帯の穂村弘の「東京に発情している」という言葉がぴったりで、東京に対する思い入れが強すぎてちょっと怖くもある。過剰な何かを持て余している人が文章を書くし、過剰な何かを持て余している人が東京に出てくるのだな、という気持ちになる。
本の中ではうまくいかない恋愛についてもしばしば語られるのだけど、この本では東京と恋愛はほとんど同じものだ。それはどちらも、どうしても惹き付けられてしまうけど、本当はそこには何もないかもしれなくて、決して手に入らないもの、だ。どこにもないものを追い求める人がやってくる街。それが東京なのだ。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
東京を生きる 単行本 – 2015/4/22
雨宮 まみ
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,540","priceAmount":1540.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,540","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"be3RxKhFwNJnnf2uvQZAmWE%2BkFd753akshiC6mblfYEpzhd4mnSwX4FrFBNyMnw3YunUeTv6nkbxKUTb50wyIvBGLbxo6e%2Bic9tIbQ0znIAFjUbyDhYh1cOFUu3Y1V%2B%2F4OCZ2gyNFng%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}]}
購入オプションとあわせ買い
◎穂村弘氏絶賛!
世界中の女の子が憧れる都市は、決まっている。
パリ、ニューヨーク、ロンドン、東京。
私はそれらの都市を、身に纏いたかった。
東京という都市の殻を、自分の身に。
そうするには、自分の身を、削って削って細く、邪魔にならないようにして、そっと都市の殻の中に挿し入れるしかないと思っていた。 その殻を纏えば、自分はこれまでとは違う自分になれる。洗練された人になれると信じていたし、全身で「東京の人」になろうとしていた。
それは、自分のかたちを削っていく作業によく似ていた。
悪目立ちするのは田舎者っぽいから、場に溶け込むように、浮かないように。自分の知らない都会の、見えないルールから外れないように。大声を出さないように、感情をむきだしにしないように。
こういうのが「東京の女の子」なのだと思うかたちに、自分を近づけていくのは、楽しいとか苦しいとかではなく、そうすべき義務のようだった。
『東京の女の子』になるために東京に来たのだから。
――「殻」より一部抜粋
九州で過ごした年月を、東京で過ごした年月が越えてゆく――
地方出身者すべての胸をうつ初めての私小説エッセイ!
世界中の女の子が憧れる都市は、決まっている。
パリ、ニューヨーク、ロンドン、東京。
私はそれらの都市を、身に纏いたかった。
東京という都市の殻を、自分の身に。
そうするには、自分の身を、削って削って細く、邪魔にならないようにして、そっと都市の殻の中に挿し入れるしかないと思っていた。 その殻を纏えば、自分はこれまでとは違う自分になれる。洗練された人になれると信じていたし、全身で「東京の人」になろうとしていた。
それは、自分のかたちを削っていく作業によく似ていた。
悪目立ちするのは田舎者っぽいから、場に溶け込むように、浮かないように。自分の知らない都会の、見えないルールから外れないように。大声を出さないように、感情をむきだしにしないように。
こういうのが「東京の女の子」なのだと思うかたちに、自分を近づけていくのは、楽しいとか苦しいとかではなく、そうすべき義務のようだった。
『東京の女の子』になるために東京に来たのだから。
――「殻」より一部抜粋
九州で過ごした年月を、東京で過ごした年月が越えてゆく――
地方出身者すべての胸をうつ初めての私小説エッセイ!
