「オマエはんの浄瑠璃には五色の色がおます」
「なんやその、五色の色ちゅうのは？？」
「いや、素人のくせに玄人みたいな顔してやな、
ほいで赤い顔で、黄色い声だして、
客からやめとけ言われて青うなるッ」
●『
猫の忠信
』より
「ほーうッ、おまえもまたえらい茶人やな」
●『
仔猫
』より
「おい、三体の仏さんが四体になった」
「いったいどういうわけや？」
「……なにを言うとるねんッ」
●『
狸の化寺
』より
「賽をそない転がしないな。かわいそうな」
「……な、何がかわいそうな？？」
「い、い、いや。目が回る」
「なんやて？？」
「いや、目が変わる」
●『
狸の賽
』より
「観音さん……、観公、かんテキッ
こんな大きな屋台骨ェ背負うてて、
わしの眼ひとつ、よう開けんのかい？？」
●『
景清
』より
「ウワバミに呑まれるときは医者と一緒に限る」
●『
夏の医者
』より
「ニワトリがしきりに
コケコッコーと時をつくってるのを、
春先、耳の遠いヒトが縁側でじっと見てて、
“日が長いさかいなア、
ニワトリもあくびばっかりしとるがな”」
●『
べかこ
』より
「エエ銭ィ儲け思いついた。
十円札を九円で仕入れてきて
十一円に売ったら儲かりまっしゃろ？？」
●『
天狗さし
』より
「正直ほど結構なモノはないぞ。
なあ、亭主が外の車を回し、
嫁はんがうちの車を回す、
夫婦は車の両輪のごとし、心棒がカネじゃ、
幸せがくるまでガンバレ」
●『
稲荷俥
』より
「番頭はんアンタ
ぎょうさんお金もってはりまんのやな」
「まあオマエも今にわかる、
こらみな筆の先から出るんや」
「……エエ筆もってはりますわ番頭はんッ」
●『
足上がり
』より
『紀州飛脚』『ぬの字鼠』
『怪談市川堤』『五光』計14席
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