デ・ラ・メアの作品は詩と散文を何作か邦訳で読みましたが、この「妖精詩集」の荒俣氏の訳はとてもいいと思いました。日本語が硬くなく、よくこなれていると感じますし、丁寧に選ばれたその柔らかく無邪気な言葉が、妖精の国に相応しい軽妙さや、美しくミステリアスな幻想感を作り出していると思います。イギリス文学や、お伽話、ドワーフやゴブリン等の妖精が好きな人なら読んで損はない詩集です。挿絵も、子どもの中には怖がる子もいるかもしれませんが、雰囲気によく合っているのではないでしょうか。
この本を読んだ後で別の訳者さんのデ・ラ・メア作品を読んだところ、同じ詩がいくつか載っていたのですが、荒俣さんの時のようには月の光も妖精の羽の燐粉も見えてこず、「訳が違うとこんなにも印象が違ってしまうものなのか!」と驚きました。翻訳はひとつの創作作業であり芸術であると言われますが、その難しさの一端を改めて垣間見た気がします。なお、私は多少英語圏の文学を原文で読みますがあくまで素人のレベルですし、翻訳については全く門外漢です。ですので、あくまで素人の個人的な感触であることをお断りしておきます。
それにしても、原詩に当たることの意味の大きさをつくづく考えさせられます。ガチガチの学術英語ではないとは言え、散文とは文の並びも違い、しかも方言をよく使うらしい厄介なデ・ラ・メアですが、何とか少しずつでも原詩をチェックしていきたいものです。
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妖精詩集 (ちくま文庫 て 1-1) 文庫 – 1988/5/1
- 本の長さ302ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日1988/5/1
- 寸法10.5 x 2 x 14.8 cm
- ISBN-104480022317
- ISBN-13978-4480022318
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (1988/5/1)
- 発売日 : 1988/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 302ページ
- ISBN-10 : 4480022317
- ISBN-13 : 978-4480022318
- 寸法 : 10.5 x 2 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 115,356位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 200位外国詩
- - 243位戯曲・シナリオ (本)
- - 491位ちくま文庫
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2007年8月24日に日本でレビュー済み
「幼な心の詩人」と評される、英国の詩人、幻想小説家ウォルター・デ・ラ・メアの詩に、ドロシー・P・ラスロップの愛らしい絵が添えられた、文庫としては贅沢な一冊。 原本は、Down-Adown-Derry (Constable Co.Ltd.,London,1922)。
デ・ラ・メアの作風は、「夢の中に暮らす幼年期の感性」と、あとがきで荒俣氏も述べているとおり、じつに夢幻味あふれるもの。 妖精を題材にした詩の数々は、昔話のような味わいもあり、読んでいるうちに、夢と現の境界が曖昧になる感覚が味わえるのが魅力。
おそらくは日本人が知っていると思っている妖精像とはまるきり違う、ほんとうにほんものの、英国の妖精たちは、月夜や黄昏、闇の帳の向こう側に住む、妖しく魔的な、だからこそ魅力的な存在。耳もとに、月光のようにあえかな、妖精たちの笑い声が聞こえたかと思うと、そのまま、あちら側の世界へ連れ去されてしまいそうな…。
月光の下、妖精の輪(フェアリー・リング)に誘われ、踏み迷ってみたい方は、ぜひ一度お手にとってみてください。
デ・ラ・メアの作風は、「夢の中に暮らす幼年期の感性」と、あとがきで荒俣氏も述べているとおり、じつに夢幻味あふれるもの。 妖精を題材にした詩の数々は、昔話のような味わいもあり、読んでいるうちに、夢と現の境界が曖昧になる感覚が味わえるのが魅力。
おそらくは日本人が知っていると思っている妖精像とはまるきり違う、ほんとうにほんものの、英国の妖精たちは、月夜や黄昏、闇の帳の向こう側に住む、妖しく魔的な、だからこそ魅力的な存在。耳もとに、月光のようにあえかな、妖精たちの笑い声が聞こえたかと思うと、そのまま、あちら側の世界へ連れ去されてしまいそうな…。
月光の下、妖精の輪(フェアリー・リング)に誘われ、踏み迷ってみたい方は、ぜひ一度お手にとってみてください。
2008年12月31日に日本でレビュー済み
子供から大人まで楽しめる童話的な詩というべきでしょうか?
夢幻をたゆたう平野にささやきかけるあえかな月明かりの美しさを感じさせる不思議な読後感。
また、随所に盛り込まれた挿絵が幻想イメージをより鮮明にしてくれます。
満足の一冊。
夢幻をたゆたう平野にささやきかけるあえかな月明かりの美しさを感じさせる不思議な読後感。
また、随所に盛り込まれた挿絵が幻想イメージをより鮮明にしてくれます。
満足の一冊。