敵、つまり環境問題を知ることは重要なのですが、それだけでは解決不可能。
環境問題が人間によって生じているならば、人間の本質とは何ぞや、を知らなければ解決できない、という考え方がベースにあります。この考え方には全くの賛成です。
では、人間の本質に迫るにはどうアプローチすべきか? 社会学や経済学、心理学、哲学などが考えられますが、本書では生物学、動物行動学の視点からアプローチしています。上であげた学問の中では一番科学的であり、より冷酷に、より色眼鏡なしで人間の本質に迫れると思います。
環境問題や環境倫理学の事例を引き合いに出して、そこを出発点にして、生物学、動物行動学の理論を展開していきます。
そこから見えてくるのは、人間の生物学的「限界」であり、この限界が描いた輪郭を越えた環境問題対策は、どうあがいても実現できないということ。それは裏を返せば、この輪郭線の内側で行う環境問題対策は、実現可能ということであり、そこに「本物の希望」があるということ。
上記のような問題意識はなくても、大変面白く生物学的な人間の本質、というものを学べます。生物学と言うよりは、動物行動学というのでしょうか?面白い学問ですね。
最後に、他のレビュアさんの共通意見として、本書は環境問題の本ではないと簡単にいってしまっているのが気にかかります。そこから感じるのは環境問題を解決しようとする意思の不在です。
環境問題を本気で考えている、生産指向のヒトにこそ、読んでほしい本です。
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ヒトは環境を壊す動物である (ちくま新書) 新書 – 2004/1/10
小田 亮
(著)
- 本の長さ206ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2004/1/10
- ISBN-104480061525
- ISBN-13978-4480061522
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2004/1/10)
- 発売日 : 2004/1/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 206ページ
- ISBN-10 : 4480061525
- ISBN-13 : 978-4480061522
- Amazon 売れ筋ランキング: - 972,675位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 770位環境問題
- - 1,681位都市開発・都市問題 (本)
- - 2,408位ちくま新書
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2013年10月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2004年4月10日に日本でレビュー済み
(以下、袖より引用)
>エアコンを使えば温暖化を招く。洗剤を使えば河川の富栄養化が起こる。
>肉食はエネルギー的にムダの多い贅沢だ。わかっちゃいるけど、やめられない。
なぜ「わかっちゃいるけど、やめられない」のか。
それは、進化の過程で環境への適応というのは常に場当たり的であり、目の前の
問題を重要視するもので、ヒトという生き物がせいぜい150人程度のことしか具体的に
考えられないものだからではないか。
そういう、生物学から見た環境問題の本‥
じゃなくて(笑)、「環境問題に名を借りた」人間行動心理学の本です。
この著者は環境問題を考えるにあたって人間の生物としての生理を理解しておいた方が
いい、という理念に基づいてこの文章を書いています。環境問題そのものは
ほとんど議論されていません。
なので興味の対象が環境だけの方は、この本には肩すかしを食ってしまうのでは。
ですが、動物行動学や認知科学の書としては大変上質の良書です。
環境系の本を探している方でも、読みやすいですし、一読の価値はありますよ。
>エアコンを使えば温暖化を招く。洗剤を使えば河川の富栄養化が起こる。
>肉食はエネルギー的にムダの多い贅沢だ。わかっちゃいるけど、やめられない。
なぜ「わかっちゃいるけど、やめられない」のか。
それは、進化の過程で環境への適応というのは常に場当たり的であり、目の前の
問題を重要視するもので、ヒトという生き物がせいぜい150人程度のことしか具体的に
考えられないものだからではないか。
そういう、生物学から見た環境問題の本‥
じゃなくて(笑)、「環境問題に名を借りた」人間行動心理学の本です。
この著者は環境問題を考えるにあたって人間の生物としての生理を理解しておいた方が
いい、という理念に基づいてこの文章を書いています。環境問題そのものは
ほとんど議論されていません。
なので興味の対象が環境だけの方は、この本には肩すかしを食ってしまうのでは。
ですが、動物行動学や認知科学の書としては大変上質の良書です。
環境系の本を探している方でも、読みやすいですし、一読の価値はありますよ。
2016年9月29日に日本でレビュー済み
先ず、ヒトが環境を壊す動物であることの科学的論拠が殆ど何も書かれていない。短い本の最初の方にホモ・ハビルスなど霊長類の進化の歴史について書かれており、次に共有地の悲劇や囚人のジレンマなど社会集団の一般的なことが書かれており、最後の方に公共財についてどう考えるかの著者個人の随想的なことが書かれている。そしてそれらの間に殆ど脈絡が無い。単なる言いっ放し。人が環境を壊すのか、鳥は環境を壊さないのか、虫は環境を壊さないのか、何も具体的なことは分らない。著者自身の知っていることを単に羅列しただけの駄作になっている。読んで損をした一冊。
2007年4月21日に日本でレビュー済み
タイトルはなかなか刺激的で、読んでいて近くの友人が二人ぐらい目を止めた。
でも中身は環境問題ではない。
「わかっちゃいるけどやめられない」「みんながやればいいんだけど、自分だけがやってバカを見たくない」という心理が悪化させていく問題を扱っている。
「社会的ジレンマ」と似たような本。
でも中身は環境問題ではない。
「わかっちゃいるけどやめられない」「みんながやればいいんだけど、自分だけがやってバカを見たくない」という心理が悪化させていく問題を扱っている。
「社会的ジレンマ」と似たような本。
2004年3月7日に日本でレビュー済み
朝日新聞の最相葉月氏の書評を読んで買いました。
というのも、書店でこの題名を見た時はタダの環境本と思っていたのが、
どうも人類進化系の本だというのが分かったからです。
買って正解でした。
現在の人類社会が、進化の産物であるホモサピエンスの生物学的特性に
合わなくなっているのではないかと言う疑問に、見事に答えてくれます。
二足歩行などの、ヒトの解剖学的特徴を進化論的に説明する書物は多いですが、
本書ではヒトの心理・行動を進化の産物として明らかにしてくれます。
ハッキリ言って、環境を壊す云々は最後の付け足しみたいなものです。
著者は大学で環境系の講座を受け持っているようで、
そのためにこのようなタイトルになっていますが、
もともとはサル学者で、その方面からの分析は絶品です。
題名で-1点ですが中身は5点満点です
というのも、書店でこの題名を見た時はタダの環境本と思っていたのが、
どうも人類進化系の本だというのが分かったからです。
買って正解でした。
現在の人類社会が、進化の産物であるホモサピエンスの生物学的特性に
合わなくなっているのではないかと言う疑問に、見事に答えてくれます。
二足歩行などの、ヒトの解剖学的特徴を進化論的に説明する書物は多いですが、
本書ではヒトの心理・行動を進化の産物として明らかにしてくれます。
ハッキリ言って、環境を壊す云々は最後の付け足しみたいなものです。
著者は大学で環境系の講座を受け持っているようで、
そのためにこのようなタイトルになっていますが、
もともとはサル学者で、その方面からの分析は絶品です。
題名で-1点ですが中身は5点満点です