さえておくべきだよね,
というように気づかせてくれる上質のエッセイだと思います.
2018年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
反脆さ、バーベル戦略やランダム性など参考なる考え方も多く為になった。一方で事例や社名を出しての批判の部分では事実関係の誤認と思われる記載もあるので全てを鵜呑みにするのは危険。
2017年6月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タレブはリバタリアンだと書くと、現在の資本主義を擁護しているのだろうと言う誤解を持つ人がいるかもしれない。これは全く違う、何しろ彼は消費者運動のラルフ・ネーダーを支持しているし、リスクをとらずに利益を株主や納税者から巻き上げている巨大金融企業の幹部をクソミソにこき下ろしているのだ。普段は巨額のボーナスをもらい、いざ経営に失敗した時は、大きすぎてつぶせないと言うことで納税者の負担で救済されるからだ。彼の信念では、身銭を切らずに行動している人物は要注意なのだ。また、彼は製薬企業による医原病や清涼飲料水企業も批判している。
タレブは、多面的な人物で、フランス革命を批判したエドマンド・バーク流の保守主義者の顔も持っている。時の試練に耐え抜いたもの、職人の経験知や伝統的な小企業の製品を賞賛し、自然選択を生き抜いた結果として現存している多いなる自然と言うものを称揚している。さらに人間の浅知恵による過剰な介入主義を批判している。合理的な理解に基づいて複雑な何か、例えば国家運営をうまくやれるという信念に対する反感、つまりは,反啓蒙主義と言うことだ。また、彼は自然選択による進化を信頼していて、それは個体は集団のために間引かれていくこと、つまりは死ぬことによって全体に貢献している,からだと言う。このような一見全体主義に聞こえるかもしれないような文章や意見も散見される。この辺りが彼を攻撃する人たちにとっての標的となっているのだろう。評者は、読み終えて,科学哲学分野のファイヤーアーベントを思い起こした。両者をつなぐのは,言葉の良い意味でのアナーキズムである。事実,彼は,脆いものとして中央集権国家を、頑健なものとして都市国家を,反脆いものとして地方自治をあげているのだ。小集団による自治では規模の巨大さによる官僚の必要性は減少するし、ある種の人たちの理想とするくじ引きによる政治家(代理人)の選出も可能かもしれない。これなら,身銭を切らない代理人(エージェンシー)問題は回避できる。
処世訓としても興味深い。口先だけの人間は信用するな、時の試練に耐えたものを信頼せよ、浅はかな流行理論にだまされるな、長年の経験による知を尊重せよ、などなどだ。彼は自身の宗教であるギリシア正教の戒律も非合理的ではあるが、人生の難問を処理するのにはなかなか有効だとしている。例えば、断食だ。時々断食するのは健康に良いものだし,何より断食の後は食事がうまいのだ。これは本当で評者も3日程度お湯と麦飯と沢庵だけで過ごした後の薄い砂糖水が本当に甘露であると感じた経験がある。新しいものより,古いものの方がこれから先、生残る確率は高いと書くし(食器の基本的デザインはローマ時代から変わっていない)、細部に異論のある医師などの専門家も多いだろうが(勿論タレブといえどもあらゆる問題を理解できるはずはないのだから)、ここは大いにタレブの一見乱暴に見えるが,その実首尾一貫している主張を噛み締めても良いのではないか。
なお下巻には、全部で100ページほどの、用語集、グラフによる解説、文献などの部分がついてくる。
タレブは、多面的な人物で、フランス革命を批判したエドマンド・バーク流の保守主義者の顔も持っている。時の試練に耐え抜いたもの、職人の経験知や伝統的な小企業の製品を賞賛し、自然選択を生き抜いた結果として現存している多いなる自然と言うものを称揚している。さらに人間の浅知恵による過剰な介入主義を批判している。合理的な理解に基づいて複雑な何か、例えば国家運営をうまくやれるという信念に対する反感、つまりは,反啓蒙主義と言うことだ。また、彼は自然選択による進化を信頼していて、それは個体は集団のために間引かれていくこと、つまりは死ぬことによって全体に貢献している,からだと言う。このような一見全体主義に聞こえるかもしれないような文章や意見も散見される。この辺りが彼を攻撃する人たちにとっての標的となっているのだろう。評者は、読み終えて,科学哲学分野のファイヤーアーベントを思い起こした。両者をつなぐのは,言葉の良い意味でのアナーキズムである。事実,彼は,脆いものとして中央集権国家を、頑健なものとして都市国家を,反脆いものとして地方自治をあげているのだ。小集団による自治では規模の巨大さによる官僚の必要性は減少するし、ある種の人たちの理想とするくじ引きによる政治家(代理人)の選出も可能かもしれない。これなら,身銭を切らない代理人(エージェンシー)問題は回避できる。
