ヒトラーの若き日から最後の日までを、漫画で淡々と描く本。
偏見や主観、大げさな部分がほとんどなく歴史の教材としても十分に使えるのではないかなと思う。
漫画として面白いかと言われるとなんとも言えないのだが、改めてヨーロッパの歴史を学ぶという意味では良かった。
小学生でも十分理解できると思うが、世界史に関する知識を持った高校生、大学生くらいが読むとより楽しめると思う。
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劇画ヒットラー (ちくま文庫) 文庫 – 1990/7/30
水木 しげる
(著)
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購入オプションとあわせ買い
巨匠・水木のマンガで読めるヒットラー56年の生涯
今も、これからも、永久に読み継がれるべき、最強のヒットラー入門書
画家への夢が破れた、ハニカミヤで誇大妄想狂の青年は、働く気力をなくし、浮浪者収容所で日々を送っていた。はた目には人生の落伍者にみえた青年アドルフ・ヒットラーが、ドイツ民衆を熱狂させ世界制覇の野望にもえる独裁者となったのはなぜなのか、いったいヒットラーとはどんな人間だったのか。骨太な筆致で描く伝記漫画。
今も、これからも、永久に読み継がれるべき、最強のヒットラー入門書
画家への夢が破れた、ハニカミヤで誇大妄想狂の青年は、働く気力をなくし、浮浪者収容所で日々を送っていた。はた目には人生の落伍者にみえた青年アドルフ・ヒットラーが、ドイツ民衆を熱狂させ世界制覇の野望にもえる独裁者となったのはなぜなのか、いったいヒットラーとはどんな人間だったのか。骨太な筆致で描く伝記漫画。
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日1990/7/30
- 寸法14.8 x 10.6 x 1.4 cm
- ISBN-104480024492
- ISBN-13978-4480024497
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商品の説明
著者について
1922年生まれ。鳥取県境港市出身。マンガ家であり、妖怪研究家でもある。戦時中、ラバウルで爆撃を受け、左腕を失う。戦後、魚屋、リンタク屋、アパート経営などを経て紙芝居を描きはじめ、のちに貸本マンガに転じる。1965年『テレビくん』で講談社児童まんが賞を受賞。代表作に、『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』『河童の三平』などがある。1991年紫綬褒章、2003年旭日小綬章受章、2010年文化功労者。2015年没。
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (1990/7/30)
- 発売日 : 1990/7/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4480024492
- ISBN-13 : 978-4480024497
- 寸法 : 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 13,037位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1922年、鳥取県生まれ。漫画「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」など著書多数。1991年、紫綬褒章受章。妖怪と精霊を求めて全世界を旅する。1996年 に郷里の境港市に「水木しげるロード」を設立し、「世界妖怪協会」の会長に就任、「世界妖怪会議」を開催する。2003年、旭日小綬章受章(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『姑娘』(ISBN-10:406276735X)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年5月27日に日本でレビュー済み
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2022年11月22日に日本でレビュー済み
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水木しげるさんが、本書を書くにあたり、たくさんの資料を読んでいるでしょう。最終ページに参考文献が載っています。それをもとに水木しげるさん独特のタッチでマンガになっています。
2023年5月7日に日本でレビュー済み