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社大和書房
- 発売日2015/4/22
- ISBN-104479392742
- ISBN-13978-4479392743
よく一緒に購入されている商品

¥1,650¥1,650
一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です。
注文確定後、入荷時期が確定次第、お届け予定日をEメールでお知らせします。万が一、入荷できないことが判明した場合、やむを得ず、ご注文をキャンセルさせていただくことがあります。商品の代金は発送時に請求いたします。
¥1,650¥1,650
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り1点 ご注文はお早めに
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
出版社からのコメント
「東京」に発情している。
そんな獣の遠吠えをきいているようで、胸が締めつけられる。
身に覚えがありすぎて恥ずかしい。
でも、美しい。
――穂村弘氏より推薦コメント
そんな獣の遠吠えをきいているようで、胸が締めつけられる。
身に覚えがありすぎて恥ずかしい。
でも、美しい。
――穂村弘氏より推薦コメント
登録情報
- 出版社 : 大和書房 (2015/4/22)
- 発売日 : 2015/4/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 4479392742
- ISBN-13 : 978-4479392743
- Amazon 売れ筋ランキング: - 92,845位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2019年8月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東京に憧れて田舎の公団から出てきて、華やかな生活を送ろうと試みたけれど、現実は厳しくなかなかままならない。
ブランド服を買ってみたけれどクリーニング代も出せない、街を歩き回って疲れても喫茶店代も出せない。
今さら捨てた故郷に帰るわけにもいかないし、別の仕事もできない。
氷河期世代の女性のそういう内容のあけすけな言葉が心に残る。
ライターとして力はあったと思うし、本も次々出版されてまさにこれからだったと思うから早世は残念だけれども、
この本を読んで40歳までに書きたいことはあらかた書いたのではという気もした。
そして、東京で華やかな生活が送りたいだけなら、別のことをやればよかったのではなかったかという印象も残った。
ブランド服を買ってみたけれどクリーニング代も出せない、街を歩き回って疲れても喫茶店代も出せない。
今さら捨てた故郷に帰るわけにもいかないし、別の仕事もできない。
氷河期世代の女性のそういう内容のあけすけな言葉が心に残る。
ライターとして力はあったと思うし、本も次々出版されてまさにこれからだったと思うから早世は残念だけれども、
この本を読んで40歳までに書きたいことはあらかた書いたのではという気もした。
そして、東京で華やかな生活が送りたいだけなら、別のことをやればよかったのではなかったかという印象も残った。
2020年8月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まみさん作品らしく、言葉がきれいで、読んでいて楽しい。
ただ東京出身者としては、なんか東京がやけにディスり倒されていて、
ちょいちょい苦笑してしまった。
東京って別にそんな特別なところなんかじゃないし、
虚栄や汚物に満ちてるわけでもないんだけどなあ……と思う。
「電車内で目を引くような素敵な女性は、みんな六本木で降りていく」
とか、いやいや、そうかなあ……うーん?でした。
ただ東京出身者としては、なんか東京がやけにディスり倒されていて、
ちょいちょい苦笑してしまった。
東京って別にそんな特別なところなんかじゃないし、
虚栄や汚物に満ちてるわけでもないんだけどなあ……と思う。
「電車内で目を引くような素敵な女性は、みんな六本木で降りていく」