処世訓としても興味深い。口先だけの人間は信用するな、時の試練に耐えたものを信頼せよ、浅はかな流行理論にだまされるな、長年の経験による知を尊重せよ、などなどだ。彼は自身の宗教であるギリシア正教の戒律も非合理的ではあるが、人生の難問を処理するのにはなかなか有効だとしている。例えば、断食だ。時々断食するのは健康に良いものだし,何より断食の後は食事がうまいのだ。これは本当で評者も3日程度お湯と麦飯と沢庵だけで過ごした後の薄い砂糖水が本当に甘露であると感じた経験がある。新しいものより,古いものの方がこれから先、生残る確率は高いと書くし(食器の基本的デザインはローマ時代から変わっていない)、細部に異論のある医師などの専門家も多いだろうが(勿論タレブといえどもあらゆる問題を理解できるはずはないのだから)、ここは大いにタレブの一見乱暴に見えるが,その実首尾一貫している主張を噛み締めても良いのではないか。
なお下巻には、全部で100ページほどの、用語集、グラフによる解説、文献などの部分がついてくる。
2019年2月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
頭の悪い私では独特のフレーズを理解するのに一周では無理でした。ですが、何周してでも理解しよう!と思える本質的な気付きを与えてくれる名著です。
2018年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
セネカの非対称性の思想やマット・リドレー引用箇所の非線形性のメリットを捉える事ができれば不確実な現代社会でも十分生きていけるのかもしれないが実践することはそんなに簡単ではない事を注意すべきか。技術が科学よりも先に来るという捉え方には大いに納得できた。大変面白かった。
2017年12月29日に日本でレビュー済み
上巻では200ページ前後の「非対称」戦略、下巻は後半の「エージェンシー問題」が印象に残りました。ここは下巻のレビューなので、「エージェンシー問題」つまり倫理的な議題について述べます。
この「エージェンシー問題」自体は、ファイナンスでも多く指摘されてきたことだと思います。簡単に説明しますと、代理者(例:経営者)は、出資者(例:株主)よりも低いリスク(経営責任)で、より高いリターン(報酬)を得ている疑惑です。ファンドマネージャーなど他の代理人でも同じことを言われます。経営で損を出しても、過去の年収を返せと言われることはまず無いが、利益を出すと結構な報酬を取るため、経営者の方が得だと言うことです。更に言うと、経営者の見栄は株主には利益とならないが、経営者にとっては名誉という報酬となるため、経営者は株主利益と反する行動を取りがちであると言う説で、これは利益よりも売上やバランスシートの拡大という形で現われるとバフェットも述べたことがあります。ここで注目すべきは、「エージェンシー問題」には上巻で述べた「非対称」が存在していることです。つまり失敗しても損は少なく、成功すれば利益が大きいのです。
筆者の主張を上巻の流れで行くと、非対称(エージェンシー問題)を利用している経営者等の代理人は正しい金儲けの戦略なのですが、下巻での議論は少しニュアンスが変わります。すなわち、世の中には、それが損なことだとわかっていても、倫理観や信念で、これを選択しない革命家のような歴史的偉人たちがいる。こういう人たちをもっと評価すべきであり、逆に、倫理的に間違っていても、非対称を悪用している悪しき輩もいる。最近でいえば、不良債権の責任を国民の税金に押し付ける銀行経営者などが、この悪しき輩の例であり、こういう類の悪い輩に非対称戦略を悪用されることなかれ!!私の読解に誤りが無くば、筆者の言いたいことは、そういうトーンなのだと思います。(正直、やや混乱しましたが。)