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ヒトラーをほぼ理解できたと思う
2023年3月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小中学生の頃?読んだ。
アンネの後に。
人間を等身大で描いた、
良いも悪いも脇に置いて
考えさせられた本だった。
数十年後に改めて読みたく。
先生ありがとう
アンネの後に。
人間を等身大で描いた、
良いも悪いも脇に置いて
考えさせられた本だった。
数十年後に改めて読みたく。
先生ありがとう
2020年5月5日に日本でレビュー済み
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2019年に刊行された『後藤修一遺稿集「漫画の手帖」編 我がオタク人生に悔いなし』によると。
『漫画サンデー』への連載時に、当時、高校三年生のヒットラー・マニアの後藤氏が原案を担当していて。のちの講談社版の刊行本には、原案者として後藤氏のクレジットがあったとのこと。
ほぼ後藤氏の原案のとおりの「史実にそった、間違いがない」漫画化ということで。ヒットラーが政権をとるまでの過程が、異様な熱意で、微細に描かれていて。どうも、水木イズムが、あまり感じられない。
なお、このマンガにホロコーストのことがまったくでてこないのは、原案者の後藤さんが興味が薄かったんだろうなあ。
この、ちくま文庫版などの版では、原案者としての後藤氏のクレジットが消えていて。彼はそのことを怒っていたとのこと。
『漫画サンデー』への連載時に、当時、高校三年生のヒットラー・マニアの後藤氏が原案を担当していて。のちの講談社版の刊行本には、原案者として後藤氏のクレジットがあったとのこと。
ほぼ後藤氏の原案のとおりの「史実にそった、間違いがない」漫画化ということで。ヒットラーが政権をとるまでの過程が、異様な熱意で、微細に描かれていて。どうも、水木イズムが、あまり感じられない。
なお、このマンガにホロコーストのことがまったくでてこないのは、原案者の後藤さんが興味が薄かったんだろうなあ。
この、ちくま文庫版などの版では、原案者としての後藤氏のクレジットが消えていて。彼はそのことを怒っていたとのこと。
2022年1月15日に日本でレビュー済み
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ヒトラーについては、いろんな人が意見を持っていると思いますが、
戦争を経験した、水木しげる氏にとってヒトラーはどのように映っているのか
とてもわかりやすく描写されています。
同じ漫画シリーズの近藤勇も面白いです。
戦争を経験した、水木しげる氏にとってヒトラーはどのように映っているのか
とてもわかりやすく描写されています。
同じ漫画シリーズの近藤勇も面白いです。
2021年11月10日に日本でレビュー済み
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劇画ではあるが、ゲゲゲ描きで、テンポよく書かれている。
短編ごとに連載したいた状態で読みやすい。
史実とは不明な点も多いが、一気に読める、水木ワールドの作品。
短編ごとに連載したいた状態で読みやすい。
史実とは不明な点も多いが、一気に読める、水木ワールドの作品。
2016年3月8日に日本でレビュー済み
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漫画家・水木しげる氏は「ゲゲゲの鬼太郎」、「悪魔くん」といった、誰でも知っている数々の妖怪・悪魔漫画を描いたことで知られているが、
戦記・伝記漫画を描かせても、滅法巧い。
伝記漫画では、「劇画 近藤勇」及び本作品が、筆者の「お気に入り」であり、何度となく読んでいる。
アドルフ・ヒトラーは、20世紀が生んだ最大の「魔人」のひとりである、という意味においては、妖怪漫画と言えなくもない。
オーストリア・ウィーンで芸術的画家を目指し、美術学校を受験するも2回連続で不合格。
母親が残してくれた僅かばかりの遺産を食いつぶしながら、下宿を転々と替え、遂に最下等の下宿の代金が払えず、公園のベンチで寝起きする浮浪者と化す。
なれど、ヒトラーは一向に働こうとせず、働いたとしても長続きしなかった。
ウィーンの冬は寒く、公園のベンチ暮らしに耐えられなくなったヒトラーは国立浮浪者収容所に身を寄せる。
ヒトラーは孤児恩給の支給があったため、取りあえず1日3度のパンにはありつけたが、相変わらず働こうとしないばかりか、
オーストリア政府の再三の徴兵検査の受検要請をも無視したため、ドイツ・ミュンヘンで官憲に捕らえられ、ようやく徴兵検査を受けるものの、栄養失調により不合格。
