（33ページにて帝政時代のロシア人をこう評している）
ロシア人は本質的に、厳格な法とか規律、あるいは規則といったものは彼らの自由を拘束し、いやな労働に鞭打って駆り立てるための支配者の策略だと思っている。したがって、彼らは自己の利己的な利益のために、可能なところでは何処でも法とか規則などといったものは、ごまかし、要領よく潜り抜けて生きるのが当然の生活の智慧と心得ている。したがって、律儀に法や規則を守るのは、要領の悪いバカということになる。この意味では、彼らは本質的に無政府主義者なのだ。しかし、自分たちの自由奔放な無政府主義の結果となるカオスと無秩序にもウンザリし、逆に上からの強力な統制を求めるのである。つまり、社会的な利害やルールを無視して個人の利害のみで突っ走ってしまい、その結果の無秩序やカオスに自ら閉口し、規律と秩序を与えてくれる強いリーダーを求めるのだ。
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