とか、いやいや、そうかなあ……うーん?でした。
2022年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今は亡き、著者雨宮まみの代表作の一つ。九州から単身上京し、夢と希望を抱えながら、東京での日々に忙殺され手に入らないもの、世界との狭間で葛藤する自らの心や想いを綴った私小説。どのようなバックグラウンド、生い立ちであろうとも受け入れる度量と器があり、無限の可能性を感じさせてくれる東京という街の魅力と上には上がいる、決して届かない世界への絶望も同時に孕む魔窟の側面を女性目線から眺める事が出来、物語に没頭出来る。彼女の人生は客観的に見ても苦悩と妥協の連続であったのかもしれないが、それでも地方田舎に身を埋めるよりも東京で戦い抜く事を選択した思考のプロセスや決心に凄みを感じる。彼女に必要だったのは、きっと自身の欠点や至らない点を包み込み、未知の世界へと連れ出してくれる素敵な男性だったのかもしれないが縁には恵まれなかったのかと推察する。幾ら魅力的な女性でも、独りで戦い抜き、日々を生きるには苛烈過ぎる環境が世界有数の大都市であり、無機質でもある東京の難しさなのかもしれない。繊細な人には生きづらく、常に刺激を受け、消費を強要される、そんな切迫感も伝わる、東京を表した貴重な書籍だと思います。
2016年8月21日に日本でレビュー済み
著者の雨宮まみ氏(1976−2016)は福岡出身のライターです。
本書は上京して葛藤を抱えながら重ねた日々を切り取ったエッセイで、2013-14のネット連載作品に加筆したものです。
著者は福岡で高校時代までを過ごし、大学進学で上京しました。
それは憧れや故郷からの逃避などが入り混じったような、複雑な感情を滲ませたものでした。
卒業後はフリーターや出版社勤務をこなしながら書くことを続け、念願のライターとなって独立し、18年もの時が過ぎ去っていました。
本書では「お金」や「欲情」といった象徴的なタイトルで、過去を切り取った短いエッセイが詩的な言葉でまとめられていました。
大都会、東京は著者にとって資本主義を極大化したようなカネと虚飾が蠢く場所で、自身の弱さと向き合いながらも真っ直ぐに生きようという強い意志を感じさせました。
所々で琴線に触れるような部分があり、特に次のような文章が心に残りました。
「『私には愛する歌があるから、信じたこの道を私は行くだけ』
藤圭子の歌う「マイウェイ」は、
優れた才能を持った人がその才能と心中するような、
心の孤独を歌っているように聞こえた。
才能がない自分は、
持ち合わせた小さな能力にすがるようにして生き延びてきた。
ただ書いて絶え間なく書き続ける毎日は、
薄氷の上を歩いているようだと感じることがある。
マイウェイは、目の前の暗い道をほのかに照らし、
進むべき道を指し示すような歌だ。
自分以外の何者にもなれないのは、
私も、素晴らしい才能を持つ歌い手も同じなのだ。」
「知らない国に行くと、真夜中の海を覗き込むような、
深い孤独に抱きすくめられることがある。
私は出不精で、怖がりで、できることなら冒険などしたくない。
なのに旅には1人で行く。
旅先でホテルのベッドに身を投げると、
どうして自分はひとりなのだろうと思う。
寂しいと思いながらも、寂しさでは死なないこと、
自分が好きだと思えたなら、どこにいても大丈夫なことを
私は知っている。」
不思議なリズムを感じさせる文章で、心に沁みました。
この著者の本をもう少し読んでみたい、と思います。
本書は上京して葛藤を抱えながら重ねた日々を切り取ったエッセイで、2013-14のネット連載作品に加筆したものです。
著者は福岡で高校時代までを過ごし、大学進学で上京しました。
それは憧れや故郷からの逃避などが入り混じったような、複雑な感情を滲ませたものでした。
卒業後はフリーターや出版社勤務をこなしながら書くことを続け、念願のライターとなって独立し、18年もの時が過ぎ去っていました。
本書では「お金」や「欲情」といった象徴的なタイトルで、過去を切り取った短いエッセイが詩的な言葉でまとめられていました。
大都会、東京は著者にとって資本主義を極大化したようなカネと虚飾が蠢く場所で、自身の弱さと向き合いながらも真っ直ぐに生きようという強い意志を感じさせました。
