寺島町奇譚の陰であまり知名度は高くありませんが、滝田ゆうの隠れた名作のひとつ。昭和46年〜54年まで小説現代に連載されていました。
閑話(つれづればなし)なので、特に決まったテーマはないのですが、基本的には酒にまつわる話がほとんどというところです。
上巻の方は、まだ落ち着きがあり、抒情的な名品(第1話の「きつねあざみ」とか)が多いのですが、下巻では「飲み方が荒れて(下巻の嵐山光三郎氏の解説)」、刹那的かつ自堕落な飲み方を延々と見せつけられることになり、「寺島町」のように広く世間に受け入れられるものにはならなかったようです。
しかし、これもまた滝田ゆうにとっての抒情なのでしょう。
なお、滝田ゆうを下町に住んでいると思っている方が多いようですが、下町は子供時代だけで、結婚後は目黒、そして亡くなるまで国立に長く住んでいました。多分、下町の濃厚な人間関係のもとでは「寺島町奇譚」やこの「泥鰌庵閑話」は書けなかった気がするので、余計なことですが追記します。
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泥鰌庵閑話 上 (ちくま文庫 た 11-4) 文庫 – 1995/7/1
滝田 ゆう
(著)
- 本の長さ455ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日1995/7/1
- ISBN-10448003076X
- ISBN-13978-4480030764
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (1995/7/1)
- 発売日 : 1995/7/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 455ページ
- ISBN-10 : 448003076X
- ISBN-13 : 978-4480030764
- Amazon 売れ筋ランキング: - 510,535位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2011年4月3日に日本でレビュー済み
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2024年1月27日に日本でレビュー済み
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寺島町奇談に引き続きダウンロードしました、寺島町の方は著者の子供も頃の日常、遊び、こちらは著者の日記のような位置付けでしょうか、滝田さんは大衆酒場で何時もお酒を楽しく飲んでいるようです。著者の絵、色っぽい女性のタッチ、緩めのストーリーが好きで寝る前に、2~3話読んで安眠に導かれています。酒場以外の話が少ないので☆4つにしました。
2011年8月28日に日本でレビュー済み
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滝田ゆうのコマ割りの作品(漫画)はほとんど読みましたが、この作品がいちばん好きですね。つと手をのばして、また読み返したくなる。私小説ならぬ「私漫画」だそうですがいい得て妙です。「寺島町」や「名作劇場」、「落語」なんかもよくできていると思います(「怨歌劇場」はちと重かったなァ)。全てお勧めですが、やはり作家自身のリアルな日常と心象風景がいちばん濃厚であると思われるこの作品が、いちばん面白い。私小説のようなタイプの作品だとどうしても重くなりそうだけれど、これはまったく重くない。というか、軽い! 重い話でも重くさせない、作者の資質でしょうか。この、ほろ酔い気分のような心地のいい空気感のために、また戻ってきたくなる。つげ義春なんかだとちょっと敬遠したくなるときありますもんね。 一話完結の読みきり作品が、上下巻合わせて107話とちょっと長いのが一篇。一つの話が8ページのなかに収められているから、ちょっとつまみ読みするにはちょうど良い。 呑み屋で酒を飲む話が多く、そんな無茶苦茶な飲み方をしていて大丈夫なの?と心配になるようなシーンが多いと思っていたら、後に作者はやはり身体を悪くして(半身不随になり)禁酒を余儀なくされたようです。そして、六十手前で肝不全のため逝ってしまいました。三晩も居酒屋をハシゴするような破天荒な生きざまはちょっと憧れますが、死や病気を覚悟しないとそういう飲み方はできないなァと思いました。むぐぅ‥。
2008年8月27日に日本でレビュー済み
東京下町に住む漫画家の日常。閑話を「つれづればなし」と読む。『徒然草』のように飄々(ひょうひょう)として、昭和の庶民の生活がなつかしい。何度も読み返して、意味が分った時の爽快感と、ひそかに爆笑したくなる気分は格別。今は古書しかないようだが、ぜひ新刊本を出してもらいたい。といっても、今の日本語軽視の風潮の中では、かなり難しいか。