新書ということもあって、すぐに批評に入るのではなくゲーム理論についての筆者なりの大まかな説明をまずしてくれているため、初めてゲーム理論に触れる人でも筆者の主張の大枠は理解できるようになっている。
批判といってもこの理論のここが間違っている、というように新たな理論を打ち出すものではなく、その前提条件や対象を問題にしている。
たとえば囚人のジレンマというゲーム理論の1つ(戦略的理性)について、これは経済以外にも政治の場であるとか他の場で応用されているが、これは正しい使い方なのかということに焦点がある。囚人のジレンマの前提条件を深く考え、囚人のジレンマが成り立つというのはかなり特別な条件下で、現実には当てはめずらい。というのがこの本での典型的な主張である。
キーワードとなるのが、対話・制度・遊び・暴力といったもので、現実世界ではこの条件は外すことができない要因であるにもかかわらず、ゲーム理論ではその条件を考慮することなく、論を立てている。それをそのまま応用するということに問題があるということであろう。
ゲーム理論の弱点とでもいうべきものが記されており、1つの主張に沿って話が進んでいるが、話が飛び飛びになっているので筆者の主張を常に念頭に置きつつ読んでいかないと迷子になってしまいそうである。ゲーム理論について今一度考えさせられるものです。
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ゲーム理論を読みとく (ちくま新書) 新書 – 2004/11/9
竹田 茂夫
(著)
- ISBN-104480062025
- ISBN-13978-4480062024
- 出版社筑摩書房
- 発売日2004/11/9
- 言語日本語
- 本の長さ301ページ
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2004/11/9)
- 発売日 : 2004/11/9
- 言語 : 日本語
- 新書 : 301ページ
- ISBN-10 : 4480062025
- ISBN-13 : 978-4480062024
- Amazon 売れ筋ランキング: - 964,146位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年2月13日に日本でレビュー済み
本書は、これからゲーム理論を学ぶ人向けの入門書ではない。ゲーム理論をすでに学び、せっかく学んだこの理論を適用していこうと意気込んでいる人にこそ読んでほしい。ゲーム理論とは簡単に言えば、戦略的思考を行う上で役に立つ道具だと思う。しかし、理論の研究が進むと、それが一人歩きして閉鎖的な、一般の人間には理解不能な「化け物」となってしまう危険性がある。本来役に立つはずの道具が、適用していく段階で理論で扱えるように現実を無視したり捻じ曲げてしまう。筆者は「ゲーム理論は、人間と社会にとって不可欠なもの、決して無視できないものを切り捨てることによって成立する理論なのだ。」と警鐘を鳴らしている。
本書は、外野席からヤジを飛ばしているような無責任な書ではなく、ゲーム理論を長年研究し、知り尽くしている学者がいろいろな観点から「ゲーム理論」の意味を根源的に問うている重みのある書である。
本書は、外野席からヤジを飛ばしているような無責任な書ではなく、ゲーム理論を長年研究し、知り尽くしている学者がいろいろな観点から「ゲーム理論」の意味を根源的に問うている重みのある書である。
2023年2月14日に日本でレビュー済み
本書はゲーム理論の入門書としても、批判本としても、良書と言えません。しかし、光るところが有ります。ゲームの理論と経済行動というゲーム理論の創始者のノイマンが書いた本がありますが、一章で予想される批判とそれに対する反論があります。本書はまさにノイマンが予想した批判ですでに反論された意見を軸に進むという、逆にノイマンの天才性を強調するという著者の想定を超えた効果を生んでいて、そこに面白さを覚えました。
2006年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読破するのに時間がかかりました。本書は、書下ろしではありません。
それ自身が問題ではありません。
いろいろなところで発表されたものを一冊にまとめられたため、各章に分かれてはいますが、
論旨があちらこちらへと飛躍しすぎてどうもまとまりがなく、正直読みにくかった・・・
ゲーム理論に興味がある人、ゲーム理論をはじめて学ぼうとする人は避けたほうが無難でしょう。
中級以上の方でゲーム理論に内在する問題点を改めて考えてみるとき、多少の参考になるかもしれません。
それ自身が問題ではありません。
いろいろなところで発表されたものを一冊にまとめられたため、各章に分かれてはいますが、
論旨があちらこちらへと飛躍しすぎてどうもまとまりがなく、正直読みにくかった・・・
ゲーム理論に興味がある人、ゲーム理論をはじめて学ぼうとする人は避けたほうが無難でしょう。
