収斂型ナショナリズムと拡散型ナショナリズムを定義し、文庫版ではナショナリズムの現状と小林よしのりの『沖縄論』によって新たにひらかれたナショナリズムの進化の可能性が論点として提示されています。
それを的確に説明できる能力が残念ながら私にありませんので、ぜひ買って読まれることをおすすめします。著者の膨大な知識の一端に触れることで、読者は自分自身のナショナリズムの姿を初めて目にすることができるようになるでしょう。
国家の舵取りを担っている外務官僚のようなエリートだけでなく、市井の人間である私たちがいつか国家の物語を語り合えるようになれたらいいと思います。
「「鉄道唱歌」暗唱に熱中していた中学生時代、好きで丸刈り頭だった私は、いつも「会いにゆける著述家」として、皆さんを待っていたい」(文庫版あとがき―戦死者のいる未来のために)
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ナショナリズム: 名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書 473) 新書 – 2004/5/1
浅羽 通明
(著)
- 本の長さ301ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2004/5/1
- ISBN-104480061738
- ISBN-13978-4480061737
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2004/5/1)
- 発売日 : 2004/5/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 301ページ
- ISBN-10 : 4480061738
- ISBN-13 : 978-4480061737
- Amazon 売れ筋ランキング: - 533,298位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 663位政治学 (本)
- - 692位東洋哲学入門
- - 693位日本の思想(一般)関連書籍
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「あとがき」では、現在の実際問題に「使える」思想(史)を目ざす、というようなことが言われているのだが、ではこの本をどう活用したらよいのかというと、そんなのはよくわからなかった。表題どおり、「名著」の紹介という性質がとても濃いので。そういうモノとしては、少なくとも思想史に詳しくない私のような読者にとっては、楽しくお勉強のできる秀作であった。
日本の国民大衆のお気楽な現状満足ぶりの指摘や、小林よしのり、福田和也、石原慎太郎などの「キー・パーソン」たちへのコメントなどは、それなりに適確なんだろう。が、さてさて「だから何だ」というお決まりの無感動な結論に幾度も至ってしまった。
読書家の趣味として「考える」ぐらいのことはできても、実際的に本気で「考える」気にはならんのである、この本を読んでも。著者の意図は横滑りしているのである。はっきりいって。
日本の国民大衆のお気楽な現状満足ぶりの指摘や、小林よしのり、福田和也、石原慎太郎などの「キー・パーソン」たちへのコメントなどは、それなりに適確なんだろう。が、さてさて「だから何だ」というお決まりの無感動な結論に幾度も至ってしまった。
読書家の趣味として「考える」ぐらいのことはできても、実際的に本気で「考える」気にはならんのである、この本を読んでも。著者の意図は横滑りしているのである。はっきりいって。
2004年6月27日に日本でレビュー済み
日本を中心に、ナショナリズムについて、著者の読書経験を通してまとめている。
ナショナリズムといっても人為的に作られたのであり、その成立もせいぜい明治以降だとか、かつては日本共産党が民族主義的な言説をしていたとか、「へえ」とつぶやきたくなる情報も確かにある。
また、ナショナリズムには収斂型と拡散型があり、フランス革命は拡散型、日本のナショナリズムは収斂型という整理の仕方はなるほどと思った。
しかし、ナショナリズムはコスモポリタンとしていきていくだけの強さを持たない人のための補助具である、というような結論めいた仮説は凡庸。
ということで、ナショナリズムにもともと興味がないせいもあるだろうが、あまりおもしろくなかった。あるいは浅羽さんの論ではなく、単なる読書感想文になっているのが退屈の原因かもしれない。
ナショナリズムといっても人為的に作られたのであり、その成立もせいぜい明治以降だとか、かつては日本共産党が民族主義的な言説をしていたとか、「へえ」とつぶやきたくなる情報も確かにある。
また、ナショナリズムには収斂型と拡散型があり、フランス革命は拡散型、日本のナショナリズムは収斂型という整理の仕方はなるほどと思った。
しかし、ナショナリズムはコスモポリタンとしていきていくだけの強さを持たない人のための補助具である、というような結論めいた仮説は凡庸。
ということで、ナショナリズムにもともと興味がないせいもあるだろうが、あまりおもしろくなかった。あるいは浅羽さんの論ではなく、単なる読書感想文になっているのが退屈の原因かもしれない。
