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フリーター亡国論 単行本 – 2004/7/30
- ISBN-104478231346
- ISBN-13978-4478231340
- 出版社ダイヤモンド社
- 発売日2004/7/30
- 言語日本語
- 本の長さ185ページ
商品の説明
著者からのコメント
これまでのフリーターを巡る議論は、フリーター本人の意識レベルや価値観の問題として議論されることが多かったように思います。その結果、「フリーターになることはいいことだ」というフリーター肯定派と、「フリーターになることはいけないことだ」というフリーター否定派に分かれてしまい、フリーターを巡る議論は百家争鳴といった状態となっています。フリーターの問題が個人の価値観の問題として議論されることを考えれば、意見が分かれるのは当然のことです。
しかし、確かな事実は、2001年にはフリーターの数が417万人に達し、主婦と学生を除く若者の5人に1人がフリーターになっていることです。そして、所得の低いフリーターの急増が社会に無視できない影響を及ぼし始めています。もはや、フリーターの問題は、本人の問題としてだけでなく、社会全体の問題として取り組む必要があります。
読者の中には、フリーターである人もいれば、友人・知人がフリーターである人、兄弟・親戚がフリーターである人、息子・娘がフリーターである人もいるでしょう。この中には入らないという読者も、日常生活でフリーターを見かけないことはないでしょうし、今やフリーターのいない生活は成り立たなくなっています。消費者として安い商品・サービスを購入できるのも、正社員として高い賃金をもらえるのも、フリーターの犠牲によって成り立っているという面が多分にあります。
しかしながら、少し乱暴な言い方をすると、消費者として、正社員として、立場の弱いフリーターを搾取し続けることは社会全体にとってプラスなのでしょうか。フリーターは無気力でも、無能でもありません。にもかかわらず、フリーターの待遇やキャリア、保障といったものは正社員のそれとは明らかに違います。もちろん、そうかといって、社会にすっかり取り込まれてしまっているフリーターという働き方を完全に否定してしまうことはできませんし、意味がありません。また、旧来の価値観にとらわれずに柔軟な働き方を望む若者も増えています。
では、どうしたらいいのか、これが本書の最大のテーマです。本書では、しばしば正社員は働き者のアリに、フリーターは遊び人のキリギリスに喩えられます。しかし、もともと人はアリ的な部分とキリギリス的な部分を持ちあわせているのではないでしょうか。働くときは働き、遊ぶときは遊ぶ生き方を「アリギリス」と言うそうです。「アリ」を前提とした社会でも、「キリギリス」を前提とした社会でもない、「アリギリス」を前提とした社会こそ、本書が目指す最終的な社会の姿です。そして、そのためには、誰がどう変わらねばならないのかということについても本書は述べています。
おそらく、最後まで読み進められた読者は、フリーターの問題とは、単に働かない、あるいは働けない若者の問題ではなく、ひとりひとりの働き方を巡る問題であることに気付かれることと思います。それだけ、フリーターの増加が私たちひとりひとりに問い掛ける意味は重く、それにどう答えるかが問われています。本書がその答えを見つけ出す一助となれば、これに代わる喜びはありません。
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : ダイヤモンド社 (2004/7/30)
- 発売日 : 2004/7/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 185ページ
- ISBN-10 : 4478231346
- ISBN-13 : 978-4478231340
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,415,887位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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当たり前のこと、フルタイマー社員のなのにパート差別されている現実。人件費抑制のために、正規雇用を成るだけ減らし、アルバイター、契約社員、派遣社員いろいろな形で、社内に差別を導入しようとしている経営陣。
フリーターが国を亡ぼす?ほんとかと思った?
そして、中を読んで、今度はハッとした。
フリーターが国を亡ぼすのではなく、フリーターを生む社会が国を亡ぼす。まさに、目からうろこでした。
これまでのフリーターの本は、フリーターを夢追及型とか
モラトリアム型とか分類しただけで、なんとなくフリーターのことを分かった気になっていたものが多かった。そこでは、若者の意識とか価値観の問題が問われるのが定番だった。
ところが、「フリーター亡国論」は、タイトルからは想像できないくらい、緻密な分析に基づいており、一冊読めば、フリーターとフリーターを取り巻く社会の現状が理解できるようになっている。
そして、私がこれまでフリーターという存在に対して抱き続けていた
共感とか、漠然とした不安とか、苛立ちとか、そういったもやもやしたものが、著者の冷静でいてしかも温かい分析に晴れていくのが分かった。
なんとなく問題だと思われていたフリーターを巡る議論にも、「フリーター亡国論」によって決着に向かうのではないか。
ちなみに、著者はシンクタンクのエコノミストで、
googleで名前を検索したところ、雑誌や講演でも活躍する若手エコノミストの有望株。今後も研究が期待されるところです。きっと、フリーターの問題は著者のような若者が発言することに意味があるのではないでしょうか。
ちなみに、本の内容は関係ありませんが、著者の「終わりに」は一読の価値があります。私は20年以上サラリーマンをやっていますが、仕事に対する著書の意識、見習いたいと思います。
身の回りに1人でもフリーターがいるという方、この本を読んでフリーターが抱える問題に対する理解を深めてはいかがでしょうか。
最近、正社員からフリーターへ企業は人員をを置き換えているがその理由は?
普通の人は(私も含めて)簡単にこう答えるだろう。
「フリーターと正社員を比較するとフリーターの方が給与を低く抑えられる。経費節減のために置き換えるのである」
現在、日本ではフリーターに対する様々な書籍が出版されている。但しそのどれもが、国の財政、労務関係、及び教育・精神論などのテーマだけに絞られていた。
それに対し、この本ではそれらの分析に加えて、企業がフリーターを雇用することによってどのくらいの利益を得ているかという雇用者側からの観点についても論じている。この盲点からフリーターについて言及した研究はほかに無く、非常に斬新なこの観点からフリーターを初めて論じたこの著者の慧眼には驚かざるをえない。しかもこの観点において著者は正社員の代わりにフリーターを雇う続けることは「場合によっては」、企業業績に直接的な悪影響を及ぼす可能性があることを述べている。これは現在の企業経営の常識に対する驚くべき反論だと言える。
他の論点においてもすぐれた分析を行っている。今後、フリーターについて論述する際には必ず一度眼を通すべき一冊だろう。
フリーターによる短期的成長だけでなく、長期的影響を考えてフリーターを理解する。もちろん高度経済成長期に経済成長を前提として作られた制度が重大な影響力を持っていることも無視できない。
そして、フリーターは日本独自の問題でないことを明らかにされている。多くの先進国は今の日本の状態を経験しているか、もしくは迎えようとしている。アメリカと比較するならば、日本の非正社員率は特別なものではない。日本にないものは敗者復活の制度、雇用の流動性である。
最後まで読んで、この本の著者のプロフィール(UFJ総研エコノミスト)を見て納得したが、これは感情論、精神論ではなく経済書である。マクロ経済を専攻している大学生や、金融機関に身をおくビジネスマンがこれからの労働市場について読むのに最適の一冊であると思う。