中級以上の方でゲーム理論に内在する問題点を改めて考えてみるとき、多少の参考になるかもしれません。
2007年12月9日に日本でレビュー済み
とにかく的外れな批判が多く、著者の不勉強が目立つ。著者はニューヨーク州立大学バッファロー校で経済学Ph.D.(博士号)を取得しているが決してゲーム論の専門家ではない。 まずこの本は最初からゲーム論を攻撃する意図で書かれているが、ほとんど不当な言いがかりに近い。これはひとえに著者がゲーム論の進歩についていけていないからであろう。ゲーム論は言葉による説得やコミュニケーションが考慮されていないなどと主張しているが、いったいいつの時代のゲーム論を指して言っているのか。 また「ゲーム論はたいしたものではない、張り子の虎である」と言うのであればまだ私も理解できるしある程度共感できるが、著者は要するにゲーム論を核物理学などと並置し、「ゲーム論は強力である。悪魔の思想であり人類を滅ぼしかねない!」と勝手に勘違いして危機感を煽っている。陰謀論者も顔負けである。こんなことを信じてゲーム論を勉強し始めたら失望するのがオチである。 論理的思考に基づいた抽象化モデル化は社会現象、自然現象を理解するための人類の知恵である。それは常に正しいわけではないが少なくとも一定の有効性はある。それを否定することは大げさに言えば人類の知恵を否定することである。否定した先に何があるのか。この本の筆者のようにゲーム論に感情的に批判的な論者はすぐに合理性を否定し、「世の中はもっと複雑なんだよ…」などというが決してその対案は示さない。対案を示さないのならせめてゲーム論を知識へのアプローチの一つとして認めてほしいものである。
2004年11月24日に日本でレビュー済み
先日NHKの番組で、ピーター・フランクルさんが、実生活に役に立つ数学の分野がゲーム理論だと述べられていました。ゲーム理論は、確かに知っていれば役に立つと思いますし、様々な場面で武器となり得ると思います。しかし現実世界では、選択肢さえ作ることが困難な状況が多々存在します。自分が臨んでいるのは「どんなゲーム(モデル)」なのかが理解できて初めて活用できるのがゲーム理論だと自分なりには解釈しています。
先日の研修会で、ゲーム理論の様々なゲームを実際に行いました。本当に様々な名回答・迷回答・珍回答が続出し、「ゲームよりも面白いのが人間だ」というのが、正直な感想です。
ゲーム理論の入門書は、どちらかというとゲーム理論賞賛的口調で書かれているかと思いますが、この本は、ゲーム理論事態への考察が加わっていて、私にとっては新たな視点でした。
どこかでゲーム理論に触れられた方が、学びを進めるための本としてお勧めします。
先日の研修会で、ゲーム理論の様々なゲームを実際に行いました。本当に様々な名回答・迷回答・珍回答が続出し、「ゲームよりも面白いのが人間だ」というのが、正直な感想です。
ゲーム理論の入門書は、どちらかというとゲーム理論賞賛的口調で書かれているかと思いますが、この本は、ゲーム理論事態への考察が加わっていて、私にとっては新たな視点でした。
どこかでゲーム理論に触れられた方が、学びを進めるための本としてお勧めします。
2008年5月25日に日本でレビュー済み
新書なので入門編と思いきや、初心者には少々難しい。
ゲーム理論は、ある限られた前提条件の下でしか成立しないはずが、いつの間にか市民権を得て特に政治の世界で利用されてきたことに強く批判して本(だと思う)。
前提条件の最たるものが、ゲームの全プレイヤーが戦略的合理性をもって行動しなければならないというものである。従って、信念や狂気で行動するような相手がプレイヤーであるとゲーム理論は通用しない。例えば、ベトナム戦争での同理論での戦略立案は、機能しなかったとのこと。
つまりは、政治での利用は、注意が必要ということだそうです。
まぁ使う側の問題だと思いますが・・・。
ゲーム理論は、ある限られた前提条件の下でしか成立しないはずが、いつの間にか市民権を得て特に政治の世界で利用されてきたことに強く批判して本(だと思う)。
前提条件の最たるものが、ゲームの全プレイヤーが戦略的合理性をもって行動しなければならないというものである。従って、信念や狂気で行動するような相手がプレイヤーであるとゲーム理論は通用しない。例えば、ベトナム戦争での同理論での戦略立案は、機能しなかったとのこと。
つまりは、政治での利用は、注意が必要ということだそうです。
まぁ使う側の問題だと思いますが・・・。
2006年2月3日に日本でレビュー済み
ゲーム理論を批判的に捉えるというのは良いと思うのですが、その手法にかなりの問題があると思います。第2章では協力ゲーム、フォーク定理における誤った記述がボロボロ出てきて、筆者のゲーム理論についての知識の偏りがあるように思われます。
何かを批判するのならそれについての正しい知識を備えるべきでしょう。
何かを批判するのならそれについての正しい知識を備えるべきでしょう。