所々で琴線に触れるような部分があり、特に次のような文章が心に残りました。
「『私には愛する歌があるから、信じたこの道を私は行くだけ』
藤圭子の歌う「マイウェイ」は、
優れた才能を持った人がその才能と心中するような、
心の孤独を歌っているように聞こえた。
才能がない自分は、
持ち合わせた小さな能力にすがるようにして生き延びてきた。
ただ書いて絶え間なく書き続ける毎日は、
薄氷の上を歩いているようだと感じることがある。
マイウェイは、目の前の暗い道をほのかに照らし、
進むべき道を指し示すような歌だ。
自分以外の何者にもなれないのは、
私も、素晴らしい才能を持つ歌い手も同じなのだ。」
「知らない国に行くと、真夜中の海を覗き込むような、
深い孤独に抱きすくめられることがある。
私は出不精で、怖がりで、できることなら冒険などしたくない。
なのに旅には1人で行く。
旅先でホテルのベッドに身を投げると、
どうして自分はひとりなのだろうと思う。
寂しいと思いながらも、寂しさでは死なないこと、
自分が好きだと思えたなら、どこにいても大丈夫なことを
私は知っている。」
不思議なリズムを感じさせる文章で、心に沁みました。
この著者の本をもう少し読んでみたい、と思います。
2017年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いいおっさんが、わざわざ読んで、
いちいち反発したり、共感したりする類の本ではないと思うのだが、
なんとなく素通りすることができなかった。
口にするのもこっぱずかしいが、
この著者が青山のヴィヴィアンについ寄ってしまうように、
くたびれた中年男でも、心の隅にシド・ヴィシャスを飼っている。
おくびにも出さないけれど、時々、遠くの方で奴が冷笑しているのがわかる。
読了後、本を閉じ、思わず「そういうことじゃないんだよ」と言いたくなった。
すぐに、やましい思いにいたたまれなくなる。
都会への憧れや過剰適応、疎外感、故郷への嫌悪、反発、相反する捨てきれない愛着。
そして「自分は他の誰とも違う」という自意識。
どれもこれも身に覚えがある。
多少、年代こそ違うが、田舎出の青年がオヤジになるまでの間に、
どうにかこうにか折り合いをつけてきたものばかりだ。
そう、自分が「折り合い」とうそぶきながら、
目をそらし押し殺してきたピカピカ光るものを、
夜店のように並べて見せられている気がする。
おまけに、ずいぶん高い値がつけられている。
「イタ刺さる」なんてうまいこと言うものだ。
それを前に「そういうことじゃ……」なんて言っても、意味はない。
自分だとしても無意味だと、よく分かっている。
自分たちと彼女を分けたものは、はっきりしている。
深くなく、激しくなく、鮮やかでなく、誠実でさえもなかった。
凡庸で愚鈍なおかげで、どうにかやってこられただけだ。
この著者は努力をつくしたと思う。
読む前に「文章がうまい」という評を耳にしたが、
本当に、読み手のことを考え抜いた文章だ。
「才能の欠如」について書いていることでもわかる。
才能は本来、無自覚的なものだ。
才能の欠如を痛感するのは、努力を尽くしたからこそ。
どんなに努力を重ねても、それを軽々とを超えていく存在がたくさんいる。
厳しい現実を、ずいぶん目の当たりにしてきたのだろう。
それでも、かげろうのように伝えにくいことを、
できる限りそのまま伝えようとする、その努力と勇気には頭がさがる。
「いつ氷を踏み抜いてしまうか」
その恐怖を常に抱えていたという記述を目にして、背筋が冷たくなった。
誰もが川をこえていく。そう遠くはない、いつかの晴れた日に。
自分のことは、どうでもいいとは思う。思うのだが、
それでも折り合いをつけてきた暮らしが、
たとえ生きているのか死んでいるのかわからないような日々だったとしても、
それはそれで愛おしい。
生き恥だろうとなんだろうと、みっともなくしがみついたことを誇っている。
凡庸を認めるなら、皆と同じく、この本を前に、ただ黙して冥福を祈るべきだ。
それでも、どうしても口の中でそっとつぶやきたくなる。
「そういうことじゃないんだよ」と。
いちいち反発したり、共感したりする類の本ではないと思うのだが、