ヒトラーに言わせると、オーストリアの徴兵検査を忌避し続けた理由は、
ハプスブルグ王朝(オーストリア、ハンガリー)の一兵卒になるなど真っ平御免で、祖国ドイツのためなら、喜んで一兵卒となる、というのである。
ヒトラーの言葉に偽りはなかった。
第一次大戦が勃発し、ドイツが宣戦布告するや否や、ヒトラーは、志願兵として兵隊の訓練を三か月受けたのち、出征し、6年間軍人として過ごした。
「軍人」を職業と呼ぶとするなら、ヒトラーは、ようやく「天職」を見い出したと言える。
第一次大戦で英国が使用した毒ガスにより、一時的に視力を失ったヒトラーは、ドイツ敗戦の知らせを、病院で聞いた。
ヒトラーは涙を流しながら、政治家となり、祖国ドイツに、その身を捧げる決意を固めるのであった…。
水木氏は、本作品を描くに当たって、30を越える文献を参照されている。
本作品が発表されたのが1971年で、映画「ヒトラー 最期の12日間」(2004年)を視聴すると、本作品の描写の精密性・正確性に驚かされる。
ヒトラーがワーグナーを好んで聴いていたという話は聞いていたが、
彼がワーグナーの曲を全て暗記し、彼が機嫌がいいときは、口笛でワーグナーの曲を吹いてみせたという逸話は、全く知らなかった。
また、ヒトラーが溺愛していた姪が自害し、その衝撃から、彼は肉食を断ち、菜食主義者となった逸話も初耳である。
本を読む愉しみのひとつが、自分が如何に物を知らないかを知る機会を与えてくれることであると痛感させられる。
ヒトラーが泡沫政党「ドイツ労働者党」の7番目の委員となってから、
首相となり、大統領となり、遂には総統に至るまでの道程は、決して平坦なものではなく、
一揆、逮捕、投獄、粛清、そして何よりも彼の周りには常に「貧困」がつきまとっている。
水木氏による突撃隊(S.A)の構成員の解説が秀逸で、その一部を要約しながら披露すると、
「父親を第一次大戦で失い、母子家庭で育ち、やっと一人前になる頃には、世界恐慌による就職難が待ち構えていて、
生きる希望を失い、同じように世の中を恨んでいる仲間を突撃隊の構成員に見い出した人が多かった。」
というのである。
作家の小池一夫氏が、いみじくも、こう「呟かれて」いる。
「「自分が苦しいから、他人も苦しくあれ」という発想は「通り魔」の発想である。」と。
突撃隊の「本質」に迫る発言であると思う。
第一次大戦で敗戦国となったドイツに対し、連合国によって課せられた賠償金は、実に1,300億マルク。
その上、世界恐慌が覆いかぶさってきたから堪らない。
パン屋のショーウインドーには「パン一斤 一兆マルク」と貼り紙されている。
大阪のおばちゃんもビックリである。
なぜヒトラーの独裁政権が民主主義の決まりを守りながら成立し得たのか?
今まで誰彼なく、何度となく、発せられた疑問である。
本書では、その問いに対して、極めて控え目ながら、こう答えている。
「「全権委任法」が、多数決によって可決成立したから。」と。
全権委任法は、当時のワイマール憲法よりも法的拘束力が強く、内閣があらゆる法律を国会の採決なしに制定できるという、
前代未聞の法律であり、この法律によって国会は形骸化し、議会制民主主義が雲散霧消し、ナチス以外の政党もまた、消滅させられてしまったのだ。
本書の冒頭で、名もなきドイツの若者と、その父親との会話が思い起こされる。
(前略)父親「わしはこんなドイツを望んでいるわけではなかった。」
「だが、だれもうらむわけにはゆくまい。」
「あの男を生み出したのは、われわれドイツ人なんだ。」
息子「ただわからないのは、なぜあなた方が、むざむざとやつらが法を踏みにじるのを放置したかです。」
「あのいとも奇怪な法律というものが、あなたの財産を守る唯一の保障だということを知らなかったわけじゃないでしょう。」
(中略)父親「もうよせ、いまのお前には、もうなにもできないのだ。」
息子「ところがそうはいかない。なにもしないということが、もうすでに意味を持っているのだ。」
「ぼくたちは生きている限り、やつの虐殺の共犯者なのだから…。」
知っているのに知らぬふり、見えているのに見えぬふり、
そうして流されるままに無為無策に生きてきた結果が、ヒトラーを生んだ、という水木氏の「断罪」を逃れ得るものなど存在するのだろうか。
戦記・伝記漫画を描かせても、滅法巧い。
伝記漫画では、「劇画 近藤勇」及び本作品が、筆者の「お気に入り」であり、何度となく読んでいる。
アドルフ・ヒトラーは、20世紀が生んだ最大の「魔人」のひとりである、という意味においては、妖怪漫画と言えなくもない。
オーストリア・ウィーンで芸術的画家を目指し、美術学校を受験するも2回連続で不合格。
母親が残してくれた僅かばかりの遺産を食いつぶしながら、下宿を転々と替え、遂に最下等の下宿の代金が払えず、公園のベンチで寝起きする浮浪者と化す。