個人的な感想です。①確かに倫理性は大切。しかし(私も龍馬は好きだが、)歴史的偉人の倫理観を評価するのは精神論だし、仕組み自体は難しいですね。また、悲しい話なのですが、損をした人が本当に信念や倫理で己を犠牲にしたのか否かを証明するのも難しい。②倫理的に間違っていても、非対称を悪用している悪しき輩を取り締まるのも当然賛成。また、これは、ファイナンス理論でも、経営者やファンドマネージャーが、運営する会社(ファンド)の債権者(受益者)となることで軽減されると研究されており、この他にも検討されていくべきことだろうと思います。③ここでは詳述しませんが、下巻の前半では、上巻からの流れの延長で、「引き算理論」などユニークな技術論で楽しませてくれます。④以上を踏まえて考えると、上巻を含め良書であり、筆者の考えは正しいと思うが、下巻の特に後半は、具体的な方策が難しいか、あるいは、既に先行研究議論でもある。そのため、そのぶん、感情的な文章が目についてしまうのは残念でした。例えば、「ステッグリッツ症候群」は少し失礼だな(苦笑)と思いました。
この「エージェンシー問題」自体は、ファイナンスでも多く指摘されてきたことだと思います。簡単に説明しますと、代理者(例:経営者)は、出資者(例:株主)よりも低いリスク(経営責任)で、より高いリターン(報酬)を得ている疑惑です。ファンドマネージャーなど他の代理人でも同じことを言われます。経営で損を出しても、過去の年収を返せと言われることはまず無いが、利益を出すと結構な報酬を取るため、経営者の方が得だと言うことです。更に言うと、経営者の見栄は株主には利益とならないが、経営者にとっては名誉という報酬となるため、経営者は株主利益と反する行動を取りがちであると言う説で、これは利益よりも売上やバランスシートの拡大という形で現われるとバフェットも述べたことがあります。ここで注目すべきは、「エージェンシー問題」には上巻で述べた「非対称」が存在していることです。つまり失敗しても損は少なく、成功すれば利益が大きいのです。
筆者の主張を上巻の流れで行くと、非対称(エージェンシー問題)を利用している経営者等の代理人は正しい金儲けの戦略なのですが、下巻での議論は少しニュアンスが変わります。すなわち、世の中には、それが損なことだとわかっていても、倫理観や信念で、これを選択しない革命家のような歴史的偉人たちがいる。こういう人たちをもっと評価すべきであり、逆に、倫理的に間違っていても、非対称を悪用している悪しき輩もいる。最近でいえば、不良債権の責任を国民の税金に押し付ける銀行経営者などが、この悪しき輩の例であり、こういう類の悪い輩に非対称戦略を悪用されることなかれ!!私の読解に誤りが無くば、筆者の言いたいことは、そういうトーンなのだと思います。(正直、やや混乱しましたが。)
個人的な感想です。①確かに倫理性は大切。しかし(私も龍馬は好きだが、)歴史的偉人の倫理観を評価するのは精神論だし、仕組み自体は難しいですね。また、悲しい話なのですが、損をした人が本当に信念や倫理で己を犠牲にしたのか否かを証明するのも難しい。②倫理的に間違っていても、非対称を悪用している悪しき輩を取り締まるのも当然賛成。また、これは、ファイナンス理論でも、経営者やファンドマネージャーが、運営する会社(ファンド)の債権者(受益者)となることで軽減されると研究されており、この他にも検討されていくべきことだろうと思います。③ここでは詳述しませんが、下巻の前半では、上巻からの流れの延長で、「引き算理論」などユニークな技術論で楽しませてくれます。④以上を踏まえて考えると、上巻を含め良書であり、筆者の考えは正しいと思うが、下巻の特に後半は、具体的な方策が難しいか、あるいは、既に先行研究議論でもある。そのため、そのぶん、感情的な文章が目についてしまうのは残念でした。例えば、「ステッグリッツ症候群」は少し失礼だな(苦笑)と思いました。
2017年11月20日に日本でレビュー済み
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この世の中でリスクを最小限にして人々に押し付ける輩が何と多い事なのか!その裏がわかる警告の書で有る。