なんとなく素通りすることができなかった。
口にするのもこっぱずかしいが、
この著者が青山のヴィヴィアンについ寄ってしまうように、
くたびれた中年男でも、心の隅にシド・ヴィシャスを飼っている。
おくびにも出さないけれど、時々、遠くの方で奴が冷笑しているのがわかる。
読了後、本を閉じ、思わず「そういうことじゃないんだよ」と言いたくなった。
すぐに、やましい思いにいたたまれなくなる。
都会への憧れや過剰適応、疎外感、故郷への嫌悪、反発、相反する捨てきれない愛着。
そして「自分は他の誰とも違う」という自意識。
どれもこれも身に覚えがある。
多少、年代こそ違うが、田舎出の青年がオヤジになるまでの間に、
どうにかこうにか折り合いをつけてきたものばかりだ。
そう、自分が「折り合い」とうそぶきながら、
目をそらし押し殺してきたピカピカ光るものを、
夜店のように並べて見せられている気がする。
おまけに、ずいぶん高い値がつけられている。
「イタ刺さる」なんてうまいこと言うものだ。
それを前に「そういうことじゃ……」なんて言っても、意味はない。
自分だとしても無意味だと、よく分かっている。
自分たちと彼女を分けたものは、はっきりしている。
深くなく、激しくなく、鮮やかでなく、誠実でさえもなかった。
凡庸で愚鈍なおかげで、どうにかやってこられただけだ。
この著者は努力をつくしたと思う。
読む前に「文章がうまい」という評を耳にしたが、
本当に、読み手のことを考え抜いた文章だ。
「才能の欠如」について書いていることでもわかる。
才能は本来、無自覚的なものだ。
才能の欠如を痛感するのは、努力を尽くしたからこそ。
どんなに努力を重ねても、それを軽々とを超えていく存在がたくさんいる。
厳しい現実を、ずいぶん目の当たりにしてきたのだろう。
それでも、かげろうのように伝えにくいことを、
できる限りそのまま伝えようとする、その努力と勇気には頭がさがる。
「いつ氷を踏み抜いてしまうか」
その恐怖を常に抱えていたという記述を目にして、背筋が冷たくなった。
誰もが川をこえていく。そう遠くはない、いつかの晴れた日に。
自分のことは、どうでもいいとは思う。思うのだが、
それでも折り合いをつけてきた暮らしが、
たとえ生きているのか死んでいるのかわからないような日々だったとしても、
それはそれで愛おしい。
生き恥だろうとなんだろうと、みっともなくしがみついたことを誇っている。
凡庸を認めるなら、皆と同じく、この本を前に、ただ黙して冥福を祈るべきだ。
それでも、どうしても口の中でそっとつぶやきたくなる。
「そういうことじゃないんだよ」と。
2020年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ある意味相当覚悟が居ることであるかと思う。浮足立っていると足許をすくわれますし…。東京は万華鏡のようで自分の願望を投影して正解ではないかもしれないけど何かしら答えてくれる街。此処ではないどこかへ誘ってくれる可能性がある場所。常に刷新続けて求めるものにとっては底なし沼であり東京砂漠であること。来る者も去る者も拒まない。感慨深く読ませて頂き、どことなく異彩を放っていてアンヴィバレントで悲哀を感じました。
特に地方在住者にとって東京は憧れの青い鳥の象徴でもある気がします。また詩情を感じさせてくれて、何でもあるけど何にも無いよといった心境です。夢も希望も破れ東京暮らしに疲れた方、地方出身者にオススメです。残るものといったら…。
特に地方在住者にとって東京は憧れの青い鳥の象徴でもある気がします。また詩情を感じさせてくれて、何でもあるけど何にも無いよといった心境です。夢も希望も破れ東京暮らしに疲れた方、地方出身者にオススメです。残るものといったら…。
2015年11月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東京に暮らすってそんなに素敵なことでしょうか。かつて暮らした事がありますが、こんな派手やかな、いかにも最先端の街暮らしというのではない生活が大部分ですよ。これを読んで、東京の生活に憧れる人も、幻滅してしまう人もいるだろうけど、大部分の東京人の生活はこのどちらでもない、平凡そのものですよ。それがわかっていて楽しむことができれば、と老婆心ながら。