2015年2月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
その他本宮ひろ志の男一匹ガキ大将をもとに
ナショナリズムを論じているしころがすばらしい。
ナショナリズムを論じているしころがすばらしい。
2004年6月6日に日本でレビュー済み
ナショナリズムの名著を紹介するという試みじたいは、新しいものではない。
しかし本書には、狙いの正しさがある。
これまでの論壇は、
「ナショナリズムの欠乏を憂えるいわゆる右からの激と、ナショナリズムの過剰に怯えるいわゆる左からの警告ばかり」(本書285頁)
という状態であった。
本書の試みは、読者がナショナリズム思想を読んでゆくための道具箱をつくることにある。
なぜこのような道具箱が必要となるのか。
それは、ナショナリズムの言説は、たとえその内容がナショナリズムを否定するものであったとしても、行為としてはナショナリスティックなものとなってしまうからである。たとえば「日本は右傾化してはならない」という主張は、主語が日本となっている時点で、どうしようもなくナショナリスティックな主張なのである。
ふつう、対立する意見があった場合、良心的な読者ならば双方の意見を聴こうとするだろう。
ナショナリズム思想の場合、コレが危険なのである。
右であれ、左であれ、どちらも、結果的にはナショナリズムを煽ってしまうような言説なのだ。
これは、下手にはまってしまったら、ぬけられなくなるだろう。
うわさでは、ナショナリズムには<癒し>効果もあるそうだ。
本書は、読者がナショナリズム思想に溺れてしまわないために、有益な書物である。
まじめな、良い本である。親切な印象も受けた。
狙いが正しく、「名著」の選択が妥当で、各書の解説・批判も明快でおもしろかった。
五つ星を進呈するゆえんである。
しかし本書には、狙いの正しさがある。
これまでの論壇は、
「ナショナリズムの欠乏を憂えるいわゆる右からの激と、ナショナリズムの過剰に怯えるいわゆる左からの警告ばかり」(本書285頁)
という状態であった。
本書の試みは、読者がナショナリズム思想を読んでゆくための道具箱をつくることにある。
なぜこのような道具箱が必要となるのか。
それは、ナショナリズムの言説は、たとえその内容がナショナリズムを否定するものであったとしても、行為としてはナショナリスティックなものとなってしまうからである。たとえば「日本は右傾化してはならない」という主張は、主語が日本となっている時点で、どうしようもなくナショナリスティックな主張なのである。
ふつう、対立する意見があった場合、良心的な読者ならば双方の意見を聴こうとするだろう。
ナショナリズム思想の場合、コレが危険なのである。
右であれ、左であれ、どちらも、結果的にはナショナリズムを煽ってしまうような言説なのだ。
これは、下手にはまってしまったら、ぬけられなくなるだろう。
うわさでは、ナショナリズムには<癒し>効果もあるそうだ。
本書は、読者がナショナリズム思想に溺れてしまわないために、有益な書物である。
まじめな、良い本である。親切な印象も受けた。
狙いが正しく、「名著」の選択が妥当で、各書の解説・批判も明快でおもしろかった。
五つ星を進呈するゆえんである。
2008年1月14日に日本でレビュー済み
本書によれば、ある国に価値を認め、それを基礎に展開される知的考察がナショナリズムであり、それは思想というよりもっと幅広い、我々のほとんどが無意識のうちにその上に乗って考えたり行動する前提のようなものだ。そのため本書は、いわゆる思想書にとどまらず、唱歌「戦友」や司馬遼太郎の歴史小説、さらには漫画「男一匹ガキ大将」など多様な素材を、近代日本のナショナリズムを表現する著作として紹介している。この題材の選び方には、著者のセンスのよさを感じた。
第1章〜第5章では、ロシアを始めとする欧米列強からの脅威や日清・日露戦争をきっかけに、大きく盛り上がったナショナリズムを表現する明治期の著作を中心に紹介していく。今まで知らなかった内容が多く、かつ自然発生的に高揚した明治期のナショナリズムの雰囲気がよくわかった。
大正・昭和戦前期について著者は、侵略される脅威が遠ざかったことや台湾・朝鮮領有による多民族化により、ナショナリズムが退潮に向かった時期とする。思うに、ナショナリズム退潮を憂えた当時のリーダー達が、学校や軍隊で上からの教育によって愛国心を植えつけようとしたことが、かえって戦後日本人のナショナリズムに対する否定的な態度を導いたように感じる。
第6章〜第10章では、敗戦後の日本が経済大国への歩みを進めていく中で、日本人を突き動かし、猛烈に働かせる要因になった情念としてのナショナリズムを表現する著作を紹介していく。そして終章では、日本ナショナリズムを総括して、拡散型(積極的ナショナリズム)と収斂型(防衛的ナショナリズム)に分類し、ほとんどの日本人が抱いているのは収斂型だとする説明に納得させられた。
本書は、国の運命と人の行く末が結ばれていると感じた明治人「石光真清の手記」から、「公のために」=「国のために」なのだという、小林よしのり「戦争論」まで、紹介された全ての著作を読んでみたいと思わせる魅力的なナショナリズム入門書だ。