なれど、ヒトラーは一向に働こうとせず、働いたとしても長続きしなかった。
ウィーンの冬は寒く、公園のベンチ暮らしに耐えられなくなったヒトラーは国立浮浪者収容所に身を寄せる。
ヒトラーは孤児恩給の支給があったため、取りあえず1日3度のパンにはありつけたが、相変わらず働こうとしないばかりか、
オーストリア政府の再三の徴兵検査の受検要請をも無視したため、ドイツ・ミュンヘンで官憲に捕らえられ、ようやく徴兵検査を受けるものの、栄養失調により不合格。
ヒトラーに言わせると、オーストリアの徴兵検査を忌避し続けた理由は、
ハプスブルグ王朝(オーストリア、ハンガリー)の一兵卒になるなど真っ平御免で、祖国ドイツのためなら、喜んで一兵卒となる、というのである。
ヒトラーの言葉に偽りはなかった。
第一次大戦が勃発し、ドイツが宣戦布告するや否や、ヒトラーは、志願兵として兵隊の訓練を三か月受けたのち、出征し、6年間軍人として過ごした。
「軍人」を職業と呼ぶとするなら、ヒトラーは、ようやく「天職」を見い出したと言える。
第一次大戦で英国が使用した毒ガスにより、一時的に視力を失ったヒトラーは、ドイツ敗戦の知らせを、病院で聞いた。
ヒトラーは涙を流しながら、政治家となり、祖国ドイツに、その身を捧げる決意を固めるのであった…。
水木氏は、本作品を描くに当たって、30を越える文献を参照されている。
本作品が発表されたのが1971年で、映画「ヒトラー 最期の12日間」(2004年)を視聴すると、本作品の描写の精密性・正確性に驚かされる。
ヒトラーがワーグナーを好んで聴いていたという話は聞いていたが、
彼がワーグナーの曲を全て暗記し、彼が機嫌がいいときは、口笛でワーグナーの曲を吹いてみせたという逸話は、全く知らなかった。
また、ヒトラーが溺愛していた姪が自害し、その衝撃から、彼は肉食を断ち、菜食主義者となった逸話も初耳である。
本を読む愉しみのひとつが、自分が如何に物を知らないかを知る機会を与えてくれることであると痛感させられる。
ヒトラーが泡沫政党「ドイツ労働者党」の7番目の委員となってから、
首相となり、大統領となり、遂には総統に至るまでの道程は、決して平坦なものではなく、
一揆、逮捕、投獄、粛清、そして何よりも彼の周りには常に「貧困」がつきまとっている。
水木氏による突撃隊(S.A)の構成員の解説が秀逸で、その一部を要約しながら披露すると、
「父親を第一次大戦で失い、母子家庭で育ち、やっと一人前になる頃には、世界恐慌による就職難が待ち構えていて、
生きる希望を失い、同じように世の中を恨んでいる仲間を突撃隊の構成員に見い出した人が多かった。」
というのである。
作家の小池一夫氏が、いみじくも、こう「呟かれて」いる。
「「自分が苦しいから、他人も苦しくあれ」という発想は「通り魔」の発想である。」と。
突撃隊の「本質」に迫る発言であると思う。
第一次大戦で敗戦国となったドイツに対し、連合国によって課せられた賠償金は、実に1,300億マルク。
その上、世界恐慌が覆いかぶさってきたから堪らない。
パン屋のショーウインドーには「パン一斤 一兆マルク」と貼り紙されている。
大阪のおばちゃんもビックリである。
なぜヒトラーの独裁政権が民主主義の決まりを守りながら成立し得たのか?
今まで誰彼なく、何度となく、発せられた疑問である。
本書では、その問いに対して、極めて控え目ながら、こう答えている。
「「全権委任法」が、多数決によって可決成立したから。」と。
全権委任法は、当時のワイマール憲法よりも法的拘束力が強く、内閣があらゆる法律を国会の採決なしに制定できるという、
前代未聞の法律であり、この法律によって国会は形骸化し、議会制民主主義が雲散霧消し、ナチス以外の政党もまた、消滅させられてしまったのだ。
本書の冒頭で、名もなきドイツの若者と、その父親との会話が思い起こされる。
(前略)父親「わしはこんなドイツを望んでいるわけではなかった。」
「だが、だれもうらむわけにはゆくまい。」
「あの男を生み出したのは、われわれドイツ人なんだ。」
息子「ただわからないのは、なぜあなた方が、むざむざとやつらが法を踏みにじるのを放置したかです。」
「あのいとも奇怪な法律というものが、あなたの財産を守る唯一の保障だということを知らなかったわけじゃないでしょう。」
(中略)父親「もうよせ、いまのお前には、もうなにもできないのだ。」
息子「ところがそうはいかない。なにもしないということが、もうすでに意味を持っているのだ。」
「ぼくたちは生きている限り、やつの虐殺の共犯者なのだから…。」
知っているのに知らぬふり、見えているのに見えぬふり、
そうして流されるままに無為無策に生きてきた結果が、ヒトラーを生んだ、という水木氏の「断罪」を逃れ得るものなど存在するのだろうか。