この書評は、2005年12月18日に"kazu-n"として掲載したものです。
本書は、脳機能研究の最先端を行く主人公の中田力教授の医者として、そして研究者としての生き様を、「君たちはどう生きるか」という問いかけを通じて克明に記録した伝記である。人間の「こころ」の謎に迫るため、アメリカへ研修医として渡航し、そして様々な経験を積んでいく姿には感銘を受る。そして、ついには脳の働きを可視化する装置を開発し、医学、理学、工学の分野で長けた人材をひきつけ、「こころ」の謎の解明へと突き進んでいくのである。
語り部は、ロケット技術関係のジャーナリストして名を馳せている、中野不二男氏である。中野氏の視点は、その原点でもある著作「カウラの突撃ラッパ」(日本ノンフィクション賞受賞)でも見られるとおり、妥協を許さない理論と実証に基づく緻密な事実の再構築。そしてその裏にある人間の心理状態の描写の凄さにある。
COE、センターオブエクセレンス。中核的研究拠点として政府が特定分野の研究の後押しをしてくれる制度である。その制度は、ここオーストラリアでも実施されている。僕は、そのCOEの一つ、軽金属の研究プロジェクトのシニアリサーチフェロー(上級研究員)として来年から採用されることになった。主人公の中田教授の生き様は、(程度の差はあるが)海外で研究をしている僕にとって刺激的かつ示唆に富むものである。
なお、本書は、その出版直後に中野不二男氏から直接頂いた。中野氏のファンでもある僕にとって、これほど嬉しく、ありがたいことはないと、氏への感謝の気持ちでいっぱいである。
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脳視 ドクター・トムの挑戦 単行本 – 2005/11/1
中野 不二男
(著)
- 本の長さ316ページ
- 言語日本語
- 出版社大和書房
- 発売日2005/11/1
- ISBN-104479791396
- ISBN-13978-4479791393
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登録情報
- 出版社 : 大和書房 (2005/11/1)
- 発売日 : 2005/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 316ページ
- ISBN-10 : 4479791396
- ISBN-13 : 978-4479791393
- Amazon 売れ筋ランキング: - 194,094位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 11,773位歴史・地理 (本)
- - 40,169位ノンフィクション (本)
- - 54,987位文学・評論 (本)
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2007年12月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
モデルとなっている医師、中田先生の講演を家族が聴きに行ったことから、この本を手にとりました。同時代の日本にこんな凄い人がいるのか。一気に読ませる筆致です。
2006年8月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
300ページにも及ぶ本ですが、一気に読み終えてしまいました。中田さんの生き方に惹きつけられました。日本の研究者にもすごい人がいるんですねー。
家庭を顧みないハードワークでも、中田さんのお子さんはカルテクに入学しちゃう。ぼくはそこに父親のあり方を見ました。マイホームパパが必ずしも子どもにとっていいわけじゃない。それよりも父親の生き方を見せる。背中で教育するのが大切だと、中田さんの生き方を知って確信しました。
家庭を顧みないハードワークでも、中田さんのお子さんはカルテクに入学しちゃう。ぼくはそこに父親のあり方を見ました。マイホームパパが必ずしも子どもにとっていいわけじゃない。それよりも父親の生き方を見せる。背中で教育するのが大切だと、中田さんの生き方を知って確信しました。
2008年12月31日に日本でレビュー済み
fMRIの開発に取り組んだ臨床医であり脳機能研究の
世界的権威である中田力先生の伝記。ノンフィクション
であり、プロジェクトXのように淡々と事実が書かれて
いるが、とても引き込まれてしまう内容と展開です。
医療現場や医学制度そして医学知識までが、とても
分かりやすく書かれているために、読んでいるだけで
色々と勉強になります。
こんなにハードな生活や人生があってよいものか?
と思わず唸ってしまいましたが、読み終えた時には、
「いかに生きるか」を自分に問いかけることになる
こと間違い無しの作品です。
世界的権威である中田力先生の伝記。ノンフィクション
であり、プロジェクトXのように淡々と事実が書かれて
いるが、とても引き込まれてしまう内容と展開です。
医療現場や医学制度そして医学知識までが、とても
分かりやすく書かれているために、読んでいるだけで
色々と勉強になります。
こんなにハードな生活や人生があってよいものか?
と思わず唸ってしまいましたが、読み終えた時には、
「いかに生きるか」を自分に問いかけることになる
こと間違い無しの作品です。
2005年12月18日に日本でレビュー済み
本書は、脳機能研究の最先端を行く主人公の中田力教授の医者として、そして研究者としての生き様を、「君たちはどう生きるか」という問いかけを通じて克明に記録した伝記である。人間の「こころ」の謎に迫るため、アメリカへ研修医として渡航し、そして様々な経験を積んでいく姿には感銘を受る。そして、ついには脳の働きを可視化する装置を開発し、医学、理学、工学の分野で長けた人材をひきつけ、「こころ」の謎の解明へと突き進んでいくのである。
語り部は、ロケット技術関係のジャーナリストして名を馳せている、中野不二男氏である。中野氏の視点は、その原点でもある著作「カウラの突撃ラッパ」(日本ノンフィクション賞受賞)でも見られるとおり、妥協を許さない理論と実証に基づく緻密な事実の再構築。そしてその裏にある人間の心理状態の描写の凄さにある。
COE、センターオブエクセレンス。中核的研究拠点として政府が特定分野の研究の後押しをしてくれる制度である。その制度は、ここオーストラリアでも実施されている。僕は、そのCOEの一つ、軽金属の研究プロジェクトのシニアリサーチフェロー(上級研究員)として来年から採用されることになった。主人公の中田教授の生き様は、(程度の差はあるが)海外で研究をしている僕にとって刺激的かつ示唆に富むものである。
なお、本書は、その出版直後に中野不二男氏から直接頂いた。中野氏のファンでもある僕にとって、これほど嬉しく、ありがたいことはないと、氏への感謝の気持ちでいっぱいである。
語り部は、ロケット技術関係のジャーナリストして名を馳せている、中野不二男氏である。中野氏の視点は、その原点でもある著作「カウラの突撃ラッパ」(日本ノンフィクション賞受賞)でも見られるとおり、妥協を許さない理論と実証に基づく緻密な事実の再構築。そしてその裏にある人間の心理状態の描写の凄さにある。
COE、センターオブエクセレンス。中核的研究拠点として政府が特定分野の研究の後押しをしてくれる制度である。その制度は、ここオーストラリアでも実施されている。僕は、そのCOEの一つ、軽金属の研究プロジェクトのシニアリサーチフェロー(上級研究員)として来年から採用されることになった。主人公の中田教授の生き様は、(程度の差はあるが)海外で研究をしている僕にとって刺激的かつ示唆に富むものである。
なお、本書は、その出版直後に中野不二男氏から直接頂いた。中野氏のファンでもある僕にとって、これほど嬉しく、ありがたいことはないと、氏への感謝の気持ちでいっぱいである。