第1章〜第5章では、ロシアを始めとする欧米列強からの脅威や日清・日露戦争をきっかけに、大きく盛り上がったナショナリズムを表現する明治期の著作を中心に紹介していく。今まで知らなかった内容が多く、かつ自然発生的に高揚した明治期のナショナリズムの雰囲気がよくわかった。
大正・昭和戦前期について著者は、侵略される脅威が遠ざかったことや台湾・朝鮮領有による多民族化により、ナショナリズムが退潮に向かった時期とする。思うに、ナショナリズム退潮を憂えた当時のリーダー達が、学校や軍隊で上からの教育によって愛国心を植えつけようとしたことが、かえって戦後日本人のナショナリズムに対する否定的な態度を導いたように感じる。
第6章〜第10章では、敗戦後の日本が経済大国への歩みを進めていく中で、日本人を突き動かし、猛烈に働かせる要因になった情念としてのナショナリズムを表現する著作を紹介していく。そして終章では、日本ナショナリズムを総括して、拡散型(積極的ナショナリズム)と収斂型(防衛的ナショナリズム)に分類し、ほとんどの日本人が抱いているのは収斂型だとする説明に納得させられた。
本書は、国の運命と人の行く末が結ばれていると感じた明治人「石光真清の手記」から、「公のために」=「国のために」なのだという、小林よしのり「戦争論」まで、紹介された全ての著作を読んでみたいと思わせる魅力的なナショナリズム入門書だ。
2006年9月19日に日本でレビュー済み
ゼミで小熊英二の『民主と愛国』を読む前になにかしら基礎知識を仕入れておこうと思って読んだ本の一つ。日本ナショナリズムの歴史が概観できる。
ナショナリズムは、「ロジカルな書物によって頭脳から教え込まれる以外にも、歴史物語などの大衆小説や映画、小学唱歌、各種スポーツ、軍隊の訓練や戦場で培われた強固な同胞(共犯者)意識などなどを用いて、情感や身体から滲みこんでゆく」(P23)と言う指摘はもっともである。その上で、小熊が70年代以降の大衆ナショナリズムの時代の分析に当たって江藤淳しか取り上げていない点を批判し、大衆小説家である司馬遼太郎に着眼、分析していく。
しかし疑問に思う点も一つ。戦後初期のナショナリズムを、「民族独立行動隊」のナショナリズムだけで括れるのだろうか。吉田裕『日本人の戦争観』(岩波)によると、50年代にはすでに「戦記もの」のブームが到来している。このような平和主義の枠からはみ出すような戦争観は、ナショナリズムと言う視点からはどのように評価できるのだろうか。その点、左翼のナショナリズムの分析だけでは不十分ではないかと感じられた。
ナショナリズムは、「ロジカルな書物によって頭脳から教え込まれる以外にも、歴史物語などの大衆小説や映画、小学唱歌、各種スポーツ、軍隊の訓練や戦場で培われた強固な同胞(共犯者)意識などなどを用いて、情感や身体から滲みこんでゆく」(P23)と言う指摘はもっともである。その上で、小熊が70年代以降の大衆ナショナリズムの時代の分析に当たって江藤淳しか取り上げていない点を批判し、大衆小説家である司馬遼太郎に着眼、分析していく。
しかし疑問に思う点も一つ。戦後初期のナショナリズムを、「民族独立行動隊」のナショナリズムだけで括れるのだろうか。吉田裕『日本人の戦争観』(岩波)によると、50年代にはすでに「戦記もの」のブームが到来している。このような平和主義の枠からはみ出すような戦争観は、ナショナリズムと言う視点からはどのように評価できるのだろうか。その点、左翼のナショナリズムの分析だけでは不十分ではないかと感じられた。
2004年10月20日に日本でレビュー済み
思想は役に立つのか、それとも役に立たないのか。
基本的には、役に立つと思う。
思想というのは、物事を考えるための一つの枠組みのことだと思う。ただ、それぞれの思想には、当然ながら限界があって、その思想が持つ枠組みでは捉えられないことに関しては、役に立つとは言いがたい。(たとえば、環境思想が著作権を考えるために役に立たないだろう)けれど、枠組みがばっちり当てはまった場合、これほど役に立つものはない。
この本では、近代以降の日本のナショナリズム思想を概観し、それを理解するためのヒントを与えてくれる。そして僕たちは、「国家」というものを考える際に有効な様々な枠組みを得ることが出来る。
北朝鮮、イラク、アメリカ。もしあなたが世界と日本を対比して考えてみたいと思うなら、(そして、考えるためのヒントを求めているのなら)この本はとても役に立つはずだ。
基本的には、役に立つと思う。
思想というのは、物事を考えるための一つの枠組みのことだと思う。ただ、それぞれの思想には、当然ながら限界があって、その思想が持つ枠組みでは捉えられないことに関しては、役に立つとは言いがたい。(たとえば、環境思想が著作権を考えるために役に立たないだろう)けれど、枠組みがばっちり当てはまった場合、これほど役に立つものはない。
この本では、近代以降の日本のナショナリズム思想を概観し、それを理解するためのヒントを与えてくれる。そして僕たちは、「国家」というものを考える際に有効な様々な枠組みを得ることが出来る。
北朝鮮、イラク、アメリカ。もしあなたが世界と日本を対比して考えてみたいと思うなら、(そして、考えるためのヒントを求めているのなら)この本はとても役に立つはずだ。